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2009年02月24日

アクセスログはペルソナの作成に活用できますでしょうか?

文責:橋原正明(パワー・インタラクティブ マーケティングデータアナリスト)

「アクセスログはペルソナ(個人像)の作成に活用できますでしょうか?」
先日Webマーケティング実践活用講座で、このような質問を受けました。アクセ
スログ解析はサイト上の行動履歴であり、ユーザーの意思の集積であるため、
ペルソナを作成する参考データとしては有効だと考えられます。

ただし、注意が必要なのは、あくまでも提供しているコンテンツの範囲内での
行動履歴であるため、ユーザーのニーズがすべてアクセスログに記録されてい
るわけではありません。例えば、訪問した検索用語を集計し、ターゲットとし
ている個人のニーズを把握しようと考えた際に、アクセスログに記録されてい
るのは、あくまでもサイトに誘導することができた検索用語のみで、誘導でき
なかった検索用語の存在を頭にいれておく必要があります。

さて、すこし話が変わりますが、企業が新商品の開発を行う際に、生活者を直
接観察することがあります。アンケート調査を行うことも大事ですが、現場で
観察を行うことはそれ以上に有意義な行為だと言えます。商品開発の優れた事
例で、サントリーの「DAKARA」が上げられます。担当者は大塚製薬の「ポカリ
スエット」やコカ・コーラの「アクエリアス」の利用シーンを観察する中で、
二日酔いの時や仕事の合間に飲まれることが圧倒的に多いことに気が付きます
。これは定量的なアンケート調査ではスポーツ時/スポーツ後が76%を占めて
いた結果と大きく異なるものでした。担当者は開発当初のコンセプトの中心要
素であったスポーツ飲料から脱却し、体質改善に関心がある人をターゲットに
した、「カラダ・バランス飲料」を生み出すことに成功します。

この「観察」という行為について、アクセスログの活用においても重要なこと
ではないかと、最近思い始めています。私が担当している、某メーカーさんは
弊社のアクセスログ解析ツール PowerROIを導入されており、毎時間届く、ショ
ップでの購入者の成果連動メールに目を通されています。


 ・成果連動メールとは
 ------------------------------------------------------------
  特定の成果(例えば資料請求など)に至った訪問者のアクセスログデータを、
  1時間毎に担当者にメールでお送りする機能です。
  BtoBサイトを運営される企業様によく利用される機能で、営業マンが資料
  請求者に電話フォローする前に、「どんな検索用語で来たのか」「何ペー
  ジ閲覧したのか」など把握することが可能になります。
    詳細はこちら http://www.power-roi.jp/feature/result.html
 ------------------------------------------------------------

成果連動メールに記載されるのは、サイト全体の動向ではなく、訪問者ひとり
ひとりの行動履歴です。全体でページが何回見られたのではなく、ある人がど
ういう順番で見たのかをそのまま把握することが可能です。最近ではアイトラ
ッキングなどの手法で、ユーザーの視線とセットで行動を把握することが可能
ですが、命令された行動ではなく、真にその情報を必要としている方の行動を
知るには、ひとりひとりのアクセスログデータを丁寧に検証するしかありません
。某メーカーの担当者さんは、時間をかけてその作業(=観察)をされています
。そして、訪問者のイメージをふくらませ、サイトの導線の改善や、新商品の
企画に活かしています。

私はマーケティングデータアナリストという職種で、アクセスログ解析の集計
を行い、クライアントに改善点を報告する仕事を行っています。改善施策には
優先順位をつける必要があるため、小さな問題箇所は基本的に無視します。し
たがって、レポートを作成する際に、ひとりひとりのデータをじっくり見るな
どという行為はあまり行いません。

アクセスログでは話がわかりにくいので、遊園地をイメージしてください。私
は遊園地で、来場者の満足度を高めるよう、問題点を探している担当者だとし
ます。そして入場ゲートやトイレなど混雑している部分を見つけます。入場ゲ
ートが混雑していれば、ゲート数を増やし、トイレが混雑していれば、増設す
ることを提案します。そして、遊園地は少しずつ人通りが良くなり、来場者の
満足度は上がっていきます。私がアクセスログ解析で報告しているのは、基本
的にこのレベルです。トップページの直帰率が高いとか、メルマガからの訪問
者はコンバージョン率が高いといった分析です。一般的なWebサイトに共通する
問題箇所に着眼し、データで証明することはそれほど難しくありません。(経
験をつめばですが)

では、来場ゲートもトイレも増設した遊園地がさらに、来場者の満足度を高め
るためにはどうすればよいでしょうか。一つの方法として、ある家族づれや
カップルの後を一日中追い続け、入園から退出までの行動を観察してみること
です。そうすると、「芝生を探してお弁当を食べる家族づれ」「ジェットコ
ースターばかり乗っているカップル」といった来場者の個人像が見えてきます
。こういった発見は、遊園地全体の訪問者数や、アトラクションの参加者数と
いった断片的な数値をみているだけでは、なかなか思いつきません。同じこと
がアクセスログの分析でもいえるのではないでしょうか。もちろん、1人だけ
のデータをみて改善点を特定するのは危険であり、同様の行動を起こしている
方がどの程度の規模でいるのかを確認する必要はあります。しかし、訪問され
た方の検索用語、閲覧したページの順番、かけた時間をじっくり数名分観察す
ればきっと、問題が「はっ」とインスピレーションするはずです。

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2008年12月02日

カジノに通じる導線設計

文責:橋原正明(パワー・インタラクティブ マーケティングデータアナリスト)

11月末にアメリカ旅行に行ってきました。仕事のことは忘れて。行先は眠らない街ラスベガス。砂漠の真ん中に作られたギャンブルの街というイメージが強いですが、その通りでした。ただし、人口は約200万人いるらしく、観光によって雇用を生み出す循環が確立されている点が素晴らしいと思います。

私のカジノでの成績はさておき、とにかくカジノで金を落とさせる仕組みが徹底されています。まずホテルの客室までとにかく歩かされます。もちろんカジノの中を・・・。ここで寄り道をする度に小銭を奪われていきます。そして、長い時間歩いてたどりついた客室でのサービスはあまりよくありません。ペットボトルのミネラルウォーターが5ドルだったり(近くのABCストアーで買えば99セント)、コーヒーメーカーも無ければ、新聞を届けてくれたりなんてしません。とにかく部屋でゆっくり滞在させない工夫がなされています。

また、ホテルでは無料のショーが催されており、それを目当てに行ってみれば、そばでルーレットが回っているという構造になっています。ちなみに、旅行代理店の方に教えてもらいましたが、ラスベガスのホテルのレストランは全て1階にあるそうです。屋上に人を集めても意味は無く、カジノのそばに配置して滞在時間を長くするのが狙いとのこと。

観光客の行動を分析し、カジノへの導線が設計されているんだな、と感心しました。Webサイトも同様で、顧客の行動であるアクセスログを分析し、成果へ導線を設計することが重要だと再認識した次第です。

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2007年11月16日

プレテストで囲い込む、学校法人のマーケティング

文責:橋原正明(パワー・インタラクティブ マーケティングデータアナリスト)

今朝地下鉄で広告にて、大阪桐蔭中学が主催する中学入試のプレテストの実施が告知されていました。毎年2000人が受験しているらしく、大阪桐蔭以外を受験希望の学生も多数受けているテストのようです。受験生は大阪桐蔭にとって有望な見込み客であるといえます、したがって受験生に同校の雰囲気を体験してもらうことは、受験生のモチベーションの向上や同校へのロイヤリティを高める上で重要な施策であると考えられます。

地下鉄のポスターをよく読んでいると、このプレテストを絡めたマーケティングの中身がもう少し見えてきます。プレテスト当日には保護者を対象とした、同校の説明会が開催されます。これは個人的な見解ですが、中学受験を考えている小学生の受験動機の多くが、保護者からの推薦ではないでしょうか。したがって、同時開催される説明会は受験先を左右するキーマンをターゲットとした貴重な顧客接点の創出であるといえます。

大阪桐蔭中学のサイトを見てみると、今年のプレテストの案内がさらに詳しく掲載されていました。その中で昨年のプレテスト成績上位300人の進学先が掲載されており、およそ1割弱あたりが大阪桐蔭中学に入学しているようです。どれだけ入学に導けているかということも重要ですが、中学受験を目指す学生の学力レベルと、同校の市場ポジションが明確にわかる仕組みになっているところが、競争を勝ち抜くための貴重なデータになると考えられます。

ところで、同校の高等部といえば、甲子園の強豪校として有名ですが、スポーツのみならず進学校としても広く認知される存在になっています。またその上には大阪産業大学が進学先として用意されています。中学入試のプレテストを機に、大阪桐蔭中学に入学し、大阪桐蔭高校を経て大阪産業大学に進学する、なんてストーリーはすこし欲張りですが、実現すれば一人の生徒が支払う授業料はかなりの額になると思われます。

学校法人として学生を受け入れるチャネルを幅広く用意し、待ちの学生獲得策にとどまらない戦略は、業界が違えど、お手本とできるのではないでしょうか。

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2007年09月26日

戦略が先か、組織が先か

文責:橋原正明(パワー・インタラクティブ マーケティングデータアナリスト)

9月初旬、三洋電機のホームページのニュースリリースが「一部報道について」という記事で埋め尽くされました。白物家電や半導体事業の撤退・売却についての報道が繰り返され、そのたびに否定のリリースが出されています。

私も新聞にて白物家電の撤退に関する記事を読みましたが、同じ紙面上ではシャープの好調な業績が報じられ、明暗を分けています。
両者を分けた要因を考えていると、経営判断を行う上で「戦略が先か、組織が先か」という視点がポイントになると考えられます。

シャープは液晶で市場を攻略する戦略を立て、周囲のメーカーが中国へ渡っていくなかで国産を選択し成功を収めています。今では「亀山ブランド」といわれるまで成長をとげ、明確な戦略の元で組織図が描かれたといえるます。
一方で三洋電気は「総合家電メーカー」という組織の枠組みの中で、選択と集中の機会が遅れ、経営再建が必要な状態に至っています。

組織ありきの戦略では変化に対応することは難しい。戦略を元に組織を改変していくことが、変化の激しい環境の中で企業が生き残るために必要なことではないでしょか。

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2007年09月11日

セブン・イレブンに買わされている私

文責:橋原正明(パワー・インタラクティブ マーケティングデータアナリスト)

パワー・インタラクティブの大阪オフィスから最寄のコンビニはセブン・イレブンです。毎日毎日財布を片手に足を運びお菓子を調達しています。

激務(うそ)の中での唯一の楽しみはお菓子です(本当)。ですからついつい高めの乾燥マンゴーなんかに手を伸ばしてしまいがちになり、同僚の川咲からいじられることもしばしば。

買う品数はそれほど多くなのに、いい値段になってしまうのは自分の脇の甘さ、と思っていましたが、最近気がついたあるトリック。

「陳列棚の最上部(目線の高さ)は値段の高い商品が並んでいる」

おそらく、小売業界では当たり前のことなんだと思います。それにしても完全に罠にはまっていたと思う。明日からは下のほうの商品も目にとめるようにしよう。いやきっとWebのデザインや構成にもヒントとなることがあるはずだと、注意して観察をしてみよう。

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2007年07月10日

ブログ分析でわかる、口コミの起り方

文責:橋原正明(パワー・インタラクティブ マーケティングデータアナリスト)

ブログの普及により、消費者の情報発信が日常的なものになりました。企業としても積極的にブログを活用し、マーケティングに組み込む流れができつつあります。代表的なものをあげると、

  1. 口コミ誘発による商品認知の向上
  2. アフィリエイトによる顧客接点・売上の拡大
  3. ブログ分析による顧客の声の獲得

などがあります。これらを支える技術の向上もめまぐるしく、今後も活用の場は広がると予想されます。
上記における(3)ブログ分析、に関しては無料で提供されているツールにおいても、口コミの発生の状況など、示唆に富んだ情報を与えてくれます。例えば特定のキーワードがブログにどれだけ出現したのかを調べるには、大手ブログ検索のテクノラティYahoo!ブログ検索、などが使えます。例としてテクノラティを使い、最近話題のキーワードがどのようにブログで引用されたのかを調べてみました。

●ビリー VS ミートホープ
ビリーとは7日間集中ダイエットプログラム「ビリーズ・ブートキャンプ」を深夜放送で紹介するカリスマ・インストラクターで、日本でも女性を中心にブームを巻き起こしています。6月20日に来日し、各放送局にて引っ張りだこの状態が続いていました。ビリーを含むブログの数を7月3日から180日間さかのぼったグラフが図 1です。昨年12月には毎日100件程度のブログ数であったところが、じわじわとその数を増やしていく様子が明確に表れています。来日の報道が大きく取りざたされるようになった6月18日から爆発的にその数が増加し、6月20日には完全にキャズムを超えたといえます。
図1 「ビリー」を含むブログの数
一方ミートホープは北海道苫小牧市の食品加工卸会社で偽装牛ミンチ問題が連日紙面をにぎわせています。ビリーとほぼ同じ時期にブログへの書き込みが増加していますが、その質は全く違います。(図2)当たり前といえばそこまでですが、消費者の動きが無料のツールで手に取るように分かる、このこと事態が昨今の技術の進歩の速さを物語っています。
図2 「ミートホープ」を含むブログの数

●ライアーゲーム VS 華麗なる一族
「ライアーゲーム」は1億円を争奪する謎のゲームを巡るサスペンスを描いたドラマで、好調な視聴率を受け最終回は3時間スペシャルとなったヒット作です。一方、「華麗なる一族」はSMAPの木村拓哉さんが主演を務め、阪神銀行のオーナー頭取である万俵家の父子の葛藤を中心に描いた物語です。両者を含むブログの数を調べたのが図3(「ライアーゲーム」)、図4(「華麗なる一族」)です。共通する点は、ドラマの放送日に書き込みの数が増加するという点です。これは他のドラマを調べても基本的に同じ傾向にあります。
図3 「ライアーゲーム」を含むブログの数

図4 「華麗なる一族」を含むブログの数
異なる点は、初回放送時のブログへの書き込み数です。「華麗なる一族」では最終回に続いて書き込みが多いのが初回放送時になっています。一方で、「ライアーゲーム」は初回の書き込み数が2番目に少ない状況になっています。比較のためにそれぞれと同時期に放送されたドラマについて、主要なものを調査してみましたが、初回の書き込み数が少ないというケースは「ライアーゲーム」に特有であることがわかりました。(図5.6)
図5 「プロポーズ大作戦」を含むブログの数

図6 「花より男子2」を含むブログの数
私も「ライアーゲーム」を視聴していた一人ですが、回を重ねるごとに理解が増し、継続的な視聴への欲求が高まるように思える内容でした。おそらく初回放送時においては、やや内容が難解であったため、ブログへ感想を書き込むといった行為へのハードル高かったのではないかと推測されます。図3.4からもわかるように、最終回では「華麗なる一族」とほぼ同程度の書き込み数がありましたので、反響は大きかったことが伺えます。ただし、「華麗なる一族」と比較した場合、図からわかるように棒グラフで色塗られた部分の面積(=トータルの書き込み数)はやや少ないといえます。木村拓哉さんの影響力の大きさを物語っているというところでしょうか。

ブログ分析はこれまで見えなかった様々な消費者の行動を可視化させ、企業がマーケティング活用をする上での多くの見地を与えてくれそうです。まだまだ手探りな分野であるといえますが、いづれマーケッターにとって必須のスキルになることは間違いありません。まずは無料のツールを使い遊び感覚で、感触をつかんでみるのもいいかもしれません。

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2007年05月22日

営業効率化を実現する、3つの見込み度判別方法

文責:橋原正明(パワー・インタラクティブ マーケティングデータアナリスト)

前回のエントリーでふれました、Webからの引合いを効率的に営業フォローするための見込み度の判別方法について、もう少し詳しく書きたいと思います。ここでは営業フォローが重要なウェイトをしめるBtoBビジネスで有効な3つの手法を紹介します。


●アンケート項目の活用
 問い合わせや資料請求時に、名前や企業名を記入していただくのとあわせて、見込み度を判別するための簡単なアンケートを実施することにより、ある程度の判別が可能となります。アンケート項目が多すぎると回答者の負担になるため、全てを聞き出すことは難しくなりますが、1)案件の緊急度、2)決裁権の有無、3)予算規模などを聞き出せれば非常に有効です。


●アクセスログの活用
 資料請求をした見込み客の「訪問時の検索用語」「閲覧ページと合計ページ数」 「訪問頻度」等のアクセスデータは、見込み客の真のニーズや見込み度を知るための貴重なデータとなりえます。パワー・インタラクティブが提供させていただいている、アクセスログ解析ツールPowerROIでは資料請求などの成果が発生した際に、上記のアクセスデータをメールにて通知いたします。これにより担当者はより顧客に対する洞察を深め対応することが可能であり、営業力のアップに貢献します。

 アクセスログ解析ツールPowerROI 「成果連動メール」


●クリックデータの活用
 展示会などで得られた大量の名刺データを使い、メルマガを配信します。その際に、「詳しい相談をしたい」「デモ希望」などのワンクリックアンケートを設定し、誰がどのコンテンツを閲覧したのかを分析することにより、見込み度の判別を行います。パワー・インタラクティブのメールマーケティングシステムPowerContactは上記のアンケート分析の加え、クリックデシル分析を搭載しています。クリックデシル分析とは、配信されたメルマガにて、より多くクリックした人から順に10の階層(デシル)に分けることをいいます。メルマガを配信し、上位の3階層(よくクリックしている上位層)には営業マンがフォローをおこなうといった判別も可能です。

これらの判別は顧客の状態・行動をデータ化し、よりホットな顧客を抽出することで、営業効率の改善に貢献します。Webに存在している数あるデータから、ビジネスに活用できるデータを選び出すことが、Webとリアルを連動させる上で非常に重要なポイントとなってきます。

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2007年05月16日

Webマーケティングの効果を高めるリアルとの連携の重要性

文責:橋原正明(パワー・インタラクティブ マーケティングデータアナリスト)

前回のエントリーでは、Webマーケティングにおけるプロセスの改善例について書きました。一般的にはWebで全てのビジネスプロセスが完結することはありませんので、先ほどのエントリーで書いた全体最適化は、企業のビジネスという視点から言えば部分最適化ということになります。

例えば、検索連動型広告を実施しWebサイトから資料請求が発生したとします。この時点で、アポの獲得や提案、受注までのプロセスは営業担当者に引き継がれます。受注までを今回のプロジェクトの全体と考えた場合、いくら検索連動型広告による資料請求数を増やしても、営業部隊によるフォローの体制が整っていなければ、高い成果(=全体最適化)を得ることはできません。

このことは当たり前なことですが、Webサイトを運用している部署と営業を担当している部署間の連携が弱くプロジェクトが分断され、それぞれの担当者が任せられた範囲のみの最適化を実施し、効果を最大限にあげることができていないケースによく出会います。

今回のようなケースでいえば、資料請求者の情報を営業担当者に提供する点が、2つのプロセスが連動するため重要なポイントとなっています。すべての資料請求者に対し、同等にアプローチしていては営業効率の悪化をまねきます。ここでWebの担当者は資料請求者の見込み度を判別するための仕組みを設け、営業担当者が確度の高い見込み客に効率よくアプローチできるようサポートすることが求められます。

また、営業部門としては上記の引合いにおけるクロージングのデータをフィードバックし、どのプロモーションをより強化すれば最終的な受注数増につながるのかを、Webの担当者と共有することが重要です。これにより、Web担当者の実施する部分最適化が、プロジェクトの全体最適化にリンクすることになります。

さて、ここまではWebとリアルの連携の重要性について書きました。次回はWebからの引合いにおける見込み度の判別について、もう少し詳しく書きます。

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2007年05月15日

Webマーケティングにおけるプロセスの最適化

文責:橋原正明(パワー・インタラクティブ マーケティングデータアナリスト)

ビジネスにおいて効果を高めるためには、従事しているプロジェクトをいくつかのプロセスに分解し、各プロセスが最適化されるように改善を加える必要があります。しかしながらプロセスの部分最適化の実施が、全体最適化につながるかといえば、必ずしもそうではありません。

例えば、ある商品の一連の製造プロセスを考えてみましょう。ここでは、各プロセスの担当者が、一時間あたりの商品の加工数を指標に改善を行っているとします。各担当者がそれぞれの目標を達成すれば、全体のパフォーマンスは確実にあがるような気がします。

しかしながら、それぞれの加工工程が連結されている場合、商品の製造ペースは最もペースが遅いプロセスに依存してしまうため、いくらその他の部分で加工ペースが改善されたとしても、全体のパフォーマンスに影響することはありません。むしろ無意味に在庫をかかえることにもなりかねません。

この場合、もっとも加工のペースが遅いプロセス(=ボトルネック)を探し出し、改善することが何よりも求められます。また、全体の最適化を意識した部分最適化を行わなければ、最大限の効果が得られないということがよくわかります。

Webマーケティングにおいても、こういったことがよく起こります。Webサイトを立ち上げ、検索連動型広告により集客を実施しているが、なかなか成果に至らないといったケースがあるとします。ここで考えなければならないプロセスは、カスタマーシナリオといわれる、顧客が問い合わせや資料請求に至るまでのプロセスです。

カスタマーシナリオ

上記の例で言えば、1.→2.のプロセスでは、どれだけ誘導できたかといった指標(クリック数、クリック率)により評価されます。この部分を最適化すればサイトへの訪問者数が増加することになります。しかしながら、それが全体の最適化に直結しているかといえばそうではありません。

例えばランディングページ(=1ページ目)の訴求力が弱く、ほとんどの訪問者が1ページの閲覧で帰ってしまう場合、ランディングページがボトルネックということになります。先ほどの製造プロセスの例ておいて、ボトルネックにて在庫をかかえてしまうのと同じように、成果にいたらない訪問者を積極的に誘導していることになってしまいます。

つまり各プロセスの役割と連結しているプロセスの関係性を意識しながら改善を行い、最終的に「成果数」「成果への到達率」が最大になるように調整を行わうことが求められます。あくまでも目的は全体最適化を実現することであることを、忘れてはいけません。

さて、ここまではWebマーケティングにおけるプロセスの最適化について書きました。企業として最適化すべきことはこれが全てでしょうか。続きは別のエントリーにて書きたいと思います。

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2007年02月20日

スマイルカーブ現象 ~付加価値は誰の手に?

文責:橋原正明(パワー・インタラクティブ マーケティングデータアナリスト)

2月6日の日本経済新聞では、デジタル機器の寡占化を報じています。販売台数シェアの上位2社の割合が上昇した製品は、液晶やプラズマテレビなど主要24品目中で15品目にあたるという。一方で電子部品大手7社の07年度三月期通期の営業利益は、5社が増加する見通しであると、こちらも8日に同紙が報じています。

この2つの結果の背景には、インターネットの普及によるオープンでかつグローバルな企業間取引が、最終組立業者であるかつての総合家電メーカーとそれを支えていた部品メーカーとの関係性を大きく変化させている点があげられます。

従来の日本の産業構造は、最終組立業者を頂点として従属的支配下に部品メーカーが集まるという、いわゆる「系列」であり、付加価値(=利益率)は最終組立業者が握っているという状況でした。

しかしながら、BtoBのeマーケットプレイスやアドワーズ・オーバーチュアなどの検索連動型広告による企業マッチングの手法が大きく発展を遂げ、企業間の取引が従来のクローズな関係からオープンな関係へと変化を遂げている現在、これまで1社の下請けでしかなかった部品メーカーも、複数の企業と取引を行うことが可能になっています。

複数の企業と取引が可能になれば、技術力・商品力の高いメーカーの競争力はますます高くなり、取引の集中へとつながります。こうした流れの中で、付加価値(=利益率)は最終組立業者から部品メーカーへと移り、このような構造変化は「スマイルカーブ」と呼ばれるようになっています。

スマイルカーブ

この現象はコンピューターを多用する業界にて顕著に見られます。例えば部品メーカーの成功例としては真っ先にインテルがあげられるでしょう。また最終組立業者からソリューション・コンサルティング業界へと転身し高い付加価値を提供している企業もみられ、IBMが好例であるといえます。

さて話を少し戻します。冒頭でふれたデジタル機器の寡占化については、最終組立業者の提供できる付加価値の低下(=利益率の低下)にともなう、競争力の乏しい企業の脱落が大きな要因であると考えられます。一方で、業績が好調な電子部品メーカーの特徴はオープンでグローバルに展開している企業であること、そしてモジュール化された付加価値の高い製品を、高いシェアにて提供している点であるといえます。

価値のあるところに、高い利益率がともなう適切な構造への変化だと私は考えています。製品やサービスに高い価値がなければ、いくらオープンな取引を行える環境にあったとしても、成長することができません。一方で、高い付加価値を持ちながら、それを市場にうまくアピールできていない企業も多いのではないでしょうか。我々はWebマーケティングを支援するにあたり、こういった機会損失を減らすことが社会への貢献であると考えています。

[参考文献]
B2Bブランディング ~企業間の取引接点を強化する(日本経済新聞社 )
京様式経営 モジュール化戦略―「ネットワーク外部性」活用の革新モデル(日本経済新聞社 )

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2007年01月23日

ゲーム業界にみる、イノベーションのジレンマ

文責:橋原正明(パワー・インタラクティブ マーケティングデータアナリスト)

1月6日の日本経済新聞では、年末年始における任天堂とソニー・コンピューターエンタテイメント(SCE)のゲーム商戦の記事が掲載されており、任天堂の製品の人気ぶりを報じています。

FIFTH EDITION(pal)さんの据置ゲームがこの世の地獄から生還するためにせねばならない事、というエントリーが事態を的確にあらわしています。

十字キーインターフェースの技術を最大限に高めたSCEのPSPやPS3より、ダブルスクリーンとタッチペン、Wiiリモコンにより新しいユーザーインターフェースを開発した任天堂が、ユーザーの支持をあおいでいるということです。

実はそれほどゲームには詳しくない私ですが、数年ほど前はSCEのプレイステーションのシリーズが、圧倒的な人気を誇っていたと記憶しています。実際検索してみると以下のような記事が出てきます。

PS2絶好調、今年度1,807万台を出荷ゲーム部門は829億円の黒字に転換 

おそらくSCEは現状の環境を分析し、ユーザーのニーズを満たす製品作りに投資を行なったのだと思われます。しかし、すでに十字キーに対し飽き始めたユーザーを追いかけたところで、最適な答えは見つからなかった。「存在しない市場は分析できない」といったのは、名著「イノベーションのジレンマ」(翔泳社)におけるクレイトン・クリステンセンです。

対する、任天堂の岩田聡社長はインタビューにて、こう語っています。

「今あるゲーム機の10倍パワーを持ったゲーム機が登場したとして、それを自分は認知できても、家族は使いこなせるでしょうか。違いの分かる人だけを相手にするのは危険です。お客さんが興味を持つのは(映像が)きれいだからではなく、提案するゲーム機の内容が分かりやすく、面白いかどうか。従来の延長に答えはない。そう考え、非連続なものを作ろうと決めました」
『PS3は視野に無し…任天堂社長“脱線”宣言』

クレイトン・クリステンセンが言うところの「破壊的イノベーション(※)」を、岩田聡社長は「非連続」と表現しています。本著で出てくる「持続的イノベーションと破壊的イノベーションの影響」という図をゲーム業界に当てはめると、現状をうまく説明することが出来きます。
(※)「破壊的イノベーション」とは、当初は既存の市場で求められる性能を満たさないため受け入れられないが、新しい市場にて評価された後、上位の市場を侵食していく一連の変化のことです。

イノベーションのジレンマ

また本著で紹介されている、優良企業が破壊的イノベーションに侵食される原因である「バリューネットワーク」という概念も、今回の2社のケースに当てはめることが可能ではないかと思われます。

まずバリュー ネットワークとは、企業が「顧客のニーズを認識し、対応し、問題を解決し、資源を調達し、競争相手に対抗し、利潤を追求する」に当たって組み込まれている価値創造のための枠組みのことを指します。そして、「企業は、あるバリュー ネットワークの中で経験を積むと、そのネットワークに際立って見られる需要に合わせて能力、組織構造、企業文化を形成することが多い」とクレイトン・クリステンセンは指摘しています。

ここでは、両社のゲーム機の製造過程における、プロセッサの供給の方法の違いを見てみたいと思います。Wikipediaによれば、以下のようにその違いが記されています。

●SCEについて

PS2からは主要半導体の自社生産を戦略としている。他社半導体メーカによる供給と異なり、部材確保のタイミングやコストをコントロールしやすく、製品の垂直立ち上げや発売初動から安価な値付けを行うなどの演出を実現してきた。PS2の国内初動100万台販売やPSPの約2万円の価格など、従来のこれらの規模の製品ではあまり例のない販売実績を積み上げている。 特にPSPは立上げ当初から最先端のプロセス技術を用い、高いコスト性能比や電力性能比を実現している。 (Wikipedia「ソニー・コンピュータエンタテインメント」)

●任天堂について

任天堂はゲーム機に必要なプロセッサをIBMやATI Technologiesに外注しているため、チップ原価が変動しにくく本体価格の引き下げ、価格性能比の向上や設計自由度において不利と言われている。 プロセッサを自社で開発し、グループの半導体製造工場を使って生産量からチップ原価の低減が可能であると主張していたSCEとは対照的である。 かつてはNINTENDO64に64bitプロセッサを搭載するなど、ゲーム機のハイスペック化にもアプローチしてきた任天堂であったが、次世代機Wiiではこの方針を転換し、SCEやマイクロソフトとのスペック競争から身を引き、高性能化だけではゲームの進歩がないという主張をする立場に立っている。 (Wikipedia「任天堂」)

大きな違いは、自社生産か外注かという点です。仮にSCEのマーケティング担当者が、疲弊を始めているゲームユーザーの現状を感じ取り、「次代のプレイステーションは、高性能ではなくインターフェースで勝負したい」と進言したとしましょう。しかしながら、そもそもそのような市場が存在するのかも明確ではなく、さらには、PS2における勝因であったグループ内のプロセッサ開発部門を切り捨てるような決断を下せるでしょうか。SCEとしては、強みであるプロセッサの自社生産を活かし、現在見えている市場に対し投資を行う、といった合理的な決断を行ったにすぎませんが、これが現在の苦境の要因であると言えるのではないでしょうか。

一方の任天堂は、不利なスペック競争から脱するために、不連続な「破壊的イノベーション」を起こす決断を下しますが、その際にSCEのようなバリューネットワークによる縛りを受けることはなかったと考えられます。

なお、「イノベーションのジレンマ」の序章には「確立された技術」と「破壊的技術」を分類された表が掲載されています。なじみのある例をあげますと、

「確立された技術」・・・ 固定電話
「破壊的技術」  ・・・ 携帯電話
出典:イノベーションのジレンマ(翔泳社)第2版

などがあります。
その中に、以下の項目がありました。

「確立された技術」・・・ デスクトップ・パソコン
「破壊的技術」  ・・・ ソニー・プレイステーション2
              インターネット端末
出典:イノベーションのジレンマ(翔泳社)第2版

こうしてみると、ある市場から見ると「破壊的される」技術であっても、違う視点で見れば「破壊的」技術となりうることがわかります。SCEと任天堂の華々しい激突の陰に隠れて、より深刻に侵食されている市場があるのかもしれません。

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2006年10月31日

村田製作所にみる、BtoBブランディング

文責:橋原正明(パワー・インタラクティブ マーケティングデータアナリスト)

ムラタセイサク君村田製作所の今年度の新卒採用が好調であると、10月17日の日経新聞は報じている。採用競争の激化の中で、応募者数は前年の6割増を達成し、さらに大手電機メーカーに流れる学生の抑制にも成功しているという。この事実は興味深い。記事では「ムラタセイサク君」による知名度のアップなどが要因であると簡単に解説している。

一般にBtoB企業は、BtoC企業に比べ業務内容の専門性が高く、サービスや製品が一般消費者の目に触れる機会が少ないことから、採用戦線にて苦戦を強いられることが多い。したがって、取引企業や従業員だけではなく、採用予定者にも適切なメッセージを発信していくことが求められる。

ここで、「ムラタセイサク君」が発信しているメッセージについて考えてみたい。今更説明するまでもないが、「ムラタセイサク君」は自転車型ロボットのことである。補助輪なしで自転車に乗れるバランス感覚以上に、以下に記す2つの相反するメッセージをバランスよく伝えるところがうまい。

村田製作所が技術力の高い会社であるということ。
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村田製作所は親しみやすい会社であるということ。

自転車をこぐセイサク君は親しみがわきやすい一方で、補助輪なしで自転車をこぐ技術力には感歎してしまう。「製作所」という堅いイメージを払拭すると同時に、技術力の高さも的確に訴求できていると思う。

現在村田製作所の採用サイトからは、「ムラタセイサク君」の専用サイトへのリンクがはられており、そこでは開発者の横顔が掲載されている。この誘導も自然ですばらしい。

BtoB企業のブランディングの成功例として挙げらるのではないだろうか。

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2006年09月04日

BtoBサイトの必要要件

文責:橋原正明(パワー・インタラクティブ マーケティングデータアナリスト)

BtoBサイトを構築する際に、どのような情報を掲載すればよいのかを悩むことは多い。そこで、BtoCとBtoB商材の購買プロセスの比較を行うことによって、サイトに必要な情報は何かを考えみたい。

では、BtoBとBtoCにおける購買プロセスの違いとはどのようなものであろうか。比較のために簡単にまとめると次のようになる。

【購買プロセスの比較】

  • BtoC : 購買行動の過程において、衝動的な要素が多い。
    購買が当事者のみの判断で完結する。(特に低価格商品の場合)
  • BtoB : 合理的な価値判断のもとに、購買が決定される。
    購買の発案者、決定者など、複数の担当者を経て決定される。

少し乱暴な言い方かもしれないが、BtoCと比べるとBtoBでの購買は、より合理的な判断がなされ、かつ複数の担当者の了承を経て完結することが多い。例えば、洋服を扱っているECサイトにおいて、細かい洗濯方法を表示する必要性はなく、イメージを前面に押し出した見せ方をすればよいと考えられるが、ITシステムを販売しているBtoBサイトにはシステムに関わる詳細なスペック情報を掲載する必要がある。

では、BtoBサイトには商品の細かな情報を逐一載せておけばよいのか、というとそうではない。ひとつは、商品に対する市場の理解がまだまだ深くない場合。この時、詳しいスペックの違いをサイトに掲載するよりは、利用シーンを中心に掲載することよってお客様の課題認識を促す方が得策であると考えられる。

もうひとつは、上述しているようにBtoBの場合、複数の担当者の了承を経て購買が完結するという点である。例えば、直接商品に触れることになる担当者はその分野に対しある程度のリテラシーがあるかもしれないが、購買を決定する上司はそうでない場合が多い。したがって、商品の細部ばかりに焦点をあてた情報掲載では物足りず、実績などの付加的な要素も重要になってくる。

以上をふまえて、BtoBサイトに必要な要件をまとめると、

  • 購買プロセスでの課題を解明し、訴求内容を決定する。
    ⇒商品・サービスの置かれている環境(競合他社の掲載情報など)を分析し、顧客の 「比較・検討」に応える情報掲載を考える。
    ⇒マス広告や営業提案といった、他の顧客接点との役割分担を考慮し、流れを考える。
    ⇒実績紹介・導入事例はサービスの信頼性を高める上で重要なコンテンツといえる。
  • 商取引の場以外に、ブランディングの場としてもとらえブランドのビジョンやパーソナリティを顧客に体験していただけるよう検討する。

こうして考えると、Webサイトの一担当者がこれら全てまかなうことは非常に難しいことがわかる。企業Webサイトの成功には部門をこえた協力が必要であることが再認識させられる。

[参考文献]
B2Bブランディング ~企業間の取引接点を強化する(日本経済新聞社 )

[関連サービス]

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2006年06月29日

マス広告の役割の変化について

文責:橋原正明(パワー・インタラクティブ マーケティングデータアナリスト)

マーケティングデータアナリストの橋原です。(営業先で役職名をいじられる確率はおよそ3割7分です。)よろしくお願いします。

マス広告とネット広告の連動といえば、真っ先に思いつくのがCM中に「ネットで○○○と検索」と誘導をかけ、テレビではできないユーザ体験を提供するパターンがあるかと思いますが、もっと大きな流れの中でのマス広告の役割の変化について、つい最近考えさせられる出来事がありましたので、少し書いておきます。

車の広告を扱っている友人との会話にて

私:「日産のCMっていいよね~、色の使い方がうまいし、SHIFTシリーズのコンセプトもカルロスゴーンの改革のイメージとマッチしてると思う」

友人:「いや、日産のCMって車名があまり全面的に出てなくてあれじゃ頭に残らないよ」

私:「・・・確かに(あの車名何だっけ?)」

といったものでした。その時は、「なるほど~」と納得していたわけですが、では何ゆえに日産はそうしているのかを考えていると、マス媒体の位置づけを彼らは意識的に変えているという結論がもっともしっくりきます。

消費者行動のAIDMA(Attention ⇒ Interest ⇒ Desire ⇒ Memory ⇒ Action)が、ネット時代になってAISAS(Attention ⇒ Interrest ⇒ Search ⇒ Action ⇒ Share)に変化しているといわれいてますが、消費者行動が変化すれば広告媒体の役割も必然的に変わってきます。AIDMA理論では、車名の記憶までを目的とした広告が必要ですが、AISAS理論ならば、マス広告は利用シーンなどのイメージの訴求を最大限に行なう場所として位置づけ、後はネットで探してもらい商品の特徴まで覚えてもらう。つまり、整理すると以下のようになります。

  マス広告 ネット 販売店
AIDMA 車名と特徴の記憶 購買
AISAS 特徴の訴求 車名までの記憶(資料請求) 購買

もちろんマス広告において、車名を打ち出しそのまま検索してもらっても問題ないわけですが、どうでしょうか。多くの自動車の広告を見た消費者が、ひとつひとつ車名をインプットできるとは考えられません。また、車名を覚えることができる消費者は自動車に対するリテラシーの高い層にあたり、マス広告で必要とされるターゲット層とはずれるのではないでしょうか。

広告っぽさをなくし、商品のイメージを最大限に訴求するには日産のやり方が効果的であるといえると考えられる。(実際に私がそのように感じたのは事実です。)

追伸:
2006年6月23日付の日本経済新聞に「消費をつかむ」という連載記事が掲載されている。20歳~30歳の女性をターゲットにした三菱自動車「i(アイ)」が蓋を開けたら、購入者の7割弱が男性で、63%が40歳以上であったらしい。通常の倍以上のアンケート調査による綿密なマーケティングをおこなったが「もくろみが外れた」とのこと。消費者の行動の変化はもちろん、価値観をどこまで把握できるのかがこれからのマーケティングの大きな課題であることは間違いない。

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