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2006年08月10日
文責:後藤大典(パワー・インタラクティブ 執行役員)
先日、日経新聞社が主催する「次世代リーダー育成のためのMOT」というセミナーに参加しました。(2006年7月28日(金) 13:30~16:30)
弊社ではPowerROIやPowerContactなど、ネットマーケティングの効果を高めるためのシステムをいくつか開発し、お客様にご提供させていただいているのですが、今後ますます高度になるネット関連技術に対応し活用ていくための参考になるのではないかと思って参加をしました。
MOTとは、Management Of Technologyの略で、直訳すると「技術経営」と約されている。基調講演をされた奈良先端科学技術大学院大学の理事副学長・山本平一氏によると、MOTとは
技術に立脚する事業を行なう企業・組織が、持続的発展のために技術が持つ可能性を見極めて事業に結びつけ、経済的価値を創出していくための「マネジメント」である。
と定義付けられているようです。つまり技術によってイノベーションを起こすことが「技術経営」の本質であり、それをマネジメントする人材の質を高める、あるいはMOT人材の数を増やすことが特に日本の製造業では必要とされているようです。
実際、急速に企業経営は高度化し、CEO以外にCOOやCFOなど、求められる役割ごとに責任者を配置することが一般的になっていました。彼らは直接財務なり技術なりの実務をするというよりも、その知識を活用してどのように企業価値を高めるのかを考え、指揮する立場にあります。
山本氏によると、経営におけるMOT人材にとって、特に重要なのは以下の分野をマネジメントすることです。
- 技術管理:プロジェクト管理、技術資源管理、知財管理、情報管理
- 技術開発:技術開発、技術革新、生産管理、知財活用、品質管理
- 価値創造:商品企画、外部活用、市場戦略、市場開発
- ヒューマンスキル:意思決定、コミュニケーション、リーダーシップ、モチベーション
- 事業推進:業務遂行力、変革対応力、対人折衝力、目標管理力
正直、かなり幅広い知見を持った人材のように思えるのですが、この中でもコアは「価値創造」と「ヒューマンスキル」と「事業推進」の3つが特に重要とのことでした。技術そのものよりも、技術をどう市場価値、顧客価値に結び付けていくのかというマーケティングが求められているということがわかります。
これは神戸大学経済経営研究所の教授・延岡健太郎氏の講演においても言われていたことで、「日本企業は、Value Creationは比較的上手だが、ValueCaptureが下手」ということです。つまり価値を創造することは得意だが、その価値を利益としてつかみとることが下手だということです。
それではValue Captureを実現するためにはどうすればよいのか?
結局のところ、ひとつの商品でブレイクしてValue Captureするというのでは意味がなく、継続してValue Captureのできる商品が生み出せる組織を作り上げる、ということこそがMOTの仕事であるということでした。延岡氏の言葉を借りると、
製品での差別化よりも、組織能力としての差別化により、過当競争からの脱出ができる。そのためには「ブレない経営」が重要。
ということに尽きるといえる。弊社のことを取り上げて申し訳ないのですが、PowerROIやPowerContactそのものが評価されているのもそれはそれで嬉しいのですが、これらを生み出せる組織やマネジメントを実現していくことこそが、我々の目指すべきところであると再認識した次第であります。
最後に、延岡氏のわかり易い例え話が面白かったので紹介したい。
「カレーライスなら600円で売れるが、カツを付加価値としてつけたカツカレーなら650円で販売できる」
と言うときの「付加価値」という言葉の意味は、ビジネスにおける付加価値とはちょっと違う。カツカレーが650円であれば、カツ分はわずか50円なので、付加価値とは言えない。カツをつけることで、カレーライス+カツ分以上の値段をつけることができて初めて、付加価値をつけたといえる。
さて、我々のサービスはカツカレーになっていないだろうか。
2006年08月07日
文責:遠藤美加(パワー・インタラクティブ 取締役)
ここのところ「Web2.0」関連の話題で持ちきりだ。ウェブの世界で新しいパラダイムシフトが起こりつつあるという予感は、ウェブの業界人だけでなく一般の企業人の高い関心もあいまって、加熱している。
弊社が顧客企業から受けるご依頼の中にも、「次世代型のサイトにしたい」「Web2.0を意識した展開を行いたい」といった要望をよくお聞きする。しかし、話を進めていくと、実際にbは「Web2.0」を取り巻くキーワードだけが先行していて、いかにビジネスサイトに活かしていくかといった視点は、持ち得ていないケースが圧倒的だ。
「Web2.0」はビジネスにどのようなインパクトを与えるのか?
このヒントを見つけるには、昨今、ますます激変の途にある「旅行業界」の動きに注目するのがおすすめだ。ここ最近(6~7月)だけでも目をみはるようなニュースがいくつか報じられている。
「旅行業界」のどこが<ビジネス2.0的>なのか、何に注目すべきなのかについて、あらためて整理してみたい。
6月下旬、リクルートが海外旅行情報誌「エイビーロード」を10月号を最後に休刊すると発表した。インターネットによる海外旅行の情報検索やオンライン予約サイトの普及により、広告や読者が減少、全盛期の月間38万部から、最近では11万部と発行部数は大幅に落ち込んでいたという。
「エイビーロード」の創刊は1984年。リクルートの主要情報誌の1つだった。「エイビーロード」以前の旅行というと、まずは旅行代理店の店頭パンフレット集めからが定番の時代に、様々なパッケージツアー情報を1冊の誌面上に集め、簡単に比較検討を可能にした。本屋の店頭に並ぶ全盛期の「エイビーロード」の分厚さは、いつか行って見たいと思わせるまだ見ぬ世界が広がっていて、眺めているだけで、わくわくした。他方で「エイビーロード」のような旅行情報誌の登場は、中小の旅行会社や、ホールセラーと言われる旅行企画会社にとって、雑誌上でのダイレクト販売を可能にし、それまでの大手旅行代理店中心の流通に風穴を開け、旅行自体のコストダウンにも大きく貢献した。こういった旅行情報誌の登場が、その後のバブル景気とも相まって、日本人にとっての海外旅行をぐっと身近にしたのだ。
リクルートは、今後、海外旅行予約サイト「エイビーロードネット」に一本化をはかるという。リクルートは、2006年3月期に、5年前には85%であった有料誌関連の売上が約40%と、はじめて全体売上の半分を切った。ネット売上は約1350億円とすでに全体売上の3割を占める。情報誌「エイビーロード」の休刊は、リクルートにとって単なる撤退ではなく、新しい時代に向けてのエポックメイキングな出来事だと言えそうだ。
⇒ここに注目:
一情報誌が紙からネットへといった動きの背景にある、リクルート自体のここ数年の事業構造の転換は、<ビジネス2.0>の予兆として注目すべしだ!
楽天とANAは、国内旅行で「ダイナミックパッケージ」のサービスを開始すると発表した。折半出資で「楽天ANAトラベルオンライン」を設立し、旅行サイト「楽天トラベル」で10月から、国内の宿泊施設と全日空の国内便を自由に組み合わせてネットで購入できる仕組みにするという。
私自身、出張が入ると、ホテル予約は楽天トラベル、航空券はANAサイトで予約が大体のパターンだ。宿泊不要の日帰り出張の場合も、まず楽天トラベルにログインして、楽天経由でANAサイトで予約する。そうすると、楽天ポイントとANAマイレージの両方でポイントが蓄積されるのだ。ANAでたまったマイレージは個人旅行に使い、楽天でたまったポイントはワイン購入に充当するのが、最近のお決まりのネット購買行動だった。
上述のような非常に個人的な消費行動に照らし合わせると、楽天とANAの提携は非常に自然に思えたのだが、旅行業界的に考えると、おそらく旅行会社の存在意義を揺るがしかねない衝撃的な提携だ。
「ダイナミックパッケージ」というサービスをご存知だろうか?「ダイナミックパッケージ」とは、宿泊施設と航空券、レンタカーなどの旅行商品をサイト上で自由に組合せ、同時購入すると、トータルで大幅値下げされたパック料金で購入することを可能にするサービスだ。つまり、このサービスにより、個人が自由に“マイパッケージツアー”をつくることが可能になる。
供給側からすると、従来のパック旅行に比べ、人件費やパンフレット印刷などの経費が省け、コストトダウンを実現することができる。また、航空券代と宿泊費の内訳が明かされないため、閑散期のホテルや航空会社が格安の部屋や席を提供しやすくなるのだという。
日本は欧米と比較して、圧倒的にパック旅行の比率が高いと言われきたが、年々、団体旅行から個人旅行への移行が確実に進んでいる。海外旅行については、90年代後半に団体旅行が約8割だったのに対し、2003年には5割を切った。さらに、国内旅行については、1990年時点で、団体旅行が4割、個人・グループ旅行が4割とほぼ同率だったが、2002年時点で前者22%、後者69%と、全体の約7割を個人・グループ旅行が占めるまでになっている。おそらく今後もこの傾向は続くと思われるが、すでに複数社が参入を表明している「ダイナミックパッケージ」サービスが、パック旅行離れにさらなる拍車をかけそうな勢いなのだ。
⇒ここに注目:
インターネットが登場した当初から、仲介代理業の存在が危ぶまれて来たが、仲介代理業自体がビジネスとして存在しなくなるというわけでは決してない。リアルな仲介代理業がこれまでの業界慣習に縛られているうちに、全く新しいネット専業の仲介代理業が出現し、消費者側によりメリットのある仕組みを構築し、業界地図を一変さすのだ。
そしてこの動きに、冒頭で触れた「Web2.0」的なパラダイムが大きく関わって
来る。
(⇒後編へ続く)