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2006年11月07日

「バルトの楽園(がくえん)」と組織活性化3つの手法

文責:岡本充智(代表取締役)

11月に入り、街のイルミネーションはX'mas色に塗られてきた。自然と気持ちも師走に追いかけられるように感じる。年の暮れと言えば、「第九」がいたるところで聞かれるようになる。正しくは、「ベートーベン作曲 交響曲第九番 歓喜の歌」。

わが国では広く愛唱されている第九であるが、日本で最初に演奏されてからわずか90年も経っていない。徳島県にある坂東俘虜収容所で、捕虜であるドイツ兵たちによって第一次世界大戦が幕を閉じた1918年6月1日に演奏されたのが最初である。

この坂東俘虜収容所を舞台に鳴門の人々と捕虜であるドイツ兵との交流を描いたのが「バルトの楽園」。

松平健、扮する俘虜収容所所長、松江豊寿(まつえとよひさ)。ドイツの名優ブルーノ・ガンツ扮する、捕虜のドイツ少将であり、青島総督であるクルト・ハインリッヒを中心に織り成す展開には歴史的な背景からも奇跡的な真実として感動を覚えた。

世界的にも、模範収容所としての評価を得た坂東俘虜収容所における松江所長のマネジメントに組織活性化の手法を垣間見ることができる。主要なポイントを3つにまとめてみた。

1.一人一人のやりがいを醸成する。

収容所の中では、写真技師や記者には新聞印刷の仕事を、パン職人にはパンを焼くことを、音楽家には楽器演奏の指導を、それぞれの得意なかつ、やりがいを持てる仕事を与え、索漠としがちな収容所生活を生き生きとしたものに変えている。

組織の中でも、一人一人のやりたいこと出来ることをしっかりと見極めて、やりがいを育んでいく事は欠かせない。

もう少し踏み込んで考えると、やりがいとは、自分に決定権があるかどうかというところに帰するように考えられる。その決定権の幅が広がれば、よりその仕事にやりがいを感じるものではないだろうか。

2.組織人としてのプライドを傷つけない。

松江所長は捕虜ドイツ兵の最高責任者であるハインリッヒの処遇にはいたく気を遣い、彼に対しては、寛容な待遇を続けた。

ハインリッヒを長と仰ぐ兵たちは、この処遇に対して安心感を持つとともに、日本人に対して心を開いていったと考えられる。その後ろには、自分たちの長が正しく処遇されることで、彼らのプライドを守れたとも言える。

プライドは自尊心・誇りという肯定的な反面、自惚れ・放漫という否定的な面を持つ。相手の自尊心を優しく包み込めるプライドを持てることが、組織人としての真のプライドではないだろうか。

組織には強い人も弱い人もいる。どのような人にも、プライドはあり、そのプライドがどのようなものかを素直に受け止めていくところに、組織が活力を持つヒントがあるのではないだろうか。

3.外的な刺激を与え続ける。

収容所は比較的開放的で、鳴門坂東の地元の人たちとの交流も活発に行われた。何よりも、当時、先進国であったドイツの知識・技術・文化を吸収することも地元にとっては有意義なことであった。

また、捕虜たちにとっても、住民たちに自分たちの持てる最新知識を伝授することは彼らの生きがいに繋がったのではないだろうか。

昨今、事業領域の拡大、新規分野への進出をにらんで、業務提携が活発化している。これらの提携を単なる事業のみの提携に終わらせずに、人的交流も含めた組織ぐるみの交流に昇華していくことで、組織内に眠る種火に灯りをともし、活発化していく風土が形成されるものであろう。

「バルトの楽園」は日本人の持つ、もてなしの精神や武士の情けをベースに極限状況下における人間のあるべき姿を描いたものでもある。そこに、組織としての有り様を見ることが出来たのも大きな収穫であった。

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