サイトマップ

組織がブレると、リーダー自らが現場でタスク整理

インタビュー後編
株式会社マイナビ 西 達矢氏 後編

株式会社マイナビ 西 達矢氏 後編

このエントリーをはてなブックマークに追加

"マイナビ"全体の認知度アップが各新規事業へも好影響を

新規事業6つに共通する成功要因は何ですか?

mynavi_second_02.jpg立ち上げた6つの事業はまだ成功とは言えませんが、黒字となり事業部化したものもあります。
2年前に比べ、「マイナビウーマン」のアクセス数は約3倍の2500万PV、「マイナビニュース」は約3.5倍7000万PVになっています。また、最近立ち上げた「マイナビ賃貸」「マイナビウエディング」もオープン時の目標掲載数をクリアしています。

計画目標を上回る成果の要因をあげるなら、まず第一に、マイナビブランドの認知度が上がっている点です。
「マイナビ賃貸」も「マイナビウエディング」も後発で、今更なんでこの分野に参入するのか、といわれますが、マイナビブランドの認知が5年前くらいに比べるとかなり進んでいます。当時は"毎日コミュニケーションズ"と言っても知らない人が多かったのが、今は"マイナビ"という会社を多くの方に知っていただいています。これは新卒メディアや転職メディアなどの人材メディアでのシェア拡大の影響が大きいです。不動産会社も中途採用を行っているので、「マイナビ転職」などで"マイナビ"に馴染んで頂いています。このことが新規事業を展開する上で大きなアドバンテージとなります。

2つ目の要因として、「マイナビ賃貸」や「マイナビウエディング」はビジネスモデルが情報掲載型で、いわゆるメインの事業である人材系メディアのビジネスモデルに近い点があげられます。掲載料をいただいて、情報をたくさん集めること自体がメディア価値となります。この事業構造は長年経験しており、マイナビが得意とするモデルです。

一方、「マイナビニュース」や「マイナビウーマン」は、我々が書く記事や、コンテンツによってユーザを集め、そこにタイアップ広告を当てる形ですので、ビジネスモデルは全く違います。

事業の推進に問題が発生したら、2ヶ月間メンバーの側で火消し役を務める

事業を進めていく中で、うまくいかない時はどんな場合ですか?

mynavi_second_03.jpg 現在、事業ユニットは営業部と、システムを合わせた編集部という括りで構成しています。編集部では、クライアント広告の制作や自社メディアのコンテンツ作成を行っています。編集部の中にはシステム担当、SEO担当、分析担当などがいます。例えば編集部で、タスクが単純に多すぎたり、半年くらいを先を見据えたタスクの割り振りが行われないと、ディレクションがうまくいかなくなります。1ヶ月のタスク遅延は事業進捗に大きな影響を及ぼします。現在の動きと将来を見越した動きのディレクションがずれてくるとそのセクションは行き詰まった状態になってしまうのです。

例えば、「マイナビウエディング」は昨年の10月に立ち上げました。「マイナビウエディング」の場合、1月~2月はカップルの動きが活発になる繁忙期なので、その時期にサイトを改修することはないのですが、ユーザ動向が落ち着く3月~4月は一気に改修を進めます。つまり繁忙期の間に改修ポイントを詳細にまとめておかなくてはならないのです。しかし、改修ポイントのまとめ方が甘かったり、1~2週間遅れたりすると、改修作業に大きな影響が出ます。

スケジュール・タスク管理とともに、編集と営業とのすり合わせも重要です。編集はこう改修したら良いと思っていても営業的にまずいこともあり、営業とのすり合わせのタイミングをどこに入れるかで改修のスケジュールが変わってきます。

私はこうした状況を見ながら全体をディレクションしていかなければいけません。私の役回りは、行き詰ってきた場合に、1~2ヶ月その部署の席に座って、タスク整理をすることだと思っています。今は「マイナビウエディング」の編集部の席に座っています。事業本部長席はありますが、どこかのセクションに入っていることも多いです。"この席に来ていいか?"と聞きながら、フリーの席でメンバーに並んで、2ヶ月業務を行います。初めの1週間くらいはみんなやりにくそうですが、その場その場で判断がくだされ、私が部長ミーティングで共有するよ、と言ったりもするので、1週間も経てばこのほうがやりやすいと思ってくれていると思います。

特に新規事業の立ち上げ時には、早めに問題を消化、沈静化して次のプロセスに入ることが必要です。立ち上げ期はこれが一番早い解決法だと私は思います。

成果指標は売上、物件掲載数、反応数、コンバージョン数

事業の評価方法について教えてください。

事業計画は当初5年で立てます。事業計画にそって、どれだけプラスに進めているか、遅れているかが成果指標となっています。
成果指標は売上、掲載数、反応数、コンバージョン数などメディアによって様々です。

編集側の評価は、どうされているのですか?

mynavi_second_04.jpg「マイナビニュース」では自分の書いた記事のページビューや担当しているチャネル、カテゴリの売上や利益があるので比較的評価がしやすく、個人目標の管理も行っていますが、「マイナビ賃貸」「マイナビウエディング」はまだ個々の評価は行っていません。編集部全体で今必要としているコンバージョンが出せたらみんなを評価しよう、といった評価軸です。現段階は部門全体としての評価が中心です。個人的ミッションを今は切り出す時期ではなく、少し先の事業プロセスで行う予定です。

どのような育成計画を立てられていますか?

編集部は、採用を4タイプに分けています。(1)Webマーケティング系、(2)Googleアナリティクスやリードスコープなどの分析系、(3)システム開発・Webディレクション系、(4)基幹システム系です。 それぞれの経験に応じて採用していますが、前職までの経験には差があるため、一律な育成計画ではなく個々の育成計画を立てています。

「指示してください。そうでないと何をやったらいいかわかりません」という人は不要

中途採用者の多いプロジェクトメンバーにとって、貴社はどのように見られているのでしょうか?

mynavi_second_05.jpg中途採用メンバーからは、"自由にやれる会社だ"と言ってくれます。これやれ、あれやれという指示よりも、"何が問題かということをみんなで提起して欲しい"、"改善ポイントがあればドンドン言ってほしい"と言うことが多いので、結果そういう印象になっているのだと思います。"自由だ"というのは、自分がやりたいことがやれるからなんでしょう。勤務体系が自由というわけではありません。勤務時間は結構きっちりしていて、フレックスもありますが、あえて編集部では導入していません。定時の9時15分には必ず来い、と言っています。

新規事業の採用はテンションが高くないと採らない、というところと通じていて、「指示してください。そうでないと何をやったらいいかわかりません。」という人はいないです。もう少し組織が出来上がってくると、そういう人も入ってきてもらって、コツコツ成果を上げてもらえば良いと思いますが、今のメンバーはそれでは回って行かない。気概を持って入ってきているメンバーなので、ドンドンこうしたらいい、ああしたらいい、と言っています。離職率も低く、編集系の中途社員は、ほとんど辞めていません。どちらかと言うと、営業は合わないと辞めていますが、編集やシステムはほとんど退職者はいません。

マイナビが自由かどうかは中にいる我々はよくわかりませんが、会社のカラーをガチガチに押し付けるのではなく、現場主義にしているところが"自由"に感じている要因だと思います。事業計画通りに進めることは重要ですが、何が何でも既定路線でなければならない、というわけではありません。推進に無理がある場合はみんなの意見を聞いて、適宜修正していくのが私の役割だと思っています。

プロフィール
西 達矢氏
株式会社マイナビ 執行役員メディアコミュニケーション事業本部 事業本部長
横浜国立大学卒。93年に毎日コミュニケーションズ(現マイナビ)入社。大阪支社、就職情報事業本部にて、10年間、多数の企業を訪ねて採用のコンサルタントを行う。その後、03年からは東京本社 社会人情報事業部にて、就職前の学生向け「マイナビスチューデント(旧「マイコミフレッシャーズ」)、20代の働く女性向け「マイナビウーマン(旧「escala(エスカーラ)」)などの新メディアの立ち上げを行う。現在はメディアコミュニケーション事業本部長として、「マイナビ賃貸」「マイナビウエディング」といった新しい分野のメディアを続々と展開している。
株式会社マイナビ  http://www.mynavi.jp
インタビュー後記
mynavi_second_06.jpgマイナビ様の新規事業立ち上げから軌道に乗せるまでのノウハウは、西氏に全て集約されていると言っても過言ではないでしょう。
西氏は、マイナビ様在籍の約20年間のうち、入社直後からの10年間は就職情報事業本部にてメインの人材系事業に携わり、その後の10年間は新規事業の立ち上げに徹底されています。手掛けた6つの新規事業に共通する成功要因として、「マイナビ」ブランドの浸透やメインの人材系ビジネスモデルのノウハウがあがっていましたが、既存事業のノウハウを習得して、集中的に新規事業に取り組むという西氏のキャリア自体が成功要因の一つにあげられるのではないでしょうか。
今後、新規事業メンバーの個々の評価制度、育成計画が進められるようですが、これからどのようなキャリアに進んでいくのか、事業の成長とともにメンバーの育成へも関心が高まります。
    コラム・特集

    お問い合わせ窓口