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Webガイドラインの変遷をふりかえる

2012年5月15日(火)

執行役員/大阪コンサルティング事業部部長 友田彰宣【文責】

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サマリー

  • Webガイドラインの歴史を振り返ると、大きく3つの時期がある。
  • Webの影響力が高まるにつれ、企業のWebサイトに求められる役割が変化している。
  • Webガイドラインの本質は、企業の目的や目標をWebサイトで実現するための「手引き」である。

企業におけるWebサイトの位置づけの変化にともない、「Webガイドライン」の役割も大きく変わってきている。企業において「Webガイドライン」に注目が集まった時期を整理すると、

  • 2003年の個人情報保護法公布前後
  • Webサイトの規模拡大および運営コスト削減の両面から加速したCMS(コンテンツマネジメントシステム)の導入
  • ソーシャルメディアの拡大

と大きく3つの時期が浮かび上がる。あらためてふりかえってみたい。

(1)2003年の個人情報保護法公布前後

2003年5月30日に個人情報保護法が公布され、個人情報取扱事業者(5000名以上の個人データを保有する企業)に対して、個人情報の不正な取 得の禁止や、本人同意を得ずに行う第三者への提供の禁止、個人情報漏えいの防止、苦情への迅速な対応が義務づけられた。これに伴い、多くの企業でWebサ イトの管理に法的な義務と責任が生じた。個人情報保護法への対応を図る上で、自社のサイトがどういった運用がなされているかを把握することが求められ、 Webサイト全体を管理し、安全に運用するためのマニュアルが必要となった。また、当時、多くの企業では、Webサイトは外部の委託業者が対応している ケースが多く、外部委託業者との情報のやりとりや機密保持のルール等もこの時期、整備されたと言えよう。

(2)Webサイトの規模拡大および運営コスト削減の両面から加速したCMS(コンテンツマネジメントシステム)の導入

2004年から2005年になると、気軽に無料で情報発信ができる、ブログ(Blog)が注目を集め、多くの人が様々な情報を発信するようになった。
それまでのWebサイトは、専門的な知識を持った人や、Webの専門業者が作るものだったが、ブログは知識がない一般の人でも、Webサイトが更新できる。
当 時、簡易なCMSを導入している企業はあったが、オリジナルのシステムを開発することが多かったので、開発時間がかかり、高額だったため、あまり普及して いなかった。一方、企業サイトのボリュームは、インターネット利用者の拡大とともに、加速度的に増加し、ページ制作などで生じる外部委託の運用コストの増大は大きな悩みとなっていた。
そこに現れたのが、MovableTypeに代表される安価なCMSパッケージである。 「導入することで、自社で運用ができ運用コストが大幅に削減できる。そのような思惑から、CMSを導入し、専門業者に外部委託せず、運営業務を内部化しようという動きが加速した。
しかし、導入後、それまでWebに直接関わってこなかった間接部門に新たな業務が発生し、主業務を圧迫するという事態や、承認する部門での審査のノウハウが無いというような事態が多く発生した。このような事態を打開するために、担当部署の業務範囲や責任の明確化、公開の基準など運用面に重点をおいたフローや 規定の整備が行われた。

(3)震災前後からのソーシャルメディアの拡大

昨今、Facebook、Twitterに代表されるソーシャルメディアの広がりとともに、企業が顧客と直接接点が持てる重要なコミュニケーションポイントとして、ソーシャルメディアを積極的に活用していく気運が高まっている。

国内でソーシャルメディアが広がったきっかけは、2011.3.11の震災だ。
新聞、ラジオ、TVなどの公的なメディアでは伝えきれない、 個々が必要とする情報を高速かつ正確に伝えることができる手段として、ソーシャルメディアは鮮烈な存在感を示した。一方で、企業の構成員たる社員、派遣社 員、アルバイトが業務中に行った書き込みを震源とする情報漏洩や、それを助長するネット上での炎上が多発し、企業の責任問題まで波及するケースや信用失墜 に至らしめるケースが増加している。
ソーシャルメディアは、よい評価が広がれば大きなメリットがあるが、不祥事や風評、デマなどのマイナス要素も高速で波及するというリスクも抱えている。
このようなリスクを踏まえ、ソーシャルメディアを活用する企業の個人を対象に、事故を未然に防ぐための予防策と、有事の対策を定義したガイドラインが整備されつつある。

「Webガイドライン」の変遷を時代背景とともに、ふりかえってみたが、改めて感じることは、Webが一般社会における影響力が年々高まるにつれ、企業のWebサイトに求められる責任範囲も増化しているということだ。
一方、企業にとってもWebは、マーケティングや広報、あるいは商空間として、今後もますます積極的に活動していかなければないない重要チャネルであるこ とは言うまでもない。Webサイトを企業の目的や目標を実現するための「手段」の1つと捉えると、Webガイドラインの本質は、企業の目的や目標をWeb サイトで実現するための「手引き」である。Webサイトを積極的に活用していくためにも、Webサイトに関わる、部門、関係者に対して企業としての姿勢を 明確に導く手引きとなっているか、今一度見直す必要があるのではないだろうか。

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    執行役員/大阪コンサルティング事業部部長友田彰宣
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