コラム

BtoB企業におけるWebを活用したソリューション営業(前編)ソリューション力のコンテンツ化

サマリー

・ソリューション営業が求められる中、Webサイトにおいてもソリューション力の装備が必要になっている。
・Webサイトにソリューション力をつけるなら、課題パターンを準備し解決策を提示する中で自社の強みを訴求する。
・また、「会社情報」にて、人材育成も含め企業ポリシーを浸透させている企業姿勢を明示する。

情報システム関連企業だけでなく、メーカーや販売店の営業においても単なるモノを売るだけでなく顧客の課題解決をサポートするソリューション力が求められています。
単に自社製品の説明を行っても顧客は自社の利益につながるか納得しなければ購入してくれません。特に新規顧客においては、製品だけでなく取引を開始するにあたって信頼できる企業であるのか、企業姿勢も問われます。
これまで、初めて顧客と接する営業担当者が会社の顔として企業に対する信頼獲得の責任を担ってきました。しかしながら、実は営業担当者よりも先に顧 客と接点を持つ可能性が高いのは、顧客自らが接してくるWebサイトです。Webサイトを通じてある程度の企業イメージが形成され、顧客の期待を高めるこ とができるのです。
ソリューション営業が求められる中、Webサイトにおいてもソリューション力を装備することが重要になっているといえるでしょう。

今回は、ソリューション力のあるWebサイトにするために、どのようにコンテンツを強化するべきかを考えていきます。

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ソリューション力とは

ソリューション力を一言でいえば顧客の「課題を解決する施策を示す力」です。いかに顧客に価値(利益)のある提案ができるか、その提案力が問われるわけです。
課題解決法を提案するには、まずは顧客がどういう課題を抱えているのか、その背景は何かを把握する必要があります。課題とは、顧客にとってのあるべき姿と 現状とのギャップです。ギャップを埋めるために何をするべきなのか、施策を提案し、その中で自社製品がサポートするといったかたちをとるべきです。

ソリューション力を形成するコンテンツ要素

では、ソリューション力をWebに備えるには、どのようなコンテンツを準備すればよいのでしょうか。

1)顧客の課題を提示する

Webユーザーは、なんらかの問題意識を持ちながらWebで情報収集しているケースが大半かと思われます。そんなユーザーに対して、いくつかの課題 パターンを提示して、自らの課題に近いものを見つけてもらうことで、関心を惹きつけ、その解決方法をWebで探ってもらう導線を設計します。

課題パターンを作成する際は、営業担当者へぜひヒアリングを行ってください。顧客フォローの中で、営業担当者は顧客の課題をおおよそ何パターンか把 握しているはずです。できる営業担当者なら、課題パターンを頭に入れて、課題を予測しながらヒアリングに入っていると思われます。

Webにおいても課題パターンの提示は顧客に近づく第一歩であり、重要な入口コンテンツと言えます。

2)自社の強みを提示する

課題パターンをふまえながら、自社ではどのように課題解決できるのかを提示していきます。そこでは、他社ではなく自社だからこそできる強みを訴求す る必要があります。ただし、「自社の強み=製品の強み」ではありません。ソリューション力を訴求するには、製品以外にも技術、研究開発、実績、事例、サ ポート体制、そして人材といった要素が加わってきます。
課題解決に直接的に貢献するのは製品であっても、その背景にある技術力、研究開発、それを支えているスタッフを見せることによって、企業体制の充実を示すことができ、アフターサポート体制を具体的に提示することで購入後の安心感を与えることができます。
また、課題解決の具体的イメージを伝えるには事例が有効なコンテンツです。課題パターン別に課題解決までのストーリーを提示することにより、課題解決への取組みの質・量ともにアピールすることができます。
なお、これらの要素が個々に充実していてもソリューション力は伝わりません。課題パターンに応じて解決策を提示し、それを裏付ける自社の強みを確認してもらうことで納得感を得られるわけで、ユーザーを納得させるための導線設計が重要になります。

3)企業姿勢を提示する

上記2点については、すでに取組みを行い、どのようにコンテンツを充実させるか改善を繰り返されている企業も少なくないと思われます。
ただし、実は新規訪問者が必ずと言っていいほど閲覧しているのが会社情報ページです。まずはどんな会社なのか確認されているわけです。
しかしながら、会社情報ページは、顧客の視点を意識しないで、月並みの内容に作られがちです。社長挨拶や企業ポリシーは定番のコンテンツですが、それをい かに社内に浸透させているのか、伝わってくるサイトはまだまだ少ないです。「人を大切にします」というポリシーが提示されていても、「人」が全く表れない Webサイトであれば企業ポリシーがどれだけ浸透しているのか疑わしく思ったりもします。
企業姿勢の理解を得るには、社内研修や人材育成の取組みも企業らしさが伝わり、信頼を得る重要なコンテンツとなります。実はこうしたコンテンツが最 も充実しているのは採用情報です。リクルート関係者を意識して作られているので、事業内容も会社の特長もよりわかりやすく作られています。採用情報に止ま らず、課題解決提示の導線の中にも組み入れていただきたいものです。

顧客に対し、最終的には営業担当者が課題解決策を提案し、受注の可否が決まりますが、営業訪問に先がけWebを通じて顧客の課題解決ができる企業力を備えていることを訴求できれば、その後の営業フォローは大きなアドバンテージを持つことができます。
顧客の課題解決イメージができるコンテンツが備わっているか、改めて振り返ってみてはいかがでしょうか。

次回は、ソリューション営業を展開するにあたっての、Webと営業担当者との連携の取り方について考えていきます。

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