コラム

営業のためのマーケティング入門講座 2

マーケティングの基本となるSWOT分析

代表取締役 岡本 充智【文責】

 研修で、ある企業の保養所に行きました。でもその保養所と研修先はまったく関係ありません。もちろん取引先でもありません。しかしその保養所は名だたる企業の保養所です。えっ、勝手に使っていいの? 勝手ではありませんでした。全国の企業保養所をひとつのリゾート組織として運営委託している会社があるのです。仕組みはこのようになっています。

 たまたまその日の研修テーマは「マーケティング戦略研修」でしたので、早速この保養所を題材に、SWOT分析をしてみました。SWOT分析は戦略を立てる際に、S(強み)、W(弱み)、O(機会)、T(脅威)とそれぞれに分析して、それらを組み合わせることにより、戦略を立てるというビジネスフレームワークです。

 SWOT分析を見ながら、この運営委託会社や保養所の委託ビジネスに参入する場合の戦略を検討しました。皆さんも一緒に考えてください。たとえば、S(強み)とO(機会)を組み合わせてみましょう。機会の三つの分析結果から、O-1.運営委託してくれるオーナー企業をできるだけ多く集めて新規参入などの参入障壁を築いてしまう。O-2.景気が回復するまでにできるだけ多くの会員を集めてサービスラインを増やして囲い込みを行う。O-3.外国人客の口コミを海外のSNSなどで拡散する仕組みを作る。などが考えられ、ここに強みとして、S-3.ポータルサイトの使いやすさを高めて、リピーター率を高めていくなどの戦略が考えられます。

 一方で、リスクに対する備えが必要になります。中期的に見た場合、T-2.利用者の減少が懸念されますので、潜在利用者を獲得して会員化していく必要があります。それも個人ベースではなく、塊りで一気に集めていく戦術でないと集客コストが掛かりすぎます。そこで企業保養所を持っていない社員数の多い会社の総務人事部を対象に企業会員として参加しないかと呼び掛けてみるというのはいかがでしょうか。また個人宿泊だけでなくゼミや合宿にもコスト的に利用できそうですから、大学の厚生課あたりに呼びかけるのもいいでしょう。このようにSWOTで強み弱みという内的な要因と機会脅威という外的な要因を見える化することで、具体的な戦略がイメージできます。知っているようであまり使われていないSWOT分析、ぜひご活用ください。

以上

岡本 充智

代表取締役

岡本 充智

中期ビジョン策定支援

京都⼯芸繊維⼤学繊維学部卒業。株式会社アシックス⼊社。アスレチック部⾨の商品開発・販売促進を担当。新規ブランド⽴ち上げやブランドマネジャーを歴任。その後、住友ビジネスコンサルティング株式会社に転じ、マーケティング分野のコンサルタントとして戦略デザインの構築・実⾏⽀援に数多くの成果を上げる。1997年2⽉、株式会社パワー・インタラクティブ設⽴。代表取締役に就任。現在に⾄る。

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