
ここ1年程の間に“Webサイトリニューアル”という課題が包含する内容が様変わりしている。“Webサイトリニューアル”は、これまでデザインやユーザビリティの見直しといった表現系の課題から、最近では顧客の購買プロセスをふまえたマーケティング系の課題へと拡張してきた。それが今、さらに組織系の課題へと拡がりつつある。このことは一体、何を意味するのだろう。
企業におけるWebサイトの位置づけは、ここ数年来、飛躍的に高まってきた。自社で持つコミュニケーションメディアとして、また自社の顧客接点のハブとして、Webサイトの役割は重要だ。企業内のWeb担当者は、かつてのようなコンピューターやインターネットに単に詳しい個人から、自社の事業戦略を踏まえながら、新たな発想を持ってWeb戦略を設計・推進できる人材が配置されるようになってきている。
しかし、ここ1年で変化はさらに加速している。「クラウドコンピューティング」「スマートフォン/タブレット端末(マルチデバイス)」「ソーシャルネットワーキング」といった新しい技術により、企業におけるITの捉え方が大きく変わりつつある。多くの企業にとって、ITはマーケティングの一機能から、事業戦略の根幹そのものとなり、それが競争優位の源泉になろうとしている。
こういった状況下、“Webサイトリニューアル”という課題が持つ領域は、否応なく変化を余儀なくされている。端的に言うと、Webサイトの課題が「Webサイト」におさまらなくなっているのだ。
具体的な例をいくつか上げてみよう。
といった感じだ。
これらの問題は、実際にWebリニューアルプロジェクトがスタートすると直面する問題群だ。もちろんこれらの問題は、社内横断プロジェクトを組むなどして、分科会を何度も重ねながらコンセンサスをはかっていく。しかし、組織としての意思決定プロセスや部門間の業務分担を変えるといったことに踏み込まざるをえない面も出てきて、なかなか一筋縄ではいかない。リニューアル全体に占める時間も、表現系やマーケティング系の側面より、これら組織系の課題整理に多くを費やすケースが増えている。
今後、企業におけるWebに関する業務は、ますますWeb担当(Web管轄)といった業務を超えていくと思われる。上述したような組織系の課題は、責任の所在を曖昧にしたまま放っておくと、Webを基軸にした円滑な顧客とのコミュニケーションやサービスへの取り組みを阻害することになりかねない。
ITとマーケティングはすでに技術の面では大変近しい関係にあるが、企業の中では遠く離れた部門であることが多い。ITが事業戦略の要になると考えている企業は、ぜひ早い段階で企業としての、総合的なデジタルコミュニケーションを司る専門部署の設置を検討することを提案したい。