コラム

「除外」と「一致」はセットで考える! 確実なアクセス解析設定のポイント

アクセス解析ツール、特にGoogleアナリティクスの移行や導入、レポート作成をする際に現状の設定内容を確認すると、設定を行っていても間違っていたり、過不足があることでデータが意図通りに収集できていないことがある。
ほんの少しの違いがデータの正確性を決めることになり、注意が必要だ。

データの正確性を左右する概念として、今回は「『除外』」と『一致』」を取り上げる。


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「除外」「一致」が正確に設定できないと...

アクセス解析ツールの設定や分析時によく出てくる概念として「除外」「一致」が挙げられる。
様々な場面で使われるので登場頻度も高いが、「除外だけ」「一致だけ」で終わってしまい、結果として「データが重複」「想定していたデータが採れていない」といったことも多い。

特に、Googleアナリティクスの「ビュー設定」の際に間違って「除外」や「一致」を設定しまうと、設定の間違っている期間はデータを戻したり再度収集したりすることができないので注意しなければならない。

「除外」「一致」の設定不備できちんとデータ収集ができない例

例1

■状況
「パソコンサイト」と「スマートフォンサイト」が同じドメイン配下にあり、スマートフォンサイトは「/sp/」というディレクトリ配下に存在する。

Googleアナリティクスでドメイン配下全てのデータを収集するビューを作成していたが、スマートフォンサイトのみのデータを集計できるよう、「/sp/」ディレクトリのデータのみを収集するようにしたビューを新規作成した。
元々あったドメイン配下全てのデータを収集するビューはパソコンサイトのデータを収集するだろうと考え、設定は何も修正していない。

■どうなるか
スマートフォンサイトのビューは、「/sp/」配下のデータのみを収集するため、問題はない。

元々あった「ドメイン配下全てのデータを収集する」ビューを「パソコンサイト」用のビューとして使っていくのであれば、設定が必要である。

このままの状態だと、「/sp/」のディレクトリも含まれているため、パソコンサイト+スマートフォンサイトの全てのデータが収集されてしまう。

■どうすると良いか
正確に「パソコンサイトのみ」のデータを収集するためには、この「ドメイン配下全てのデータを収集する」ビューから「/sp/」ディレクトリを除外する設定を行う。

※ただし、過去のデータに除外設定は適用されない。除外設定後のデータのみ除外される点に注意。

例2

■状況
Googleアナリティクスのキーワードレポート(集客>キャンペーン>オーガニック検索トラフィック)で、自社の社名を含む検索・含まない検索をそれぞれ判別したい。

まずは社名を含む検索のみ抽出し、表記揺れ(ひらがな・カタカナ・アルファベット)も含めて抽出する。

検索ボックスの隣の「アドバンス」をクリックすると、複数のキーワードを入力する画面が出てきたので表記揺れの分も含めて入力。

※解析株式会社の場合

適用をクリックして抽出すると、レポート内のデータ量が激減してしまった。

■何が起こったか
上記のように設定すると、「4つの条件が全て揃ったキーワード」のみが当てはまることになる。そのようなパターンは滅多になく、全て当てはまるキーワードはほぼ0となる。

AND=かつ を示す

つまり、4つの条件全てに当てはまるものを抽出する設定となってしまう。

■どうすると良いか
OR=または に条件を変更する。

具体的には

解析|かいせき|カイセキ|kaiseki

と入力し、条件は「正規表現一致」を選択する。

※「|」が「または」を意味する。

「除外」「一致」を使った設定・分析を行う時の考え方

「除外」と「一致」は1セットとして考える

「除外したい」「一致させたい」という思いの下で設定を行う際、書籍やサイトを参考にしながら設定を行っていると、「自分の行いたい設定」が完了するとそれで良いと思いがちである。

「除外」設定をしたらどこか別の場所で「一致」設定をする必要がないか?
逆に「一致」設定をしたら「除外」設定をする必要がないか?

...という裏返しの観点を、一呼吸置いて確認するのがお勧めである。
例1の場合だと、「既存のビューに『除外』をする必要がないか?」という確認になる。
既存のビューをパソコンサイトの範囲のみデータ収集をする設定に変更したいのであれば、「/sp/を除外」するフィルタを作成し、既存のビューに紐づける作業が必要となる。

数学の統計の授業で使った「集合の概念図」を使って図にして考える

高校数学の授業で出てきた「集合の概念図」を覚えていらっしゃるだろうか。
説明してきた「除外」「一致」も基本的にはこの概念図に沿ったものである。
例2で事例として挙げた状況を図で示すと下記のようになる。

全てが重なった部分のみとなるので、データ量が少なくなることが可視化できる。
OR=または に条件を変更した時は下記のような概念となる。

「除外」「一致」の概念が分かりにくい場合はこのように図で確認してから、設定するための記述に落とし込むのがお勧めである。

まとめ

「除外」「一致」は、アクセス解析で深掘りした分析を行うためには必須の概念である。
使いこなすことができれば、設定やセグメントでの抽出の幅が広がる。
具体的な設定を行う前に立ち止まって考えてみると、正確な設定や記述を理解しやすくなる。
「除外」「一致」を使った設定やセグメント抽出を一度見直してみてはいかがだろうか。


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