SaaS、MaaS、BaaS…多くの業種を飲み込むビジネス形態「○aaS」の将来とは?

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クラウドサービスの普及により誕生した「SaaS」は「Software as a Service」の略です。
従来なら顧客がソフトウェアを「購入」し、自社のコンピュータにインストールして利用しなければならなかったのに対し、SaaSはソフトウェアの機能をインターネット経由で利用できる「サービス」です。

また、自動車業界などでは、「MaaS」の研究が進んでいます。
顧客が自動車を買うことで得ていた「移動(=Mobility)」という機能を、自動車を買うことなく利用できるのが特徴です。

このように、いずれ全ての「モノ」がサービスとして(=as a Service)提供される時代の到来が近づいています。ビジネスはどう変わるのでしょうか。

クラウドコンピューティングから生まれた「○aaS」

「○aaS 」は、クラウドサービスの普及を背景にしたIT業界からはじまった言葉といえるでしょう(図1)。
SaaSは冒頭にご紹介したとおりで、他には「PaaS(パース)」「IaaS(イアース、アイアース)」があります(図1)。

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図1 IT業界での「○aaS」

<出所:「平成30年 情報通信白書」総務省>

利用されるシチュエーションはそれぞれ異なりますが、共通するのは、顧客は手元に現物を所有することなく「目的を達成できる環境」を手に入れることができるという点です。

昔ならば、ソフトウェアを利用したければCD-Rなどを購入し、自分のパソコンにインストールしなければなりませんでした。あるいは、多くのファイルを保存したければ、大容量のコンピューターを購入しなければなりませんでした。

しかしこれらの「○aaS」によって、モノを購入しなくても機能だけをサービスとして利用できるように変化したということです。初期費用の削減という意味で注目されています。

そして、こうしたビジネス形態は他の業界に広がりつつあります。

「MaaS」「BaaS」とは?

初期費用をかけなかったり、現物が手元になかったりしても「モノ」を所有しているのと同様の環境を利用できる。

IT業界に限らず、様々な業界に変化を起こしています。

MaaS(マース)

中でも世界でも導入が進んでいるもののひとつに「MaaS」があります。

MaaSは「Mobility as a Service」の略です。
「クルマ」が所有するモノではなく、「機能だけを受け取る」ものに変化しつつあるのです。

クルマを所有していれば、自宅から目的地までクルマで直接到達することができます。公共交通機関を乗り継ぐと、それぞれに時刻を調べなければならず、支払いも別々になってしまいます。
かといって、クルマを買うには初期費用や駐車場代がかかるという悩ましさもあります。

そこで、スマホアプリやWebサービスによって目的地まで各種交通機関をシームレスに利用でき、かつ決済も一本化できるというサービスが、日本でも導入されつつあります(図2)。

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図2:MaaSの概念

<出所:「令和2年版交通安全白書」内閣府>

MaaSは特に、マイカーの利用を減らすことでCO2排出量を削減できる、など別の観点からも注目されています。

また、クルマを買わずにその機能だけを利用できるということですから、現在の自動車業界は「100年に一度」と言われる大変革を迫られています。

BaaS(バース)

IT用語としての「BaaS(=Backend as a Service)」もありますが、近年急上昇しているのは「Banking as a Service」の略としてのBaaSです。金融業界の「as a Service」ということになります。
様々な事業者が銀行の「機能」を利用できるようになるということです。

というのは、銀行事業を行うにはライセンス等の許認可が必要です。「預金」「融資」「為替」のサービスを提供するには、このライセンス取得は簡単なことではありません。
しかし、銀行がこれらの「機能」を外部事業者に「サービス」として提供すれば、様々な事業者が金融機能を利用できることになり、顧客の利便性が高まります。

例えば生活に便利なモノとしてクレジットカードがあります。クレジットカードはBaaSの概念以前に生まれたものですが、提携銀行の「融資」機能を利用しているのです。

データ共有などの新たな技術の普及によって、BaaSもまた拡大していくことでしょう。

「XaaS」普及は事業者に何をもたらすのか

「SaaS」「MaaS」「BaaS」の考えを広げていけば、様々な事業が「as a Service」となっていく可能性を秘めています。どのようなサービスが実現するかわからないという意味で、未知の値「X」を用いた「Xaas(ザース)」という言葉も生まれています。

例えばリモート会議を可能にするZoomなどのアプリケーションはコミュニケーションの環境を提供する「CaaS(Communication as a Service)」と呼べそうですし、オンラインゲームは「GaaS(Gaming as a Service)」とも言えそうです。
「aaS」には今のところ、明確な定義はありませんから、「AaaS」から「ZaaS」まで存在してもおかしくない、というのが「ZaaS」の考え方です。 (ちなみにネット上には「Zangyo(残業) as a Service」という言葉もありましたが、これは良くありません)。

ただ共通して言えるのは、顧客に対して「ワンストップ」のサービスに近づきつつあるということです。

MaaSはその典型で、ひとつのアプリによって移動の手配やサービスが提供され、かつ決済までもが一体化しています。
BaaSも、利用客からみれば窓口はどこであれ、ワンストップ対応を可能にする概念です。

様々なサービスが乱立し、それらの組み合わせも無限大に発生してしまうような消費環境の中で、ワンストップサービスは今後、ますます価値を増していくのではないでしょうか。
カード1枚、あるいは1つのアカウントで大抵のことは済んでしまう、そのような環境が好まれるのは、B2CだけでなくB2B事業においても想像に難くありません。

顧客ロイヤルティを満たす「XaaS」の考え方

さて、マーケティングの世界で近年台頭しつつあるのが「顧客ロイヤルティ」という概念です。

顧客ロイヤルティというのは、顧客の「Loyalty」=つまり、ひとつの商品やサービスへの「忠誠心」をどこまで高められるか、という議論です。現在の場合は、ひとつのメーカー、事業者ということもできます。

これまで「モノを買う」という行動によって自分に必要な環境を満たすことができない状況では、例えばひとつの家庭の中にはさまざまなメーカーの家電が乱立していました。顧客ロイヤルティを確立するのは今よりも難しかったかもしれません。

しかし、クラウドコンピューティングを中心とした「購買」に対する意識が変わる中では、ワンストップで済み、かつ大きな問題がなければ、積極的か消極的かに関わらず、結果的には特定の企業に顧客ロイヤルティを持つことになります。

また、近年では「モノを持たない」ことに価値観を見いだす人も増えています。

モノやサービスが溢れる時代だからこそ、単品を売るよりもトータルサービスとしての商品の提供が顧客の利便性や満足を生む。

「XaaS」の普及は、「消費」の原点に立ち返る時代の象徴かもしれません。

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この記事を書いた人

清水沙矢香

2002年京都大学理学部卒業後、TBSに主に報道記者として勤務。社会部記者として事件・事故、テクノロジー、経済部記者として各種市場・産業など幅広く取材、その後フリー。取材経験や各種統計の分析を元に関連メディアに寄稿。