動画での消費喚起、「TikTok売れ」がトレンドナンバー1になったワケとその背景

日経トレンディと日経クロストレンドが発表した「2021年ヒット商品ベスト30」で1位の座を獲得したのが「TikTok売れ」というワードです。

インターネット、特にスマートフォンユーザーへの消費喚起はこれまでSNSやYouTube、Instagramなどが担ってきましたが、日本に上陸してまだ数年のTikTokが強力なマーケティングツールとなったのはなぜでしょうか。

そこには2つのカギがあるようです。

2021年のトレンドトップ10

日経クロストレンドによると、2021年のヒット商品ベスト30のうち、上位10ワードはこのようになっています*1

1位 TikTok売れ 短尺動画サイトTikTokの利用者が1000万人を突破し、動画コマースサービスに進化
2位 ウマ娘 プリティーダービー 競馬をテーマにした美少女系ゲームが累計1000万ダウンロード超え
3位 シン・エヴァンゲリオン劇場版 新劇場版4部作が集結、興行収入100億円を達成
4位 昭和・平成レトロブーム Z世代が「かっこいい」「かわいい」と肯定的に評価
5位 ahamo/povo/LINEMO スマホ格安プランサービス。競争でスマホ料金の低廉化が加速
6位 マリトッツォ ローマ発のスイーツ。スイーツ以外の業界も形態を真似た商品を発売
7位 キリン一番絞り 糖質ゼロ 国内初の「糖質ゼロ」ビール。キリンビールの史上最速で累計2億本を突破
8位 BTS 韓流アイドルグループが国際的人気になり、ミリオン記録
9位 ピッコマ 定番漫画アプリの一つが「縦読みフルカラー」を強化
10位 VISAのタッチ決済 クレジットカードの非接触決済サービス。取引件数が1年で約5倍に

皆さんにはいくつくらいピンとくるものがあったでしょうか。 ジャンルは様々ですが、前年には紹介されていない「TikTok売れ」がトップの座を占めています。

TikTokは15秒~3分のショート動画を投稿できる動画共有サービスです。2017年のサービス開始以降爆発的にユーザー数を伸ばし、世界で30億ダウンロード、月間アクティブユーザー数は10億を超えるまでになっています*2

サービス開始直後は「若い人が踊っている動画」という印象があったかもしれませんがそれは過去のものとなりつつあり、マーケティング・広告手法として存在感を増しつつあります。

強さの秘訣は何でしょうか。

SNS、Instagramと異なる設計思想とUX

まずひとつめのカギは、設計思想とUXです。

TikTok For Businessは、人々は「未知への興味を渇望し始めた」として、下のようなアンケート調査を紹介しています(図1)。

図1:SNSや情報に関する内容についての意識

「知らない分野や世界にも触れたい」「もっと自分に必要な・合った情報があるんじゃないかと思う」という人がそれぞれ6割ほどいることを示しています。

その上で、現在のネットユーザーについて、「直線的な回答から、曲線的な回遊への転換期」と位置づけています*3。 検索して「直線的」に得られる情報ではなく、「回遊」することで、「検索の外」で触れられる「未知の情報」にニーズがあるというのです。

まずここに、従来のSNS広告やInstagramとの設計思想の違いがあります。

「検索の外」とは

TikTokが従来のSNSやInstagramと大きく違うのは、この「検索の外」という思想です。 SNSやInstagramの場合、ユーザーがおもに閲覧できるのは「自分がフォローしたユーザーの投稿」「自分の検索に当てはまる投稿」です。TikTokはこれを「直線的な回答」と呼んでいるわけです。

一方でTikTokが設計思想としている「回遊」はこれとは異なります。

TikTokの場合、高度なAI分析によってユーザーごとに興味を持ちそうなコンテンツをレコメンドしてくれる仕組みがあります。ユーザーがフォローしていなくても「検索の外」にあって、しかも自分の好みに合う情報に触れることができるしくみです。検索外の情報の海を「回遊」できる、TikTokはこれを強みとしています。

消費喚起につながる広告トレンドの変化

そして、TikTokはユーザー追跡調査の結果として、このような2つのデータを紹介しています。 まず1つは、動画コンテンツのうち、興味を持つ・発見がありそうだと思うのはどれかという質問です(図2)。

図2:どのような動画コンテンツに興味を持つか

「目的意識なく」「1分以内のおもしろい動画」で、かつ「スキップできる広告動画」「飾らず日常的な動画」に興味を持つ傾向が強い、というものです。

もちろんこれはTikTokユーザーを対象とした調査ですから若干のバイアスはあることでしょうが、筆者は体感的に共感できる部分があります。皆さんはいかがでしょうか?

さらにTikTokは、どのような動画コンテンツから紹介された商品やサービスを購入したくなるか、という質問への回答を以下のように紹介しています(図3)。

図3:どのような動画で紹介された商品・サービスを購入したくなるか

上記図2と同様の傾向を示しているというのがその結果です。

たまたま出会った、見るのに時間がかからない上にスキップも自由にできて、かつ飾り立てられたモノではない。 この4つが、TikTokでの広告を魅力的にしているようです。

「タイパ」重視への変化も重なる

また、TikTokの強みのもうひとつのカギは、ユーザー意識の中で「タイパ」が重視されつつあるという傾向にあると筆者は考えます。

「タイパ」とは「タイムパフォーマンス」の略です。「コスパ」が「コストパフォーマンス」であるのと同様で、現代ではこの「タイパ」が重視される傾向にあるのです。 「コスパ」が「いかに安く自分のニーズを満たせるか」であるのに対し、「タイパ」は「いかにスムーズに自分のニーズを満たせるか」に重きを置きます。

これは情報化社会の象徴と捉えることもできます。 インターネット、そしてスマートフォンの普及で、私たちは「得られる情報」が格段に増えた一方、「情報の獲得・消費に使うことができる時間」は大幅に増えたわけではありません。

映画館に足を運ばなくても自宅で映画を視聴できる、CD店を訪れなくても楽曲をすぐに配信で手に入れられる。店舗に足を運ばなくても欲しいものが通販で手に入る。

情報の多さに「可処分時間」がついていかない日常の中で「タイパ」が重視されるのは無理もないことです。よって、広告の強制視聴などは受け入れられにくくなっています。

一方でTikTok動画は、強制再生もさせなければ、仮に興味に合わないものに遭遇したとしても短い時間で済むという特性を持っています。

可処分時間を奪い合う時代に

こんな話があります。 世界一のEC大国である中国では、若い人はショート動画が流れる15秒の間に、インフルエンサーが使っている商品を購入するかどうか決めてしまうというのです*4

ブログなどのコンテンツ、動画配信、動画視聴、SNS… 現代のネット上の情報に囲まれすぎる様子は、日本では電車の中でひたすらスマホを使い続ける人々の姿に投影されています。

そのような中で、ディスプレイ広告やリスティング広告に立ち寄ったり強制視聴の動画に付き合ったりする「可処分時間」などない、という傾向は今後も強まっていくことでしょう。

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この記事を書いた人

清水沙矢香

2002年京都大学理学部卒業後、TBSに主に報道記者として勤務。社会部記者として事件・事故、テクノロジー、経済部記者として各種市場・産業など幅広く取材、その後フリー。取材経験や各種統計の分析を元に関連メディアに寄稿。