女性ヘルスケア市場で注目の「フェムテック」とは?自社の商品開発に活かすヒント

「フェムテック」という言葉を、よく見かけるようになりました。

ヘルスケア業界では、いま最もホットなワードといってよいかもしれません。

2021年の​​ユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされ、2022年以降は市場の急速な拡大が予測されます。

本記事では、フェムテックの基礎知識や商品開発のヒントをご紹介します。

フェムテックとは何か

まずフェムテックの基礎知識から見ていきましょう。

Female(女性)+Technology(テクノロジー)

フェムテックとは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)を合わせた造語です。

「女性の心や体のヘルスケアに、テクノロジーを活用してアプローチする商品・サービス」のことを、フェムテックと呼びます。

フェムテックという言葉は、起業家のイダ・ティン氏が使い始めたのがきっかけとなり、2016年頃から広がりを見せています*1

イダ・ティン氏は2013年に月経管理アプリ『Clue』をリリースした、デンマークの女性です。まさに、フェムテックの先駆けといえます。

フェムテックの範囲

フェムテックが対応する“女性の心や体のヘルスケア”を具体的に挙げてみましょう。

  • 月経
  • 妊娠
  • 産後
  • 不妊
  • 更年期
  • 婦人科系疾患
  • セクシャルウェルネス
  • その他

フェムテックの範囲は、多岐にわたります。以下は補足です。

美容は「ビューティテック」

「美容はフェムテックに入らないのですか?」
というご質問がありますが、フェムテックに美容は入りません。

美容に関しては、フェムテックより一足先に「ビューティーテック(美容+テクノロジー)」のトレンドがあり、国内では2018年が“ビューティーテック元年”と呼ばれています。*2

テクノロジーを活用しないケアは「フェムケア」

フェムテックは、近年のX-Tech(クロステック) の流れで生まれた言葉です。

X-Tech(クロステック)とは?
既存のビジネスと最新のテクノロジーを掛け合わせて、新しい価値を創造しようとする取り組み。
フィンテック(金融)、アグリテック(農業)、スポーツテック(スポーツ)など。

テクノロジーを活用しない女性向けケアには、「フェムケア」という言葉があります。

近年はフェムケアとフェムテックの両者が、注目を集めている状況です。

たとえば、トレンドをいち早くとらえる『an・an』は、2022年3月の特別編集で『私たちのフェムケア2022』を発刊しています。

フェムテックを取り巻く動き

最近、政治家が「フェムテック」について発言する機会が増えていることに、お気づきでしょうか。

たとえば、2020年10月に自民党の「フェムテック振興議員連盟」が発足し、フェムテックに関する技術の振興や新たな市場創造の促進を目指しています*3

2021年2月には経済産業省によって「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」の公募が開始されました。

2021年5月の政策特集では、以下のとおりフェムテックを取り上げています。

*4
5月の政策特集は「フェムテックで企業が変わる、社会が変わる。」です! (METI/経済産業省)

この背景にうかがえるのが、フェムテックによる経済効果への期待です。

令和2年度産業経済研究委託事業で行われた調査では、
「2025年時点のフェムテックによる経済効果は約2兆円/年」 と推計されています。

フェムテックが、単なる新しい市場にとどまらず、政界・経済界を巻き込んだ大きなうねりとなっている点は、着目しておきたいポイントです。

フェムテックの具体例

「フェムテックって、具体的にどの商品?どのサービス?」
という点が気になるところかもしれません。

以下に、前述の経済産業省「フェムテック等サポートサービス実証事業」の事業者一覧を引用します。

具体例として、参考にしていただければと思います。

令和3年度実証事業者一覧

(2021年10月26日時点)

代表団体名 事業名
アボワールインターナショナル株式会社 働く女性が乳がんを経験しても変わりなく働くことのできる場所の提供・雇用と、価格・着け心地共にストレスフリーな国産パッド開発
株式会社With Midwife 大企業および中小企業の従業員を対象としたライフステージを支える企業内助産師の有用性検証事業
株式会社With Midwife 潜在助産師を活用した、地方における育児期の女性の職場復帰を支援するオンライン相談事業:「The CARE for Community」実証実験
一般財団法人ウェルネスサポートLab 女性の意思決定支援サービスの構築およびライフデザインにまつわる社会環境整備に向けた実証事業
vivola株式会社 不妊治療患者を対象にした遠隔医療スキームの確立、および、不妊治療啓発の動画コンテンツ作成
株式会社Kids Public 働く女性の健康に対するオンライン支援プログラムの効果検証
医療法人葵鐘会 産婦人科による働く女性の健康やライフイベントに伴う悩みや不安に関するオンライン相談事業
社会医療法人博愛会 相良病院 法人向けオンライン女性健康相談サービス「フェムラインかごしま」実証事業
シャープ株式会社 生理用品の計量管理による生理周期の把握とデータを活用した健康課題の解決
株式会社ジョコネ 働く更年期女性がキャリアをあきらめないためのヘルスリテラシー向上・相談窓口事業
株式会社シンフォニア 生命をつなぐ 世代をつなぐ 医療をつなぐ診療支援システム開発
株式会社ステルラ 妊活・不妊治療と仕事の両立を支援する妊活サポート事業
株式会社TRULY 更年期ケアの重要性を可視化し、社会へ啓蒙@渋谷区@神戸市 自治体連携
株式会社ninpath 女性のライフプランとキャリアの両立支援事業
株式会社陽と人 個人・企業のヘルスリテラシー向上と日本の8割の雇用を支えるローカル経済圏でのフェムテック普及展開の仕組みの構築に向けた実証事業
株式会社ファミワン 自治体と連携した
1. 妊活・不妊治療の当事者向けサポート
2. 妊活・不妊治療を支える周囲のサポート啓蒙
株式会社ポーラ・オルビスホールディングス 日常生活の中で簡便に自身の疲労度・ストレスレベルを可視化し、リアルタイムで感覚刺激を通じた解決を行うアプリ「me-fullness」による、働く女性の疲労・ストレス緩和ソリューションの実証事業
丸紅株式会社 女性社員が入社からリタイアまでいきいきと働ける環境を実現する健康課題改善プラットフォーム事業
メロディ・インターナショナル株式会社 周産期遠隔医療プラットフォームを活用した仕事と安全な妊娠・出産の両立にかかる実証事業
株式会社SUSTAINABLEME 女性従業員と企業へのワンストップソリューション伴走支援による女性の健康課題解決と就業継続促進に向けた健康相談並びにセミナー事業

*5

フェムテックと今までのヘルスケアとの違い

いまうねりを起こしているフェムテックは、従来のヘルスケアと何が異なるのでしょうか。

4つのポイントが挙げられます。

(1)避けられてきたトピックにも正面から取り組む

1つめのポイントは「避けられてきたトピックにも正面から取り組む」ことです。

「汚らわしい、はしたない、人前で話すことではない」と話をできなかったために置き去りにされた、女性の体や心の問題がたくさんあります。

たとえば、生理や性の話を、もう少しオープンにしてよいのではないか。そんな問題提起も、フェムテックの概念の一部として、とらえることができます。

(2)積極的にテクノロジーを使う

2つめのポイントは「積極的にテクノロジーを使う」ことです。

IoT、クラウド、AI、ビッグデータなどの最新のIT技術を、女性の課題に活用しようとする取り組みが進められています。

くわえてフェムテックの場合、「テクノロジー」の指すところは、かならずしもIT技術に限りません。これは、ほかのクロステックと異なっています。

たとえば、ピルなどの医薬品、月経カップ・生理ショーツなどのツールも、フェムテックです。

「できるだけ自然にまかせるべきだ」 と忍耐でしか解決してこなかった問題へ、テクノロジーが介入を試みるのがポイントといえます。

(3)多様性に対応

3つめのポイントは「多様性に対応する」ことです。

とくに海外では、文化、人種、LGBTQ、貧困層など、さまざまな個人に向けてカスタマイズ・パーソナライズされた商品・サービスの開発が進んでいます。

ベースには、男女の性差のみならず、多様性をもって健康格差をなくそうという考え方があります。

(4)将来的には社会の変化まで見据えている

4つめのポイントは「将来的には社会構造の変化まで見据えている」ことです。

先ほど、政策としてフェムテック振興が推し進められていることをご紹介しました。

フェムテックによって女性のヘルスケア問題が解決されると、社会にポジティブな変化が訪れるのではないかと考えられています。

将来の日本にどのような影響があるかについては、

令和2年度産業経済研究委託事業 働き方、暮らし方の変化のあり方が 将来の日本に与える効果と課題に関する調査 報告書」 にて、詳しく報告されています。

フェムテックの商品開発のヒント

「自社でもフェムテックの商品を開発したい」
そう検討されている方も、多いのではないでしょうか。

ご参考までに、筆者が女性の悩みを扱うブランドに携わっていた際、心掛けていた点を3つ、ご紹介します。

自分をターゲットにしない

顧客に近い立場のマーケターが、当事者意識を持って商品開発することで、ヒット商品を飛ばすことはよくあります。

しかし、女性の悩みに関して、筆者はそれをしないことに決めました。自分をターゲットにはしません。

なぜなら、女性の悩みは「女性」というだけで、誰かが代表できないほどに多種多様だからです。

たとえば、男性メンバーが意見をくれたとき、「自分が女性だから」という理由で、その意見をジャッジすることは封印しました。

「女性だからといって、ほかの女性の気持ちをわかるとは限らない」
何よりも大切にしていたのは、この考え方です。

最大公約数を見つけようとしない

同じ理由で、最大公約数を見つけようとしないことにも、注意をはらっていました。

多くの人が「あるある」とうなずいてくれるニーズを発掘し、収益性の見込めるパイ(市場)に受け入れられるコンセプトを開発する。

そんな思考回路が染みついていましたが、それをやっても、既存の女性向け市場の繰り返しにしかならないと考えていました。

隠れたインサイトより“いま”困っていること

商品コンセプトを設計する際、「消費者の隠れたインサイトを見つけることが大切だ」とよくいわれます。

しかし、隠れたインサイトより、顕在化しているのに解決されていないニーズを探しました。

ほかのマーケターに、 「コンセプトが尖っていない」
「キャッチーじゃない」
と批判されても気にしません。

尖ったコンセプトやキャッチーさより、“いま”困っていることに対応する商品を、早く提供したかったからです。

いつしかフェムテック市場が成熟し、隠れたインサイトを発掘しないと差別化できない時代がやってくるかもしれません。

それほどニーズが満たされる時代となったら喜ばしいことですが、今はまだまだ、黎明期にあります。

「巧いマーケティング」よりも、「当たり前のこと、普通に考えて必要なこと」を、ひとつずつ確実にクリアしていく重要性を感じます。

さいごに

本記事では「フェムテック」をテーマにお届けしました。

筆者自身、女性特有の問題をテクノロジーによって解決し、生きることがずっとラクになったひとりです。

ただ、自分でたくさん調べて、自己責任で海外から必要なものを取り寄せたり、自費診療でお金をかけて通院したりと、労力がかかりました。

フェムテック市場の成長にともない、もっと簡単に、もっと多くの女性が生きやすくなることを願ってやみません。

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この記事を書いた人

三島つむぎ

ベンチャー企業でマーケティングや組織づくりに従事。商品開発やブランド立ち上げなどの経験を活かしてライターとしても活動中。