2025年冬、感染症対策は「義務」から「快適」へ。生活者心理の変化を捉えた最新マーケティング戦略

2025年冬、インフルエンザの流行は例年より早く到来し、12月中旬には全国的な患者数が高い水準に達しています。都市部では「警報レベル」を超える自治体も現れる中、マーケティング担当者が注目すべきは、生活者の「感染対策」に対する心理が劇的に変化しているという点です。 かつての「義務感」や「不安」を動機とした消費は終わり、いまや感染対策は「心地よい暮らしを整えるためのインフラ」へと再定義されています。 *1 *2

「安心の道具」から「快適な生活アイテム」への進化

2025年冬の売れ筋商品を見ると、生活者が「防衛」の先にある「付加価値」を求めていることが鮮明にわかります。

手指消毒:心地よい習慣への転換

単なる除菌機能だけでなく、「香り」「保湿」「肌へのやさしさ」が購買の決定打となっています。 事例:「手ピカジェルプラス」のような実力派が支持される一方で、アロマの香りでマスクの不快感を軽減する「パーフェクトポーション」のような、情緒的価値を持つ商品が人気を博しています。

・イータック抗菌化スプレーα アルコールタイプ 250mL
Amazonで直近3ヶ月に2万人以上が購入する人気のシリーズ。身の回りの気になるモノにスプレーすると、抗ウイルス・抗菌作用が1週間持続。速乾性の高いアルコールタイプ。ノンアルコールタイプも。

・イータック抗菌化スプレー 20ml(マスク用)
「見えないリスクから、家族を守る。」で人気のイータックシリーズ。マスク用は、携帯に便利な小さなサイズ。

・Perfect Potion[パーフェクトポーション] リフレッシュ マスクスプレー 25mL
『マスクにシュっと!アロマの香りがマスクを包むアロマスプレー』アロマの香りで「マスクの不快感」を軽減。さわやかな香りでリフレッシュできる柑橘系、すっきりクリアなハーブ系とお好みでチョイス。

・手ピカジェルプラス300mL
手指消毒液のベストセラーシリーズ。有効成分(エタノール)の効果を高めて幅広いウイルス・細菌に対応。Amazonで直近1ヶ月に1万点以上購入。携帯に便利なサイズも。
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マスク:体調管理とファッションの両立

「常に着用」するフェーズから、混雑時や体調に応じた「セルフコントロール」の道具へと変化しました。 事例: 息がしやすい「ナノエアーマスク」や、肌触りと光沢を重視した「SPUN MASK」など、「着けていて快適・綺麗」であることが選ばれる理由です。

・アイリスオーヤマ(IRIS OHYAMA) ナノエアーマスク ふつうサイズ 50枚入
日本製 ホワイト プリーツ 不織布 息快適 PK-NI50L

高機能のナノエアーフィルターで、ウイルス・細菌飛まつ・PM2.5などをしっかりカットしながら、息がしやすく、快適に。呼吸がしやすい3Dワイヤーと幅広耳ひもで軽い付け心地。Amazonで直近1ヶ月に5000点以上購入。

・iSDG 立体型スパンレース不織布カラーマスク SPUN MASK (スパンマスク) 個包装 30枚入り
3層構造でウイルスや花粉、PM2.5など99.9%カットする高機能でありながら、スパンレース製法で作られたドレープ性が高く光沢のある不織布を使ったスタイリッシュなマスク。カラーバリエーションも豊富。Amazonで直近1ヶ月に1万点以上購入。
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空気清浄機:空間の質を整えるインフラ

ウイルス対策は「前提」となり、現在は花粉・乾燥・睡眠改善まで含めた「総合的な空気の質」が求められています。
事例:シャープのプラズマクラスターKCシリーズのように、加湿と高性能フィルターを組み合わせた「冬のトータルケア」が市場を牽引しています。

・SHARP プラズマクラスター KCシリーズ
空気中の微粒子(花粉、ダニ、ウイルスなど)を非常に高い効率で捕集する高性能フィルターHEPA+パワフルな加湿による冬の総合ケア性能で売上上位。24時間使い続けても気にならない電気代も選ばれる理由。

・UV-C対応空気除菌機(各社)
200-280nmの短波長紫外線(UV-C)で空気中のウイルスや細菌のDNAを損傷し、特定条件下で99%以上の不活化効果が報告されています。フィリップス製やダイキン製。医療機関、オフィス、学校、飲食店などに適しています。 *5 *6

キリン「からだウォーズ」に見る“感染不安のポジティブ転換”

感染対策を、商品としてだけではなく、「学び・体験」へと転換する企業の取り組みも登場しています。
代表例が、キリンホールディングス株式会社による体験型イベント
「からだウォーズ 免疫細胞軍 vs ウイルス連合軍」
(2025年11月26日〜2026年1月25日/日本科学未来館)です。
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まとめ──“不安の季節”を、“思いやりと快適の季節”へ

手指消毒やマスク、空気清浄機は、もう“コロナ禍の記号”ではありません。
家や職場で過ごす時間を安心して楽しむための暮らしのインフラへと進化しています。

そして、キリンの「からだウォーズ」に象徴されるように、感染予防をポジティブな文化にしていく取り組みは、これからのマーケティングにおいて欠かせない視点です。

感染症が季節性を帯びつつある今、企業が果たすべき役割は単なる商品提供ではありません。生活者の「自分も大切な人も守りたい」という気持ちに寄り添い、快適な生活を支える仕組みとして感染対策を再設計することが求められています。

この記事を書いた人

今村美都

がん患者・家族向けコミュニティサイト『ライフパレット』編集長を経て、2009年独立。がん・認知症・在宅・人生の最終章の医療などをメインテーマに医療福祉ライターとして活動。日本医学ジャーナリズム協会会員。

※本記事内で言及している「Amazonでの購入数」「人気」などの表現は、Amazon.co.jp 上に表示されている公開情報(「過去○ヶ月で○点以上購入」等)を参考にしたものであり、実際の販売数量や市場シェアを保証するものではありません。また、表示内容は調査時点のものであり、時期や条件により変動する可能性があります。