事例

株式会社ユニオンコーポレーション スタンパー専用サイトリニューアルでコンサルティング販売体制を実現

株式会社ユニオンコーポレーション マーケティング本部 課長 西川みどり氏

今回は産業用マーキング機器製品を取り扱っている株式会社ユニオンコーポレーション様にお話を伺ってきました。マーキングとは製品・商品の表面または、そのパッケージ表面に製造番号やロット番号、賞味期限等の必要な情報をダイレクトに印字する技術・手法です。株式会社ユニオンコーポレーション様は1967年に創業して以来、常に世界に目を配りながら最先端の技術を提供してきました。現在も従業員数100名体制の中、主に産業用インクジェットプリンターと産業用スタンプマーキング(スタンパー)の2事業を柱に、大手競合としのぎを削りながら、5期連続増収を実現しています。そして、さらに勝ち続けるために、今期はWebマーケティングの推進強化を基本方針の中心に据えました。

スタンパー事業はWebと女性社員が電話でコンサルティング

スタンパー専用サイト「markingman.com」のリニューアルの狙いを教えてください。

スタンパーは捺印によりマーキングを行うという一般的な手法ですが当社のスタンパーは製造業向けに特化した製品です。一言で製造業といいましたが、そこに含まれるのは食品、鉄鋼、電機、建材などあらゆるお客様が対象となり、またマーキングの対象物や内容によっても非常に細やかな対応が求められます。単純な方法でのマーキングですのでどなたでも容易に使用でき、導入コストも抑えることができるため、品質管理の強化が求められる製造業のお客様からは多くのお問合せを受けています。

スタンパー自体は単純な製品なのですがさまざまなご要望にお応えするため、製品ラインアップとしてはスタンパーの種類や使用されるゴム印、それらのサイズ、速乾、各色、スペシャルインクなどバラエティに富んだ構成になっています。単純なスタンプでのマーキングでありながら、お客様自身で必要な組み合わせを判断するのは難しく、新規にスタンパーをご検討の際はお客様のご要望をよくお伺いし最適な製品をご案内しています。

そのような対応を行っている中で、以前のWebサイトには限界を感じていました。それは多種多様な製品を紹介しているため、もっとわかり易くしようという意図から、個々の製品にフォーカスした構造になっており結果的に全体像が分かりにくい構成になっているということでした。

解決策として、導入段階ではWeb、最適な商品選定は電話でのコンサルティングという発想でした。リニューアルしたサイトはそのような観点で構成されています。

当社の方針として「markingman.com」製品のサポートは、女性社員が行うことになっています。これは女性が持つ細やかな気付きや柔らかな対応が効果的な結果を受けてのことです。お客様はWebサイトをご覧になられて電話されることが多く、新たなWebサイトによって実際の商品イメージを確認しながら受注まで完結できる体制が実現しました。

マーキング市場でのユニオンコーポレーションの役割とは?

当社が取り組むインクジェットプリンターやスタンパー関連の市場では、求められるマーキングを実現するだけでなく導入後のアフターサービスが重要です。マーキング機器自体の信頼性は当然のことながら、当社のカスタマーケアポリシーとして特にインクジェットプリンターは専任の技術員によるアフターサポートの部隊を日本全国の支店に配置し営業マンとタッグを組んで担当地域をカバーしています。(図1参照)

スタンパー事業はWebと女性社員が電話でコンサルティング

現在営業マンが20数名、技術員が30数名。予防整備の観点から、技術員が定期点検を実施する仕組みを設けています。こうしたプロフェッショナルが行うアフターサポートの取り組みはお客様から多くの支持を得ています。

2つの事業にはそれぞれ特徴があります。インクジェットプリンターは比較的規模が大きく連続したマーキングですが、一方、スタンパーは手軽に導入できる点からまだまだ伸びる商材です。インクジェットプリンターに比べるとスタンパーのお客様は様々であり事業規模の大小問わず、多くの製造現場で使用されています。昨今では品質管理の重要性はますます高まっていますが、少しでも日本の製造業に貢献していくことが当社の使命かと思います。

お客様自らが製品を選定するサイトへ

「markingman.com」サイトのリニューアルによる改善点を教えてください。

「markingman.com」のリニューアルでは、お客様が自分で製品を選定できるようにナビゲーションを強化しました。

産業用スタンパーの販売手法は、一般のオフィス向けのスタンパーとは異なります。お客様の用途にどれだけマッチングできるかが勝負どころです。

例えば、連続1000回や2000回捺印しても摩耗しない安定した印字精度を保ったゴム印が求められる場合や、さらにそのゴム印には40種類くらいのインクの組み合わせがあり、そこから最適なものを選定していきます。

また、食品などが入った段ボール箱への捺印など一般的なものから、機械部品などの部材、フィルムなどへの識別マーキング、形が定型でないものへの印字を求められるケースもあります。中には「機械油に耐えられるインクでこんな色はあるか?」といった要求も出てきます。

以前は「うちにはこんな印字対象物があります。これに適合するインクとスタンプはなんでしょう?」といったざっくりした問い合わせが多く、ご要望を詳しく伺ってみると特注ゴム印が必要であったり、インクの付着しにくい表面や捺印後に製品が熱せられるなど、なかなか複雑な状況であり、条件に合わせた推奨製品をご説明しご理解していただくのに時間が掛かることがありました。

リニューアル後は、この組み合わせではこんな特性がある、といったことがサイト上で把握でき、お客様自らが製品を選べるようになりました。さらに必要に応じて女性社員が電話で丁寧にサポートします。リニューアル後はより具体的な問合せになり、スムーズに見積り提出まで完結できるようになりました。

お客様自らが製品を選定するサイトへ

当社のマーキングマン製品は一般的なスタンパーとは異なります。みなさんがよく使用するスタンパーは住所印や承認印などの事務用途であり使用されるインクは紙用のため金属やプラスチックなどには使用できないものがほとんどです。当社が扱っているエコビュートインクは金属や樹脂製品などにも捺印でき、乾燥も早いというようなインクです。 特に工業系の製造業で採用されるには厳しい基準をクリアすることが求められ当社の評価結果だけでは十分でないこともあります。インクは対象物との相性や使用環境によって特性が変化するため、最終的な判断は現物でのテストになります。「本当に求めているマーキングが実現できるのか?」お客様もそこが一番気になる点だと思います。新しいWebサイトではお客様の疑問や質問を具体的に答える形にし、特にインクの無料サンプルをWebから簡単に請求できるようにしたことでお客様には安心してご利用いただいていると感じています。「markingman.com」の月々の問い合わせは、Webリニューアル前の前年比50%以上アップを達成しています。そのうち3割くらいは無料サンプルが占めています。

サイトごとに責任者を配置、Web運用をマーケティング部門の主要業務に置く

昨年よりコーポレートサイトと「markingman.com」サイトの担当者をそれぞれ配置された目的はなんですか?

マーケティング本部では、ここ1年、業務分担と責任の所在をはっきりさせて責任感を持ってやっていこうと取り組んできました。ちょうど「markingman.com」のリニューアルをきっかけにサイトの責任者もコーポレートサイトとは別に分け、より明確にしました。Webの運営上は、各担当者は分析や企画に集中し、Webの更新作業は専任者にお願いしています。Web担当者の評価は、サイト自体の目標値であるリード獲得数ではなく、サイトのアクセス数がどれだけ伸びているかを対象としています。そうすることで「このコンテンツは内容が薄いのでは?」「なぜアクセスが伸びないのか?」といった疑問を持ってWebを見るようになり、改善策も積極的に出てきます。

マーケティング部門は全員担当製品を持ち、プロモーションやマーケットリサーチ、それに付随した施策などのマーケティング活動を行っているほか、製品トレーニングも請け負っています。その中にWebサイトの担当も主要業務として加えました。

現在のマーケティング部門のメンバーは技術に詳しい人間です。製品を熟知した人材でマーケティング活動をやっていこうというのが会社の方針です。 但し、Webサイトのコンテンツがどうしても製品に偏りがちなので、改善しなければと考えています(笑)。

これからはWebで製品コンビネーションの訴求を強化

今後の課題をお聞かせください。

スタンパー製品は品種がかなり多いので、「マーキングマン」というブランド名を浸透させることにし、専用サイトを2001年に立上げました。昨年2014年に3回目になる今回のリニューアルを実施し、Webと電話で受注まで完結できる体制が実現しました。

これからの課題としては、幅広い商材がありながらも情報発信がまだ充分にできていないと思います。当社の強みをWeb上でもっと発信していく必要性を感じています。製品に関してもコンビネーションで2倍も3倍も強みが出せるので、Webサイトに来たお客様へいかに訴求していくかが重要であると考えています。 スタンパーは新規のお客様が導入しやすい商材です。マーキングの入り口の商材として提案次第で後々インクジェットプリンターへ移行ということもあり得ます。

「markingman.com」のリニューアル時には、インクジェットプリンターへの導線をつけてもらいました。スタンパーというハンディーなマーキング方法から、生産量の増加や自動化でのトレーサビリティ強化などお客様の状況の変化に応じてインクジェットプリンターを勧めていきたいと考えています。

当社のスタンパーは知っていてもインクジェットは知らない、またはその逆のお客様もたくさんいらっしゃるので、そこに向けての認知拡大が今後の課題です。メルマガも復活させましたが、Webやメールを活用してもっと発信していかなければならないと考えています。

これからはWebで製品コンビネーションの訴求を強化

プロフィール

西川 みどり 氏 株式会社
ユニオンコーポレーション マーケティング本部 課長

2003年に株式会社ユニオンコーポレーション入社。入社時よりマーケティング本部にて活動。Webの運用をはじめカタログ制作、キャンペーン等のプロモーション企画・運用、マーケティングのしくみづくり等多用なマーケティング業務に従事する。 約10年前よりWeb運用に携わり、2014年にはスタンパー専用サイト「markingman.com」の3回目のリニューアルを推進。現在はコーポレートサイトと「markingman.com」サイトそれぞれの担当者をマネジメント下に置き、全社Webマーケティングの指揮をとる。
→ 株式会社ユニオンコーポレーション http://www.unioncorp.co.jp/
→ スタンパー専用サイト「マーキングマン」 http://www.markingman.com/

インタビュー後記

今回の取材では、多くの驚きがありました。
・まずはこの時代に業績好調が続いていること。
・商社でありながら技術員が在職していること。
・マーケティング部門のほとんどのメンバーが技術に詳しく、他部門への指導も行っていること。
取材中、「これは弊社のユニークな取組みです。」という言葉を何度も耳にしました。

製造業では、営業部門とマーケティング部門、さらに技術部門との連携が課題としてよくあがってきます。どうすれば部門間の壁を取り払うことができるのか、3者の連携を営業、マーケティング、人材育成に組み入れているユニオンコーポレーション様が一つの手本を示してくれました。
そしてもう一つ、取材中に印象に残っているのが「・・・が会社の方針です。」という言葉。
・当社の方針として「markingman.com」製品のサポートは、女性社員が行うことになっています。
・製品を熟知した人材でマーケティング活動をやっていこうというのが会社の方針です。
会社の方針が明確に提示されていること、さらに現場へも浸透していること、売上好調維持の最大の要因はここにあると確信しました。

インタビュー実施日:2015年2月17日

広富 克子

取締役/執⾏役員

広富 克子

コンテンツマーケティング支援

神⼾⼤学経営学部卒業。住友ビジネスコンサルテイング株式会社⼊社。マーケティングリサーチ・コンサルティング業務を中⼼に活動し、その後AJS(オール⽇本スーパーマーケット協会)にて、プライベートブランドの商品開発・営業に従事。2003年10⽉、株式会社パワー・インタラクティブ⼊社。2006年4⽉、取締役執⾏役員に就任。全社営業戦略を統括する。

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