企業における営業活動、マーケティング活動の変化

新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が解かれ、GoToキャンペーンが始まり徐々に人の移動も見られ始めています。一方、企業における営業活動、マーケティング活動はいまなお制限を余儀なくされています。

そこで今回のウェビナーでは、コロナ禍で利用者数が急増しウェブ会議の代名詞ともいえるZoom Video Communicationsの永瀬良氏、マーケティング・オートメーションツール「Marketo Engage」を提供するアドビ株式会社DXマーケティング本部の虻川稜太氏、弊社インサイドセールスチーム杉谷直紀の3名が、コロナ禍におけるBtoB企業の営業方法について解説しました。

本ウェビナーの冒頭、参加者にアンケートを取った結果、ウェビナーを実施している企業はおよそ6割。これから実施予定も3割とウェビナーに対して高い関心があることがわかりました。

グラフ1

Zoomによるウェビナー開催のメリット(永瀬氏)

「Zoom Webiner」と「Zoom Meetings」の違い

Zoomはライセンス形態により「Zoom Meetings」と「Zoom Webinar」とに分かれます。

スライド1 © 2020 Zoom Video Communications, Inc.

少人数の会議などは「Zoom Meetings」を使用することが多いのに対し、特定の人が大勢に向けて発言するウェビナーを開催する場合は「Zoom Webinar」を使用します。

「Zoom Webinar」の特徴

・高品質な配信ができる
・Zoomアカウント登録なしでも参加ができる
・セミナーの録画をオンデマンド配信のコンテンツとして二次利用できる(登録したお客様にだけ見せることができる)
・セミナー中に投票(アンケート)ができる
・YouTubeとの連携が簡単にできる
・マーケティングオートメーションツールとの連携ができる(スライド2参照)
このような特徴に加え、Zoomは契約手続きが簡単で、即日申し込み・プラン変更ができるという手軽さも大きなメリットです。

Zoom Webinarのベストプラクティス

・有線LANを推奨。Zoom以外のアプリは極力閉じる
・冒頭で投票機能を使い、参加者の期待値を理解する
・スライドに注釈を付けながら、どこを話しているかを明確にする
・話者はモニター2台を使い、1台でチャットやQ&Aを見ながら話す
・参加者10名につき1名のQ&A対応員を(話者のほかに)配備する
・Q&Aの回答時間は10分以上設ける
・システムトラブルで参加できない参加者への案内方法を決めておく
・参加者登録項目は可能な限り少なく
ウェビナー前に最低2回はリハーサルを行う

「Zoom Webinar」と「Marketo Engage」の連携(虻川氏)

オンライン上のお客様の活動状況を知って営業活動に活かす

「Zoom Webinar」と「Marketo Engage」を連携させることで、BtoB企業が営業活動でウェビナーを活用することの真価が発揮されます。

スライド2 © 2020 Zoom Video Communications, Inc.

ウェビナー申し込み時の登録情報や、ウェビナーの視聴履歴をもとにリード(見込み客)を選別し、営業担当に引き継ぐということはもちろん、以下のようなさまざまなデータ、つまりオンライン上におけるお客様の活動状況を知ることができます。


スライド3 © 2020 Zoom Video Communications, Inc.

※「Zoom Webinar」と「Marketo Engage」の具体的な連携手順については、以下のコラムで公開しています。
https://www.powerweb.co.jp/column/marketo-zoom-tips.html

商談を作り出す!ウェビナー開催後の営業プロセス(杉谷)

ウェビナー実施から商談化まで

コロナ以前は、オフラインでのセミナーを開催し、参加者とその場で名刺交換をし、話をすることで接点を確保、インサイドセールス担当者が商談化までを担う「顔が見える営業活動」ができました。しかしコロナ後の現在ではウェビナーが中心となり、顔が見えない状態でリード育成~商談化までを行う必要があります。

コロナ前=オフラインセミナーを起点にインサイドセールスが商談化まで担当
 ↓
コロナ後=「Zoom Webinar」×「Marketo Engage」でリード育成

インサイドセールスの担う範囲が営業寄りになっており、クロージングに近い領域まで担当することになりました。「Zoom Meetings」を使いオンライン商談を行うこともあります。

スライド4 © Power Interactive Corp.

ウェビナーによる営業活動では「着電率」が課題に

弊社の事例では、オフラインセミナーからウェビナーに移行後、電話がつながらずフォローができない事例が頻発しました(着電率はコロナ前の50%前後から、35%前後まで低下)。そこでウェビナー開催時刻を午前中に設定し、午後からインサイドセールスが電話をかけるというスケジュールを設定、さらに事後アンケート回答があると「Marketo Engage」からアラートメールで通知するようにしたところ、アンケート回答直後に素早く電話をかけることができ、着電率を50%前後まで戻すことができました。

スライド5 © Power Interactive Corp.

※「Zoom Webinar」と「Marketo Engage」の具体的な活用イメージについては以下をご覧ください。
https://www.powerweb.co.jp/column/20200624-seimnar-report-2.html

ウェビナー開催のコツ(永瀬氏・虻川氏・杉谷)

「Zoom Webinar」でウェビナーを開催する際のコツも数多く話されました。

話し手の環境について(永瀬氏)

・ノートパソコンに内蔵されているカメラではなくウェブカメラを使用する
・音声に雑音が乗らないようにヘッドセットを使用する
・自社のロゴなどを入れた背景画像を用いる

スライド6 © 2020 Zoom Video Communications, Inc.

ウェビナー後について(虻川氏)

・ウェビナー開始前と終了後にアンケート回答を依頼するスライドを挿入することでアンケート回答率を引き上げ、その回答結果をもとに電話をかけるなどの営業活動を行う

その他...ウェビナー開催の時間帯は狙いたいターゲットに応じて設定(永瀬氏・杉谷)

ウェビナー開催の時間帯は、「月曜と金曜は参加率が高くないので避けるべき。また昼の時間帯の参加率が高かった。食事しながら見てもらえることが参加率を上げる要因となる(永瀬氏)」という一方、「弊社ではウェビナーを午前中に開催し、当日午後からフォロー活動を行うことで、50%の着電率(電話がつながる割合)を実現した(杉谷)」など、狙いたいターゲットに応じて見解が異なりました。

オンラインとオフラインをハイブリット化した営業プロセスの構築へ

セミナーの最後で、参加者にアンケートを取ったところ、

・コロナ拡大後、「営業やマーケティングが変わった」...55%(グラフ2)
・コロナ収束後はコロナ前に戻るのではなく、営業やマーケティングは「新たな展開が行われる」...68%(グラフ3)




グラフ2

グラフ3

という回答結果が出ました。もちろん従来型のオフラインセミナー、対面での営業活動も徐々に再開されることでしょう。しかし、今後はウェビナーやオンライン商談が当たり前になり、オフラインとオンラインとがハイブリッド化していくものと思われます。

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