セミナーレポート

GA4で広がる分析の可能性 ~探索/データポータル/BigQuery

ユニバーサルアナリティクス(以下、UA)の計測を2023年7月1日に停止させるとGoogleが発表し、各社Googleアナリティクス4(以下、GA4)の導入を急いでいる。しかし、GA4をログ分析に活用する段階まで至っている企業はまだ少ない。

今後のGA4活用に悩む方に向けて、GA4の標準レポート、探索レポートの使い方、GoogleデータポータルやBigQueryと連携させた活用の方法を解説するセミナーを9月7日に開催した。講師は弊社データアナリストの八木。当日のセミナー内容を本コラムで紹介する。

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GA4における分析の考え方

セミナーではGA4の具体的な活用方法を解説する前に、GA4における「分析の考え方」に触れた。

GA4とは

GA4とは、Webサイトやアプリなど、複数のプラットフォームへのアクセス状況を一元管理できるツールだ。ユーザー行動を数値で可視化することにより、マーケティング施策の改善につなげられる。

「ページ」単位で計測していたUAとは異なり、GA4は「イベント」単位で計測している。

ユーザーは今、PC中心でインターネットを利用するのではなく、モバイルやアプリなど様々なチャネルからアクセスする。そのため、ページ単位で計測しているUAではユーザー行動を正しく把握できない。

現代のユーザー行動に即した分析を実現させるため、GoogleはUAの計測を停止し、GA4の導入を推進したと考えられる。

GA4にはユーザー特定方法が3つ用意されている。

・デバイスID
・User-ID
・Googleシグナル

UAよりも多くのユーザー特定方法を用意することで、異なるデバイスを利用したり、Webサイトとアプリを横断したりするユーザーの行動が見えるようになった。これにより、より実態に即したユーザー行動の分析ができるようになっている。

GA4は「ライフサイクル」で見る

GA4では、ユーザー行動をライフサイクルで見る。

GA4におけるライフサイクルとは、ユーザーがWebサイトやアプリを訪問した後、リピートして利用するまでの行動を指す。ライフサイクルで見ると、ユーザーがWebサイトやアプリ、動画へと遷移する様子をもとに分析できる。

それぞれの段階で、以下のようなことを確認する。

・集客:集客したユーザーがコンバージョンや収益につながっているか
・コンバージョン:コンバージョンしたユーザーが収益につながっているか
・収益:Webサイト、アプリにおける収益ユーザーの行動
・ユーザー維持:継続利用するユーザーは、どのような行動をしているか

【サイト別】GA4データの利用目的と目標数値

GA4で分析を始める前に、Webサイトの目的とデータの利用目的、目標数値を整理しておく必要がある。それらはWebサイトの形態によって異なる。

ECサイトであれば製品やサービスの販売が目的であり、目標数値は購入金額となる。BtoBの見込み顧客獲得サイトであれば、営業が活用できるユーザー情報の収集と見込み顧客の発見が目的であり、問い合わせ獲得数や資料ダウンロード数、メルマガ登録数などが目標数値となる。

Webサイトの目的、データの利用目的、目標数値を整理することで、GA4で計測される数値の良し悪しを判断できる。正しく分析するには、前提の整理が欠かせない。

GA4を活用した4つの分析方法

GA4のデータを分析するために、以下4つの機能を活用できる。

・標準レポート:仮説を立てる
・探索レポート:仮説をもとに課題を深掘りする
・データポータル:KPI、モニタリング指標を確認する
・BigQuery:ユーザー単位で課題を深掘りする

4つの分析機能は、見たい数値の粒度で使い分ける。

GA4の集計済みデータを利用する時は、標準レポートまたはGA4標準コネクタのデータポータル。
GA4の未加工データを利用する時は探索レポート。 RAWデータを利用するときはBigQueryまたはBigQueryコネクタのデータポータルを使用する。

GA4の標準レポート

GA4の標準レポートは、分析するための仮説立てのために利用する。

GA4の標準レポートには、8つのレポートが用意されている。

例えば、「集客 > ユーザー獲得」のレポートでは、各チャネルから獲得したユーザー数を確認できる。「エンゲージメント > コンバージョン」のレポートでは、コンバージョン設定したイベントの発生結果を確認できる。

・SEO対策に力を入れているが、獲得したユーザーの定着率は低いのでは?
・収益につながるユーザーは、特定のイベント発生が多いのでは?
・定着率が高いユーザーは特定のページを見ていることが多いのでは?

このように、標準レポートを活用し、筋の良い仮説を立てる。立てた仮説を検証するために、探索レポートで深掘りする。

GA4の探索レポート

GA4の探索レポートは、標準レポートを活用して立てた仮説を検証するために利用する。

探索レポートは標準レポートと異なり、ディメンション(分析軸)や指標を自身で指定する必要がある。そのため、「何を分析したいのか」が定まっていないと扱えない。探索レポートに触れる前に、標準レポートで仮説を立てることが欠かせない。

探索レポートにも、テンプレートのギャラリーは用意されている。自由形式のレポートは自身でディメンションと指標を選択するが、他の6つはすでに設定済み。

例えば、複数デバイス利用ユーザーの確認。

・モバイルのみでアクセスしているユーザー
・タブレットのみでアクセスしているユーザー
・モバイルとタブレット両方でアクセスしているユーザー

などの割合を確認できる。これにより、Webサイトやアプリをどのように改善するべきかを判断できる。

GA4 × Googleデータポータル

Googleデータポータルは、Google Cloud Platformの1ツールとして提供されている。GA4と連携することで、マーケティング対象のKPIや見るべき指標をダッシュボード化し、モニタリングできる。

GA4とGoogleデータポータルは、以下2つの連携方法がある。

・BigQuery Exportを利用する
・Googleデータポータルのネイティブコネクタを利用する

BigQuery Exportを利用する場合、GA4のRAWデータを扱ってダッシュボード化できる。Googleデータポータルのネイティブコネクタを利用する場合、集計済みデータを扱ってダッシュボード化することになる。

RAWデータは自在に加工できるため、集計済みデータを使うよりも活用の幅が広がる。

GA4 × BigQuery

BigQueryとは、データウェアハウスと呼ばれるデータの保管庫のこと。大容量データを高速で処理できる。

GA4とBigQueryを連携することで、以下5つのメリットが得られる。

・14ヶ月より過去のログデータを取り扱える
・GA4の探索レポートでは実現できない分析ができる
・オフラインデータやCRMデータなど、他データと結合した分析ができる
・Google Cloud Platform上の機械学習機能を使った分析にGA4を利用できる
・Tablueauなどの外部ツールと連携して分析できる

GA4を単体で利用するのではなくBigQueryを挟むことで、データ活用の幅が広がる。 利用シーンとして、以下のようなものが考えられる。

・14ヶ月を超える長期的な行動が見られるユーザーのサイト訪問状況を分析する
・「どのページを見たユーザーのCVRが高いのか」を分析する
・CVしなかったものの、CVに近しい行動をしたユーザーリストを作成し、広告を配信する

GA4支援サービスの紹介

パワー・インタラクティブはGA4の活用支援をしている。大きく分けて、2つのサービスがある。

・GA4導入支援サービス
・GA4定着支援サービス

GA4導入支援サービスの紹介

GA4導入支援サービスでは、4つのプランを用意している。下記の基準を参考に、利用するプランを検討してほしい。

・簡単なログ分析のみを実施→ ミニマムプラン
・ダッシュボードでKPIのモニタリングを効率化→ スタンダードプラン
・GA4とBigQueryを連携して14ヶ月以上のデータ蓄積 → アドバンスプラン
・MAやCRMなど他データも集約し、多様な分析ができる環境を整備 → プロフェッショナルプラン

データ分析は事業推進のエンジンになる。BigQueryと連携したGA4を導入し、Googleデータポータルで可視化することで、データに基づいた合理的な判断ができる体制の整備をおすすめしている。

GA4定着支援サービスの紹介

GA4を導入した後は、実際に活用していく必要がある。しかし、使い慣れたUAの計測が停止していない現状、GA4の活用に乗り出せている方は多くない。

弊社ではGA4の定着支援サービスとして、以下のようなサポートを提供している。

・探索レポートやGoogleデータポータルを用いたレポート作成の指南
・GA4関連情報の解説
・GA4新規イベント設定の示唆、取得設定
・Q&A対応

GA4は実際に活用して初めて効果を発揮する。導入はしたものの、活用に至らず困っている方は弊社に相談してほしい。

当セミナーの資料を無料でダウンロードできます。GA4を用いたデータ活用の学習にお役立てください。

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八木 耕祐

マーケティングデータアナリスト

八木 耕祐

Web行動履歴やアプリデータによる顧客行動分析

アナリストとして、50社のアクセスログ分析に携わる。現在は、データ設計、データマート構築などの基盤づくりから、ダッシュボード作成、分析まで、データ活用を極めている。セミナー登壇は50回以上、満足度90%以上のセミナーも多数。
リモートワークになり、海の近くでマリンスポーツをエンジョイ中。

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