『BtoBウェブマーケティングの新しい教科書』を図解しました

2021年7月 6日(火)

マーケティング&セールス部 岩野航平【文責】

タイトル:BtoBウェブマーケティングの新しい教科書

著者:渥美英紀
出版社:翔泳社
第一刷発行:2017年1月20日



「BtoBのマーケティング戦略、複雑すぎて何をしていいのかわからない」こんな悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

BtoBは自分が消費者になりにくいことから、マーケティング戦略を設計するのが難しく感じる方もいるかもしれません。しかし、BtoBマーケティングはセオリーに沿って設計していくことで、高確率で成果を上げられる分野でもあります。

弊社ではBtoB企業様のマーケティング支援をおこなうことがあるため、BtoBマーケティングに関する勉強は欠かせません。

『BtoBウェブマーケティングの新しい教科書』では、BtoB企業がウェブサイトを活用して営業力を上げる方法を網羅的に解説されています。BtoB企業でマーケティング担当する方には、本書の内容が大いに役立つと思います。

本書では、BtoBウェブマーケティングについて、「準備編」「戦略編」「戦術編」「推進編」の4つに分けて解説されています。今回はそのなかから、「戦略編」に絞って解説します。本書の内容を5分で読めるよう、図解を用いて簡単に整理してみました。少しでもBtoBマーケティングを理解する足しになれば幸いです。

著者紹介

著者:渥美英紀
経歴:BtoBのさまざまな業界の売上アップ・ブランド強化・営業改善など200以上のプロジェクトを担当。特にリード獲得や売上アップに高い成功確率を誇り、2009年にノウハウをまとめた『ウェブ営業力』(翔泳社)を執筆、2011年に『Webマーケティング基礎講座』(翔泳社)を共著にて出版。アクセスログ解析システム、メール配信システムなどの開発も手掛けたことから、ウェブマーケティングの遂行に不可欠かつ広範囲的な分野について専門性を活かした"総合的"かつ"現場に根差した"ウェブマーケティング支援を得意とする。

BtoB企業におけるウェブマーケティングの役割

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※『BtoBウェブマーケティングの新しい教科書』翔泳社(2017)を参考に、岩野で作成。

BtoB企業におけるウェブマーケティング戦略を解説する前に、BtoB企業におけるウェブマーケティングの役割について解説します。

BtoB企業がウェブマーケティングをおこなうのには、2つの目的があります。1つ目は「営業課題を解決すること」。もう1つは「新しい営業の仕組みを作ること」です。

営業課題は企業によって千差万別です。インバウンドリードが少ないという課題を抱えている企業もあれば、営業でクロージングしきれないという課題を抱えている企業もあります。インバウンドリードが少ないのであれば、ウェブサイトでターゲットへの認知を広げる。営業でクロージングしきれないのであれば、顧客の購買意欲を高めるために導入事例を掲載する。このような施策をウェブサイト上でおこなうことで、営業をサポートすることができます。また、営業プロセスのなかにウェブマーケティングを取り入れることで、営業は営業ならではの強みを発揮することに集中できるようになります。このように、営業プロセスを分解して一部分をウェブに任せることで、新しい営業の仕組みを作ることができます。

営業課題の分類

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※『BtoBウェブマーケティングの新しい教科書』翔泳社(2017)を参考に、岩野で作成。

営業課題は、大きく以下の3つに分類できます。

  • 新規顧客に対する課題
  • 既存接点顧客に対する課題
  • 既存顧客に対する課題

営業課題を正確に把握するためには、課題を漏れなくダブりなく分解して把握することが大切です。ここでは、営業課題を3つに分解して解説します。

■ 新規顧客に対する営業課題

新規顧客に対する営業課題というと、主に「集客」に関する課題となります。新規顧客に対する営業課題を分解すると、以下の3つに分けられます。

  • 新しいリードが不足している
  • 有力なリードが得られていない
  • 商談後の成約率が低い

新しいリードが不足しているのには、2つの原因が考えられます。

  • ウェブサイトのPVをが足りない
  • ウェブサイトからのCVRが低い

有力なリードを獲得できていない場合は、2つの原因が考えられます。

  • ウェブサイトに有力な企業が訪れていないこと
  • 有力な企業に響くコンテンツを提供できていないということ

商談後の成約率が低い場合は、3つの原因が考えられます。

  • リードに対する商談が効果的でない
  • 良いリードを供給できていない
  • リードの見込み度合いを判別できていない

それぞれの課題に対して、自社が抱えている課題の原因を突き止め、1つずつ対処していくことが大切です。

■ 既存接点顧客に対する営業課題

既存接点顧客に対する営業課題というと、主にインサイドセールス部門が抱える課題となります。既存接点顧客に対する営業課題は、以下の3つに分けられます。

  • リード情報を組織的に管理できていない
  • リード情報に定期的にアプローチできていない
  • リード情報からほとんど商談につながらない

リード情報を管理出来ていない場合、リード管理を導入する必要があるでしょう。しかし、どのような管理をすべきかを事前に定めたうえで、管理ツールを選定する必要があります。リード情報に定期的にアプローチできていない場合、アプローチするネタがなく、リード情報を活用できていないと考えられます。

BtoBにとってメールマガジンの本質は、接点の増加や親近感の醸成ではなく「価値ある情報の提供」です。一度導入したら継続的に使う可能性が高いBtoB事業では、アプローチの頻度よりも、価値ある情報を届ける方にフォーカスした方が効果的です。

リード情報から商談につながらないのであれば、根本的にリード情報が古い可能性があります。メールマガジンを配信しても思うような反応を得られないのであれば、新規リードを獲得するための集客施策を打つのが効果的な場合があります。一方、反応自体は悪くないのであれば、商談化する際の営業連携に問題があるかもしれません。

自社が抱えている課題からボトルネックを探して、解消するように動いていきます。

■ 既存顧客に対する営業課題

既存顧客に対する営業課題というと、主に営業部門が抱える課題となります。営業体制が整備されていないがゆえに起こる問題と捉えてよいでしょう。

既存顧客に対する営業課題は、以下の3つに分けられます。

  • ルート営業に手間がかかりすぎている
  • 成約者に定期的なアプローチが出来ていない
  • 成約者からほとんど商談につながらない

ルート営業に手間がかかりすぎている場合、今は人がやっているところを仕組化・デジタル化して効率化させることができます。顧客サポートの一部をウェブサイトに任せたり、営業担当がおこなっている業務を自動化出来れば、営業の効率は上がります。捻出した時間で、1人ひとりの営業担当はより多くの顧客をサポートすることができます。成約者に定期的なアプローチが出来ていない場合、新規顧客開拓の文化が障害になっている可能性があります。企業の売上拡大を目指し、新規顧客開拓に注力する企業は多いでしょう。しかし、一方の既存顧客に定期的にアプローチする体制が出来ていないと、効率的に売上を積み上げることができなくなってしまいます。成約者からほとんど商談につながらない場合、商品・サービスそのものへの満足度が悪いということが考えられます。この場合はウェブサイト担当者ができることは少ないです。納品後の顧客満足度調査を取って、営業担当には話しにくい顧客の不満・ニーズを掘り起こすことから始めることになります。その情報をもとに商品・サービスの価値を再定義して、根本から立て直す必要があります。

これまで多くの営業課題を上げてきましたが、すべてを解消することは出来ません。優先順位と解消難易度を検討して、効果の高いものから着手していきましょう。

営業プロセスの10項目

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※『BtoBウェブマーケティングの新しい教科書』翔泳社(2017)を参考に、岩野で作成。

営業プロセスは、以下の6段階に大きく分けられます。

  1. 集客
  2. コンテンツ
  3. コンタクトポイント
  4. 営業活動
  5. データ化
  6. ナーチャリング

このプロセスに沿って、自社のマーケティング戦略を組み立てていくと、リードを効果的に育成し、売上につなげていくことができます。営業プロセスというと、営業活動の部分が大きなウエイトを占めると感じられるかもしれません。しかし、仕組み化できる部分はできる限りマーケティング部門に任せることで、営業部門も効率的に動けるようになります。

自社の営業プロセスを図に書き起こしてみると、自社が抱えている営業課題も見えやすくなるでしょう。ウェブマーケティング起点で営業プロセスを組み直す機会に、一度自社の営業プロセスを書き出してみてください。

ウェブサイトと営業組織の役割分担モデル

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※『BtoBウェブマーケティングの新しい教科書』翔泳社(2017)を参考に、岩野で作成。

営業プロセスにおけるウェブサイトの役割は1つではありません。企業のマーケティング戦略によって、様々な方法を取ることができます。ここでは、ウェブサイトと営業組織の役割分担モデルを5つ紹介します。

■ 不足している機能を補う

ウェブサイトは営業部門に不足している機能を補うという形で活用することができます。営業部門は顧客と対峙して契約に繋げることは得意とする一方で、まだ接点のない顧客に対して効率的にアプローチするのは苦手です。マーケティング部門がウェブサイトを使って情報を発信することで、営業部門が抱える集客の課題を解消することができます。このように、営業部門が苦手とする領域をマーケティング部門がウェブサイトを使ってカバーするという方法があります。

■ 1つの領域に特化する

ウェブサイトの活用方法として、2つの領域に特化するという方法もあります。1つのサービスでも、幅広い顧客に届いてほしいということがあるでしょう。都心の顧客も、地方の顧客も欲しい、といった具合です。こんな場合、広いターゲットの一部分の集客をウェブサイトに任せるという方法があります。このような戦略を取る場合、複数ウェブサイトを運営してそれぞれのサイトで1つずつ領域を担当していくことになるでしょう。このように、幅広いターゲットの一部をウェブサイトに任せるという方法があります。

■ まったく異なる領域を分担する

ウェブサイトと営業部門で、まったく異なる領域を分担するという活用方法もあります。営業組織を人が運営している以上、営業リソースには上限があります。営業組織が都心に集中している場合、どうしても地方の顧客へのアプローチは手薄にります。このような場合、地方へのアプローチをすべてオンラインで完結させるという方法もあります。このように、「捨てがたいがリソースを割くことができない」領域をウェブサイトに任せる活用方法があります。

■ 一部プロセスを任せる

営業プロセスの一部プロセスをウェブサイトに任せるという活用方法があります。例えば、以下のように一部プロセスを任せることができます。

  • 新規獲得部分をウェブサイトに任せる
  • 既存接点部分をウェブサイトに任せる
  • 既存顧客部分をウェブサイトに任せる

このように、営業プロセスのなかでまかない切れていない部分をサポートする形で活用できます。1つ目の活用方法の「不足している機能を補う」と似た考え方です。1つのプロセスをウェブサイトに完全に任せるということは、ウェブサイトの運営が円滑に進まないと、営業プロセスが崩壊するということです。そのため、大きなリスクを伴います。しかし、実現できたときに得られるメリットははかり知れません。このモデルを成功させられたとき、ウェブサイトは大きな経営資源となります。

■ 対象領域を大きく拡大する

ウェブサイトは、営業活動の対象領域を拡大する役割を担うこともあります。これまでの営業活動では掴めなかった、ニーズが顕在化していない見込み顧客や、今まで追えなかったエンドユーザーへアプローチすることができます。これらのアプローチをするには、徹底して有益コンテンツを発信し続けるのが常套手段です。メディアとしてコンテンツを提供し続けることで、ファンを獲得していきます。この活用方法は企業のブランディングにも関わり、一朝一夕には進みません。成果が出るまでに長い時間を要するため、根気と予算が必要です。長期的に予算を確保できて、根気をもって経営リソースを投下できると判断できる場合のみ、高い効果を得られる方法です。

BtoBウェブマーケティングの6つの戦略

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※『BtoBウェブマーケティングの新しい教科書』翔泳社(2017)を参考に、岩野で作成。

BtoBウェブマーケティングでの戦略は、大きく6つに分けられます。ここでは、6つの戦略について解説していきます。

■ ターゲット特化型戦略

ターゲット特化型戦略とは、ターゲットに特化してウェブサイトを活用する戦略のことです。

いかなる事業でも、ターゲットとなる顧客を想定して提供しているでしょう。ターゲット特化型戦略では、自社が狙うターゲットとなる顧客を獲得するために、ウェブサイトを活用します。

BtoBは商材単価が高いうえ、意思決定者が複数人いる場合があります。そのため、BtoCと比べて長期間かけて購買意欲を高めていくことになります。ターゲット特化型戦略では、自社のメインターゲットを見込み顧客として獲得するためにウェブサイトを活用します。サービスと営業組織の強みをウェブサイトで補完する形です。これが最も一般的なウェブサイトの活用方法だと考えられます。

■ ターゲット分化型戦略

ターゲット分化型戦略とは、営業組織が対応できていないターゲットをウェブサイトがカバーする戦略のことです。

企業によっては、ターゲットを広く捉えている企業もあるでしょう。しかし営業リソースには上限があり、すべてのターゲットにまんべんなくアプローチすることはできない場合が多いです。営業組織は地理的問題、コストパフォーマンス問題に弱みを抱えやすくなります。そのため、ウェブサイトでこれらの問題を解消すると、ターゲットにまんべんなくアプローチできるようになります。これまで狙えなかったターゲットにアプローチできるということは、事業を飛躍させる可能性を見出すことができます。

■ 営業プロセス分化型戦略

営業プロセス分化型戦略とは、営業プロセスのなかの特定のプロセスをウェブサイトに完全に任せる戦略のことです。

例えば、初期接点は営業組織がおこない、既存接点顧客へのフォローはすべてウェブサイト上でおこなうというパターンがあります。初期接点で契約に結びつかなかった顧客に人的リソースを割かず、ウェブサイトを使ってコミュニケーションを取っていくことで、営業組織のリソースをより確度の高い商談に割くことができます。

このように、営業プロセスの一部をウェブサイトに任せる戦略のことを、営業プロセス分化型戦略と呼びます。

■ ショップ/ダイレクトオーダー型戦略

ショップ/ダイレクトオーダー型戦略とは、Eコマース化させることで人が介在せずに営業活動を完結させる戦略のことです。ショップ/ダイレクトオーダー型戦略は主にBtoC企業で利用されることが多いですが、BtoB企業でも活用できる業種はあります。例えば、以下のようなものが挙げられます。

  • 消耗品
  • メンテナンス品
  • フルカスタマイズオーダー品
  • 自社商品の周辺販売を含めたパートナー販売

この戦略は自社の営業プロセスの効率化につながりますが、顧客にとってもメリットがあります。例えば、以下のようなメリットが挙げられます。

  • 24時間注文できる
  • リアルタイムで在庫と納期を確認できる
  • 調達業務の効率化

ショップ/ダイレクトオーダー型戦略は高単価な商材だと利用しにくい傾向にありますが、安価な商材であればBtoB企業でも活用できます。自社が提供する商品・サービスをEコマースで提供できるかしっかりと検討したうえで、実現可能なのであれば効果的な戦略となります。

■ メディア/コミュニティ型戦略

メディア/コミュニティ型戦略とは、自社製品の枠組みを超えて顧客に有益な情報を提供することで、自社自身がメディアやコミュニティになる戦略のことです。

これまでメーカーや製造業ではあまり取り入れられてこなかったですが、IT企業では一般的に取り入れられている戦略です。サービスを提供している自社だからこそ発信できる情報を提供して、ファンを作っていきます。そうすることで、業界内での認知度を高めたり、これまで捉えられなかった、潜在ニーズを抱える顧客にアプローチできたりします。

■ アンテナ型戦略

アンテナ型戦略とは、顧客データやリードデータを活用して営業活動を活性化させる戦略のことです。これまでは、営業活動の後で顧客からのフィードバックをもらうなかで、商品・サービスを改善してきた企業もあるでしょう。しかし、それでは営業活動後の情報はわかりますが、営業活動前の情報は手に入りません。アンテナ型戦略では、ウェブサイト上で獲得したリード情報やIP情報をもとに、営業活動をブラッシュアップすることができます。データを用いた営業活動をすることで、より科学的で効率的な営業活動を実現できるようになります。

BtoBウェブマーケティングの基礎作りはこの一冊

いかがでしたか。BtoBマーケティングでは自分が消費者になりづらいため、マーケティングプロセスをイメージしづらく感じてしまうかもしれません。しかし、BtoBはセオリーに沿って組み立てれば、ある程度の形を作れる領域でもあると思います。

本書を読んでみて、BtoBウェブマーケティングを体系的に学ぶのにはこの上ない本だと感じました。この本で学んだ基礎をもとに、マーケティング業務に取り組んでいこうと思います。

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    マーケティング&セールス部岩野航平
    Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)保有

    
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