2023年7月1日をもって、ユニバーサルアナリティクス(以下、UA)と呼ばれる従来のGoogleアナリティクスでの計測を停止させるとGoogleが発表した。 Webサイト担当者の多くが、GA4と呼ばれる新たなGoogleアナリティクスの導入を急いでいる。弊社のもとにも、GA4導入のご相談が多く集まっている。
6月16日、『BigQueryと連携したGA4導入の進め方』をテーマにしたセミナーを開催した。講師を務めたのは弊社データアナリストの高月。当日のセミナー内容を本コラムで紹介する。
講師紹介
高月大輔
マーケティングデータアナリスト
GA4とは、ユーザー行動の多様化に対応した新たなGoogleアナリティクスのこと。
時代の変化によってユーザー行動が多様化し、UAでは十分な分析ができなくなっていた。 今やユーザーは、1つのWebサイトに異なるデバイスからアクセスする。また、ブラウザから閲覧することもあれば、アプリから閲覧することもある。 GA4は、様々なチャネルからアクセスするユーザーを想定して提供されている。 また、機械学習機能を用いての予測分析もできるようになった。この機能により、コンバージョンの見込みが高いユーザーに絞って広告を配信することができる。 GoogleアナリティクスはWeb上の行動データを分析するツールだが、ユーザーはWeb上だけで生活しているわけではない。オフラインでの活動もあわせて分析する必要がある。 GA4はBigQueryと自動連携できる。それにより、オンラインとオフラインを統合したデータ分析ができるようになった。(※1)
※1 有償のGA360(2016年提供開始)では、BigQueryとの連携は当初より可能。
GA4とUAの最大の違いは『分析軸』にある。
UAでは、『セッション』を軸に分析していた。GA4では、『ユーザー』を軸に分析する。
UAはセッションを軸に計測しており、セッションを最適化することを目的としていた。
などが分析の例として挙げられる。
GA4はユーザーを軸に計測しており、ユーザー行動を最適化することを目的としている。
などが分析の例として挙げられる。このように、ユーザーの行動を分析し、改善策を打てるようになった。
GA4の登場にあたり、レポート機能に変化があった。
UAは標準レポートのみで、用途による区別がない。
そのため、初心者から上級者まで、スキルに応じて分析をおこなうことができた。
GA4は標準レポート、探索レポートの2つを提供している。
標準レポートは集計、探索レポートは分析のために使用する。
探索レポートは自由度の高い分析ができるようになっているが、自分で分析軸やグラフの種類を指定する必要がある。そのため、これまで以上にデータに対する理解が問われる。
標準レポートでは、基本的なディメンションでの指標を確認できる。
などが例として挙げられる。
探索レポートでは、分析軸(ディメンション)と指標を組み合わせて分析できる。
UAでいうところの『カスタムレポート機能』に近い。
分析軸(ディメンション)
指標
などが例として挙げられる。これらを掛け合わせて、自分の見たいレポートを作っていく。
GA4では、標準レポートの数値は14ヶ月以上利用できるものの、探索レポートの数値は最大14ヶ月分までしか保存できない。
また、GA4のデータと外部データを合わせて分析するときは、GA4のログデータを取り出す必要が生じる。
そこで、データを蓄積するためにBigQueryとの連携が必要になる。
BigQueryとは、Googleが提供しているクラウド型データウェアハウスのこと。
大容量データを高速で処理できるという特徴がある。
BigQueryはGoogleが提供しており、GA4と標準で接続できる。
一方、AWS(Amazon Web Services)やAzureなど、他社が提供するデータウェアハウスを利用する場合、ETL(Extract・Transform・Loadの略)ツールなど専用のコネクタを利用しなければならない。
他社データウェアハウスと比べると、コネクタを用意する必要がない分、GA4と連携しやすいという特徴がある。
弊社では、GA4を導入する際にBigqueryとの連携を勧めている。理由は大きく5つ。
GA4のみで利用する場合、GA4内のデータのみを分析することになる。
標準レポートのデータは制限なしで閲覧できるものの、探索レポートで詳細に分析しようとすると、過去14か月分までしかデータを保存できない。
BigQueryと連携してGA4を導入する場合、GA4以外のデータと組み合わせて分析することができる。
MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム)などと連携して、営業プロセスに関して一段深い分析もできる。
そのうえ、データ保持期間の制限もない。
データ分析をビジネスに取り入れていきたいと考えるのであれば、BigQueryと連携したGA4の導入をお勧めしている。
GA4を導入する前に、一度自社の状況を確認しておきたい。
18のチェック項目を紹介する。
関係者との調整
計測範囲の確認
現状設定の確認
KPI
カスタマイズ項目
BIツール
GA4を導入するとき、「分析環境を整備する」という視点も大切。 GA4導入は以下の流れでおこなう。
まずはUAの設定を確認する。
重要な指標は何か、イベントトラッキングなどカスタマイズした内容はないか等を把握する。
次に、GA4に設定するもの、不要なものを判断する。
UAに設定したものの、業務で使っていないものもあるだろう。GA4導入の機会に不要な計測をやめ、必要な計測を取り入れる。
要件を定義し終えたら実装を進め、計測の確認をする。問題なければ本番公開する。
本番公開をした後、レポートを作成してみることも大切。
データはなかなか綺麗に整わないのが現実。実際にレポートを作成してみて、追加で必要な設定を追加していくことで運用を軌道に乗せていく。
パワー・インタラクティブでは、GA4導入支援サービスを提供している。
GA4はデータに対する理解が求められるツール。ご担当者様自身では対応が難しいところもあるかもしれない。例えば、探索レポートの使いこなしやBigQueryのSQL操作など。
このような局面で、弊社はサポートをおこなっている。
また、BigQueryでの分析基盤づくりも支援している。
弊社はかねてよりダッシュボード構築サービスを提供している。そのなかで、BigQueryに蓄積したマーケティングデータの可視化に取り組んできた。そのノウハウをもとに、データ分析基盤づくりもサポートできる。
サービス利用については、以下の基準に沿って検討することをおすすめしている。
GA4導入でお困りの方は、弊社にお任せください。
当セミナーの講義資料を無料でダウンロードできます。BigQueryと連携したGA4導入の推進にご活用ください。