2014年7月11日(金)
データマネジメントコンサルタント 黒田 亮平【文責】
スマートフォンやタブレットの普及が進み、Webサイトに複数のデバイスからアクセスするマルチデバイス化が進んでいます。アクセス解析ツールは基 本的にブラウザ単位で計測しますので、同じAさんがPCのChrome、PCのFirefox、またはiPhoneのSafariからアクセスした場合、 3つは別のアクセスとして扱われています。そのため、これまで見ていたようなブラウザ毎の計測では、デバイス間の繋がりや各デバイスが担う役割を分析でき ませんでした。
例えば、服を購入した場合で考えてみます。仕事のお昼休憩にスマートフォンでサイトを訪れ商品を閲覧、購入を検討。商品をじっくり見たり、支払情報を入力するため購入は自宅のPCから行ったとします。
この場合コンバージョンが発生したのはPCですので、コンバージョンが出ていないスマートフォンに対して購入への導線を強化しなければ!となるかも しれません。ブラウザ単位で見た場合、そのように考えてしまうのも無理はありませんが、一人のユーザーの動きとして見るとスマートフォンはコンバージョン のアシストを担っていることがわかります。
このように、どのデバイスでどのように見られているか、正確なユーザー行動を分析することでデバイス毎の役割や狙いが浮かび上がり、ユーザー体験の改善につなげていくことが可能です。
前置きが長くなってしまいましたが、クロスデバイス分析が可能な機能「User-ID」が、Googleアナリティクス最新バージョンのユニバーサル アナリティクスで提供されています。
今回は、その利用方法について解説していきます。
下記に該当する場合は利用できます。
User-IDは既存のビューに追加する機能ではなく、専用のビューを作成しますので、注意が必要です。
アナリティクス設定>プロパティ>トラッキング情報>User-ID、を選択します。
案内に従って、User-ID機能の有効化を行います。
最後に、ビューの作成画面に移りますので、任意のビュー名を設定して完了です。なお、有効化を行った後は、「新しいビューを作成」画面で、User-IDビューにするか選択肢が表示されるようになります。
※ビュー作成後の切り替えはできません。
Webサイト側では、ユーザーログインなどでユーザーを特定できるIDを発行できるようになった際に、Googleアナリティクス側にIDを渡す必要があります。
場所は、トラッキングコードの"ga('send', 'pageview');"の前となります。
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ga( 'create' , 'UA-XXXX-Y' , 'auto' ); ga( 'set' , '&uid' , {{userID}}); ga( 'send' , 'pageview' ); </script> |
注意しなければならないのは、個人情報のアップロードはGoogle側で禁止されている、という点です。氏名、メールアドレス、携帯端末の識別子な どは、ハッシュ形式であってもアップロードしてはいけません。こちらは、ログイン時だけではなく、ログイン状態が続いている間は各ページのトラッキング コードの中でIDを渡す必要があります。
以上で、User-IDの設定は完了となります。
User-IDビューでは、固有のメニューが2つ追加されます。
ユーザー エンゲージメントは、ユーザー単位でセッション時間やデバイスを越えた累積PVを確認することができます。
クロスデバイスメニューでは、ユーザーが複数のデバイスを使い分けている割合や、コンバージョンに至るまでのデバイス経路、ECサイトなどの収益の起点となったデバイスなどを分析できます。
また、User-ID機能を有効にしているプロパティの場合、他のビューに「User-ID カバレッジ」というメニューが追加され、ログイン率を見ることができます。
今後より増加し、重要な指標になっていくであろう、複数のデバイスを跨ぐ訪問が計測できるUser-IDですが、Webサイトのシステム側のカスタ マイズが可能ならば比較的簡単に実装が可能です。これから機能が追加されていき、例えばFacebookやTwitterログインの自動連携がサポートさ れたりすると、より多くのサイトで手軽に導入が進み、分析の幅が広がりそうで今から楽しみです。