2015年6月16日(火)
マーケティングデータアナリスト 正木 洋介【文責】
Googleアナリティクスは、Googleが提供する無料のアクセス解析ツールだ。多くの企業が手軽に利用しており、Googleアナリティクスのデータを元に、様々な施策を検討したり、改善を行ったりしている。今や、アクセス解析ツールの定番と言える存在だ。このGoogleアナリティクスだが、その「設定」についてチェックしたことはあるだろうか。多くの場合、「触り始めた時は設定が既にされていた」というケースがほとんどではないだろうか。
新たに設定する際の方法については、様々な書籍やブログに公開されているが、既に設定されているもののチェックという視点でまとめられたものはあまりないようだ。当コラムでは、既に設定されているGoogleアナリティクスが「適切に設定出来ているか」を確認する方法を解説する。
マーケティングの土台とも言えるアクセスログのデータをより正確なものにするために、今一度Googleアナリティクスの設定をぜひチェックをしてみてもらいたい。
【必須】...必ず設定すべき項目。
【必要に応じて】...必要であれば設定すべき項目。計測の方針による。
Googleアナリティクスのバージョンを知る。
カスタマイズを行う際に誤った設定を利用する可能性がある。(イベントトラッキング・クロスドメイン等)
サイトを開き、ページのソースを開く。(右クリック→「ページのソースを表示」もしくはCtrl+U)
Googleアナリティクスのトラッキングコードが貼られている箇所を探す。「Ctrl+F」でページ内検索を開き「UA-」で検索すると出てくる可能性が高い。
貼られていない場合に考えられる可能性:外部ファイルに書かれている。タグマネージャが導入されている。もしくは貼り忘れ。
トラッキングコードのバージョンを調べる。
ga('create', 'UA-xxxxxx-x', 'auto'); ←ユニバーサルアナリティクス(最新バージョン)
_gaq.push(['_setAccount', 'UA-xxxxxx-x']); ←非同期バージョン(一世代前のバージョン)
レポートの時間/日付の基準。
レポートの時間がずれる。真夜中にたくさんの訪問が来ているように見える等。
チェックしたいビューを選択→アナリティクス設定→ビュー設定 を選択。
「タイムゾーンの国または地域」で「日本」が選択されているか。
レポートで使用される通貨。
コンバージョンごとに設定できる「値」が日本円で表示されない。eコマース設定後の収益額や価格が日本円で表示されない。
チェックしたいビューを選択→アナリティクス設定→ビュー設定 を選択
「通貨の表示」で「日本円(JPY \)」が選択されているか。
「/(スラッシュで終わる)」と「/index.html」を区別するかどうか。
同じページである「www.example.com/」と「www.example.com/index.html」が別々のページとして計測される。
チェックしたいビューを選択→アナリティクス設定→ビュー設定 を選択
「デフォルトのページ」に「index.html」と入力されているかを確認する。
サイトのゴールを設定する。わかりやすいゴール(購入や問い合わせ等)がない場合もサイトごとに何かしらのゴールを設定することでサイトの役割が明確になり改善に繋げる分析が出来るようになる。「あるページを見た」という設定以外にも「滞在時間」や「1訪問あたりのPV数」といったアクションでも目標として設定できる。
コンバージョンが発生した訪問にはどんな傾向があるか、コンバージョンに貢献したページはどこか等コンバージョンにまつわる分析ができなくなる。
チェックしたいビューを選択→アナリティクス設定→目標 を選択
そもそも計測したい目標が設定されているかどうかを確認する。
目標が既に設定されている場合、コンバージョン数が計測されているか。計測されていない、もしくは明らかに少ない場合はチェックポイント3へ。
目標URLが正しく設定されているか
目標URLは基本的にドメイン名の後ろのURLとなる。
例:「http://www.example.com/form/complete.html」の場合は目標URLは「/form/complete.html」(クロスドメインを設定しておりレポートにドメイン名を表示させている場合はドメイン名以下のURL「www.example.com/form/complete.html」を設定する。)
特定のIPアドレスからの訪問を計測しないようにする。
社員や制作会社など、関係者が何度も訪問することで不要なログデータが溜まっていく。本来のユーザーの動きが追えなくなる。
チェックしたいビューを選択→アナリティクス設定→フィルタ を選択
「除外」の設定がされているフィルタがあるか。
フィルタが既に設定されている場合、IPアドレスの除外設定が正しくされているか。
IP除外設定:「フィルタの種類」で「定義済み」を設定。その下に表示される3つの箱は左からそれぞれ「除外」「IPアドレスからのトラフィック」「等しい」とする。「IP アドレス」欄に除外したいIPアドレスが入力する。
「サイト内検索」の分析を行えるようにする。
サイト内検索の利用率、サイト内検索利用後の動き等、サイト内検索利用状況の分析ができなくなる。
チェックしたいビューを選択→アナリティクス設定→ビュー設定 を選択
「サイト内検索のトラッキング」が「オン」になっているかを確認する。
「クエリ パラメータ」が正しく設定されているか。サイト内検索のクエリパラメータは検索結果画面のURLを確認する。
「http://www.example.com/search.html?q=keyword」の場合、「q」と入力する。(使用しているサイト内検索のシステムによって文字列は変わる。)
リスティングやメールマガジンからの流入元をGoogleアナリティクスに伝える。
メールマガジンはダイレクト訪問(none)に含まれ、リスティングは他サイト(referral)に含まれる等、キャンペーンの効果計測が困難になる。
アナリティクス設定→プロパティの「AdWordsのリンク設定」 を選択。利用しているAdWordsのアカウントがリンクされているか。
Yahoo!プロモーション広告の設定画面を開き、広告のリンクの末尾にGoogleアナリティクス用のパラメータが付与されているか。
例:http://www.example.com/page.html?utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&utm_campaign=campaign_001
メールマガジン→メールマガジン文面を開き、リンクの末尾にGoogleアナリティクス用のパラメータが付与されているか。
例:http://www.example.com/page.html?utm_source=20150601&utm_medium=mailmagazine
utm_sourceは参照元、utm_mediumはメディアを指定しており任意の名前が付けられる。utm_campaignはあってもなくても構わない。リスティング広告の場合は「utm_medium=」の後ろが「cpc」「cpa」、メルマガの場合「utm_medium=」の後ろが「mail」や「mailmagazine」となっているなど、わかりやすい名前が付いていると管理がしやすい。
Googleアナリティクスからウェブマスターツール(GSC)の「検索クエリ」が使えるようにする。
「検索クエリ」を頻繁にチェックする場合、その度にウェブマスターツール(GSC)にログインしなければならない。
アナリティクス設定→プロパティの「プロパティ設定」 を選択
「ウェブマスター ツールの設定」でサイトのURLが設定されているか。
「有効なビュー」で目的のビューに紐付けられているか。
トラッキングコードをページに貼り付けるだけでは計測できない「PDFクリック数」や「外部サイトへのリンククリック数」を計測する。
PDFや外部サイトへのリンクがどれだけクリックされているか把握できない。
計測したいPDFや外部サイトへのリンクが貼られているページのソースを開く。
該当のPDFや外部サイトへのリンクが記述されている<a>タグの内部にイベントを計測するタグが埋め込まれているか。
イベント計測タグは正しく記述されているか。
ユニバーサルアナリティクス:onclick="ga('send', 'event', 'カテゴリ', 'アクション', 'ラベル');"
非同期:onclick="_gaq.push(['_trackEvent', 'カテゴリ', 'アクション', 'ラベル']);"
「カテゴリ」「アクション」「ラベル」には任意の名前が付けられるので管理しやすい名前を付ける。
フォームだけ違うドメイン、特設サイトが違うドメイン等、異なるドメインを遷移する際にセッション(訪問)を途切らせずに計測を行う。
セッションが途切れるため異なるドメインページヘの訪問者の流入元といった情報がわからなくなる。例えばフォームが違うドメインの場合、成果者がどこから来たのか等の分析ができなくなる。
サイトを開き、ページのソースを開く。(右クリック→「ページのソースを表示」もしくはCtrl+U)。
Googleアナリティクスのトラッキングコードが貼られている箇所を探す。「Ctrl+F」でページ内検索を開き「UA-」で検索すると出てくる可能性が高い。
トラッキングコードに以下のような編集が加えられているか。(aaa.jpとbbb.comを計測したい場合)サブドメインとのクロスドメインを行う場合はこのチェックポイント1,2は無視する。
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ga( 'create' , 'UA-XXXXXXXX-X' , 'auto' , { 'allowLinker' : true }); <!-- ←書き換え--> ga( 'require' , 'linker' ); <!-- ←追記--> ga( 'linker:autoLink' , [ 'aaa.jp' , 'bbb.com' ]); <!-- ←追記--> ga( 'send' , 'pageview' ); |
チェックポイント1が飛び先のページでも設定されているか。
チェックしたいビューを選択→アナリティクス設定→フィルタ を選択、下記画像のように入力されているフィルタがあるか。(レポート画面に本来表示されないドメイン名を表示させるフィルタ)
アナリティクス設定→プロパティの「トラッキング情報」→「参照元除外リスト」を選択、クロスドメインを行う全てのドメインが除外リストに登録されているか。
弊社では自社での実践はもちろん、様々な企業のGoogleアナリティクスの活用支援をサービスの1つとして実施しているが、「設定」がきちんと出来ていないため分析結果に大きなズレが出たり、分析したいデータが取得できていないという場面に、頻繁にぶつかる。
Googleアナリティクスの計測は基本的に過去に遡ることは出来ない。例えばコンバージョンは目標設定を行った「後」にしか計測されず、過去に発生していたはずのコンバージョンはなかったことになる。つまり、設定を見直すのは早ければ早いほどよい。ぜひ一度、チェックシートを使ってセルフチェックを行ってもらいたい。