名刺管理ツールEightとMarketoを連携、自社の導入プロセスを公開

2020年2月19日(水)

マーケティングデータアナリスト 高月 大輔【文責】



マーケティングオートメーション(以下MAと記載)の活用には、リード情報の管理が欠かせません。しかし、中でも重要な名刺情報の管理において、当社の場合は手作業でデジタル化していたため、正確性や作業工数の面で多くの問題に直面していました。

そこで名刺管理ツール「Eightプレミアム」を導入して効率化を図ることにしたのですが、今度は当社が利用しているMAツール、「Marketo」とのデータ連携において新たな課題が発覚し、"一気に問題解決"・・・とはなかなかいきませんでした。では何がつまずきポイントで、最終的にどのような形の運用体制を構築したのでしょうか。抱えていた課題と発生した問題、最終的に構築した形について当コラムで詳しく紹介します。

名刺をデータベースに入れるのに1ヶ月かかる!?

当社の新規リード獲得の大部分はMarketoで作成したフォームを経由するため、必要なデータはすべてデータベース(以下DBと記載)に直接格納されます。しかし名刺については「①デジタル化、②インポート」と、2段階での手作業が必要です。特に「①デジタル化」の部分は当社内での手作業で行っていたため

  • 入力ミスが発生    

    特にメールアドレスの入力間違いはMA活用にとって致命的。

  • 時間がかかる(約1ヶ月)

    担当が空き時間で対応していたため、枚数が多い場合はデータ入力に1ヶ月ほどかかっていた。

  • 全項目をデジタル化できていない

    作業工数を減らすため、住所やTELなどはデジタル化していなかった。

などの問題を抱えていました。

月初に交換した名刺がMarketoのDBに入るまでに約1ヶ月後もかかっていた当社。Marketoで挨拶メールを送ろうにも、タイミングを逸してしまうような状況です。また、入力ミスなどもあり、安心して活用できるデータにはなっていませんでした。

この状況を改善するために導入を検討したのが、名刺管理ツールです。

Marketo & Salesforceと連携できる名刺管理ツールを探す

名刺管理ツールを選定するときに重視する要件は企業によってさまざまですが、当社の場合はリード管理データベースとして利用していたMarketoとSalesforce(以下SFDC)との接続がスムーズなツールを優先的に探しました。

候補は

  • CAMCARD BUSINESS
  • Eightプレミアム

の2つ。

CAMCARD BUSINESSはSFDCとのツール連携が可能で、直接SFDCへ書き込めることが特徴です。自分で名刺をスキャンして、すぐにSFDCに反映させることができます。当社はSFDCとMarketoを同期させているので、MA側にも即反映されるスピード感が魅力でした。しかし問題は、試用したメンバーから「名刺データのデジタル化における精度(OCR精度)」に不満の声が挙がったことです。オプションサービスの『高精度校正(※オペレーターによるデータ修正)』を利用すれば精度は高まるのですが、今回はコスト面からオプション利用は無しで考えていたため、試用メンバー自身でデータ訂正をしての利用でした。

一方Eightプレミアムは、社内メンバーの大半が無料版を利用しており、「ツールに慣れている」という点がそもそものアドバンテージとしてありました。また、デジタル化の精度が高いことも経験的に理解しています。しかしながら、EightプレミアムはMarketoやSFDCとツール同士で連携させることができず、CSVでの橋渡しが必要という(当社の運用に載せた場合の)弱点があったのです。

しばらくCAMCARD BUSINESSかEightプレミアムかで検討しましたが、最終的に

  • これまで各自で使っていたアプリの名刺データがそのまま利用できる
  • ツールに慣れているメンバーが多い
  • デジタル化の精度が良好だった

という点で、Eightプレミアムを採用することになりました。

「姓・名」が合体したデータしか取り出せない

Eightプレミアムを選択したものの、Marketo(or SFDC)とはツール同士の連携ができないため、CSVファイルをエクスポートしたデータのやりとりが必要です。このCSVファイルの内容に苦戦させられました。

なぜなら取り出せる中身が

  • 姓と名が合体している
  • 住所も都道府県や市区町村が合体している

と限定されていたからです。

通常はこれでも問題ない場合が多いのですが、当社のデータベース項目は「姓」と「名」を別々のフィールドとして設計していたため、インポートする前に姓名のセルを分割する作業が必要でした。同様に、住所も「都道府県」と「それ以降の住所」でフィールドが別だったので、こちらも手動でのセル分割が必要です。

都道府県の分割はExcelで関数を使えば自動で処理できましたが、姓名の分割はどうしても人的での処理となります。分割したフィールド設計をしている場合には注意が必要です。

名刺を交換した人に自動で挨拶メールを送りたい。が・・・

CSVファイルを通じて名刺データをSFDCにインポートできる環境が整いました。SFDCに入ったデータは5分ごとにMarketoに同期されるため、すぐにメール送信に活用できます。ただし、インポートされた名刺データはタギング*1が行われていないため、まずはタギングを狙う施策が必要です。

(*1:タギングとは、ユーザーのブラウザのcookieとMarketoのデータベースを紐付けることです。タギングが済んでいないと行動履歴の追跡やスコアリングといったMAらしい活用ができません。)

今回は、名刺交換した人に「先日はありがとうございました。パワーの○○です。・・・」と担当者名で挨拶メールを送信するタギング施策を組み込もうとしたのですが、2つの検討事項が持ち上がりました。

  1. 複数のメンバーが名刺交換したときどうするか    

    「クライアント1名に対して自社の営業3名が名刺交換する」という場面で、誰の名前でメールを送信するのか、という問題です。通常は上の役職にあるメンバーの名前で送りたいのですが、それを「どのように判別するか」という問題が出てきました。

  2. 別のメンバーが担当付けされているときに、新たに別のメンバーが名刺交換したときどうするか

    長くやりとりしているクライアントとメンバーがいる中で、たまたま別のメンバーが名刺交換した場合に挨拶メールは送るべきなのか。また、差出人は新しいメンバーの名前に変更するべきなのか、という問題です。"たまたま"名刺交換しただけの場合もあるため、『名刺を交換するごとにデータベースを新しいメンバーの名前に変更する』というのは好ましくありません。

検討を重ねた結果、当社では以下のようなルールで進めることにしました。

  1. 複数のメンバーが名刺交換したときどうするか    

    役職の上下を自動で判別するのはハードルが高いため、「先にEightに登録したメンバーを優先する」ルールにしました。3名で名刺交換しても、最初にEightへ名刺登録したメンバーの名前が差出人として設定されます。分かりやすさを重視し、シンプルなルールにしました。

  2. すでにメンバーが担当付けされているクライアントと、別のメンバーが名刺交換した場合はどうするか

    挨拶メールは新規リードの場合にのみ送るようにし、すでにデータベースへの登録があるときは、差出人を更新しないルールとしました。ただし、役職や住所などは最新情報を反映した方が良いため、そこだけ上書き更新するようにしています。

これらのルールを整備することで、名刺交換して1週間以内に自動で挨拶メール(タギング施策)が動くように実装できました。

<データ登録、挨拶メール送信の整理>

まとめ

現在は毎週月曜日に前週までの名刺を取り込み、自動で挨拶メールを送信する仕組みで稼働しています。

<運用フロー>

MAツール活用のために名刺管理ツールを検討される方も多いでしょう。あらためて振り返ると、MAと一緒に使うときには次のような点がポイントになりそうです。

  • 名刺管理ツールは使用しているMAツールと連携は可能か
  • 連携できない場合はCSVでのエクスポートが可能か
  • CSVのデータフォーマットはDB項目と合致しているか(姓名分割の要・不要など)
  • 取り込んだ名刺データは何に活用するのか
  • 名刺のどの情報を更新する(しない)のか
  • 名刺の所有者情報を更新する(しない)のか

今後について

現在の仕組みは安定的に稼働していますが、手作業でのデータ整形が残ってしまったので、次のステップではSansanへ切り替えて自動的にMarketoへ格納される仕組みが構築できればと考えています。またその際は、切り替えにあたってのハードルや課題を共有したいと思います。

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    マーケティングデータアナリスト高月 大輔
    マルケト認定エキスパート(MCE)保有
    Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)保有

    
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