セミナーレポート

BtoBのためのWebサイトを活用した商談創出3つのポイント

コロナ禍により展示会や対面営業の機会が減少し、「Webサイトを活用して商談を創出したい」と、多くの企業がマーケティング部門に期待を寄せている。しかし、Webサイトを活用して商談を創出するまでの流れをイメージしきれないという声も聞こえてくる。

2023年2月8日、『ターゲット設定』『コンテンツ設計』『施策設計』の3つの切り口から、Webサイトを活用して商談創出するためのポイントについて解説するセミナーを開催した。講師はマーケティングコンサルタントの久道。本コラムでは、当セミナーの内容をまとめている。

※関連ナレッジ資料※
MOps(マーケティングオペレーションズ)に関する実態調査 をダウンロード

ターゲットとの接点構築のポイント

Webサイトが狙うべきターゲット像がぼやけていると、Webサイトの設計や施策が曖昧になってしまう。Webサイトを活用して商談創出するには、できる限り具体的なターゲット像を描くことが重要だ。ターゲット像が描けている場合も、再度「なぜそのターゲットなのか」を考え直してみると良いだろう。

ターゲット明確化と接点構築の考え方

図1:ターゲット明確化と接点構築の考え方

ターゲットを明確化するときは、以下の順に考えるのが良い。

 ●ターゲットのニーズは何か
 ●自社の強みは何か
 ●その強みが活かせるターゲットはどういった属性なのか

順を追ってターゲット像を深掘りすることで、ターゲットに刺さる施策を検討できる。

ターゲット明確化と接点構築の事例

振動対策装置の販売を強化していきたいA社の事例をケーススタディとして紹介する。

A社は次の事業の柱として振動対策製品の販売に注力している。しかし、既存の代理店チャネルは振動対策製品の提案力が弱く、自社で案件を創出する必要がある。A社では営業企画部門がマーケティングを担っており、Webサイトを活用した商談創出を求められた。

しかし当製品は認知度が低く、Webサイトへの集客が弱い。また、問い合わせを獲得しても価格で負けてしまう。そんな困難に直面していた。

厳しい状況を打開するべく、A社はターゲットの明確化に着手した。

ステップ①:ターゲットのニーズと自社の強みを深掘りする
営業部門と議論し、以下3つのターゲット像が浮かび上がった。

 ●成長企業
 ●半導体製造装置メーカー
 ●海外輸送企業

そして、上記3つの企業をターゲットとしている理由を深掘りした。

 ●成長企業:工場拡張など、生産ラインを増設する見込みが高い
 ●半導体製造装置メーカー:屋内だけでなく、屋外からの振動も製品の品質を左右する
 ●海外輸送企業:船で輸送する際の微細な揺れに対策する必要がある

A社は競合他社と比較して価格は高いものの、振動対策の精度に定評がある。つまり、自社の強みは「振動対策の精度」にあると考えられる。

そのため、振動対策の精度にこだわりを持つ、『半導体製造装置メーカー』『海外輸送企業』をターゲットとすることにした。

ステップ②:自社の強みを活かせるターゲット属性を深掘りする
A社は次に、ターゲットの企業属性と担当者属性を深掘りし、以下の通りに整理した。

 ●企業属性:半導体装置メーカー、医療機器メーカー、精密機器メーカー
 ●担当者属性:設計部門の課長、係長

担当者について考えるときは、担当者がよく取る行動についても考えると良い。普段の接触媒体や情報収集の方法、商品理解、利用経験などをもとに、用意しておくべきコンテンツを検討していく。

ターゲットを明確化する際、ターゲットを絞り過ぎないよう注意が必要だ。マーケットを狭め過ぎないよう、ある程度の数を担保できるようにターゲットを定めるのが良い。

購買プロセスを意識したコンテンツ設計

コンテンツの必要性に気付いたものの、闇雲にコンテンツ作成を進めてしまう企業も多い。しかし、商談創出できるWebサイトにするには、購買プロセスを整理し、優先順位を決めてコンテンツを作ることが求められる。

購買プロセスを意識したコンテンツ設計の流れ

ステップ①:購買プロセスを整理する
特にBtoB企業の場合、顧客はある程度決まった流れに沿って購買活動を進める。その流れを購買プロセスとして落とし込む。

図2:購買プロセスの例

購買プロセスを整理するときは、以下2つの要素を検討する。

 ●各プロセスでのキーマンは誰か
 ●その人はどのような情報を求めているのか

企業の購買活動は通常複数人で、組織的におこなう。情報収集段階で動く人と、比較検討段階で動く人は異なるだろう。また、段階に応じて求める情報も異なる。

このような視点で購買プロセスを整理しておくと、各プロセスに応じたコンテンツアイデアを考案しやすくなる。

ステップ②:購買プロセスからコンテンツアイデアを棚卸する
整理した購買プロセスをもとに、コンテンツアイデアを棚卸する。誰がどんな情報を求めているのかがわかれば、用意すべきコンテンツはおのずと見えてくるだろう。

図3:購買プロセスをふまえたコンテンツアイデアの例

コンテンツアイデアの棚卸時点では、実現可能性は一旦度外視するのがポイントだ。発想に蓋をせず、各プロセスを担うターゲットに求められるであろうコンテンツをできる限り出していこう。

ステップ③:態度変容からコンテンツアイデアを洗い出す
ターゲットのニーズを満たせるコンテンツアイデアをより多く絞り出すために、購買プロセスを推し進める態度変容を言語化する。態度変容の要因をもとに、再度コンテンツアイデアを書き出していく。

図4:態度変容の要因からコンテンツアイデアを洗い出す

この行程を踏むことで、コンテンツアイデアの精度が高まる。ぜひ取り組んでみてほしい。

コンテンツ作成における優先順位の付け方

コンテンツ作成の優先順位を付けるには、以下2点に着目するのがおすすめだ。

 ●自社の商品特性
 ●営業体制

例えば、価格的には競合よりも劣っているが品質に強みがある場合、購買プロセスの前工程から接点を獲得し、早めに営業へ連携するのが良いだろう。
営業リソースは少ないが商品の競争力が強い場合、購買プロセスの後工程でのアプローチに特化するのが良いだろう。

このように自社の商品特性と営業体制をもとにコンテンツ作成の優先順位を付けると、商談創出に向けて効率的にコンテンツ制作を進められる。

Webサイトを活用した施策設計

数多くのマーケティング施策を実施しているものの、各施策が単発になっているケースは多い。Webサイトを活用して商談創出するには、購買プロセスをもとに施策間のストーリーを描き、有力な引き合いにつなげていくことが必要だ。

購買プロセスに合わせた顧客接点の設計

購買プロセスに沿って洗い出したコンテンツアイデアを届けるためには、接触するための施策を実施する必要がある。顧客と接触するための施策は、オンラインに限らずオフラインも含めて検討すると良いだろう。

図5:購買プロセスに対する顧客接点の設計

各プロセスの顧客に対し、どのように接触すると良いのかを検討し、購買プロセスマップに落とし込んでいく。

商談化を促す施策間連携の例

各購買プロセスごとの施策を整理した後、施策間連携のイメージを作る。ターゲットの状態に合わせて、以下のように施策のストーリーを整理すると良いだろう。

■ターゲットだが、まだ課題が顕在化していない
展示会や業界ポータルサイトを活用して、まずはリードを獲得する。リード獲得後、次のプロセスに進めるために同業界での改善事例を紹介する。

■振動対策に興味がある
啓蒙系のウェビナーや自社のWebサイトを活用し、振動対策に興味を持たせる。そのうえで、高性能の振動対策が品質向上や不良品率抑制へつながることを伝える。

■精度の高い振動対策に興味ある
商談や個別相談会に誘導し、高性能の振動対策が実現できる根拠を説明する。

※30枚を超えるスライドで解説※
セミナー資料をダウンロード

デジタルマーケティング戦略策定コンサルティング

パワー・インタラクティブでは、デジタルマーケティングのコンサルティングを提供している。

デジタルマーケティングは単にデジタルチャネルを活用する手法ではない。オンライン・オフラインを自由に使い分ける見込み客や顧客を理解し、適切なコミュニケーションの設計が求められる。

デジタルマーケティング推進でお困りの方は、ぜひパワー・インタラクティブまで相談してほしい。

デジタルマーケティング戦略策定コンサルティングサービスの詳細はこちら

久道 真之介

マーケティングPro.グループマネジャー

久道 真之介

マーケティング戦略策定

通信会社で法人向けの営業を8年経験。その後起業を経験し、2010年にパワー・インタラクティブに入社。Webサイト制作のディレクションからリスティングの運用、アクセスログの分析など現場での業務を経験し、現在はマーケティングコンサルタントとして、BtoB・BtoCのデジタルマーケティングの戦略立案から伴走支援までを行う。

TOP