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戦略ストーリーが目標を実現する

2017年3月15日(水)

代表取締役 岡本充智【文責】

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 人は感動すると、その感動を誰かに語りたくなる。人は面白いと思ったことは、誰かに伝えずにはいられない。同じように見事に組み立てられた企業戦略は語りたくなるものである。宅急便のクロネコヤマトでお馴染みのヤマト運輸の戦略はまさにストーリーと呼べるに相応しいものである。クロネコヤマトの戦略ストーリーを描いてみた。

クロネコヤマトの戦略ストーリー

 ストーリーの始まりはオイルショックで沈没寸前のヤマト運輸が起死回生の一手として賭けた宅急便事業。立ちはだかる巨象は、当時の運輸省(国土交通省)や郵政省(総務省)。その巨象に顧客サービスの確立という正義感で挑んだ。ストーリーのゴール(目標)は顧客サービスの最適化である。この最適化を、顧客視点の利便性(効果)と効率的な集配力(コストマネジメント)を両立させることで実現させたのである。

 顧客視点の利便性の目玉は二つ。一つは翌日配達。1976年に関東一円からスタートした宅急便は翌日配達をアピールした。もう一つはブロックごとの均一料金。東京から関西方面ならば、京都も大阪も兵庫も同じ料金。どちらが遠いかとは当時の顧客ターゲットである主婦には関係ない。このポジショニングはどこにもないものであった。当時はブルーオーシャンな戦略であった訳である。さらには荷造り不要も支持を得た。当時は郵便局に持ち込む際に荷物が壊れたり崩れたりしないように梱包する必要があったのである。主婦からすれば壊さないように運ぶのがプロの仕事でしょとなる訳である。

 このポジショニングを確立させるために、組織力で優位に立つ必要がある。まずは配達ネットワークである。これは航空業界で行われているハブ&スポーク・システムを導入した。ハブ&スポーク・システムとは、例えば6ケ所の空港をそれぞれ繋げば15本の航路が必要だが、そのうち一つをハブ空港にすれば5本になる。直行便ばかりだと無数に航路が必要になるが、ハブ空港を設ければその航路が空港数−1で済むという考え方である。各都道府県にハブ空港に相当するベース、その周辺にセンターを設置して、きめ細かく荷受けするデポと三段階の配達ネットワークを築いた。

 宅急便が市民権を得るのに大きく貢献したのはセールスドライバー制度である。当時のドライバーはトラックを運転する人という意識であったため、大型トラックの運転よりも小型トラックを運転することは格落ちのイメージが強かった。しかし一方で荷物の受け取りや配達に行くと「ありがとう」「ご苦労様」と声掛けされる。これは士気向上に大いに役立ち仕事への理解が高まった。セールスドライバーは走る現場責任者ともよばれ、今日においても徹底した研修が行われている。また顧客にストレスなく届けられるように情報システムについても積極的な投資を行っている。これらが噛みあって効率的な集配力が実現でき、クロネコヤマトの総合的な組織力を向上している。

 このポジショニングで優位する戦略と組織力で優位にする戦略の関係を示したのが下図である。もともとヤマト運輸は近距離小口貨物を主体とする商業貨物配送と、三越を中心とする百貨店配送を事業の軸としてきた。オイルショックを引き金に大きく採算割れして瀬戸際まで来たどん底の時期に、アメリカ視察で大手運送会社のユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)の集配車を街角で見かけたことが宅急便事業のきっかけになったのである。ポジショニングと組織力がそれぞれ見事な連携を行い現在の地位を築いているのである。これを戦略ストーリーと言わずして何というのであろうか。

 われわれもこのポジショニングを優位にする戦略と組織力を優位にする戦略に着眼して、多くの人たちに語れるような戦略ストーリーを築いていきたいものである。

スタートアップ期の挫折要因はマーケットリスクに耐えられないこと

以上

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    代表取締役岡本充智
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