【実体験レポ前編】なぜBrazeが必要だったのか?欧州CRM現場で起きていたチャネル分断と運用課題
4月からパワー・インタラクティブに参画した奥村です。前職では、ヨーロッパのアフィリエイトサイト運営企業でCRMチームに所属し、Brazeを活用したクロスチャネル施策の運用に携わっていました。
Brazeはクロスチャネル設計、リアルタイムでのセグメント作成に強く、より関連性の高いメッセージを届けられます。日本でも既に100社以上に導入されており、その注目度はますます高まってきています。弊社でもBrazeの支援サービスを提供しています。
>Braze支援サービス
そんなBrazeですが、日本でも広まってきているとは言え、まだまだ実際に使用したことがある人は少ないのが現実です。
・Braze導入前の課題、導入後の効果
・Brazeで具体的にどんなことができるのか
・実際に使用してみて気付いたこと
・こんな施策をやってました!
上にあげたような「生の情報」を、これから連載として継続的にお届けできたらと思っています。
複数チャネルで施策を実施しているものの、成果の見え方や運用負荷に課題を感じているマーケティング・CRM担当者の方にとって、Braze導入前に整理すべき論点の参考になれば幸いです。
それと同時に、Brazeには新しい機能も続々と出てきています。みなさんの現場で活用できるシーンを具体的に想像していただけるように、私も実際に手を動かしながらご紹介していく予定です。連載を通して、皆さんと一緒にBrazeへの理解をさらに深めていけたら嬉しいです。
それでは、Braze連載の第1弾となる本稿では、実体験レポ前編として、前職の会社がなぜBrazeを導入することにしたのか。導入前の課題、どうしてBrazeを選んだのか、Brazeに期待していたことについてお伝えしていきます。(後編に続きます)
Braze導入前の課題
当初、私が所属していたCRMチームは、アフィリエイトサイトに訪れるユーザーとのコミュニケーションとして、メール、プッシュ通知、アプリ内メッセージを積極的に活用していました。ツールはその都度変わっても、常にチャネル別に異なるツールを使用していました。
それにはこんな背景がありました。
・ビジネスの成長に合わせて配信チャネルを増やしていった(メール→プッシュ通知→アプリ内メッセージ)
・それぞれのチャネルに特化したツールを使った方が、その分野における機能が豊富
・必要な機能だけを契約した方が、結果的にコストを抑えられる
しかし、運営するサイトの数が増えたり、サイト自体が成長していくに伴い、「ツールが別々であることによる弊害」があちこちに現れてきました。
最大の壁は「どのチャネルが効果があったのか分からないこと」
アフィリエイトサイトでは、日々多くのキャンペーンが実施されています。そのため、データ自体は豊富に蓄積されていました。
しかし、ツールごとにデータが分断(サイロ化)されていたので、「それぞれのユーザーに対して、どのチャネルでのプロモーションが最終的な成果に繋がったのか」という横断的な分析が難しい状態でした。
つまり、チャネル単位の成果は確認できても、ユーザー単位で見たときに「どの接点が最終成果に効いたのか」が判断できない状態でした。
・メールを中心に送っているが、実はそのユーザーはプッシュ通知でしかサイトに呼び込めていない
・キャンペーンの種類によっては、アプリ内メッセージからの誘導が1番コンバージョンにつながっていた
といった実際のユーザーの行動が見えずにいたため、結果として全部のチャネルで似たようなメッセージを送り続けてしまうといった非効率も発生していました。配信されるタイミングが違うとはいえ、同じようなメッセージが複数のチャネルから送られてきたら、ユーザーとしては満足感が下がってしまうのも当然です。
現場を圧迫するオペレーション課題
さらに、データの統合がされていないことにより、現場の運用負荷も気付かぬうちに大きくなっていました。
Excelでのデータ管理、配信でセグメントを設定するためにエキスポートをし、各ツールへインポートする日々…。運営しているサイトが複数あれば、その分かかる時間も多くなります。
また、それぞれのチャネルに特化したツールを使用していたものの、設定できるセグメント条件が限定的なものだったため、「ターゲットを最適に絞った施策」が打てないというジレンマもありました。
直面していた課題
会社が抱えていた課題をまとめると、大きく4つに分けられます。
| 課題の分類 | 具体的な内容 | ビジネスへの影響 |
|---|---|---|
| データの分断 | チャネルごとにデータが独立しており、ユーザーの横断的な行動が追えない。 | ユーザーの全体像が見えず、ニーズや嗜好を正確に把握できない。 |
| 最適化の欠如 | 施策単体の数値(開封率やクリック率など)は見えても、チャネルを跨いだ比較ができない。 | ユーザーに最適な頻度や内容でのアプローチが困難。 |
| 運用オペレーション | ツール間のデータ連携のため、手動でのCSVエクスポート/インポートが発生。 | 施策実行までに時間がかかり、リアルタイムなアプローチが困難。 |
| パーソナライズの壁 | 既存ツールの仕様により、詳細な条件指定ができず、画一的な一斉配信になりがち。 | 誰にでも同じ内容の配信になり、エンゲージメントが低下。 |
それに加え、運営しているサイトが複数あることで各ツールの使用料も積み上がってきていたため、これらの課題を解決すべく、マネジメントとTechチームを中心に新しいツールの導入の検討が始まりました。
クロスチャネルに強いBrazeに高い期待
導入ツールの選定にあたっていくつか候補はあったようですが、まずは現在使用している配信チャネルを一元管理できるものを探していると聞いていました。
Brazeは、複数のチャネルを組み合わせた「シナリオ(キャンバス)」の設計に非常に長けています。例えば「メールを開封しなかった人にだけ、3時間後にプッシュ通知を送る」といったクロスチャネルのフローが直感的に作成できます。
またWebサイト上でのユーザーのアクションをきっかけとして、より高度なパーソナライズ配信が可能なのもBrazeの強味です。
検討段階を経てマネジメントがBrazeに決めたことを報告した際の全社会議でも、Brazeのリアルタイムでクロスチャネルの設計に長けている点が高く評価されていました。
具体的に、Braze導入によって期待されていた効果は以下の3点に集約されます。
・チャネルの一元管理
・高度なパーソナライズ
・キャンペーンの最適化
これまでバラバラだった各チャネルを統合的に制御し、ユーザーのリアルタイムな行動をトリガーとした配信やチャネル横断でのA/Bテストを通じて、最もCVに繋がる最適なアプローチを見つけ出すことが期待されていました。
また、それまで使用していたアプリ内メッセージのツールがサイトスピードに影響を与えており、Brazeのコンテンツカードをアプリ内メッセージと併用することで、サイト自体のヘルススコアの改善も期待されていました。
次回:Brazeに切り替えた結果は?新たな課題も…?
ここまでBraze導入前の状況、そして会社が抱えていた課題、期待されていた効果について、実体験を元にお伝えしてきました。
今振り返ってみると、私が欧州の現場で直面した導入前の状況は、国は違えど、現在の日本企業が抱えている課題と非常にリンクしていると感じます。たとえば、以下のようなお悩みを抱える現場は多いのではないでしょうか。
・MA、CRM、アプリ、Web接客ツールが部門ごとに導入されてしまっている
・メール施策の数値は見えているが、顧客単位の全体的な反応は見えていない
・営業・マーケ・カスタマーサクセス間で顧客データが分断されている
・ツールはあるが、施策設計と運用体制が追いついていない
こうした「ツールのサイロ化」や「顧客データの分断」は、まさに当時私が直面していた壁でもありました。
もちろん、Brazeを導入した直後からすべてが魔法のようにうまくいった訳ではありません。後編ではBraze導入後、実際に導入した際の感想や使ってみて気付いたこと、そして会社の課題は無事に解決されたのか、などをまとめてお届けします。
パワー・インタラクティブでは、Brazeの導入・活用支援だけでなく、導入前の課題整理やチャネル設計、データ活用方針の整理からご支援しています。私自身が現場で直面したように、複数チャネルの運用やCRM施策の最適化に課題を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
マーケティングコンサルタント
奥村 いづみ
Braze活用支援
東南アジアやヨーロッパでの海外就労経験を持ち、前職ではtoC向けのWebサイト運用、コンテンツ作成、メールマーケティングの実務に広く従事。特にカスタマーエンゲージメントプラットフォーム「Braze」を実際のオペレーションで使用していた現場経験を持つ。現在はこれまでの実務経験を活かし、お客様と同じ運用者目線に立ったMA活用や運用定着のサポートに注力している。



