コラム

Adobe Marketo Engage × Ask Oneで広がる、データ活用の可能性

Adobe Marketo Engage(以下、Marketo)を活用し、デジタルマーケティングに取り組む企業は多くあります。一方、その効果を最大限に引き出すための運用に課題意識を持つ人は少なくありません。

そこで本稿では、Marketoと連携してデータ活用の可能性を広げる入力インターフェース「Ask One」の活用方法について、具体的な事例を交えながら解説します。
マーケティング活動をより高度化したいと考える企業にとって、実践的なヒントになれば幸いです。

フォームはデジタルマーケティングの要

フォームは、顧客とのコミュニケーションの最適化とエンゲージメント向上を図る上で欠かせないものです。

リード獲得からパーソナライゼーションまで幅広く役立てられる「フォーム」

デジタルマーケティングにおけるフォームの役割は、大きく5つに分類できます。

リード獲得
Webサイトの訪問者がフォームに情報を入力することで、その訪問者はリードとなる

顧客情報の収集と分析
フォームに入力された情報から、顧客のニーズや興味などを詳細に把握できる

セグメンテーションとターゲティング
収集情報を基に顧客をセグメント化。効果的なターゲティングで施策への反応を高められる

顧客エンゲージメントの強化
最適化されたコミュニケーションにより、エンゲージメントの強化を図れる

フィードバックと改善の機会
顧客の声を製品やサービスの改善に活用し、顧客満足度向上に繋げられる

Marketoにおけるフォームの役割

Marketoにおけるフォームは、先述の基本的な役割に加え、自動化や統合データ管理、Webパーソナライゼーション機能を通じて、より効果的なマーケティング活動を実現に導く役割も担っています。

Cookieの紐づけ
Marketoでは、フォーム入力またはMarketoで配信したメールのリンククリックによってCookieの紐づけが行われる。Cookieを紐づけることで、リードの行動をトラッキングできるようになる

オートメーションのトリガー
フォーム入力は、自動化されたマーケティングキャンペーンやワークフローのトリガーとして使用できる
例)リードのスコアリング、カスタマイズされたフォローアップメールの送信

統合データ管理
フォームを設置してデータの流入規則を整備することで、のちに活用しやすい状態でデータを蓄積できる。蓄積したデータはマーケティング施策のみならず、データ分析や営業活動にも活用できる

パーソナライゼーションの強化
フォームに入力されたデータを活用することで、顧客の行動や好みに基づいた最適なコミュニケーションが可能になる。これにより、顧客エンゲージメントの最大化を実現する

フォーム設計のポイントとボトルネック

フォームのコンバージョン率を高めるためには、適切な形でフォームを設計・運用する必要があります。

ここからはフォーム設計のポイントと、それらのポイントを押さえる際に生じやすいボトルネックを紹介します。

UXを重視したフォーム設計が顧客との対話の質を高める

フォームを設計する際は、ユーザーエクスペリエンス(以下、UX)を意識することが重要です。フォームのUX向上を目指す上で気をつけるべきポイントは4つあります。

利便性
「分かりやすさ」を重視したデザインを採用し、お客様が直感的な操作でフォームを入力できるようにする
例)「質問項目」と「入力欄」を配色・デザインによって分かりやすく区別する

明瞭性と単純性
ユーザーが入力するべき情報をすぐに理解できるよう、設問文は明確にする。また、デザインについても過度な装飾は避け、シンプルな設計にする

視覚的整合性
フォントや使用する色、ボタンのスタイルなどを統一し、サイト全体に視覚的な整合性を持たせると、ユーザーは快適にサイトを巡回できる。また、フォームに対して信頼感を抱く

モバイル対応
どんな環境からでもアクセスできるよう、PCだけではなくモバイル端末での表示にも対応する。モバイルに対応する場合は、入力欄のサイズやタップ操作のしやすさなどにも配慮する

フォームを運用する上でのボトルネック

フォーム設計においてUX向上の視点は欠かせない一方、MarketoのユーザーがフォームのUX向上を目指すと、以下のようなボトルネックに直面することも少なくありません。

システム上の制約が多い
フォームの細かな仕様を変更したくても、機能上の制約から実現が難しい場合がある

デザインの整合性が取りづらい
デザインの自由度が低く、Webサイトとの視覚的な整合性を取りづらい

セキュリティリスクが発生する
自由なカスタマイズのために一からフォームを開発する場合、自主開発したフォームの脆弱性によりセキュリティリスクが発生する

マーケティング部門内での設計・設定変更が難しい
フォームの設定や項目の追加を担当者側で手軽におこなえず、他部門や外部に依頼する必要がある。そのため、運用における人的・時間的コストが高くなる

フォーム運用の課題を解決するAsk One

先に紹介したフォームのボトルネックを解決し、より効率的かつ効果的な運用を可能にするのが入力インターフェースのAsk oneです。

外部ツール連携によって商談化率と業務効率を改善

AskOneは、Marketo、Salesforce、Kintoneなど多様なツールと連携できます。これにより、顧客情報の収集だけでなく、迅速なフォローアップメールの送信や、顧客の興味に応じたコンテンツ提案もしやすくなります。その結果として、商談化率の向上、受注率の改善が期待できます。

図表1:あらゆる顧客接点における情報入力に活用できるAsk One

取得したい情報を段階的に取得

顧客との様々な接点におけるデータ収集ができるのがAsk Oneの強みです。このツール1つで、展示会、セミナー、営業活動、Webサイトなど、あらゆる場面でのスムーズな顧客情報の収集が可能となります。

また、Marketoのライフサイクルステージに合わせて、適切な情報を適切なタイミングで収集できるのもAsk Oneの特徴の1つ。

1.初期段階:Webサイト訪問者から基本的な連絡先情報を収集
2.中間段階:セミナー参加者から具体的な製品興味や課題を把握
3.後期段階:商談が進んだ顧客から予算や導入時期などの詳細情報を入手

図表2:ライフサイクルステージに応じたデータの取得設計

このように、段階に応じた情報収集が可能になることで、営業活動において必要な情報をマーケティング活動のなかでより多く収集できます。収集したデータをもとに営業アプローチの優先順位を付けることで、営業活動の効率を大幅に向上させられます。

事例1:Ask Oneの活用でMQL創出プロセスを改善したA社

次に、AskOneをマーケティング活動の改善に役立てた2社の支援事例を紹介します。一つ目は、従業員数約1,200名のICT企業、A社の取り組みです。

獲得したリード数に対して、商談化率が低かった

多種多様な商材を扱うA社では、法人向け高速無線ネットワークの顧客ニーズ把握に注力していました。

図表3:Ask One導入前にA社が抱えていた課題

当初、A社は以下のようなマーケティング施策を実施し、順調に新規リードを獲得していました。

・展示会:1回で約1,000枚の名刺獲得
・ウェビナー:1回で150名の集客
・Webサイト:月20名ほどのリード獲得

その一方で、リード獲得後に商談につながるケースが少ないといった問題も発生していました。

A社の状況を詳しく聞き取った結果、以下2つの要因によって商談化率が低迷している可能性が高いことが分かりました。

・金銭的なコストに見合うメリットがリードにしっかりと伝わっていない
・リードの優先順位付けができておらず、適切な営業リソースの配分ができていない

Ask Oneで顧客ニーズの収集を徹底

商談化率向上に向けた2つのボトルネックを解消するため、パワー・インタラクティブはすでに商談に至っている顧客のニーズを整理しました。

すると、A社の高速無線ネットワークサービスは「通信セキュリティ」「通信の安定性」「リアルタイム性」といった顧客ニーズを満たしていることが判明しました。

図表4:徹底した顧客ニーズの収集

そこで、新規リードの中からこれら3つのニーズを持つ見込み客を効率的に見つけ出すためにAsk Oneを活用した顧客ニーズの収集を進めました。

展示会
名刺の撮影による顧客情報の入力と、顧客ニーズ情報のデータ化を同時に実施

ウェビナー
参加者アンケートの項目に、ニーズを探るための3つのポイントに関する具体的な質問項目を追加

Webサイト
ネットワーク適性診断ツールを新設し、ニーズ把握と新規リード獲得を同時に実現

それぞれの接点で収集したデータは、Marketoにも自動連携されます。これにより、既存顧客と同様のニーズを持つリードを即座に識別し、優先的にアプローチできる環境が整いました。

リアルタイムに近い施策展開により、コミュニケーション精度を向上

Ask OneとMarketoを連携させたことで、リード獲得後の迅速な施策展開と、リードごとにパーソナライズされたコミュニケーションも可能になりました。

図表5:取得データを活用した施策展開

展示会データのリアルタイムな活用
従来は1週間かかっていたフォローアップが、データ取得から10分後にはターゲットを絞った施策を展開できるようになった

コミュニケーション精度の向上
顧客の興味・ニーズに合わせたコミュニケーションを取れるようになった

これにより、商談化率向上に向けたアプローチをおこなえるようになりました。

事例2:マーケティングの生産性向上に成功したB社

次に、社内のマーケティング業務のテンプレート化と自動化を成功させた事例を紹介します。

マーケティング部門のリソース不足に悩んでいた

B社のマーケティング部門では、デジタルマーケティングの重要性が高まるにつれて、各事業部からの「デジタル施策を実施したい」という要望が急増していました。

しかし、施策の目的や期待される成果、ターゲット顧客の詳細などが明確に示されていない依頼が多く、なかには「とにかくメール配信をしたい」といった漠然とした要望も少なくありませんでした。

また、マーケティングに精通した部門もあれば、基本的な知識が不足している部門もあり、依頼の質にばらつきがありました。これらの要因が重なり、Marketo運用部隊のリソースは逼迫状態にあったのです。

図表6:Ask One導入前にB社が抱えていた課題

この状況を改善するため、B社のマーケティング部門では「施策の目的明確化」「依頼レベルの標準化」「作業の簡素化」を目指し、Ask Oneを活用することにしました。

社内の施策依頼フォームとしてAsk Oneを活用

B社はAsk Oneを導入し、以下の情報を依頼時に伝えられるようなフォームを作成しました。

・依頼部門
・プログラムタイプ(メール配信、ウェビナー開催など)
・プログラムテンプレート名
・施策目的
・対象商材
・セグメント条件

図表7:マーケティング施策の社内依頼フォームとしてAsk Oneを活用

依頼フォームの整備により、必要な情報を漏れなく収集できる仕組みが整い、各部門が簡単に施策を依頼できるようになりました。また、これまで個別に管理していた依頼情報をAsk One上で一元管理できるようにもなりました。

さらに、依頼内容の入力からMarketoでのプログラム作成までの流れも可能な限り自動化しました。その結果、各部門からの依頼の質が向上し、Marketo運用部隊の作業効率も大幅に改善されました。

Ask One × Marketo活用を短期間で実現する、Ask One活用支援サービス

パワー・インタラクティブのAskOne活用支援サービスでは、2ヶ月間でAsk Oneの導入から実装、顧客に合わせたコミュニケーションの最適化を支援しています。

図表8:パワー・インタラクティブのAsk One活用支援サービス

Marketoの運用効率化に悩んでいる方、リード獲得からナーチャリングまでの一連のプロセスを最適化したい方は、ぜひパワー・インタラクティブまでご相談ください。

TOP