コラム

デジタルハリウッド大学院 寄与講座を終えて

マーケティングデータアナリスト 高月 大輔【文責】

パワー・インタラクティブでは、2011年より、デジタルハリウッド大学院大阪校で「アクセス解析実践」をテーマに8回シリーズの寄与講座を開催してきました。

講義は弊社のGoogleアナリティクスセミナーも行っている高月が担当。アクセス解析に(ほとんど)触れたことのない初心者の受講生を対象に、アクセスログの基本から、最終的には「ログを読み取って改善に繋げるスキルの獲得」を目標にして講義を行いました。

ちょうど1月末に今年度の講義が終了しましたので、セミナーレポートとして今期の講座を振り返ってみたいと思います。

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第1~2回:生徒は留学生が9割。まずはログの専門用語に慣れてもらう。

アクセスログ分析を身につけるために、まずは概念や用語を知るところから始めます。特に専門用語は耳慣れない言葉が多いものですが、今年の受講生は9割が留学生という状況でした。日本語が得意な人ばかりではないため、例えば「直帰」と「離脱」の違いや、「ページビュー数」と「訪問数」の違いなど、日本人でも分かりづらい言葉をかみ砕いて解説するところから行いました。

授業のポイント
・留学生の中には、(日本語よりも)英語の方が得意という方も多いですので、可能な限り英語の表現も添えるようにしました。
・一度の説明では理解が追いつかないと思いましたので、前に説明した専門用語が再登場したときには常に"ひとこと解説"を添えるように、話し方も意図的に変えながら進めていきました。

生徒の感想
・セッションとユーザー、PVの違いをはっきりと理解できた。
・離脱と直帰が詳しく解説されたので非常に分かりやすかった。

第3~6回:アクセスログを3つのパートに分解して、サイトを立体的に捉える。

K基本的な用語や概念の次は、ログデータを見ながら具体的な分析手法を解説していきます。今回はGoogleアナリティクスで弊社コーポレートサイトのアクセスログを見てもらいました。

このとき初心者の方にありがちなのが「どのデータから見たらいいのかよく分からない」というもの。そこで、頭を整理するために「アクセスログを3つのパートに分けて見る」ということをお勧めしています。

1,集客パート(サイトへの流入部分)
2,回遊パート(サイト内の閲覧部分)
3,行動パート(購入や問い合わせなど、ユーザーがアクションを起こす部分)
3つに分けることでボトルネックの発見や対策を行いやすくなります。今回の授業では、これら3つに加えて、訪問者の動向を知る「ユーザー」の部分も加えて、各々のパートごとに分析のポイントを解説していきました。

授業のポイント
・講座が2週間ごとのため、講座の冒頭で「前回の振り返りテスト」を毎回実施し、記憶に定着されやすいように配慮しました。
・仮データではなく、自分でGoogleアナリティクスを操作して本物のサイトのデータを見ることで、よりリアルな分析を経験していただきました。

生徒の感想
・数字だけではなくページもしっかり見ることも大切。数字の高低だけでは、改善点は見えてこないことが分かった。
・毎回の復習テストが自分チェックできてとてもいいなと思っています。

第7~8回:KPI・PDCAサイクルの概念を学び、サイトの継続的な改善を目指す。

講座の最終段階では、WebサイトにおけるKPIの考え方やPDCAサイクルに基づいたサイト運営も紹介しました。特にPDCAサイクルにおいては、分析の講座ではつい「分析そのものが目的」と、手段の目的の混同をしそうになりますが、PDCAの「A」(アクション)に繋がる分析の重要性を再確認しました。

最後に全講義を通じての振り返りテスト(初級編・応用編)を実施しました。「応用編」はやや難易度を上げすぎたかと心配しましたが、皆さん順調に回答してくれて、レベルの高さに驚いた結果でした。

授業のポイント
・KPIやPDCAサイクルなど、やや応用編にあたるような概念も紹介し、次の興味関心やスキル獲得に繋がるように配慮しました。
・最後に講義全体の振り返りテストを行い、内容の定着と自身の実力確認を行いました。

生徒の感想
・サイトのゴールを考えることの重要性を学んだ。ゴール直前の離脱をなるべく抑える必要がある点を再認識した。
・KPI設定においてどれが正しい項目かではなく、実際に仮説を立て、検証していくことが大切だと感じた。

所感

弊社でデジタルハリウッド大学院の寄与講座を実施するのは今年で4回目でした。年々、留学生の比率が高まり、今年は9割が留学生でした。講座を始めた最初の年は「初心者+言葉のハードル」という点で、うまく伝わるだろうかと心配していましたが、今ではそれがやりがいになっています。

また毎年驚かされるのは、留学生の皆さんの起業意欲の強さです。「自分の将来のビジネスに活かしたい」という強い気持ちで講座に参加されているので、より実践的な内容になっていき、講師としても逆に勉強させていただきました。

先方の会場の都合などもあり、デジタルハリウッド大学院の寄与講座は今年度で一旦終了となります。またチャンスがありましたら、こうした外部での講師にチャレンジしたいと思います。

高月 大輔

オペレーションPro.グループマネジャー

高月 大輔

マーケティングオートメーション活用支援

Webディレクターとして大手・中堅企業を中心に多数のWebサイト構築を手がける。その後、マーケティングデータアナリストへ転向。 Googleアナリティクスでのアクセスログ分析やBIツールを使ったダッシュボード構築に従事。現在はMarketoの活用支援コンサルティングにも領域を広げ、自社のMA運用代行チームのリーダーとして活動している。
またAdobe社のMarketoトレーニング講師も担当し、分かりやすい解説が好評を得ている。

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