Googleタグマネージャの導入を完了し、日々活用される企業様も多いと思う。
今回は既にGoogleタグマネージャを導入・運用されている企業様向けに、日々の運用を手助けするTIPSをご紹介する。
Googleタグマネージャに紐づける「タグ」や配信ルールを決める「トリガー」。現状のGoogleタグマネージャの仕様では、カテゴリ分けや分類を行う機能が付いていない。
そのため、「Googleアナリティクスに関するもの」「コンバージョンタグに関するもの」「リマーケティング/リターゲティング広告に関するもの」など、目的や種類別にタグやトリガーを分類できないため、多くのタグや配信ルールを設定していくと煩雑になり、各タグやトリガーが一見してどういった種類・目的で設定されているのか分かりにくくなる。
この仕様の中で適当に命名してしまうと、探したり他人に教えたりする手間がかかってしまったり、探すのが面倒になって既に設定してあるのに新規で作成してしまう...といった事態につながってしまう。
せっかく「必要なタグを必要な時にすぐに配信する」ためにGoogleタグマネージャを導入したのに本末転倒になってしまい、非効率的である。
※関連ナレッジ資料※
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Googleタグマネージャではタグ・トリガー共に、ソート(並べ替え)機能は付いており、それぞれ下記のような軸で並び替えはできるが、軸が一つしか選べないため分類に活用できるとまでは行かない印象である。
タグ:名前・タイプ・最終更新(日時)
トリガー:名前・イベントタイプ・フィルタ・タグ(紐づいているタグの数)・最終更新日
そこで、各タグやトリガーの「名前」の付け方を工夫し、カテゴリ分けの代替手段を取る。カテゴリやサブカテゴリで分類した際の利便性には及ばないものの、整理・分類の一助となる。
Googleタグマネージャーのタグ・トリガーの名前に使う文字は、下記のような優先順位があり、これを活用する。
半角数字→半角アルファベット→ひらがな→カタカナ→漢字→全角アルファベット
つまり、半角の数字またはアルファベットが名前の文頭に来るように工夫すれば、「名前」でソートした時に順番に並ぶことになるので整理・分類がしやすくなり、各タグやトリガーの意味するところが一目で分かりやすくなる。
具体的には、分類項目とその項目を意味する番号や略号を予め決めておき、文頭にそれらの番号・略号を追加しておく手順となる。
まずは分類項目を考える。
分類項目をきちんと洗い出し、整理しておくことで自社に合った運用方法を作りやすくなる。
▼タグの分類項目の例
・タグの種別(解析・広告・その他)
・配信対象のサイトの種別またはドメイン
・配信対象のコンテンツ・ディレクトリ・ページ
・ツールベンダーや担当広告代理店
・媒体名やソーシャルメディア名
・解析ツール名
・広告の種別(コンバージョン・リマーケティング/リターゲティング)
・広告タグ内のIDやラベル
・Googleアナリティクス
・ページビュータグ名
・バージョン名 ※従来のGoogleアナリティクスとユニバーサルアナリティクスを併用している場合などに使用
・イベントトラッキング名
▼トリガーの分類項目の例
・配信対象のサイトの種別またはドメイン
・配信対象のコンテンツ・ディレクトリ・ページ
・配信対象フォーム
・発動させるHTMLの要素
・Googleアナリティクス
・発動させるイベントトラッキング
上記以外にも自社の運用に合った分類項目を洗い出したり、あるいは実情に応じて削ったりして自社に合った分類項目を作っておく。
各種広告の運用が中心であれば、複数の広告代理店や媒体に関する項目を重視し、Googleアナリティクスのカスタマイズが中心であればGoogleアナリティクス関連の項目を重視しよう。
タグの番号・略号作成の例
A社が管理するGTM.comというサイトに設置されるAdWordsリマーケティングタグの場合
分類項目 | 種類 | 番号・略号 |
---|---|---|
タグの種類 | 広告 | ad |
広告代理店名 | A社 | A |
配信対象サイト | GTM.com | gtm |
媒体名 | AdWords | AW |
広告種別 | リマーケティングタグ | RM |
コンバージョンラベル | aaaaaaaaa | aaaaaaaaa |
トリガーの番号・略号作成の例
GTM.comの資料請求フォーム完了画面のみを抽出するトリガーの場合
分類項目 | 種類 | 番号・略号 |
---|---|---|
配信対象サイト | GTM.com | gtm |
配信対象ページ | フォーム完了画面 | CV |
配信対象フォーム | 資料請求 | cata(log) |
タグの例
ad_A_gtm_AW_RM_aaaaaaaaa_GTM.com用AdWordsリマケ
トリガーの例
gtm_CV_cata_GTM.comフォーム完了画面
このような形で命名していく。
半角数字が最優先となるので、更新頻度や重要度の高いタグ・トリガーの文頭に若い数字を付けておくと、名前でソート(並び替え)した際にそれらが最上部に表示されるので見やすくなる。
01_ad_A_gtm_AW_RM_aaaaaaaaa_GTM.com用AdWordsリマケ
02_ad_A_gtm_AW_CV_bbbbbbbb_GTM.com用AdWordsコンバージョンタグ
実際の管理画面上では下記の画像のようなイメージとなる。
数字が文頭にあるものが番号順に並び、続いて半角アルファベットとなる。
番号や略号作成の際、上記の例で示したような表をExcelなどで作ると良いが、そこで作成した番号・略号を再度コピーして名前を作成するのも手間がかかる。
Excelの場合、CONCATENATE関数を使ってのセル結合で効率的に作成する例を示しておく。
Googleタグマネージャで管理するタグ・トリガーが多くて煩雑になっているなら、少しでも整理されていた方が何かと効率化が可能となる。
命名ルールを作るための作業も発生するが、タグマネジメント、ひいてはアクセス解析やWebマーケティングの業務の一元管理や組織的な運用を行っていくためのきっかけ作りにもなる作業と言える。
これまではWebマーケティング業務の運用は属人性が高く、前任担当者の行っていた施策やツール・広告が理解されない・引き継がれないままに結局やめてしまう...ということも起こりがちであった。
自社のWebに関わるステークホルダーやツール・広告を洗い出す過程を経た上で、誰にでも理解・運用できるルールを作るのは、業務の属人性をなくし、広い範囲の担当者が関わることのできる現場作りにつながるので是非実践いただきたい。
2023.03.27
2023.01.20
2022.11.28