事例

丸石製薬株式会社 Adobe Marketo Engageの活用を推進し、MRと連携したデジタルマーケティングを支援

丸石製薬株式会社 Adobe Marketo Engageの活用を推進し、MRと連携したデジタルマーケティングを支援

丸石製薬株式会社 営業本部 マーケティング部 製品企画グループ
アシスタントマネジャー 相澤 誠司 氏
プロダクトマネジャー 吹田(ふきた) 麻衣 氏
シニアスタッフ 山崎 俊輔 氏

1888年に創業された丸石製薬株式会社。「堅実経営を旨とし、医薬品等の研究・開発・生産・販売を通じて、医療の発展に寄与し、健康と福祉に貢献する」を経営理念として、長年にわたって医療の現場を支えています。

現在、周術期医療領域・感染対策領域・ベーシックドラッグ領域(日本薬局方医薬品)に特化した製品群を製造販売しています。パワー・インタラクティブでは、2022年6月よりAdobe Marketo Engage(以下 Marketo)の導入ならびに活用を支援しながら、デジタルマーケティングの推進をサポートしています。

本稿では、丸石製薬株式会社 営業本部 マーケティング部 製品企画グループの3名に、デジタルマーケティングの取り組みと成果についてうかがいました。

コロナ禍でMRの医療従事者との面談数がほぼゼロに

デジタルマーケティングに取り組むことになった背景を教えてください。

相澤氏:新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけです。弊社は手術時に使用する麻酔薬や制吐剤や鎮痛薬に加え、手指消毒剤や環境衛生製品も扱っており、麻酔科や救急・集中治療の医師、薬剤師や感染対策に従事している看護師が主な顧客です。全国に15名のエリアマネジャーと約90名のMRがおり、地方によってはイレギュラーもありますが、手術室があって病床数が200床以上の病院を目安に訪問しています。

コロナ禍でMRの医療従事者との面談数がほぼゼロに

コロナ禍に入り訪問規制が厳しくなった結果、MRの医療従事者とのオフライン面談数はほぼゼロとなりました。一方、MRの医療従事者とのやりとりはWeb会議やメールが増えてきました。そのため、MRも医療従事者のメールアドレスが必要という意識を持つようになりました。

相澤 誠司 氏

コロナ禍が落ち着いて活動制限は徐々に解除されましたが、面談数はコロナ禍前の3分の2に減少しています。医療従事者への情報提供のあり方が大きく変わり、従来の形態に戻すのは難しいと考えました。

マーケティングオートメーションの導入で、顧客データベースの構築とプッシュ型の継続した情報提供を目指す

マーケティングオートメーションを導入した理由を教えてください。

吹田氏:MRが医療従事者のメールアドレスを集めたものの、個々が保有している状態だったため、一元管理する場所としてマーケティングオートメーションが必要であると考えました。

また、これまでオンラインでは問い合わせ対応が中心のプル型の情報提供しかおこなっていなかったので、こちらから積極的に情報提供するプッシュ型の取り組みをおこないたいと考えたことも導入理由の一つです。弊社の手指消毒剤はMRが訪問していない施設にも多く使用いただいています。少し前に手指消毒剤に関するアンケート調査を実施したところ、それらの施設では丸石製薬の情報提供が不十分だという回答が多く、ロストしそうだということが判明しました。この結果から、情報提供を継続的に進めていく必要があると考えたのです。

マーケティングオートメーションの導入で、顧客データベースの構築とプッシュ型の継続した情報提供を目指す

吹田(ふきた) 麻衣 氏

相澤氏:コロナ禍前から各営業エリアでセミナーを数多く開催していましたが、単発の実施で終わっていました。セミナー後もメールを送るなりして継続した接点を持ち続けることが必要でしたが、約90名のMRだけでは対応が難しい状況でした。情報提供の価値について改めて考えたところ、価値につながる要素はタイミング、スピード、クオリティ、簡便さ、付加価値があり、その為に必要な機能は「オンデマンド(要求に応じた対応)」と「リコメンド(個々のニーズに合わせた推奨)」の2つが必要だと行きつきました。このオンデマンドとリコメンドの機能で役に立つ情報を多くの医療従事者に届け、フィードバックを得て強化していくことをイメージしており、その為にはデジタルの活用が欠かせません。これらを実現させるためにマーケティングオートメーションシステムが必要と考えました。

吹田氏:「私たちがやります」と社内を説得してマーケティングオートメーションの導入を決め、2022年6月にMarketoを導入しました。複数のマーケティングオートメーションツールを候補にあげるなかでMarketoを選んだ理由は、プラットフォームとしての役割を重視したからです。導入してから機能が足りないことが分かると、ツールを変更するのも大変です。最も安定しているシステムとしてMarketoを選びました。

パワー・インタラクティブの選定理由は、ヘルスケア業界の理解度の高さ

Marketo導入に伴い、パワー・インタラクティブのコンサルティングサービスを選定した理由を教えてください。

吹田氏:Adobe社からヘルスケア業界の実績を多く持っている会社として、御社の紹介がありました。担当の山下さんとお話ししてみると、ヘルスケア業界の言葉が通じるという安心感がありました。ヘルスケア業界の特殊性や、営業とMRの違い、MRの活動内容を理解していたので、安心してお願いできると感じました。

実際にコンサルティングが始まると、全体の計画が立てられ、私たちのペースもよく分かったうえで段取りをしてくれました。Marketoを活用したプッシュ型施策を短期間で実現することができたと思います。

MarketoでMRが活動していない施設への情報提供と、面談医師の行動履歴を取得

Marketoの導入後は、どのような方針で進めましたか?

吹田氏:まず、MRが活動していない200床未満の病院、介護施設やクリニックへ向けて感染症対策に関する情報提供に取り組みました。そこから、オンライン上で製品の購入までつなげられたら効率的だと考えたのです。

また、現場で働くMRからは、普段会っている麻酔科の医師との面談効率や面談内容を充実させたいというニーズもありました。MRが医師と面談しているなかで気づけなかったことが、Web上の行動履歴から気づけることがあります。たとえば、面談のなかでは反応がよくなかったけど、Webでは特定のページを見ているといった行動です。こうした情報をMRに伝えることは、また面談しようというモチベーションにつながります。

現在は感染症対策向け商材の施策に取り組み、成果が出てきています。

メールの反応で見込み度を判別できるしくみを構築

感染症対策の商材に関する取り組みについて、具体的に教えてください。

吹田氏:まずリード集めから始めました。過去に会員制サイトの運営をしていた際のリードが約3千件ありましたが、病院以外の高齢者施設や薬局のリード数がなかったので、セミナーを開催して参加者をリストに入れていきました。セミナーは年に3回開催し、業界で知名度の高い講師を呼んで毎回3千件近くの申し込みを獲得しています。そのうち、半分くらいが新規リードです。

セミナー後にはアンケートを通じて「感染対策について興味はありますか?」「感染対策製品の購入・見直しを検討されていますか?」といった質問をしています。アンケート結果は地域ごとに分けてMRにフィードバックしています。セミナーの様子は動画としてWebサイトに掲載し、サンキューメールで案内しています。また、メールマガジン「マルマガ」を通じて別のセミナーを案内しています。

こうした活動の結果、現在のリード数は約2万件に増え、リストに対して情報提供ができているため、繰り返しセミナーに出席してくださる方も増えています。継続した接点を持ち続けるという目的を達成できました。

Marketoを活用したナーチャリングも実施しています。弊社では「感染対策コンシェルジュ」という正しい感染対策に関する情報を提供するサイトを運営しています。属性データをMarketoにインポートし、データを元にセグメントを設定して、感染対策コンシェルジュにあるコンテンツをメールで配信しています。

山下:セグメントでは、見込み度の振り分けの難しいウェビナー未参加者を集約した「None」というステージを作ったことがポイントです。「None」が配信メールを4回クリックすると「Cold」に、さらに配信メールを4回クリックすると「Warm」にナーチャリングされます。ウェビナー参加者は「Cold」からスタートします。「Warm」がアンケートに「検討中、今後検討予定」と回答してくれると「Hot」に変わります。「Hot」の情報はMRに渡すようにしています。(図表1参照)

図表1:リードステージの遷移

パワー・インタラクティブ山下

吹田氏:これまでに150件ほどの「Hot」をMRに渡しています。こうして見込み度の判別が難しいリードを、メールの反応で判断できるようにしました。この仕組みは、パワー・インタラクティブと一緒にディスカッションしながら、約3カ月で構築しました。メールで配信されたURLを何度もクリックしている人は、感染対策業務に携わっている、またはこれから携わるかもしれない人です。こうしたリードに対しては、感染対策活動に使えるポスターやチェックシートのURLを送ります。アンケートにも回答してもらい、その結果をMRにフィードバックしています。シナリオづくりは、パワー・インタラクティブが提供してくれたシートが役に立ちました。2023年の7月から9月までこのシナリオでメールを配信した結果、メール開封率が63%と通常のメルマガより20ポイント以上高く、アンケートの回答も多数集まっています。

他にもMarketoを活用してウェビナーやセミナー、イベントの集客をおこなっています。各地にいるMRがウェビナーに加え、リアルなセミナーやイベントを月に2-3件企画しています。Marketo導入前は、セミナーの登壇を重鎮の先生にお願いしたのに4人しか参加者がいないという背筋の凍るような思いもしたそうです。Marketo導入後はメールで案内ができるため集客が安定して助かっている、とMRから評価をもらっています。

また、データによって集客できるテーマのセミナーとできないセミナーが把握できるようになりました。データを参考に、各地で集客できるテーマのセミナーを開催するようにしています。さらに、卸業者との連携も始めています。卸業者がウェビナーを開催した際に、最後に私たちのウェビナーや「マルマガ」を宣伝してくれることで、申込み者が増えています。増えた数を卸業者と共有し、一緒に頑張っていこうとしています。

パワー・インタラクティブはMarketoが運用できる人財育成に貢献

パワー・インタラクティブが貢献できたことを教えてください。

吹田氏:パワー・インタラクティブの支援がなければ、メールマガジンを送るだけで精一杯だったと思います。Marketoの操作方法や用語についても教えてもらいながら進めてきました。

山崎氏:Marketoはいろいろなことができますが、私たちができるレベルの少し上のことをパワー・インタラクティブは提案してくれます。それを一緒に取り組んで、できるようにしてくれています。私たちの事業やレベル感をよく理解して、助けてくれていると感じます。

パワー・インタラクティブはMarketoが運用できる人財育成に貢献

山崎 俊輔 氏

相澤氏:毎月の社内会議をしっかりと進めてくれています。また、Marketoの運用ができる人財を育ててくれた貢献は非常に大きいです。

現在、コンテンツの棚卸しをしていて、コンテンツの価値をあらためて再認識しました。また、シナリオ展開の進め方がある程度理解できました。デジタルマーケティングでの成功をリアルな活動にも生かそうと考えています。現在、MR活動のロールプレイングを強化するためにシナリオの考えを取り入れています。

MRへの繰り返しの説明でデジタルマーケティングが浸透

デジタルマーケティングの成果と今後の課題を教えてください。

吹田氏:成果としては、思ったよりも早く営業部にMarketoの存在感を示せました。月に1回MRと打ち合わせをして、継続してMarketoの説明をしています。「リードとは」「MAとは」を毎回説明することで理解してくれるようになり、想定以上に浸透していると思います。繰り返して伝えることが大事だと実感しています。

MRは、セミナーを実施して集めたリストを渡す場ができ、次のセミナー案内も送れるようになったことで協力的になっています。現在では、MRもセミナーを企画する際に、リード獲得を意識したテーマを考えてくれるようになりました。今期中に2万件のリード数を獲得することを目標にしていましたが、上半期の時点ですでに目標を達成できました。来期は4万件を目指したいです。課題としては、現在は私が主にMarketoを使って業務をおこなっているので、今後はMarketoを使える人を増やしていきたいです。

山崎氏:これまでに情報提供できていなかった方に対して、メールで情報提供できるようになったことは大きな成果です。課題としては、現状ではMarketoで実行していることとMRの活動の間に谷間がある状態と言えます。システム連携やフィードバックによって橋渡しをして、お互いにいい影響を与えられるようにしていきたいです。MRへの貢献をさらに見える化していければと思います。

オンデマンド機能とレコメンド機能を活かした情報提供に踏み出せた

相澤氏:私たちは、自社のことを「スペシャリティファーマ」と呼んでいます。周術期医療領域、感染対策領域においてプレゼンスが高いと思ってそう呼んでいるのですが、プレゼンスは何かと聞かれると、具体的にどう示せばよいのか難しいと思っていました。Marketoを導入して1年半で2万件のリードを獲得でき、いい状態で接点を保てていることが1つのプレゼンスとして社内外に示せるようになりました。これが成果だと言えます。顧客の反応から新しい製品やサービスへ展開できるようになるとより価値を感じてもらえると思います。

冒頭にMarketoを導入した目的として、オンデマンド機能とレコメンド機能を活用して医療従事者へ情報提供をしたいとお話ししました。すべてができているわけではありませんが、達成に近づいています。まだ始まったばかりですが、第一歩が踏み出せたと思います。

オンデマンド機能とレコメンド機能を活かした情報提供に踏み出せた

プロフィール

相澤 誠司 氏
丸石製薬株式会社 営業本部 マーケティング部 製品企画グループ
アシスタントマネジャー

2002年入社。MRを経て、2011年よりマーケティングを担当する。新製品検討、製品改良、マーケティング戦略立案/展開に尽力してきた。会社の社訓である“誠意・熱意・創意”を大事にしている。

プロフィール

吹田(ふきた) 麻衣 氏
丸石製薬株式会社 営業本部 マーケティング部 製品企画グループ
プロダクトマネジャー

2005年入社。ライセンス部門を経て2010年に営業部門へ。会員制サイト運営時にメルマガを担当。現在はMarketo導入、メール制作、施策の運用等を担う傍ら、環境洗浄・除菌クロス製品担当、コンテンツ制作、セミナー企画・運営などをおこなっている。

プロフィール

山崎 俊輔 氏
丸石製薬株式会社 営業本部 マーケティング部 製品企画グループ
シニアスタッフ

2005年入社。ライセンス部門を経て2010年に営業部門へ。2018年頃、DXに関するプロジェクトチームに参画していた。現在は、主に市場調査や将来予測などをおこなっている。

インタビュー実施日:2023年10月27日

丸石製薬株式会社 
https://www.maruishi-pharm.co.jp/

感染対策コンシェルジュ 
https://www.m-ipc.jp/


担当コンサルタントの声

導入時には不安がつきものです。お客様との円滑なコミュニケーション、社内への成果報告、そしてツールの適切な活用。これらは企業共通の課題です。弊社は、単なるツールの使い方だけでなく、マーケティング組織としてのビジョンを構築し、目標を実現するお手伝いをしています。

丸石製薬様は、スタート時からマーケティング組織としてMarketoを活用することを考え、1年半で全社にマーケティングの必要性を認識してもらったことは、とても理想的な進め方だと感じています。

ツール連携やデータマネジメントには課題が残されていますが、これまでの経験を強みに変え、全社を巻き込んだ積極的なマーケティング活動を展開してほしいと思います。

山下 智

マーケティングコンサルタント

山下 智

マーケティング戦略策定

Webコーダー/デザイナーを経て、Webディレクターとして数多くの企業サイトの企画~設計~制作を手掛ける。
2014年には自社へのMarketo導入を推進、短期間で運用を軌道に載せる。その後、Adobe Marketo Engageのパートナーとして70社以上のMarketo Engage支援を担当。
BtoBはもちろんBtoCまで、幅広い経験値をもつ。
最近はMarketo Engageだけでなく多様なマーテクの活用支援、より難易度の高いテーマを担当している。
無類のクラフトビール好き。 No Beer! No Life!

担当コンサルタントの声

Marketo導入から山下と一緒にサポートさせていただいて、あっという間に1年半が経過しました。
現在では、本社としての活動がエリアに伝わり、エリアからMarketoを活用したいというお声をいただいていると聞きます。この迅速な社内への浸透は、ひとえにお三方のすばらしい推進力の賜物だと感じています。

今後はぜひとも社内でMarketo操作できる人材を育成し、エリアごとのMaketo活用の幅を広げつつ、本社側でルールの統制をする、そんな社内体制確立のお手伝いができたら幸いです。

鍋山 百香

マーケティングコンサルタント

鍋山 百香

マーケティングオートメーション活用支援

営業と管理者の2軸で、人材・教育・旅行・広告・コールセンター・保険とさまざまな業界を経験。うち、楽天・リクルートなど大手企業での業務経験もあり。東南アジアでの海外就労経験も有し、様々な経験と柔軟な対応でお客様へのコンサルティングを行っている。
社内第一号の「キャリアと子育てを両立するママ」を目指す。

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