日立製作所様ではマーケティングオートメーションの組織的な活用に取り組むなか、その研修として2021年7月にリードビジネスゲームを導入いただきました。
■参加者 (所属部署および役職はインタビュー当時のものです)
システム&サービスビジネス営業統括本部 サービス営業推進本部 営業企画部
担当部長 吉村 誠 様
部長代理 加瀬 奈月 様
主任 村野 咲子 様
企画員 貝沼 宏明 様
産業・流通営業統括本部 営業企画本部 営業企画第二部
主任 濱田 太郎 様
企画員 加藤 純一郎 様
■参加の背景:
コロナ禍で営業・マーケティング活動はオンラインへシフト
■参加の目的:
営業チームと一緒にマーケティングプロセスを理解するとともに、オン・オフライン施策の効果・限界を知りたい
■習得したこと:
・マーケティング施策を長期スパンで俯瞰して考えることを経験
・目標は「マーケティング組織5世代モデル®」の「第三世代(ファネル型)」組織
■今後に向けて:
・リードビジネスゲームは年に数回実施してレベルアップを図りたい
・小さな成功を積み上げながら「点ではなく線」で取り組む意識改革へ
日立製作所様では、サービス営業推進本部を中心にコロナ以前からマーケティングオートメーション(以下、MA)ツールを導入し、デジタルマーケティングに取り組んでいます。2020年以降のコロナ禍で対面での営業活動に制限がかかる中、デジタル施策を含むマーケティング施策を組織として推進するために、リードビジネスゲームの研修プログラムに参加しました。研修後、当日のトレーナーを務めたパワー・インタラクティブ(以下、PI)山下より、参加者へ受講後の感想をお聞きしました。
※「リードビジネスゲーム®」は、株式会社Nexalが開発したBtoBマーケティング実践プログラムです。
※「マーケティング組織5世代モデル®」は株式会社Nexalの登録商標です。
PI山下
最初に日立製作所様の現在のマーケティング活動状況を教えてください。コロナ禍の前後ではどのような変化がありましたか?
濱田氏
コロナ禍以前は当社の担当者がお客様先に訪問し、お客様が抱えている悩みをお聞きし、雑談もしながら和気あいあいとやっていましたが、コロナ禍に突入後はオンラインベースになりました。私の部門では製造業のお客様を担当しているのですが、コロナ感染して工場が稼働停止してしまうと影響が大きいため外部の人は立ち入り禁止となり、打合せはオンラインが中心になりました。
お客様との物理的な接触ができないため、2020年に初めてウェビナーを開催しました。それまでウェビナーを行ったことがなかったので、当初は準備を進めるだけで手いっぱいでした。現在はウェビナーの数をこなしたことで余裕ができ、商談・受注につなげるシナリオが大事だと気付き、「後工程への繋がり」を強く意識するようになりました。
PI山下
マーケティングのオンラインへのシフトは苦労されたようですね。そうした中で人材の教育や育成はどのように取り組んでいるのですか?
吉村氏
デジタル人材の育成は、体系化できていないのが現状です。私の部署はいわば営業を支援する部門で、デジタルマーケティングを推進しています。コロナ禍以前から独自にデジタルマーケティングの「あるべき論」を作り、会社組織になじませながら推進していましたが、コロナ禍により一層デジタルマーケティングに集中せざるを得ない状況となりました。
今回のリードビジネスゲーム参加の目的は3点ありました。
1.マーケティングのプロセスを体験し、マーケティング活動の理解促進に繋げたい
2.営業チーム側の営業企画部にも参加してもらい、マーケティングプロセスを共有する
3.オンラインとオフライン施策それぞれの限界や効果最大化の方法を知ってほしい
PI山下
リードビジネスゲームにはサービス営業推進本部だけでなく、産業系分野の営業企画部からも参加いただきました。今回の招集メンバーを選定された理由を教えてください。
加瀬氏
当社ではMAツールの「Marketo」を使っており、Marketoを通じていろいろな分野の事業部とのやりとりがあります。今回参加した濱田さん、加藤さんの所属する産業系製造業分野の営業企画部とは数年前から接点があり、メール配信を行うなど新規顧客獲得の取り組みを行っていました。商材的にもデジタルマーケティングとの親和性が高く、デジタル活用の流れもできていたので、今回参加してもらった次第です。
PI山下
リードビジネスゲームを経験してみて、いかがでしたか?
貝沼氏
マーケティングの計画立案、実行、予算管理など、全体感を考えたり体感したりできました。また、サイコロをふるとサイコロの目に応じた出来事が提示されますが、例えば「営業も巻き込まないとリードが無くなる」といったように、実際に「あるある」な事象が用意されていてよかったです。
村野氏
普段は産業系をはじめ公共系や金融系等20くらいの部署と施策に取り組んでいますが、個々の施策ごとにシナリオ作成やスケジュール立てを考えていました。1~2年といった長期的なスパンで俯瞰して施策を考えること、コストも含めて並べて見ることは、普段の業務ではなかなかできずにいました。ゲームを体験し、全体で見たときにどういう流れが良いのか、狭い範囲から広い範囲へ視点を変えてマーケティングを考えることで、新たな気付きがありました。
加瀬氏
ゲームでは、MQL(Marketing Qualified Lead=ホットな見込み客)の創出がゴールですが、リード獲得の後にMQLを作ることに意識が働くのが遅かったです。実業務では2年間を俯瞰して見ることは少ないので、良い経験になりました。今回はMQLの創出数にこだわってしまったのですが、そういう視点を除いて単純に2年間をプランニングしたらどんなものができるのか、計画を立てて実務に取り入れてみたいと思いました。
濱田氏
当社は組織が大きく縦割りのため、そもそも全体を見て考える必要性は薄いと思います。しかしながらマーケティング部門でMAの運用を考える際には、営業現場での施策を考えなければならないわけで、マーケティングと営業の両方の視点で考える機会が持てたことはよかったです。
また、コロナ禍のためオンラインに施策が偏りがちですが、オフラインの展示会やショールームも交えて、リードからMQLまでいかに繋げていくか、点ではなくて線でとらえる重要性が改めて身に沁みました。
要望として、今回はMQLがゴールでしたが、実際はいかに売上につなげていくかを考えるので、MQLの先も考えた流れがあるとよいと思いました。
吉村氏
ゲーム前の講義で全体概念の説明があった際、株式会社Nexal代表の上島さんの「マーケティング組織5世代モデル®」を引き合いに出して、「日立のマーケティング組織は、第二世代~第三世代ですね」と定義し、解説してもらったのがよかったです。
これまでの施策は点と点になっているので、ファネルとして「獲得」→「育成」→「受注」の流れを捉える必要があると気づきました。
PI山下
現在は2.5世代だと思いますが、ファネル型の第三世代になるにはどうすればよいと思いますか?
加瀬氏
ツールは導入されているので、あとは人の意識を変える必要があります。Salesforceの入力や、その部署だけの問題ではなく他部署と連携して一連の流れを作っていく意識改革が必要です。
吉村氏
受講した個人へのフィードバックはかなりもらえますが、欲を言えば組織体に対するフィードバックもほしいと感じました。特に第二世代から第三世代のマーケティング組織に移ろうとする時には、アカウント営業から業種を横断した提案型営業になっていきます。そのためのあるべき姿など、組織体へのフィードバックがあると、組織の変化に繋げやすいと思います。
吉村氏
これまで私は受注金額しか見ていなかったのですが、デジタルマーケティングの貢献を意識すること、そのためにパイプラインを作りゴールを意識することが大事だと気付くことができました。
ゲームで取り組んだようなデジタルマーケティングの全体像を理解している人はそう多くはありません。1日でここまで包括して学べる研修はなかなかなく、率直によくできた研修だと思いました。「シナリオが重要だ」「イベントをしたらフォローが重要だ」といったようなゲーム後にもらえる個別のフィードバックは、今後の業務に繋がると思います。
要望として、このゲームを1回で終わらせるのでなく、年に数回実施してレベルアップを計れるとよいと思います。「ゴールド」「シルバー」といったランクで自身のレベルアップを感じることができますし、このランクを社内資格認定として使えると意識付けにもなります。
また、コロナが収束したらオフラインの施策をゲームに取り入れるなど時流に応じたカード内容のバージョンアップと、当社で行っている実際の施策を取り入れた内容にできれば、より実務に反映しやすいと感じました。
PI山下
リードビジネスゲームの経験をこれからどう生かしていきますか。
村野氏
デジタルマーケティングの土台は当社でもそれなりにできてはいますが、営業側でMQLをフォローして案件・提案につなげるという意識合わせができていない部隊が多く、今後はきちんとビジネスに繋げることが目標です。
貝沼氏
大きな流れは間違っていませんでした。今後は狙ったリードをどのように集めるかが課題です。実際に取り組んでいる1つ1つの施策について、ゲームのカードに書いている数値ぐらいの「狙った成果」を出せるように注力していきたいです。広報、プロモーション部門にもぜひリードビジネスゲームを受けてほしいと思います。
加瀬氏
サービス営業推進本部では、デジタルマーケティングは「点ではなく線」という意識がもともとあり、ゲームを体験したことでその思いを強めることができました。しかし部署によってはメール配信で精いっぱいのところもあり、一足飛びに全社展開は難しいのも現状です。
濱田氏
上長にはぜひリードビジネスゲームに参加してほしいと思います。点ではなく線でとらえるようまわりの意識改革が必要ですが、成果がなければ部署内や社内での説得力が増しません。今後は小さな成功(=デジタル経由での受注)を少しでも多く上げていきたいと思います。
企業のマーケティング部門には、マーケティング経験値が高いマーケターだけではなく、新たに営業部門等から配属になりこれから新しく経験を積んでいく人など、様々な方がいると思います。そんなバラバラなマーケティング部門が同じ目標(方向)を見てマーケティング活動を実行するためには、メンバーの意識合わせがとても重要です。
今回受講いただいた日立製作所の皆様には、リードビジネスゲームを通じて、各メンバーがマーケティング施策のつながりを意識して動くこと、長期スパンで俯瞰して考えることの重要性を把握してもらえたと思います。
ゲーム内で体験したような、点になっていた施策を線に繋げる行動を、組織としても個人としても意識しながら今後の実務を進めてもらえると嬉しいです。そうすることで、BtoBマーケティング組織5世代モデルの「第三世代」より先へと進むことが可能になります。
リードビジネスゲーム実施日:2021年7月9日
開催場所:オンライン(Zoom)
参加人数:6名
所属部署:システム&サービスビジネス営業統括本部 サービス営業推進本部 営業企画部(4名)
産業・流通営業統括本部 営業企画本部 営業企画第二部(2名)
担当トレーナー:パワー・インタラクティブ 山下 智
インタビュー実施日:2021年7月30日
マーケティングコンサルタント
山下 智
マーケティング戦略策定
Webコーダー/Webデザイナーからキャリアをスタート。その後、Webディレクターとして数多くの企業サイトの企画~設計~制作を手掛ける。
2014年に自社へのMarketo導入の推進をきっかけに、マーケティングオートメーションを専門とするコンサルタントへキャリアチェンジ。
現在は、事業会社のマーケティングDXの支援や、データマネジメントの仕組みや組織体制づくり、人材育成まで、データを活用したマーケティングの幅広い伴走コンサルティングを得意とする。特に、製薬および医療機器メーカーの支援に強みを持つ。
無類のクラフトビール好き。 No Beer! No Life!
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