代表取締役 岡本 充智【文責】
新型コロナウィルス感染拡大は企業経営に想像を超える影響を与えた。この影響は何も悪いものだけではない。むしろこれを契機として、一気に企業変革に向けて取組んだ企業は数知れない。まさに、いま変革は音を立てて進行中である。
その変革を裏付ける予兆として、今年7月~8月にかけて実施された一般社団法人日本能率協会の「日本企業の経営課題2021」調査結果速報第1弾が手元にある。この中に5年後の経営課題は何かという問い掛けがある。20項目に及ぶ選択肢の中で、一択指定で10%以上選択されている項目が4項目ある。
●事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築
●CSR、CSV、事業を通じた社会課題の解決
●新製品・新サービス・新事業の開発
●人材の強化(採用・育成・多様化への対応)
※関連ナレッジ資料※
既存製品の提供価値を再定義するバリュープロポジションのつくり方 をダウンロード
出典: 「日本企業の経営課題2021」調査結果速報第1弾 P.3図1-3より抜粋
https://jma-news.com/wp-content/uploads/2021/09/993a35d6442c25b2b1109fcb3d11872a-1.pdf
これらの項目を見る限り、今までの延長線上に未来はなく、ダイナミックな事業創出や事業転換が求められている。新たな事業を発掘すべきであり、いかにしてそれを成し遂げられる体制や人材を構築していくかという事を企業経営者は思案していると言える。
そこで、オフサイトミーティングである。オフサイトミーティングとは、普段の職場や現場からあえて離れた場所でミーティングを行うこと。いわば、日常的な場から非日常的な環境に身を置くことで、新たな発想を生んだり、チーム内の交流を高めたり、仲間意識を強くしたりすることが狙いである。
パワー・インタラクティブは、秋の深まる10月末に経営メンバーとコンサルティングチームの総勢10名が東京と大阪から鎌倉に参集してオフサイトミーティングを行った。コロナ禍で実施が延び延びになっていたが、やっと開催できた。
ミーティングの中身はさておき、オフサイトミーティングは「どこでやるか」に尽きると痛感した。もちろん、「誰とやるか」「何をやるか」ということも大切な要素であるが、場所を間違えてしまうとすべてが台無しになってしまう。
今回は、お仕事でお付き合いのあった忽那敏章さんが経営しているKAMA-CROWDで開催させていただいた。忽那さんはNTTを皮切りに、ORACLE、Salesforce、Marketoなどを歴任されてきたデジタルマーケティングを知り尽くすプロフェッショナルである。この忽那さんがこれまでの経験値を集約させて産み出したのがこのKAMA-CROWDである。
今回、朝のディスカッションから夜のバーベキューまで浸りきったこのKAMA-CROWDを一言でまとめると、ここは「オフサイトミーティングのために生まれてきた場」であると感じた。そのことを通じて、オフサイトミーティングを実施する場所というのが、とても大きな意味を持っていることを再確認した。今回は、KAMA-CROWDという場から大きなエネルギーをいただいた。
今回のオフサイトミーティングを通じて、効果を上げるオフサイトミーティング的な内容を整理してみた。大きく五つほどのチェックポイントをあげる。
ミーティング設備については、高速WiFi、大きなミーティングテーブルあるいは可動式のテーブル、テーブルやデスクに付属したコンセントとUSB、大画面プロジェクター、壁面ホワイトボードなど。
コミュニケーション設備については、キッチンや冷蔵庫・電子レンジ・コーヒーメーカー・グラス・食器・調理道具など。
インテリアの快適さや採光、あるいは開放感のある室内など、参加者の気持ちをアクティブに仕向けてくれる室内空間は必須である。
一歩外に出れば、テラスやベランダが芝生があったり、海や山の自然に囲まれていることも捨てがたい。気分転換できる場があることもミーティングへの集中力を維持するのに欠かせない。
また、ディスカッションの後の親睦を深めるパーティーの食材やドリンクを調達できるスーパーやコンビニもあった方が望ましい。
また、参加者の集合のことを考えれば、駅からの徒歩圏内であることも意外と大切である。
KAMA-CROWDはこれらの条件がすべて満たされていて何一つ不自由を感じなかった。
普段の会議は、検討すべき議題もはっきりしていて、決定すべきことを速やかに関係各位に引き継ぐというものが多い。したがって、会議時間は短く、資料は見易く、論点を絞って議論するというように、言わば会議の生産性や効率を求める傾向にある。
オフサイトミーティングは、直近の課題ではないが、中長期的に見て重要なテーマを多角的に熟考し、話し合うのに適している。議論が脱線しても、その中からヒントが見えることもあるくらいの気持ちで取り掛かる方がよい。
グループワークやペアワークなどを組合わせて、自分の考えを開示しながら、多様な意見が出てくるような進め方が良いだろう。ホワイトボードやJamboardなどの親和図法ツールなどをフル活用したい。手を動かし、頭を動かし、口も動かすというような展開になればオフサイトミーティングは活気を持ちはじめる。そのためには、ファシリテータ役の存在が欠かせない。
今回は取締役・執行役員・部長・チームリーダーやメンバーと多彩な顔触れであった。お互いにリスペクトできていることが大切であり、職位に関わらず自由に発言できることもここまで挙げた各ポイントを活かすことにつながる。逆に言えば、このフラットな関係が維持できなければ、オフサイトミーティングは盛り上がらず徒労に終わるだろう。
最後に、オフサイトミーティングを通じて、企業の抱える未来に向けて解くべき課題をチームのメンバーと真正面から考えていくことが、まさに社員であるメンバーに対するエンゲージメントにつながることを書き添えておきたい。
代表取締役
岡本 充智
中期ビジョン策定支援
京都⼯芸繊維⼤学繊維学部卒業。株式会社アシックス⼊社。アスレチック部⾨の商品開発・販売促進を担当。新規ブランド⽴ち上げやブランドマネジャーを歴任。その後、住友ビジネスコンサルティング株式会社に転じ、マーケティング分野のコンサルタントとして戦略デザインの構築・実⾏⽀援に数多くの成果を上げる。1997年2⽉、株式会社パワー・インタラクティブ設⽴。代表取締役に就任。現在に⾄る。
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