全社でグロースXに取り組み、マーケティングを学び直した1年間
パワー・インタラクティブは、デジタルマーケティングのコンサルティング会社です。しかし、社員間で「マーケティング」の理解度や詳しい領域にバラツキがあり、共通言語が少なく本質的なマーケティングの議論ができないことがあるという問題を抱えていました。
より深く顧客の課題を理解し、課題解決に向けた提案ができるようになるためには、改めて「マーケティング」を学習し直す必要がありました。
2023年4月から1年間、マーケティングを中心とした人材育成サービス『グロースX』に全社を挙げて取り組みました。
本記事では、グロースXの研修実施を決めた遠藤にインタビューした内容をもとに、研修実施に至った背景、研修を通じて起こった変化や得た気付き、今後の展望をお伝えします。
インタビュイー
取締役/常務執行役員 遠藤 美加
インタビュアー
マーケティング推進室 コンテンツ編集長 岩野 航平
全社を挙げてマーケティングの学習に取り組んだ
2023年4月から1年間、『グロースX』と『共通言語ミーティング』に取り組みました。
マーケティング人材育成SaaS『グロースX』の概要
グロースXは、1日15分、スマホで手軽にマーケティングを学習できる人材育成SaaSです。2024年3月現在、500社2万人のユーザーに利用されています。
引用:公式サイト|グロースX30秒で分かる! グロースX
デジタルマーケティング、AI、DXなど、マーケターに必要な知識を体系化。1日15分で手軽に学習できる独自のチャットシステムと、学習進捗の分かるダッシュボードで、チーム全体のデジタルマーケティングスキルの底上げを実現します。
マーケティングは、基本的なマーケティングへの理解度や俯瞰した組織連動が成果に大きな影響を与える領域です。しかし、多くの企業はそういった学習カリキュラムを持っておらず、現場でのOJT(On The Job Training)に依存しています。
OJTでの学習は実務能力こそ身につけられるものの、実務で取り組む範囲外の知識を身につける機会が少なく、スキルに偏りが生じてしまいます。グロースXを用いてマーケティング全体の知識を得ることで、バランスの取れたマーケターを育成することができます。

出典:公式サイト|グロースX
共通言語ミーティングの概要
共通言語ミーティングはグロースXのカスタマーサクセス担当の森山氏に企画していただき、月1回実施した研修です。グロースXで前月に学習した内容に沿った課題が出題され、課題の実施内容を共有・議論していきます。
実施した課題の一例
テーマ:ファンマーケティング
1.ファンマーケティングの題材として適していると思う商品やサービスを自由に1つ選んでください
2.その商品/サービスについて、テンプレートに沿いながらファンマーケティングについて考えてください


図表1:共通言語ミーティングで出題された課題
グロースX研修実施を決めた遠藤へのインタビュー
「マーケティング」の理解度を揃えたい
グロースXを実施する前はどのような問題に悩んでいましたか?
遠藤:パワー・インタラクティブはデジタルマーケティングのコンサルティング会社でありながら、「マーケティング」に対する理解度にバラツキが出ていました。
Adobe Marketo EngageやGoogleアナリティクス4など、マーケティングのなかでの特定領域については各人が深く理解しています。しかし、それらの根底にある「マーケティング」に対する理解に偏りが出ていると感じていました。
パワー・インタラクティブは中途で入社しているメンバーが多く、それぞれ異なるキャリアを経たうえで働いています。そのため、経験している領域・理解している領域が人によって異なり、共通言語が少なくなっていました。それが議論の質にも影響しており、全社的な学習の機会をつくらなければと考えました。
そういった問題は突発的に生まれるものではないかと思いますが、このタイミングで研修を実施した理由はありますか?
遠藤:パワー・インタラクティブはこれまでBtoB企業のデジタルマーケティングを支援することが多かったですが、2023年度からBtoC企業の支援にも力を入れています。BtoC企業のマーケティング支援を強化するには、マーケティングの理解を深める必要があると考えました。そういった背景があり、2023年4月から研修を実施しました。
「全員の偏差値を60まで底上げする」というメッセージに共感した
「マーケティング」についての理解を深める方法は様々あると思いますが、そのなかでグロースXを選んだのはなぜですか?
遠藤:グロースXの津下本氏が「マーケティングを強化するためにはまず全員の偏差値を60くらいまで底上げし、共通言語のある均質な組織を作る必要がある」と発言しており、そのメッセージに共感したのがきっかけでした。
マーケティングについて本質的な議論をするには、全員がマーケティングについてある程度理解している必要があります。本来の「マーケティング」を理解していると、本筋に沿った話をしているのか、そうでない話をしているのかの判別がつくようになります。本筋に沿って議論できる力を身につけることで、顧客の課題を解決できる提案ができるようになるのだと考えています。
そのため、津下本氏のメッセージに感銘を受けたのを覚えています。
ほかにも導入を決めた理由はありますか?
遠藤:グロースXは1日15分、スマホで手軽にマーケティングの学習ができます。1日15分であれば通勤中やスキマ時間など、日常のなかのちょっとした時間で取り組めます。
マーケティングは日々進化し、一度学習すれば完結するようなものではありません。そのため、継続して学習し続ける必要があります。グロースXへの取り組みを通じて「マーケティングの理解を更新し続けるサイクル」を生み出したいと考え、導入を決めました。
得意な学習スタイルは人によって異なることを知れた
グロースXや共通言語ミーティングを通じて、気付いたことはありますか?
遠藤:グロースXの進め方にも、性格やスタンスが表れると感じました。
グロースXは全員の学習進捗を一目で確認できますが、早く進めているメンバーは毎月大体同じでした。あるメンバーは通勤時間に、別のメンバーはジムで自転車を漕いでいる時間に、習慣化して取り組んでいたと聞いています。
早く進めていたメンバーは元々時間をコントロールする力が高く、何事も後回しにしません。そういった日頃の姿勢は研修への取り組みにも表れていたと感じています。
また、意外な一面を知ったこともありました。
ミーティング形式の研修ではあまり前に出ないメンバーが、グロースXには熱心に取り組んでいました。理解しきれなかったところは繰り返し取り組み、理解できるまで学習していたようです。そのメンバーは共通言語ミーティングでも、普段よりも積極的に発言していました。
会議形式での学習が得意な人もいれば、マイペースでの学習が得意な人もいる。そのことに気付けたのは大きな収穫でした。今後の研修企画に活きる学びだと思います。
議論した内容を実務に落とし込む
2024年度以降、マーケティングの学習はどのように進めていく予定ですか?
遠藤:現時点では確定していませんが、何らかの形でマーケティングの学習は継続的に取り組みます。
2年前までは(代表の)岡本が「DX」をテーマに研修を実施していましたが、テーマを「マーケティング」として再度実施することも検討しています。また、グロースXで実施した『eラーニング + 議論』という学習スタイルも確立したいと考えています。インプットする場とアウトプットする場を両方持つことで、理解がより深まると考えているからです。
グロースXと共通言語ミーティングに取り組むなかで反省していることはありますか?
遠藤:共通言語ミーティングでは前月の学習内容と自社事業を結びつけるような課題を実施し、議論していました。しかし、その内容を実務に繋げられなかったことは反省しています。
研修として議論したことをそのまま実務で実行するというのは難しく、別途マーケティングチームで議論し、実行に落とし込むプロセスが必要です。その時間を確保できず、実行まで繋げられなかったのは悔いが残ります。
2024年度以降は研修として議論した内容を実務に落とし込めるよう模索して良ければと思います。
パワー・インタラクティブは学び続ける
2023年度は1年間、グロースXと共通言語ミーティングを通じてマーケティングの学習を進めてきました。「自分たちはもうわかっている」と慢心することなく、日々学習し続けることこそがコンサルティング会社としての価値を高める原動力になります。
2024年度も形は変われど、マーケティングの学習を続けていきます。マーケティングについて悩みを抱えている方は、パワー・インタラクティブまでご相談ください。

コンテンツ編集長
岩野 航平
コンテンツ戦略策定
新卒で株式会社ネオキャリアに入社し、新規オウンドメディアの立ち上げに従事。ネオキャリアを退職し、数カ月間飲食店で働いた後、パワー・インタラクティブに入社。マーケティング、インサイドセールスを担当したのち、コンテンツ編集長に就任。パワー・インタラクティブで発信するコンテンツ全般の企画やコンテンツ計画策定などをおこなう。