コラム

BtoBマーケティングを成功に導くKPI設計とPDCA

代表取締役 岡本 充智【文責】

Webを営業活動に取り入れることは、ここ数年で飛躍的に浸透してきている。その中で、KPIの重要性は日に日に高まってきている。

KPIとは、キー・パフォーマンス・インジケータ。つまり「重要な成果を表示する指標」である。例えば、受注件数を目標とするならば、受注につながるような問合せ、問合せにつながるような資料ダウンロード、資料ダウンロードにつながるようなコンテンツ閲覧がそれぞれKPIになる訳である。

では、BtoBビジネスにおけるKPIの目的はどこにあるのだろうか。大きく三つあると考える。

BtoBビジネスにおけるKPIの目的

一つは、Webそのもののパフォーマンスを把握するためである。測定できないものは管理できない。管理をマネジメントと置き換えても良いだろう。ここでは、Webによる集客効果やコンテンツ施策が効果的かどうかを把握することである。

二つ目に、マーケティング戦略の正しい意思決定のためである。自社のマーケティング戦略の進捗状況をKPIを通してウォッチして、それぞれのKPIの結果とそこに至る原因の関係を見極めて、目標達成に向けての意思決定を行うことである。従来、マーケティング戦略の是非を評価するものは最終的な目標の達成状況でしか把握できなかった。Webは逐次、数値による検証ができるので、軌道修正も確信をもって実行できるようになった。

三つ目は、個別管理ではなく総合的なマーケティング管理を行うためである。マーケティングの権威であるフリップ・コトラーによれば、「経営とはマーケティングそのものである。経営と言う単語は、英語でマネジメントと訳される。しかし、これからはマーケティングと訳す時代がやってくるのではないか。」すでにマーケティング戦略は全社戦略であると言える。全社戦略に基づいたマーケティングを行うためには、Web限り、営業限りのKPIではなく、Webと営業がシナジー効果の発揮できる指標すなわちKPIを持たなければならない。

このようにKPIはマーケティング活動の行動指標となり、数値に変化があれば行動に移すことのできる表示板の役割である。では、KPIをどのように設計し実行し検証し改善していくのか。次の図を見ていただきたい。

図のポイントは二つ。

一つは、KPI設計において、マーケティング戦略の成功要因を無視することはできないということである。成功要因は社内の経営資源の変化や行動変化による内部環境と、法規制や競合の動き・サプライヤーや顧客の変化などによる外部環境によって導かれる。この成功要因から重要とする指標であるKPIを設計するのである。

二つ目は、KPIの設計においては、Web上のオンラインプロセスとリアルな営業プロセスの双方が関係性を持つように企図することである。そして、KPI設計を計画と位置付けて、定期的にデータ測定を行い、変化した数値についてなぜそのような結果になったのかと言う原因を分析し改善策を講じるのである。このPDCAを迅速にかつ実感のある様に回していくことがこれからの営業支援部門あるいはマーケティング部門に課せられた役割である。

岡本 充智

代表取締役

岡本 充智

中期ビジョン策定支援

京都⼯芸繊維⼤学繊維学部卒業。株式会社アシックス⼊社。アスレチック部⾨の商品開発・販売促進を担当。新規ブランド⽴ち上げやブランドマネジャーを歴任。その後、住友ビジネスコンサルティング株式会社に転じ、マーケティング分野のコンサルタントとして戦略デザインの構築・実⾏⽀援に数多くの成果を上げる。1997年2⽉、株式会社パワー・インタラクティブ設⽴。代表取締役に就任。現在に⾄る。

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