セミナーレポート

【ヘルスケア業界向け】Adobe Marketo Engageを軸としたデジタルマーケティング推進

コロナ禍でデジタル化が加速するなか、ヘルスケア業界の各社はデジタルマーケティング推進に力を入れている。ヘルスケア業界は法律による制約が多いため、幅広い要望に対応できるマーケティングオートメーション(MA)ツール『Adobe Marketo Engage(以下、Marketo)』を利用することが多い。

当社はこれまで、数多くのヘルスケア企業のMarketo活用を支援してきた。そのなかで、デジタルマーケティング推進の形は各社ともに近しいものがあることがわかった。

2022年12月14日、ヘルスケア業界向けにMarketoを軸としたデジタルマーケティングの推進方法を解説するセミナーを開催した。講師はマーケティングコンサルタントの山下。本コラムでは、当セミナーの内容をまとめている。

ヘルスケア業界のデジタルマーケティング

図1:ヘルスケア業界におけるMarketoを活用したデジタルマーケティング

Marketoを活用したデジタルマーケティングでは、匿名・見込み客・商談客・顧客というようにプロセスを定義し、各プロセスで重要な役割を担う人をターゲットとして指定する。そのターゲットとどのようにコミュニケーションを取るかを考えて施策を立案していくことになる。

ターゲットに対して様々な施策を実施するには、Marketo上にデータを集約する必要がある。ウェビナー参加状況やCRM、会員データ、医師データ、アプリデータなどをMarketoに集約すると、パーソナライズされた施策を実行できるようになる。

現状の課題

ヘルスケア業界のマーケティング課題は以下の3つに分けられる。

 ●営業活動の量と質が低下
 ●ターゲットと適切なコミュニケーションが取れていない
 ●様々なデータを連携・活用できていない

ここでは、製薬業界を例にそれぞれの課題について説明する。

■課題1:営業活動の量と質が低下
業界全体で営業数が減少傾向にある。特に製薬系では近年MRの数が大幅に減少しているのに合わせて、訪問規制もあり営業活動量が大幅に減少している。

これらを背景にデジタルの活用が求められており、MRにはメール活用やウェビナーへの集客、CRMへの入力など、デジタル活用も求められている。

■課題2:ターゲットと適切なコミュニケーションが取れていない
MRが訪問していても医療従事者の興味関心を推測できず、同じような情報提供を続けてしまっている。また、コンテンツ公開負荷が高いことから同じ情報を届け過ぎてしまい、飽きられてしまうといった問題も生じている。

加えて、各社デジタルマーケティングを推進していることで医療従事者のもとへ大量のメールが届くようになった。興味関心に合わないコンテンツを届け続けてしまうと、かえって配信停止のリスクを高めてしまうこともある。

■課題3:様々なデータを連携・活用できていない
会員サイトや外部医師データを取り入れ、データ量はあるものの統合出来ていない企業が多い。データの紐づけに手作業が発生し、活用しきれない現状がある。

MRが入力する内容も定性的で、マーケティングに活用できない。CRMとMarketoを連携できておらず、送客が手動になっている。

このように、データ連携に課題があり、活用できずに行き詰っている企業も多い。

今後の展望と推進のポイント

これまでヘルスケア業界におけるデジタルマーケティングは、認知〜獲得を増やす動きが中心だった。しかしこれからは、全社を動かす働きが求められる。そのため、『販売プロセス』『チャネル』『業務内容』『社内立ち位置』『必要なツール』が大きく変化する。

図2:ヘルスケア業界でのデジタルマーケティングのこれまでとこれから

デジタルマーケティングの影響範囲を広げるためには、中長期での計画を作ることが重要だ。ステップに分けて「次に何をすべきか」「何をゴールとすべきか」を考え、図に落とし込んでいく。

図3:ヘルスケア業界におけるMarketo活用イメージの例

デジタルマーケティング推進のポイント

デジタルマーケティングを円滑に推進するうえで、以下3つを整理しておくことが重要だ。

 ●目標設定
 ●スケジュール設定
 ●ターゲット設定

ポイント①:目標設定

目標を設定する際、マーケティング部内だけで完結させてしまうと上層部の理解を得られないリスクがある。マーケティング目標を設定するときは、全社目標と紐づけて設定するのが良い。

また、目標は短期と中長期で分けて設定するのが望ましい。中長期的に実現したい目標を設定し、それを実現するための短期目標を設定する。

図4:中長期と短期に分けたマーケティング目標の例

ポイント②:スケジュール設定

Marketo導入における方針を確認し、プロジェクト推進のスケジュールを設定する。

スケジュールを設定するうえで、『テーマ』を立てることが重要だ。四半期ごとに区切ってそれぞれテーマを設定し、施策実行のスケジュールを立てる。実行する施策が決まれば、連携すべき部門も見えてくる。
『テーマ』『実行する施策』『連携すべき部門』まで明確にできれば、具体的なスケジュールに落とし込める。

図5:Marketo導入スケジュールの例

ポイント③:ターゲット設定

デジタルマーケティングにおけるターゲットを決めるには、まずセグメントする必要がある。

マーケティング部のリソースには限りがある。限りあるリソースを有効活用するために、特定のセグメントに絞ってマーケティング施策を展開する。
全社方針ですでにターゲットが決まっているのであればそれに従うべきだが、特にない場合は一度セグメントして考えてみてほしい。

図6:セグメント像の例

注力するセグメントが決まったら、さらに細分化してターゲットを設定する。「どのターゲットに」「どの製品を」訴求していくのか決めておくと、効率的にマーケティング施策を実施できる。

デジタルマーケティング推進を成功させる条件

デジタルマーケティング推進を成功させるために、以下3つの条件をクリアする必要がある。

 ●推進体制を整備する
 ●必要なスキルセットを揃える
 ●他部門を巻き込む

条件①:推進体制を整備する

Marketoを導入する際は少人数で始めることが多いが、『考える人』と『操作する人』は分けた方が良い。様々なマーケティング施策を実行するために手を動かしながら、さらなる活用を思案する力を残すのはなかなか難しい。現状の施策を回すことで手いっぱいになってしまうケースが多く見受けられる。
『考える人』と『操作する人』を分けておけば、このような課題は解消できる。

また、デジタルマーケティングを推進するうえで他部門連携も欠かせない。
インサイドセールス部門、セールス部門、商品開発部門、システム部門と密に連携できる体制を取ると良いだろう。

※組織体制図をまとめたスライドあり※
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条件②:必要なスキルセットを揃える

Marketo導入時には、広いスキルが求められる。マーケティング責任者だけで全てを担うのではなく、チームメンバーとそれぞれ役割分担し、必要なスキルセットを揃えていくのが良いだろう。

図7:導入フェーズで必要なスキルセットの例

条件③:他部門を巻き込む

デジタルマーケティングを推進していくうえで、他部門との連携は不可欠である。しかし、部門間の溝が深まってしまっている企業も多い。

部門間でのコミュニケーションが不足していると、予算確保や追加開発がおこなえなかったり、マーケが育成したリードをフォローしてもらえなかったりといった問題が生じる。そのような状況では、デジタルマーケティング推進は計画通りにいかないだろう。

部門間のコミュニケーションを活性化させるために、以下のような対策をすると良い。

Marketo導入段階から他部門の部長クラスを巻き込む
3カ月、6カ月単位で全体進捗共有会をおこなう
営業や製品担当からマーケティング活動へのフィードバックをしてもらう
他部門が求めていることを積極的にヒアリングする
社内と外部の架け橋となり、各パートナーやベンダーと連携しやすい状態を作る
デジタルマーケティングを進めるために、社内コミュニケーションの潤滑油となる姿勢が重要だ。

※セミナー内容がより詳細にわかる※
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Marketo支援サービスの紹介

弊社はヘルスケア業界向けに、Marketo活用支援サービスを提供しています。

図8:パワー・インタラクティブのMarketo支援サービス

Marketo導入/活用のコンサルティング、データの集約&可視化、運用代行など様々な形でサポートしています。Marketo運用でお悩みの方は、パワー・インタラクティブまでご相談ください。

山下 智

マーケティングコンサルタント

山下 智

マーケティング戦略策定

Webコーダー/デザイナーを経て、Webディレクターとして数多くの企業サイトの企画~設計~制作を手掛ける。
2014年には自社へのMarketo導入を推進、短期間で運用を軌道に載せる。その後、Adobe Marketo Engageのパートナーとして70社以上のMarketo Engage支援を担当。
BtoBはもちろんBtoCまで、幅広い経験値をもつ。
最近はMarketo Engageだけでなく多様なマーテクの活用支援、より難易度の高いテーマを担当している。
無類のクラフトビール好き。 No Beer! No Life!

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