事例

京都リサーチパーク株式会社 新事業立ち上げ時のテストマーケティングを伴走支援、デジタルマーケティングの内製化を実現

京都リサーチパーク株式会社 新事業立ち上げ時のテストマーケティングを伴走支援、デジタルマーケティングの内製化を実現

京都リサーチパーク株式会社 新事業開発部
ターンキーラボ事業チーム マネジャー
小倉 森樹 氏

京都リサーチパーク株式会社が運営する「ターンキーラボ健都」は、北大阪健康医療都市(通称:健都)内に2022年4月1日にオープンしました。必要最低限のバイオ系実験機器や設備が整備されており、すぐにP2/BSL2(*1)レベルの実験を始められるシェアラボです。スタッフが常駐し、日常業務と研究のサポートも行います。時間単位で気軽に利用できるシェアラボは国内初(*2)です。

ターンキーラボ健都は、京都リサーチパークの新事業としてテストマーケティングを経て立ち上げられました。パワー・インタラクティブでは、当事業の準備段階から3年間にわたってマーケティング全般を支援してきました。

本稿では、京都リサーチパーク株式会社の新事業開発部に所属する小倉 森樹氏に、ターンキーラボ健都がオープンするまでの取り組みについてうかがいました。

*1: Pは「Physical containment(物理的封じ込め)」の略であり、遺伝子組み換え生物が外部に流出しないようにするための設備基準。P2は生物学で一般的に用いられる遺伝子組み換え生物を扱える区分のことを指します。BSLは「Biosafety level」の略であり、細菌・ウイルス等の微生物・病原体等を取り扱う実験室の分類。 BSL2はヒトまたは動物に病原性を有するが、実験室その他の職員等、家畜等に対し、重要な災害となる可能性が低いものを扱える分類レベルのことを指します。
*2:2022年2月8日現在(京都リサーチパーク株式会社調べ)

少人数体制で進めた新事業立ち上げ

ターンキーラボ健都の立ち上げにおける小倉さんの役割と体制を教えてください。

私は現在マネジャー兼マーケティング担当を務めており、ターンキーラボ健都の立ち上げ時から携わっています。チームは少人数体制で、マーケティング担当は私1名、他に営業や実験安全管理、建築、イベント、PRなどの担当がそれぞれいて、オープン前後は7名体制で進めてきました。

ターンキーラボの構想自体は長期的に検討され、2019年4月に「TurnkeyLabEGG」というスモールサイズでの実証実験が始まりました。2020年4月には「TurnkeyLabEGG」を使って本格的にテストマーケティングを始めました。テストマーケティングの本格稼働前にマーケティングのパートナーを探そうという話になり、2020年2月から御社にサポートをお願いすることになりました。

マーケティングパートナーの選定においては、3社にお声がけしましたが、御社を選んだ決め手は、踏み込んだマーケティング活動の提案があった点です。当初、TurnkeyLabEGGのテストマーケティングは、LPを作って広告を打つくらいの想定でしたが、御社からハウスリストの活用やマーケティングオートメーション(以下MA)導入の提案があり、社内でも広告以外の施策が必要だという認識になりました。

少人数体制で進めた新事業立ち上げ

LPと広告で新規リード獲得を開始するが苦戦

テストマーケティングの具体的取り組みを教えてください。

まず、御社に2020年3月以降のマーケティング計画を策定いただきました。当初の計画では、2020年4月にTurnkeyLabEGGのLPを公開する予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が発令されてしまい、LP公開は7月に、リスティング広告は8月からスタートとなりました。

このときに、並行してMAも導入しました。当初の予定では、MAの導入は年度の計画には入っていませんでしたが、どうせやるならLPと同時にやろうと話が進んだのです。8月中旬にMAを導入し、LPのフォームをMAで作成、それ以降MAを軸にマーケティング施策を進めています。

MAの選定においては、最初はターンキーラボ事業で導入するものの将来的には全社で利用することを想定し、汎用性が最も高いと判断したAdobe Marketo Engage(以下Marketo)に決めました。ターンキーラボのマーケティング計画を一緒に策定し、弊社がやりたいことを把握している御社から薦められたことも要因の一つです。

LPを立ち上げたころはリードが0件だったので、リスティング広告やFacebook広告でリードを増やすための施策を始めました。リスティング広告は、キーワードの検索件数が少ないためLPへのアクセス数も少ない状況でした。一方、Facebook広告ではアクセス量は確保できたのですが、研究関係者以外がほとんどで、ターゲットの確保は難しいという結果でした。

リード獲得に苦戦する一方、LPのフォームをMarketoで作ったので、資料ダウンロードや問い合わせのCV(コンバージョン)に至った人の行動を細かくチェックしました。ニッチなサービスの為CV数は多くなく、Marketoで1件ずつ行動履歴を確認して、レンタルラボにはどういったニーズがあるのか、何かヒントがないか探していました。

LPと広告で新規リード獲得を開始するが苦戦

MarketoとCRMを連携し、ステージ遷移の把握を自動化

2021年4月~6月にかけてMarketoのリードステージを設定しました。さらに、夏ごろにはCRMとして「kintone」を導入しました。それまではエクセルで問い合わせの応対履歴を管理していましたが、お客様との交渉が進んで応対履歴を変えたときに、Marketo側のステージを手動で直さなくてはいけません。それは大変なので、CRMを導入しようとなりました。kintoneとMarketoを連携させたことで、手動でステージを変更するという無駄な作業がなくなりました。担当1人分の作業工数が削減できたと思います。

「オンライン説明会」と「内覧会」で営業貢献

営業に貢献する施策はとられているのですか?

ターンキーラボ健都のオープンは2022年4月ですが、オープン前の2021年11月から「オンライン説明会」(定員30名)を月1回実施しており、現在はオンデマンド配信を行っています。オンライン説明会はMarketoで運用し、集客は既存リードへのメール案内とFB広告が中心です。

ターンキーラボ健都オープン後はオフラインの「内覧会」(定員6組)を月1回開催しています。遠方の方や、まだ内覧は希望しない方には、一旦オンライン説明会にご参加いただき、内覧会にご来場いただくケースもあります。LPやダウンロード資料などのオンラインと、オフラインの説明の機会をシームレスにタイミングよくご案内し、その後営業担当がスピーディーにフォローすることで契約獲得が実現しています。

ターンキーラボ健都のオープン後は、Marketoを使って、ターンキーラボ健都の契約者分析を始めました。契約済みの方や契約手前の商談まで進んだ方を分析し、よく閲覧されているコンテンツをお客様へ案内するようシナリオを見直しました。現在も引き続きお客様のニーズにあわせた情報提供に取り組んでいます。

パワー・インタラクティブと共にテストマーケティングのPDCAが回せた

今回の新事業立ち上げにおいて、パワー・インタラクティブはどのような貢献ができたのでしょうか?

Webサイトの制作や広告、MAの導入など、新事業立ち上げのマーケティングに関して全面的にサポートいただきました。新事業を進める上で正解がなく試行錯誤を続ける中、御社へ相談や議論ができたことは大変ありがたかったです。

特にメンバー全員が参加する月2回の定例ミーティングとは別に、週1回30分間、担当コンサルタントの久道さんと1on1ミーティングが実施できたことがよかったです。現場の悩みやMarketo操作の質問など、定例ミーティングでは議題にできないことを含め何でも相談できる場があり、助かりました。

施策が効果的かどうか分からない中、仮説を提示してもらい、検証と対策を続けながらPDCAをうまく回すことができたと思います。御社には、苦しい時期を一緒に乗り越えてもらいました。

今期から自社のみで進めていくことになりますが、今後はオフラインの施策を強化しようと考えています。オフライン施策はまだ伸びしろがあると見ています。御社に牽引してもらったオンライン施策同様、試行錯誤を繰り返しながら進めていきたいと思います。

パワー・インタラクティブと共にテストマーケティングのPDCAが回せた

プロフィール

小倉 森樹 氏
京都リサーチパーク株式会社 新事業開発部
ターンキーラボ事業チーム マネジャー

金融機関にて10年間勤務の後、2019年京都リサーチパーク株式会社に転職。入社後はターンキーラボのマーケティング及び契約・予算管理等を担当。各種デジタル施策の検討・運用やMarketoやKintone(CRM)の新規導入・運用を行っている。

担当コンサルタントの声

新規事業立ち上げの初期段階からプロジェクトに携わった3年間はあっという間でした。ターゲットをどう設定するのか、サービスに対しどういったメッセージングをしていくのかなど、何もないところから一緒に考えた時期が懐かしいです。ターゲットへの施策を実施し、検証することでいろいろな気付きがありました。良い結果が出ることもあれば、想定しえない結果になることもありましたが、仮説、検証、見直しのプロセスを愚直に続けたことが今の結果につながっていると感じています。
小倉様の推進力で、少人数ながら各種多様な施策を展開し、それを社内に浸透させ自走するに至りました。プロジェクトで培ったノウハウが、ターンキーラボ健都の更なる案件獲得につながることを楽しみにしています。

インタビュー実施日:2023年4月17日

久道 真之介

コンサルティング第1部 部長

久道 真之介

マーケティング戦略策定

通信会社で法人向けの営業を8年経験。その後起業を経験し、2010年にパワー・インタラクティブに入社。Webサイト制作のディレクションからリスティングの運用、アクセスログの分析など現場での業務を経験し、現在はマーケティングコンサルタントとして、BtoB・BtoCのデジタルマーケティングの戦略立案から伴走支援までを行う。

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