学校を運営する教育事業会社であるB社は、春入学と秋入学に向けた新規入学者獲得プロモーションをインターネット上で行っている。担当部署の広報部では、上長1名のもと、ネット広告、メール配信、ウェブサイト、オンライン説明会の各施策に1名ずつ、計4名の担当者が入学者数を増やすために日々取り組んでいる。
毎月の経営会議に向け広報部では、入学者数と広告費用はもちろん、各担当者に課せられたKPIの進捗を報告すべくレポート作成に追われていた。しかしながら
・各担当者が作成・管理するExcelレポートが別々にあり、レポートが複数存在している
・MAやGoogleAnalyticsなどのツールから手作業でデータを貼り付けてレポートを作成している
という状態が続いており、レポート作成の負荷が課題となっていた。
レポート作成にかかる工数を削減、さらには各レポートを統合し、各施策のKPIと、入学者数や広告費用まで一気通貫で見通したいというニーズは明確だったものの、B社ではデータの有効な統合方法がわからずにいた。
複数の広告代理店がネット広告に関わっており、異なるフォーマットでレポートが提出されることもネックになっていた。ネット広告担当者には、各代理店から提出されるレポートを転記する作業が発生していたからだ。
このようにレポートの作成・統合に時間がかかることから、経営ボードが各施策の結果を知るのは月1回の経営会議のタイミングであり、リアルタイムで知ることはできなかった。
既存で運用中のレポートと、作成したいダッシュボードのイメージをベースに画面の仕様を整理した。ダッシュボードのイメージについては、パワー・インタラクティブからいくつかの素案を提示し、それを元にイメージを明確化した。画面のモックアップを作成し、どのデータをダッシュボードのどこに表示するのか、また絞り込みの条件や前年比の求め方などを確定した。
MAやGoogleAnalytics、各広告代理店からのネット広告データなどを要件に沿った形で連携・統合するため、データソースの仕様を確認し、実現性の確認とデータ設計を行った。広告代理店からのデータは、入力形式を固めた上で代理店にて入力してもらう形にした。
データ設計においてはパワー・インタラクティブの経験が活きた。ダッシュボード作成後の仕様変更に柔軟に対応できる設計を心掛けており、実際にダッシュボードの利用開始後の改修依頼にもスムーズに対応できた。
画面仕様とデータ設計をふまえ、Googleデータポータルを使い以下のダッシュボードを作成した。 ・サマリー=MAやGoogleAnalyticsなどツールの主要項目を集約 ・ネット広告=目標値と今期、前年の実績を代理店ごとに集約、日次でコンバージョンを把握 ・ウェブサイト=流入チャネル×ランディングページ別の資料請求状況の把握 ・オンライン説明会=募集実績、経由ルート別、年代別の実績の把握 ・メール配信=資料請求者への配信状況やオンライン説明会への誘導結果の把握 ダッシュボードについてはその後、改修を重ね精度を高めるとともに、KPI変更への対応、ウェブサイトの構造変更への対応にもスピード感を持って対応できている。
マーケティングダッシュボードの構築により、各担当者がExcelで管理していたレポートの作成作業がゼロになり、月1回の経営会議に向けて取りまとめていたレポートも日次や週次で見ることができるようになった。各担当者は本来取り組むべき入学者数増加に向けた施策に集中することができるようになり、どこにボトルネックがあるかを突き詰めて改善するというPDCAを回すことができている。
2024.07.05
2024.06.28
2023.11.24