マーケティングにおけるデータ分断が引き起こす課題

教育業界に属するBtoC企業では、マーケティングオートメーション(Marketo)ツールとWebサイトのアクセスデータ(Googleアナリティクス)を活用していましたが、いくつかの課題に直面していました。

1.データの分断
GoogleアナリティクスとMarketoのデータが別々のシステムで管理されており、全体像を把握することが難しい状況でした。

2.レポート作成の負担
日次でのデータ確認やレポート作成には多大な工数がかかり、特にMarketoのデータは月に一度CSV形式でダウンロード・加工・アップロードするという手間が発生していました。

3.意思決定の遅延
データを迅速に分析・共有できないことで、マーケティング施策の効果測定や改善が遅れ、迅速な意思決定を妨げていました。

データ基盤構築による課題解決のアプローチ

この企業に対し、以下の施策を通じて課題解決を図りました。

1.データ基盤の構築
ETLツール(CData)を活用し、MarketoのデータをGoogle BigQueryに自動連携。データは日次でバッチ処理され、個人情報を除いた形で統合的に管理できる仕組みを構築しました。これにより、従来手作業で行っていたデータ処理を完全に自動化しました。

2.データマートとダッシュボードの構築
経営層やマネージャー層、現場担当者がそれぞれの視点で必要な情報を即座に把握できるよう、BigQueryに蓄積されたデータを基にデータマートを設計。Google データポータルを活用して、視覚的で操作しやすいダッシュボードを構築しました。

3.モニタリングと改善の仕組みの提供
定期的なダッシュボードモニタリングを通じて、施策の効果をリアルタイムに把握。データに基づいた施策の改善を迅速に行う仕組みを整えました。

4.データの一貫性と品質の向上
データ入力ルールやクレンジングポリシーを導入し、組織全体でのデータガバナンスを推進。これにより、データの品質と信頼性を向上させました。

マーケティングの効率化と収益向上への成果

これらの施策により、以下の成果を達成しました。

・レポート作成の効率化
Marketoのエクスポートや加工が不要になり、レポート作成にかかる工数が大幅に削減されました。

・リアルタイムなデータ活用
従来は月次でしか確認できなかったデータを日次でモニタリングできるようになり、マーケティング施策の迅速な改善が可能になりました。

・データドリブンな意思決定の加速
経営層はダッシュボードを通じてマーケティング活動の収益への貢献度を把握し、データを基にした意思決定を迅速に行えるようになりました。

データ基盤を活用した次のマーケティング施策

このプロジェクトを通じて構築されたデータ基盤は、企業のマーケティング活動を効率化するだけでなく、さらなる成長を支える基盤となっています。今後の展望として、以下の取り組みが期待されています。

1.データ分析の高度化
構築されたデータ基盤を活用し、顧客セグメントごとの行動分析や施策のROI分析を進めることで、より精度の高いマーケティング施策の立案が可能になります。

2.全社的なデータドリブン文化の定着
データの透明性が向上したことを活かし、経営層から現場担当者までが一貫したデータ活用を実現し、部門間の連携を強化していくことが重要視されています。

3.施策改善のスピードアップ
ダッシュボードを活用したリアルタイムなモニタリングにより、日々のデータを基に迅速にPDCAサイクルを回す仕組みが継続的に強化される予定です。

4.新たなマーケティング施策への展開
データ基盤を活用し、顧客体験の向上を目指したパーソナライズ施策やクロスチャネル戦略の構築など、新たな取り組みが期待されています。

このように、データ基盤は単なる効率化ツールにとどまらず、企業のマーケティング活動全体を進化させるための原動力となっています。

マーケティングデータの可視化と統合支援ならパワー・インタラクティブへ

この事例は、パワー・インタラクティブの「マーケティング・データマネジメント推進支援サービス」の一例です。本サービスでは、クライアントのデータ統合や可視化を支援し、マーケティング活動の成果を最大化する環境を提供します。

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マーケティング・データマネジメント推進支援サービス
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担当コンサルタントの声

今回のプロジェクトでは、短期間でデータ基盤を構築するだけでなく、効率的なデータ運用体制の整備に成功しました。これにより、お客様は施策の改善スピードを大幅に向上させることができました。特に、経営層がマーケティングの成果を直接把握できるようになったことで、次の投資判断がスムーズになり、部門間の連携も強化されました。

また、BigQueryに蓄積されたデータはまだ多くの可能性を秘めています。今後は、これらのデータを活用して、さらなるパフォーマンス向上を目指す分析支援を行っていきます。たとえば、顧客セグメントごとのパフォーマンス比較や、施策のROI分析などに取り組む予定です。お客様がデータドリブンな文化を社内に根付かせられるよう、引き続き伴走していきたいと考えています。

八木 耕祐

マーケティングデータアナリスト

八木 耕祐

Web行動履歴やアプリデータによる顧客行動分析

アナリストとして、50社のアクセスログ分析に携わる。現在は、データ設計、データマート構築などの基盤づくりから、ダッシュボード作成、分析まで、データ活用を極めている。セミナー登壇は50回以上、満足度90%以上のセミナーも多数。
リモートワークになり、海の近くでマリンスポーツをエンジョイ中。

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