セミナーレポート

営業専任ゼロで新規商談を創出する「インサイドセールス × マーケティングオートメーション(MA)」の活用法

MAツールの効果を最大化するにはインサイドセールスが不可欠であり、インサイドセールスの業務効果を上げるにはMAツールが必須です。2018年12月13日に、セミナー「MA×インサイドセールスの実践で見えてきた!デジタル営業の極意」を開催しました。第1部では、パワー・インタラクティブの例も紹介しながら、MAとインサイドセールスを有効活用して商談を生み出す成功ポイントをお話しました。

2部  マルケト社に学ぶ「インサイドセールス組織の作り方」
3部 セミナーレポート「"インサイドセールス×マーケティングオートメーション"だからできること(対談)」

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インサイドセールスは従来の営業職と何が違うのか?

営業活動は、「インサイドセールス」と「フィールドセールス」の大きく2つに、分けることができます。フィールドセールスが従来からの手法である外勤営業、これに対し、インサイドセールスは直接対面することなく、電話やメールなどのコミュニケーションを軸に顧客にアプローチする営業手法です。原則、訪問はしないため、顧客の顔が直接見えない状態で接します。データに基づいて、そのニーズを深く理解し、適切なコミュニケーションを積み重ねることが重要な役割となります。

また、リードによって、サービスを必要とする時期が異なるため、中長期的に「育成する」視点が必要です。マーケティング部門が、不特定多数もしくは特定のターゲット層に向けてセミナーや自社コンテンツなどに誘導し、リードを広く大量に収集しながらニーズの萌芽を促す業務とすると、インサイドセールスはニーズが萌芽したリードに対し、メールや電話などを使って情報を提供しながら、ニーズを熟成させていく役割があります。育てるだけでなく、リードとコミュニケーションを取りながら商談成約確度を判別し、フィールドセールスにパスする役割も担います。

では、インサイドセールスはどのようにしてリードを育成し、成約確度を上げていくのでしょうか。ここで力を発揮するのがMAです。

インサイドセールスにとって重要なMAの4機能

インサイドセールスの活動は、3段階の活動に分けることができます。

第一段階
獲得したリードに対し、基礎情報の収集や現状を把握する
第二段階
リードの課題・ニーズの把握と、その解決に合致する自社商品・サービスを見極める
第三段階
ニーズの成熟度とフィールドセールスへのパスを見極める
第一段階は、顔の見えない相手に対し、まずはリードに関するデータを収集します。Webサイトに掲載されている企業情報や商品・サービス情報はもちろん、自社のSFA・CRMの履歴等、様々なデータを参考に、「この企業にはどういう課題があるか」「いまコミュニケーションしているこの人は、社内でどのような立場の人か」「いつごろ商品を購入/導入する予定なのか」などの仮説を立てます。その仮説を電話やメールを通じて検証していくことで、リードの状況を把握していきます。特に、MAに蓄積されるリードの行動履歴は、時系列にリードの関心分野や関心度を図ることができ、インサイドセールスの仮説づくりには欠かせません。

第二段階では、電話やメールでリードの課題を把握し、さらにその課題に対し自社のどの商品・サービスが解決できるかを見極め、第三段階で営業にパスするべきかを判断します。

実際に弊社が実行しているノウハウを交えて、以下MAの4つの機能の具体的な活用法をご紹介します。


1. フォーム

リード獲得のチャネルは、イベントやWebサイト等、複数あります。Webサイトでは資料請求やセミナーの申し込み時に、フォームに必要な情報を入力してもらいます。フォームの入力内容は、リード情報としてデータベースに蓄積されます。リード育成に必要な情報を収集する上で、フォーム設計は重要です。

フォーム設計では、「欲しいリード情報」と「入力する側の負荷」の2点をふまえる必要があります。入力する側の負荷を考えると、入力項目数は必要最低限に抑え、入力内容もできるだけ選択形式にするのが望ましいです。入力行為が面倒だと入力完了前に離脱されてしまいます。フォームの各項目は、次のアクションにどう活かすかを考えながら設計します。使い道のない項目は、入力側に負担をかけるだけなので、できるだけ削除します。例えば、BANT情報は営業上欲しい情報ですが、インサイドセールスで収集するということをあらかじめ決めておけば、フォームで聞く必要はなくなります。

2. 行動履歴

MAツールでは、お客様のメールやWebサイトの閲覧履歴を個々に確認できます。メールの開封状況率はもちろん、開封後(もしくは電話終了後)に、自社サイトにアクセスしてくれたのか、どのページをたどってどんな情報を閲覧したのか、急に訪問頻度が上がっているのか等、行動ログを見ることで、相手が関心を持っている分野や見込み度合について仮説を立てられます。

コラムやセミナー案内を見ているのであれば情報収集段階でしょうし、頻繁に訪問し、事例や価格や問い合わせページを閲覧しているのであれば、サービスへのニーズは高まっていると考えられます。相手の状況が想定できれば、初めての電話もかけやすくなります。

3. スコアリング

スコアリングには、Web行動履歴を数値化する「行動スコア」、その人の部署や決裁権限、企業規模や業種・業界などの属性情報を数値化する「属性スコア」があります。お客様の関心分野や検討の段階を把握できるようスコアの点数付けを設定しておき、スコアが一定の点数を超えたリードへは、サービスニーズが高まったタイミングと推測し、関心分野に関する情報を提供しながらアプローチすることが可能になります。

パワー・インタラクティブでは、人につく「行動スコア」「属性スコア」に加え、関心分野別に「関心スコア」を設定しています。さらに、企業情報データベースのFORCASの「企業スコア」を採用しています。「企業スコア」によって過去に受注した企業を分析して、自社にとって成約確度の高い企業を「企業スコア」という指標で判断しています。

4. アラートメール

アラートメールは、リードに動きがあった際、リアルタイムに担当者へ自動メールを通知する機能です。アラートメールを使うことで、インサイドセールスへタイムリーに有効なリード情報を知らせることができます。

例えば、スコアの点数越えやお問い合わせがあった際や、ターゲット企業のリードがサイト訪問した際等、インサイドセールスが機を逃さずリードへアプローチできるよう、アラートメールが発動するしくみを作っておきます。また、その日のサイト閲覧者のリストと閲覧ページを毎日アラートメールでインサイドセールスへ配信すると、インサイドセールスは自身の活動と照らし合わせながら「今」動きのあるリードを確認し、翌日アプローチするべきリード選定に反映することができます。

インサイドセールスの成果を上げる電話アプローチの2つのポイント

以上の4機能を使いこなすことで、インサイドセールスは、各リードの状況やニーズの成熟度について仮説を立てやすくなります。

もちろんデータがあっても、仮説を立てるのは簡単なことではありません。とはいえ、限られた時間で活動する中、時間をかけすぎるわけにいきません。弊社ではコール前の仮説づくりにかける時間は1件当たり20分以内を基準に置いています。

また、インサイドセールスが電話アプローチする上で、成果につなげるためのポイントを2点紹介します。

1. ヒアリング項目はあらかじめ決めておく

1つは、電話でのヒアリング項目はあらかじめ決めておくことです。単に質問項目を並べておくのではなく、会話の流れを組み立て、会話のなかで自然にヒアリングできるように設計することがポイントです。1回の電話ですべてを聞き出そうとすると無理な対応になるため、何回か継続的にコミュニケーションをとりながら情報を蓄積していきます。

2. 先々のタッチポイントを複数準備しておく

継続的にコミュニケーションをとるためにも、次のアプローチの機会を事前に準備しておきます。例えば、開催予定のセミナーを案内したり前回のヒアリングを元に参考になりそうな自社コンテンツを紹介したりするなど、次のタッチポイントを用意しておくと関係構築にもつながります。この施策に関しては、マーケティング部門とうまく連携をとりながら進める必要があります。

パワー・インタラクティブの専任営業ゼロの商談創出のしくみ

パワー・インタラクティブは、専任の営業担当者(フィールドセールス)は社内にひとりもいません。マーケティングとインサイドセールスチームから成る「アナリティクス推進室」がリードの獲得から育成を担当します。育成したリードに対し、提案活動を行い、クロージングを行うのはコンサルティング事業部になります。コンサルティング事業部は、受注後のコンサルティング提供が役割のため、インサイドセールスとしてはコンサルティング事業部の負荷をかけないよう、できるだけ受注確度が高いと思われるリードをパスすることが求められています。

インサイドセールスは私を含めて現在2名。少人数でリード育成を効率的に進めるため、Marketo、Salesforce、Googleアナリティクスを統合して成果を日常的に追いかけることができる専用のダッシュボードをBIで構築し、リードの行動履歴やスコアリング、対応状況、営業パイプラインを確認しています。

タイミングが合わずに失注した場合も、「リサイクル」リードとして、ひとまずメルマガを通じて関係を維持し、機を見てコンタクトを取るようにしています。すぐに結果に結びつかなかったとしても、機が熟せばチャンスは生まれるはずです。

最後に

インサイドセールスは、中長期的視点をもって、リードとの関係構築を行いながら商談化が見込めるリードを営業へパスしていきます。そのためには、MAを活用した育成施策のバックアップが必要です。MAを活用すれば、インサイドセールスがコール前に組み立てるリードの状況や課題に関する仮説づくりが効率的に行えます。

2部 マルケト社に学ぶ「インサイドセールス組織の作り方」
3部 セミナーレポート「"インサイドセールス×マーケティングオートメーション"だからできること(対談)」

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