サイトマップ

マルケト社に学ぶ「インサイドセールス組織の作り方」

第2部セミナー講師の株式会社マルケト・弘中氏

2018年12月13日に開催したセミナー「MA(マーケティングオートメーション)×インサイドセールスの実践で見えてきた!デジタル営業の極意」では、株式会社マルケト(以下、マルケト社) コマーシャル営業部 部長 弘中丈巳氏をゲストに招き、「インサイドセールス組織を新しく社内に立ち上げるにはどうすれば良いか」について、マルケト社の事例を講演いただきました。2014年に日本での事業をスタートしたマルケト社は、同社が提案している「MA × インサイドセールス」という新しいソリューションを国内で実践するため、インサイドセールスを核とする組織をゼロから立ち上げた実績があります。この実績を元に、7つの要素から成るインサイドセールス組織作りのフレームワークをご紹介します。

1部 営業専任ゼロで新規商談を創出する「インサイドセールス × マーケティングオートメーション(MA)」の活用法
3部 セミナーレポート「"インサイドセールス×マーケティングオートメーション"だからできること(対談)」

インサイドセールス組織を作るフレームワーク

「営業のやり方を刷新し、インサイドセールスを新しく設けて売上を伸ばしたい」という企業が増えています。では、具体的にどうすればインサイドセールスが機能するようになるのか、営業プロセスをどう変えていけばいいのか、壁に突き当たるケースも少なくありません。

マルケト社では、インサイドセールス体制を構築するに当たり、まずインサイドセールスのミッションを定義することから始めました。そしてそのミッションを遂行するためのロール&レスポンシビリティ(役割と責任範囲)を決め、それぞれの役割と責任を遂行するために「KGIとKPI」を設定し、KGI・KPI達成に向けたオペレーション(業務の進め方)とシステムの設計を進めていきました。

こうして、インサイドセールスという新しい部門の形が整ったところで、リクルーティング(採用)とイネーブルメント(社員教育)のやり方を定めていきました。この(1)ミッション、(2)ロール&レスポンシビリティ(役割と責任範囲)、(3)KGIとKPI、(4)オペレーション(業務の進め方)、(5)システム、(6)リクルーティング(採用)、(7)イネーブルメント(社員教育)という7つの要素に沿って体制を作っていくことで、インサイドセールスの役割と位置づけが組織内でブレることなく、インサイドセールス+訪問営業(フィールドセールス)のプロセスを構築できたと考えています。

2018年12月13日に開催したセミナー「MA(マーケティングオートメーション)×インサイドセールスの実践で見えてきた!デジタル営業の極意」では、株式会社マルケト(以下、マルケト社) コマーシャル営業部 部長 弘中丈巳氏をゲストに招き、「インサイドセールス組織を新しく社内に立ち上げるにはどうすれば良いか」について、マルケト社の事例を講演いただきました。2014年に日本での事業をスタートしたマルケト社は、同社が提案している「MA × インサイドセールス」という新しいソリューションを国内で実践するため、インサイドセールスを核とする組織をゼロから立ち上げた実績があります。この実績を元に、7つの要素から成るインサイドセールス組織作りのフレームワークをご紹介します。

インサイドセールス立ち上げの流れ

2018年現在でこそ人数が増えたインサイドセールスですが、始めから人材が豊富だったわけではありません。1年目となる2014年は、2名体制からスタートし(1名はフィールドセールスも兼務)、そこから少しずつ業務のやり方が確立されてきて、KGI・KPIを設定できるようになり、ここ1〜2年ほどは細かなやり方や組織改善に取り組みつつ、より"攻め"の営業に向けて日々進化しています。

7つの要素を考えながら実践するだけでも労力は少なからずかかりますが、このフレームワークには「終わり」がありません。そして7つの要素のなかには、すでに体制が整っている企業では実践が困難なものもあります。たとえばKPIやKGIについては、マルケト社の場合、業務をこなしながら実績を積むことで具体的な指標や数値を整備していきましたが、すでに確立された事業と目標がある場合、時間をかけてゼロから指標を作っていくことは現実的ではありません。

とはいえ、ゼロからインサイドセールスを立ち上げ、そのやり方を社内に根付かせるには、ある程度の時間はどうしても必要です。以下、インサイドセールス組織を立ち上げるフレームワークの各要素について、マルケト社の実例も交えながら成功のポイントを紹介します。

マルケト社のインサイドセールスのミッション

マルケト社ではインサイドセールスのミッションを次のように定義しています。

優良見込顧客をターゲティングし、タイミングを逃さず、質の高い会話をして、お客様に最高の「学習・検討体験」を提供して、継続的な関係性を構築し、1社でも多くの見込客の成功を支援すること。

少し長い文章ですが、これ以上短くまとめることはできませんでした。組織におけるインサイドセールスの役割を考えるうえで、特に「1社でも多くの見込顧客の成功を支援すること」という表現を外すことはできませんでした。

インサイドセールスのミッションを「営業活動に貢献するもの」というニュアンスのものにしてしまうと、どうしても営業の下請けというイメージが付いてしまいます。KGIやKPIも、電話件数やアポ件数など短期的な指標を追うことになる懸念があります。

そうではなく、「徹底的に顧客目線になる」ということを前提にしてミッションを考えることで、見込/既存顧客を含む「顧客」にインサイドセールスが何をすべきかが明確になります。このミッションがあるため、「電話での会話やメールの文章など、細部に至るまで顧客に寄り添ってこだわること」というインサイドセールスの基本的な姿勢が確立されました。

ミッションに基づき、役割と責任を定義

マルケト社では上記のミッションの下、インサイドセールスの役割や仕事内容を定めました。念頭に置いた点は、インサイドセールスを知らない人に「何をやっている組織なのかを端的に説明できるようにする」ということです。

たとえば「インサイドセールスって何をする部門なのか」と誰かから聞かれた時、「マーケティング部門に所属している営業部隊です」「お客様に最初に対応する接点、ファーストコンタクトを担っています」「お客様の成功を支援する役割です」など、具体的に業務内容をイメージしやすいように定義しました。

これと同時に、インサイドセールスの責任範囲も定義しました。上記のミッションにあるように、「見込客の成功を支援する」のなら、「マーケティングの相談に乗れるように知識を身に付ける」ことが必要です。こうして行うべき責任範囲を具体化すれば、各インサイドセールスが持つ「業務に対する心構え」も備わるはずです。

KPI・KGIの設定と活用法

立ち上げ期は、インサイドセールスの成果を考えるうえでどのような指標が必要なのかが見えていませんでした。そこで業務実績を重ねて、「テレアポ数」や「営業への送客数」、「商談化数」などの数字を見ていきながら、少しずつKGI、KPIを定めていきました。

現在インサイドセールス部門のKGIとして設定しているのは「商談化件数」です。実はこれは2015年から一貫して変わっていません。

これに対し、KPIは組織の拡大によって変化しています。「フィールドセールスへの送客数」をKPIとすると、「商談確度が低い案件でもどんどん送客すればいい」という事態が起こってしまいます。そこでこれ以外に、フィールドセールスやマーケティングがフォローしきれないリードをフォローした「コネクト件数」や、未だにフォローできていない見込客数を表す「Untouched数」などもKPIとして把握することで組織の健全な成長を目指しています。

インサイドセールス部門のマネージャーは、KGI達成に向け、上記のKPIを各人が日々の業務で達成できるようにアドバイスしていきます。こうしてマネージャーが各担当者のKPIを確認し、目標達成に向けコミュニケーションを取ることで、パフォーマンスも向上するわけです。

インサイドセールスの日々の業務

マルケト社では、Webサイトへの訪問や問い合わせといったインバウンド型のインサイドセールスについては、Marketoのスコアリング機能を活用して業務を進めています。よく使っているのは、「企業スコア」と「行動スコア」の2つです。これらのスコアがしきい値を超えた時にアラートメールを送って、インサイドセールスにつなげています。

企業スコアとは、重要ターゲットとしている業種・ビジネスモデルを持つ企業かどうかを判定するスコアです。たとえばマルケト社の場合、「IT業界」「サブスクリプション型のビジネスモデル」など、Marketoと親和性の高いビジネスモデルやシナリオの企業を重要ターゲットとしており、こうした企業の点数を高く設定しています。

行動スコアとは、マルケト社のWebサイトの訪問経緯やページ遷移といった行動に点数を付けたものです。一般に、商品紹介ページから事例ページ、そして価格や問い合わせに進んでいるのであれば、それだけニーズが熟していると考えられ、行動スコアの数値も順に高くなっていきます。

これら2つの数字がしきい値を越えれば、アプローチすべきターゲット(=お客様が積極的な情報提供を望んでいるのではないか)として、インサイドセールスの出番となります。限られたリソースのなかで、情報提供すべきお客様を見極めて対応するにはMarketoでWebサイト訪問者の行動を把握することは必要なのです。

ただ、すべての業務がMarketo任せというわけではありません。インサイドセールスがターゲット企業のIR情報を読み込んで手紙を送信したり、電話対応をしたりなど、時間をかけて対応することも重要です。

フィールドセールスに引き渡すタイミングでは、インサイドセールスの各担当者が直接フィールドの担当者に連絡を取るのではなく、いったんインサイドセールスの責任者/フィールドセールスの責任者を通じて渡す流れにしました。こうすることで、リードの質を担保しつつ、インサイドセールスと営業部門のコミュニケーションの円滑化を図っています。ミーティングも、基本的にマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスの3部門共同で行うことで、情報共有と部門間の密接な連携を実現しています。

システムは「MAツール+CRM」が必須

こうしたオペレーションを円滑化するために、インサイドセールスが使うMAツールを中心に、フィールドセールスが使うCRM/SFA、Webアナリティクス、ウェビナーシステムなどさまざまなツールを併用し、業務の効率化を図っています。

システム構築に当たって絶対に留意すべきは、「MAツールと、CRM/SFAを必ず連携させること」です。連携することで、マーケティングやインサイドセールスは、自分が渡したリードの営業進ちょくを確認できるほか、もし失注した場合は何が問題だったのか振り返ることができます。また双方向でデータを連携することで、フィールドセールスが必要データを補足してインサイドセールスに戻すこともできます。
また一度失注したリードの情報をインサイドセールスが受け取り、フォローしていけば、担当者の変更など情報を更新することもできるので、データを常に最新状態に保つことができます。

インサイドセールスの採用、社員教育をどう進めるか

インサイドセールスをリクルーティング(採用)するには、インサイドセールス職に求めるコンピテンシー、キャリア、スキルセットを明確にすることが必要です。マルケト社では、基本的にインサイドセールスもフィールドセールスも、求めるコンピテンシーやキャリア、スキルセットにほとんど違いはありません。フィールドセールスへの応募者のなかから、インサイドセールス職として採用したこともあります。

インサイドセールスからのキャリアルートについても、個人の希望を優先した自由なもので、固定されていません。キャリアルートを固定すると、インサイドセールスがステップ先の修行段階と捉えられかねず、それを避けるために、希望に応じてキャリアを積める体制になっています。

なおマルケト社では、採用後のイネーブルメント(社員教育)には時間をかけており、すぐに業務現場に出ることはありません。なぜならインサイドセールスは、最初に顧客と接する大切な"顔"であり、そのためにもミッションと役割、責任範囲を理解した後で、オペレーションの流れや、お客様の課題・Marketoの解決策などじっくり時間をかけて理解してもらってから、実業務に着手してもらうことを重視しているからです。

入社後、社内の基本的な事項や業務の流れを覚えてもらう期間として2週間を設け、3週間目からはフィールドセールスに付いて営業見習いのような業務に当たりながら、レポートやテストを課しています。レポートやテストで一定以上の点数を取ったら合格となり本業務に当たりますが、一度で合格することはまずありません。

レポートやテストでは、「フィールドセールスとインサイドセールスがより連携するために何が必要か」「同行した案件の課題はどんなものだったか。それに対してフィールドセールスがどのような提案をしたか」など実際の業務で得たものの反復や、商品理解に関するプレゼンなどもあります。商品やサービス、業務の理解度を研修期間中にアウトプットすることで、インサイドセールスの実業務に当たった時、サービスレベルの質が維持できると考えています。

以上がマルケト社で進めたインサイドセールス立ち上げのフレームワークです。

ゼロからインサイドセールス組織を立ち上げるポイント5カ条

  1. まずはインサイドセールスのミッションと役割を明確にしよう
  2. インサイドセールスが使うMAと、営業が使うSFA/CRMの連携は必須
  3. 営業部門と信頼関係を築けるオペレーションを整備しよう
  4. インサイドセールスのキャリアパスは柔軟に

インサイドセールスの立ち上げ・定着には時間が必要

各企業の商材やビジネスモデル、ターゲットとする顧客層は多種多様であり、それによってインサイドセールスや営業スタイルも異なってきます。たとえば国内大企業にアプローチするには、電話やメールといったインサイドセールスだけでは限界があります。月額数千円など比較的低価格で提供しているサブスクリプション型の商材ならば、フィールドセールスが1件1件訪問するより、Webサイトでナーチャリングしてインサイドセールスが商談まで進めた方が効率的かもしれません。企業の要件によってインサイドセールスの責任範囲や役割は異なるため、それぞれに合ったやり方を確立する必要があります。

大切なことは、フレームにこだわりすぎず自社のお客様がどのようなコミュニケーションを求めているのか、自社で実現可能なご支援はどのようなものか。をしっかりと定義することと、一度作って終わりではなく絶えず改善を繰り返すこととなります。
壁に当たった時は、この組織作りのフレームワークを思い出し、各要素をきちんと定義しているか振り返ってみてください。

1部 営業専任ゼロで新規商談を創出する「インサイドセールス × マーケティングオートメーション(MA)」の活用法
3部 セミナーレポート「"インサイドセールス×マーケティングオートメーション"だからできること(対談)」

    コラム・特集

    
    デジタルマーケティングの成功体験をサポート