Marketo、Salesforce、Google Analyticsのデータを1つのダッシュボードで可視化したい

2019年11月21日(木)

事業開発顧問/マーケティングコンサルタント 中嶋 正生【文責】

【マーケッターによるマーケティング・ダッシュボードPoC日記-1】



マーケティングやセールスに関連するツールの導入が加速しています。ツールが増えるにつれて、マーケッターの担う責任や業務負荷も増大しています。にもかかわらず、マーケティングの要員はなかなか増えません。

どの広告や施策が商談や売上に貢献したのか、どの顧客セグメントが伸びているのか等々、マーケッターは常に費用対効果を求められます。上層部への作文はなんとか作成したとしても、日々生み出され、蓄積されるデータを効果的に分析/活用し、成果を上げるためのPDCAを回すためのしくみづくりにはなかなか着手できていないのが、多くのマーケティング現場の現実です。

そういったマーケッターの方のニーズに応えられるような、分析のためのライトなデータ統合の仕組みを実現できないだろうか。というわけで、試行錯誤しながら、分析用データマート&ダッシュボードの構築にチャレンジしてみました。今回の取り組みを経て、みえてきたポイントについて、できるだけわかりやすく、制限事項や課題も含めて、検証作業をお伝えしたいと思います。

実現したいこと、検証したいこと

今回、実現したいことは、Marketo、Salesforce、Google Analyticsのデータを、1つのダッシュボード画面で表示し、一緒に分析できるようにすることです。それぞれのツールには、優れたレポート機能が備わっていますが、ツールを越えての分析を簡単に行うことはできません。

また、MarketoやSalesforceの標準のレポート機能で表示できるのは、現在保存してある最新のデータであって、履歴データを把握することができません。つまり、過去のデータとの比較や時系列での推移などを簡単に把握することが出来ないのです。Marketo活用の支援コンサルティングを多く手がけるわたしたちにとって、お客様に最もご相談いただく点でもありました。

上記の2点を、3つのBIツール(Googleデータポータル、Tableau、MotionBoard)で表示できるようにしようと考えました。

<実現したいこと>
  1. Googleアナリティクス, Marketo(リード、アクティビティログ) および Salesforce(商談、取引先)のデータを取得したい
  2. Googleアナリティクス, Marketo(リード、アクティビティログ) および Salesforce(商談、取引先)のデータをクラウドストレージに蓄積したい
  3. GoogleデータポータルおよびTableauDesktopからクラウドストレージを参照したい
  4. MotionBoard Cloud専用のストレージに、Googleアナリティクス, Marketo および Salesforceのデータを蓄積して、MotionBoard Cloud で参照したい
<検証したいこと>
  • ETL/Connectorの検証(操作性、機能性、パフォーマンス)とクラウドストレージとの相性
<スケジュール>
  • 環境構築: 1ヵ月間(2019.7.1~7.31)
  • 動作検証: 1ヵ月間(2019.8.1~8.31)
<検証パターン>
  • パターン①:Googleアナリティクス, Marketo, Salesforce + ETL/Connector + クラウドストレージ + Googleデータポータル
  • パターン②:Googleアナリティクス, Marketo, Salesforce + ETL/Connector + クラウドストレージ + Tableau
  • パターン③:Googleアナリティクス, Marketo, Salesforce + MotionBoard Cloud

【図1-1】

ビジネスインテリジェンス領域をカバーするツール

ダッシュボードを構築するためには、「データ取得」「データ蓄積」「データ可視化」のビジネスインテリジェンスのツールが必要です。各々、代表的なツールをピックアップしました(図1-2)。ほとんどが海外の製品ですので、ツール選定をする場合には、日本語に対応していること、日本にサポート拠点があること、評価版があること、使い勝手が良いこと、そして、日本での導入実績があることに重点を置いて選定を進めました。

【図1-2】

マーケッターにとってハードルが下がった「データ取得」「データ蓄積」「データ可視化」

データ取得

データを取得するためには、これまでアプリケーションやサービス毎にAPIを駆使して個別にプログラムを開発する必要がありました。情報システム部門に開発を依頼する必要があるためハードルが高く、また、一般的に、マーケティング部門からの依頼事項は、基幹システムに関することより優先順位も低く、実現するにはコストも時間も必要でした。ところが、システム自体が、オンプレミスからクラウドサービスに移行したことで、データ取得のハードルが以前に比べて低くなりました。クラウドサービス自体が、他のシステムとの連携(エコシステム)を標榜していることから、標準でWeb API(SOAP, Rest)が公開されるようになりました。また、Web APIを駆使してデータを取得する方法もありますが、プログラミングをすることなしに、専用のコネクタ(Connector)やETL(Extract Transfer Loading)を利用することで、データを取得することが劇的に簡単になりました。

データ蓄積

以前は、取得したデータを蓄積するために、サーバやストレージを購入し、データセンターにセットアップし、更に、データベースをインストールする必要がありました。ハードウェアおよびソフトウェアすべてを自前で用意する必要があり、マーケッターでは手の出せる領域ではありませんでした。当然、コストも莫大にかかるため、マーケティング部が自ら主管となって進めることはかなりのリスクも伴いました。ところが、Amazon RedShitやGoogle BigQueryに代表される、クラウド上でのDMP(Data Management Platform) をサービスとして提供するベンダーが現れたことで、システム構築が一切不要となり、非正規データをも蓄積することが可能になりました。また、セットアップも比較的簡単で、多少のリテラシーがあれば、マーケッターでも、DMPやデータマートを構築できるようになってきました。

データ可視化

可視化ツールの必要性は理解しているものの、基幹システムやSFA/CRMの導入に比べれば、優先順位は低く、また、どれも重厚で高額、しかもハイスペックのPCが必要となり、また、使いこなすためには、ベンダーのサポートも必要不可欠でした。ところが、ここ数年の「Self Service BI」をコンセプトとした可視化ツールの台頭により、一マーケッターでも手の届く、ライトウェイトなツールが増えてきました。また、Tableau DesktopなどのVisualization(可視化)ツールのコモディティー化もあいまって一般的になってきたことも、データドリブンマーケティングを実践するうえでも重要な要素といえるでしょう。



これまでハードルが高かった3つの壁(データの取得、データの蓄積、および、データの可視化)を、情報システム部門を介すことなく、一マーケッターでも自前で構築できるようになったことで、データドリブンマーケティングを進めやすくなりました。

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