Googleデータポータルと有料BIツールの違いとは
まず、無料で使えるGoogleデータポータルと有料BIツールの違いについて、表を用いた説明がありました。

代表的な有料BIツールといえば『Tableau(タブロー)』や『Qlik(クリック)』などが挙げられます。慣れてしまえば快適に操作でき、複数データとの結合も柔軟に可能です。アクセス権の制御も細かく設定できるため、立場に合わせたダッシュボード作成が容易にできます。さらにベンダーのサポート窓口が用意されており、サポート体制が整っている点も魅力とのことでした。
一方、無料BIツール『Googleデータポータル』は操作性の高さが魅力で、パッと見ただけで直感的に操作できます。限定的ではありますが複数データとの結合も可能です。アクセス権の制御は閲覧もしくは編集の2パターンのみで、サポート窓口はないので、自分で調べて活用していくしかないところは有料BIツールに劣る点ですが、それでも初めてダッシュボードを作成しようとしている企業にとっては必要な機能が一通り揃っていると高月は話しました。データ活用のスモールスタートをデータポータルで行うというのも、選択肢のひとつであるようです。

限定的ではあるものの、無料とは思えないほどさまざまなデータと結合できる、Googleデータポータル。単純にGoogleアナリティクスのデータを引用するだけでなく、複数のデータソースを結合したり、オフラインのデータを結合したり、MAやCRMなどのサーバーに蓄積したデータを結合したりと、幅広いデータと結合することができます。
有益なレポートを作成するための"考え方"
高月によると、ただレポートを作成するだけでは利益に繋がらなかったり、分析内容に齟齬が生じたりする可能性があるとのこと。有益なレポートを作成するには3つの考え方が重要だと話します。
レポートする範囲が適切であるか
Web施策のデータだけでは、明確な売上/利益への貢献が分かりません。しかし、Web施策のデータに営業活動に関するデータを組み合わせれば、何がどのように売上/利益に貢献したのか分析しやすくなるそうです。ビジネスへの貢献度で判断するなら、データの集約や結合が欠かせないステップだと言えるでしょう。
目標設定が明確であるか
ただデータをグラフ化するだけでは、次のアクションを打てません。いつまでにどこまでの数値をクリアするのかを明確にすることで、次のアクションを喚起させる見せ方にできると、グラフを用いて解説がありました。
立場に合わせたレポート内容となっているか
高月によると、分析レポートは立場に合わせて複数用意する必要があるようです。立場によって見るポイントが違うため、"誰に向けてレポートしようとしているのか"を考えることで、適切なレポートを作成できるとのことでした。
複数のデータソースを結合したレポート作成で見えてくること
続いて、複数のデータソースを結合したレポート作成で見えてくることについて、3つのケース別に解説がありました。
管理者向けレポート(全体報告のため)
管理者向けレポートでは、まず全体マップをレポーティングします。その後、それぞれのステップにおける目標を設定。ポイントは、ゴール(受注)から遡って考えていくことです。例えば受注件数を1.5倍にしたい場合、受注を1.5倍にするためには営業対応を何件増やすのかを考え、その営業対応を増やすためにはフォーム完了数を何件にするのかを考えていくといった流れです。各ステップの「数値」そのものだけでなく、「遷移率」をどのように向上させるかも落とし込みます。
マネージャー向けレポート(施策評価のため)
マネージャークラスは個々の施策を評価し、改善することが求められます。改善するためには、目標値に対する現状の把握が不可欠です。そこでまず、各施策におけるゴールの設定を行わなければいけません。
セミナー中、パワー・インタラクティブ社内で活用されているダッシュボードの画面が紹介されました。GoogleデータポータルにGoogleアナリティクスのデータを引用するとサイトのコンバージョン目標と現状が明確となり、さらに指定のスプレッドシートを結合することで、営業/マーケティングとしてのゴールである受注目標件数と現状数値も表示されます。画面下部には施策ごとの目標と現状が羅列されるため、どの施策が課題となっているのかも一目瞭然でした。
現場担当者向けレポート(モニタリングのため)
現場担当者は、個々の施策を定点観測する必要があります。例えばどの記事がCVに繋がっていて、どういった記事が集客に強いのか、その記事は誰が執筆したのかなどを検証する必要があるのです。
高月によると、パワー・インタラクティブではGoogleデータポータルにGoogleアナリティクスのデータを接続し、さらに記事のタイトルや執筆者、公開日やカテゴリーなどをまとめたスプレッドシートも結合しているとのこと。セミナー内で紹介された実際のダッシュボード画面では、プレビュー数やコンバージョン率といったGoogleアナリティクスのデータと、スプレッドシートから引用した、カテゴリー別×執筆者別の公開件数が同一画面上に表示されていました。
オフラインのデータをGoogleデータポータルに反映する方法
続いて解説があったのは、オフラインデータをGoogleデータポータルに反映する方法についてです。要となるのは、スプレッドシート。KPI集計や提案件数、お問合せアポ数など、Googleアナリティクスでは集約できないデータも、スプレッドシートに打ち込んでしまえばすべてGoogleデータポータルに結合できるとのことでした。
GoogleデータポータルのTips(小ワザ) 4つ
本セミナーの最後には、Googleデータポータルをもっと使いこなすための小ワザも4つ紹介されました。
●フィルタ機能の活用方法
●スプレッドシート以外のデータを結合する方法
●Googleデータポータルの機能を使ったラベルの変更方法
●メール機能を活用したレポート共有方法
の4つです。特に『ラベルの変更方法』については実際の画面を用いた解説があり、すぐにでも活用できる内容となっていました。