弊社ではAdobe Marketo Engage(以下、Marketo)などマーケティングオートメーション(以下、MA)の活用支援サービスの一環として、「MA運用代行サービス」を提供している。MAを活用するにあたり、「手を動かす部分は外部にまかせて社内では企画をおこないたい」「急な退職や異動により、ツールに触れる人材が欠員した」と考え、運用に関わる部分をアウトソースしたいというニーズに応えるサービスとなっている。
MAの運用には、業務の設計やスタッフの確保とトレーニング、イレギュラーに対応できるスキルが必要だ。パワー・インタラクティブでは、以下3つの要素によって安定した運用代行オペレーションを提供している。
①専門スキルを持つチーム体制
②コンサルタントによる業務フローの定義、見直し
③ミス発生時の対応や評価方法のルール化
今回は運用代行サービスを担うメンバーをいかに短期間で専門スキルを持ったスタッフへと育成するのか、教育トレーニングの取り組みを紹介したいと思う。
MAを導入していると、MAツールが理解・操作できる人材の育成はどの企業でも重点課題になっているだろう。パワー・インタラクティブの運用代行チームでも育成に時間がかかることが課題となっており、それを解決するべくMA習得のトレーニングメニュー整備に取り組んでいる。パワー・インタラクティブでは、完全なMA未経験者でも3ヶ月で運用代行メンバーとして活躍できるスキルを習得することを目指している。
カリキュラムはマーケティングの基本部分からMAツールの概念、各種機能の理解まで、MAについて網羅的に理解できるようになっている。また、トレーニングのスタイルはハンズオントレーニングを基本としながら、自分で問題を解くドリル形式の課題も用意して取り組んでもらっている。
また、最近はChatGPTにMarketoの練習問題を生成させ、回答した内容に解説をさせる取り組みも始めた。Marketo特有の機能の学習がまだ十分でない点や、問題のレベルが初級~中級程度という課題はあるが、初学者の自己学習には十分活用できる家庭教師となっている。
トレーニングを同時期に開始しても、どうしてもスタッフによって理解度に差が出てくる。そこでパワー・インタラクティブではMarketoの機能を網羅したスキルチェック表を用意して、トレーニングの理解度を把握する取り組みをおこなっている。各スタッフが自己評価でABCを付け、トレーニング担当者がレビューすることになっている。定期的に実施することで、個々のスキルレベルと成長度合いを把握できるようになっている。
スキルチェック表を元に、理解が不十分または習得が遅れている分野が見えてくると、トレーニング担当者は追加研修を実施している。各スタッフの理解が浅いところを中心に、理解度にあわせてカスタマイズした研修をおこなっている。適宜、個別の対応も交えながら、チーム全体のレベルアップとスキルの平準化を目指している。
運用代行スタッフにはMAツールベンダーが設定している認定資格の取得も奨励している。資格取得はスタッフのキャリアにとってもプラスになる上、日々の業務が目に見えるかたちで評価されるためモチベーションアップにもなっているようだ。
資格取得を目指すスタッフには、試験準備のための追加教材を提供したり、模擬試験を開催したりして支援している。研修はパワー・インタラクティブの現役コンサルタントが担当し、Marketoの初期設定や管理画面など、普段は触れるシーンが少ない機能もおさらいできる内容を提供している。
今回はMarketoの教育トレーニングについて取り上げた。MAツールの使いこなしは専門性が高い分野ではあるが、適切なカリキュラムとフォローがあれば短期間でスキル獲得も可能な内容だ。人材育成で課題をお持ちの方も参考にしてもらえれば幸いだ。
マーケティングオペ レーション部 部長
高月 大輔
マーケティングオートメーション活用支援
Webディレクターとして大手・中堅企業を中心に多数のWebサイト構築を手がける。その後、マーケティングデータアナリストへ転向。 Googleアナリティクスでのアクセスログ分析やBIツールを使ったダッシュボード構築に従事。現在はMarketoの活用支援コンサルティングにも領域を広げ、自社のMA運用代行チームのリーダーとして活動している。
またAdobe社のMarketoトレーニング講師も担当し、分かりやすい解説が好評を得ている。
2024.08.19
2024.02.13
2023.12.26