コラム

2022年度オフサイトミーティングで見えた、サービス品質向上のヒントとは

2022年12月2日、MOCメンバーでオフサイトミーティングを実施した。
オフサイトミーティングとは、普段の職場や現場からあえて離れた場所に集まり、オフラインで行うミーティングのことである。主たる目的は、日常的な場から非日常的な環境に身を置くことで、新たな発想を生んだり、チーム内の交流を高めたり、仲間意識を強化したりすることにある。よってミーティングの内容は、日々の進捗や業務の確認というよりは、一つのテーマについてグループワークやディスカッション等を行うワークショップのようなイメージに近いかもしれない。

今回のオフサイトミーティングの場所は新宿のWeWork。あいにくの天気だったが、会議室を一つ貸切って計9名が集まった。因みに、現在のメンバーで実施するオフサイトミーティングは今回が初めてである。
MOCとそのメンバーについてもう少し掘り下げると、MOCとは「Marketing Operation Center」の略称で、マーケティングオートメーション(以下、MAと表記)の運用について様々な悩みを抱える企業のマーケティング部署や担当者に代わり、MAの運用を代行するサービスである。メンバーはみな、MAはもちろん、マーケティング領域に関する様々な専門スキルを持っており、複数のメンバーがチームを組んでお客様のMAの運用を最適化することが強みの一つである。

普段は、メンバー全員がリモートワークを行っており、住んでいる場所も東は東京、神奈川、福島、西は大阪、兵庫、福岡などバラバラで、日常的に対面で会う機会は殆どない。また、年齢やキャリアの長さ、得意な領域も様々で、今月から新しいメンバーも増え、MOCは丁度成長期を迎えている。だからこそ、オフサイトミーティングを定期的に行い、チーム力の強化を図っているのである。

本稿では、オフサイトミーティングで行ったワークの内容とその中で私が気づいたことを記したい。

チェックイン

最初に行ったのがチェックイン。
オフサイトミーティングに限らず、パワー・インタラクティブ(以下、パワーと表記)では、ミーティングの本題に入る前に今日の意気込みやアイスブレイクなどを行い、それを「チェックイン」と呼んでいる。今回は、新しいメンバーも加わったばかり、ということで、メンバー全員で簡単な自己紹介を行うことにした。

A4の紙を4つに折り、ついた折り目にそれぞれ「名前」「出身地」「現在の仕事」「今日の意気込み」を1分程度で書いて順番に発表した。

人によっては名前の意味や、地元の特産品などを紹介したり、改めてどんな業務をしているのかを知れるきっかけとなり、和気あいあいとした雰囲気でスタートすることができた。

写真1:チェックインの様子

アクティブブックダイアローグ~無くならないミスの無くし方を読む~

今回のオフサイトミーティングのメインワークの一つが、アクティブ・ブック・ダイアログで石田淳著「無くならないミスの無くし方」を読むことであった。

アクティブ・ブック・ダイアログ(通称ABD)とは、1冊の本を複数人で分読し、内容について発表し合う読書法である。分厚い本でも手軽に読めるほか、参加者同士で共通言語が生まれたり、インプット・アウトプット・フィードバックが一度に出来るというメリットがある。

具体的な進め方は以下のとおりである。

1. 本を裁断する
2. 参加者に担当ページを割り振る
3. 各自、担当ページを読む
4. 担当ページを用紙数枚に要約する
5. 要約を1人3分程度でリレープレゼンする
6. チームを2つに分け、チームごとに感想や疑問を模造紙に書く

また、次の4つのルールを設定した。

1. 時間厳守
2. プレゼンをするときは、著者になった想定で発言をする
3. 相手のプレゼン中は、作業を止め、発表を聞くことに集中する
4. プレゼン後の感想や疑問の発表は、1人1つずつ順番に行い、相手の発表中は自分の意見を途中で挟むなどせず最後まで聞く。

一言でミスといっても様々な種類がある。例えばMAの設計ミス、お客様やチーム内でのコミュニケーションミス等である。MOCでは、小さなものから大きなものまで、ヒヤリハットを含めミスを全て記録し、週に1回メンバー全員で振り返り、原因と対策を話し合う時間を設けている。また、ミスの発生を最小限に抑えるために、チェックシートやマニュアルなども作成し、普段から万全の注意を払うようにしている。それでもミスを完全に無くすことは難しい。そこで、本著を読み、科学的メソッドに基づき、人間の意識ではなく行動にフォーカスして、ミスや事故が起きない仕組みづくりの方法にはどんなものがあるか会話することにした。

写真2:リレープレゼンの様子

ここで気づいたことが2つある。
1つ目が、本著の中で指摘されていることが、MOCの中では普段から達成できているということだ。具体的にいうと、『なぜ「ミス」が生まれるのか~7つの背景~』という章に、スローガンは絵にかいた餅という記述がある。これは、例えば接客業において「心をこめた接客をする」などといった曖昧な言葉だけで成り立っているスローガンを掲げていても、具体的な行動の指示が出せなければ、それはミスをなくすマネジメントにおいて大きな障害となり得るということを指している。

MOCでは、前回のオフサイトミーティングでMOCで大切にしたいキーワードとして、「プロフェッショナル」「好奇心」「信頼」という3つを掲げたのだが、これには既に具体的な行動が紐づいている。例えば、先に述べた毎週の定例ミーティングでミスやヒヤリハットを確認する時間を設けていることや、個人に蓄積されているノウハウを社内ツールで共有していること、毎週上司と部下で1on1を実施していることなどが挙げられる。

2つ目がMOC内で「安全行動」の言語化が不十分だということだ。
安全行動とはミスを誘発する危険行動に対峙する言葉で、安全行動を増やすことで危険行動を無くし、結果的にミスを無くすことにつながる。こうした安全行動を習慣化するには、MOC内での「安全行動」がどのようなものを指すか言語化する必要があるが、そこについて今まで会話したことは無かった。ミスや事故を起こさない安全行動は誰がやっても同じ結果がでるようにしなければ意味がないため、「なんとなくこうする」ではなく、数値化なり、形式化できるよう改めて議論したいと思う。

MOC改善のディスカッション

最後に行ったのが、MOCの現場で普段から困っていることや、改善の余地がありそうな業務についてディスカッションするというものだ。

ここでは、MOC在籍歴が長いベテランメンバーと、比較的歴が浅い新人メンバーでチームを分け、それぞれ模造紙に課題を書き合った。

その結果、ベテランメンバーのチームでは、新人の教育や品質の管理方法、事故が起こった場合の対応方法を見直すべきなどといった組織全体としての課題が多く出た。一方新人メンバーのチームでは、作業時間の確保や、ケアレスミスの無くし方、設定の確認方法の見直し等、より現場目線の課題が出た。

次に、出た課題に対する改善策を同じチーム内で出し合い、それを全員で確認して良いアイデアだと思ったものにはシールを貼る作業をした。一番多く要望が上がったものが、現在手動で行っている業務の自動化、普段のミーティングの内容を見直す等して、作業時間を確保したいという意見や、MOC内で蓄積されているヒヤリハットやミスの情報をもっと活用できないかという意見だった。

意見の中ですぐにでも実践できそうなものは、早速日々の業務に取り入れられている。例えば、毎日行っている朝礼、終礼のアジェンダの見直し、ヒヤリハットやミスの情報の分析等だ。チームの中から専任の分析担当を設け、引き続きミスやヒヤリハットを振り返るだけでなく、ミスをカテゴライズし、偏りがあるのか、発生要件に共通点がないかなど、あらゆる視点から分析中である。

写真3:MOC改善についての発表

まとめ

MOCは発足から5年目を迎えており、出来た当初と比較してメンバーも増え、安定した運営ができているが、今回のオフサイトミーティングを通じて、まだまだ改善の余地があることを再認識できた。MOCのメンバー同士でも、担当している案件が違えば、業務の進め方やお客様の課題も三者三様である。だからこそ、1人1人の日々の業務の中に、サービス品質向上に繋がるヒントが隠れているはずである。オフサイトミーティングで議論した内容は定期的に振り返り、また次回に繋げていきたいと思う。

川西佑奈

マーケティングコンサルタント

川西佑奈

マーケティングオートメーション活用支援

新卒で営業、BtoB向けのデジタルマーケティング支援業務を経験した後、2022年にパワー・インタラクティブに入社。オペレーション支援も含めたAdobe Marketo Engage活用コンサルティング、Braze活用支援に従事。
地元の神戸を愛しています。

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