コラム

IT人材の心が動く、MOpsチーム参画のオファーとは

テクノロジーの進化によって顧客行動は大きく変化している。かつては営業担当から情報を得ることが主だった企業間取引も、現在ではほとんどの情報収集をデジタルでおこなうようになった。そのような背景もあり、マーケティング部門の責任範囲は広がり続けている。

マーケティング部門の責任範囲が増えると施策の範囲も広がり、それに応じて利用するテクノロジーツールも増えていく。利用するツールが増えるほど、保有するデータの種類も増える。

しかし、各ツールに散在するデータをマーケター自身で適切に管理することは容易ではない。多くの企業で「データが散在していて、マーケティング施策の収益貢献を可視化できていない」という問題が起こっている。

このような問題の解消を期待されているのが「MOps(マーケティングオペレーションズ)」という組織だ。MOpsはマーケティングとITの間に立ち、テクノロジーを有効活用したマーケティング推進をサポートする役割を担う。

本記事では、MOpsチームを編成するための人員招集のポイントを解説する。

MOps(マーケティングオペレーションズ)に関する実態調査資料
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MOps人材はIT部門から招き入れる

MOps人材を欲する企業が増えているが、MOpsとしてキャリアを築いてきた人は日本ではまだあまり多くない。現実的に考えると採用で獲得することは難しく、社内で育成する必要がある。

MOps人材は、以下3つの手段を用いて獲得することになる。

・マーケティング部門内から抜擢する
・IT部門から招き入れる
・転職市場からIT人材を招き入れる

人材獲得の難易度を考えると「IT部門から招き入れる」「転職市場からIT人材を招き入れる」のいずれかを選ぶのが得策だろう。

2021年にヒューマンリソシア社が実施した調査『データで見る世界のITエンジニアレポートvol.4』によると、2020年時点で日本には122万人のIT人材がいるとされている。一方、ビデオリサーチインタラクティブ社が実施した調査によると、2018年時点でデジタルマーケターは2万人しかいないとされている。

人材の総数を考えると、自社のIT部門や転職市場から、IT人材をMOpsチームのメンバーとして招き入れる方が容易だと考えられる。

現在IT部門に所属している人をMOpsチームに招き入れれば、IT部門の事情も考慮したうえで落としどころを探るようなコミュニケーションが取れる。双方の立場を理解した人がいることで、テクノロジー活用推進を円滑に進めることができるだろう。

MOpsチームに参画するすることでIT人材が得られるメリット

IT部門や転職市場のIT人材をMOpsチームに招き入れるには「部署異動や転職をしてでも挑戦したい」と思わせるだけの魅力的なオファーをする必要がある。ここでは、IT人材がMOpsチームに参画することで得られる3つのメリットを紹介する。

直接的にビジネスに関われる

システムの保守・運用が主な業務であるIT部門の方は「自分はビジネスに直接的な貢献ができていない」と感じてしまうことがある。業務に対して主体的に取り組む優秀な社員であればなおさらだろう。

ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン社がアジア5ヶ国・地域のIT人材を対象におこなった調査では、IT人材の退職理由として「キャリアアップやスキルアップ・研修の機会の欠如」がトップに上がった。これは、現状の業務に物足りなさを感じていることを示している。

キャリアアップやスキルアップを求めているIT人材にとって、ビジネスへ直接的に貢献できるMOpsチーム参画のオファーは魅力的に映るだろう。

組織間コミュニケーションの経験を積める

マーケティングとITの架け橋となるMOpsチームに参画すると、組織を跨いだコミュニケーションを取ることが多くなる。複数部門の要望を取りまとめる業務は、IT人材にとって良い経験になるだろう。

比較的活発に転職するIT人材は、短期でのキャリアアップを望んでいる傾向がある。しかし、自身が望むほどのペースでキャリアアップを実現できている人はそう多くない。

MOpsチームで経験できる「組織を跨いだコミュニケーション」を通じて、マネージメントクラスが見ている景色を垣間見れるようになる。その経験は、IT人材のキャリアアップに好影響を与えるだろう。

高年収を叶えられるキャリアパスを描ける

需要に対して供給が足りていないとされているマーケターと比べても、MOps人材は給与水準が高い。2022年にMARTECH社が実施した調査によると、米国ではフィールドマーケターよりもMOps人材の方が約26%給与が高いとされている。

現状日本でMOps人材の求人を見かけることは少ないが、今後増加していくことが予測される。MOpsチームへの参画を通じて新たなキャリアを築くことで、当人の市場価値向上と結びつけることができるだろう。

人を動かす唯一の方法は、相手が欲しがっているものを与えることである

デール・カーネギー氏は著書『人を動かす』のなかでこう語っている。

人を動かす唯一の方法は、その人の好むものを問題にし、それを手に入れる方法を教えてやることだ。

引用:人を動かす|著:デール・カーネギー 出版:創元社 p50

MOpsチームにIT人材を招き入れるには、IT人材が欲しているものを知る必要がある。それを提供できるようなオファーを出せれば、MOpsチームの編成が一歩前へ進むだろう。

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岩野 航平

コンテンツ編集長

岩野 航平

コンテンツ戦略策定

新卒で株式会社ネオキャリアに入社し、新規オウンドメディアの立ち上げに従事。ネオキャリアを退職し、数カ月間飲食店で働いた後、パワー・インタラクティブに入社。マーケティング、インサイドセールスを担当したのち、コンテンツ編集長に就任。パワー・インタラクティブで発信するコンテンツ全般の企画やコンテンツ計画策定などをおこなう。

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