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マーケティングオートメーション(MA)におけるセグメントの設計(セグメンテーション)のポイントについて教えてください

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公開日:2018年6月15日(金)


セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング(STP)を理解する

マーケティングにおいて、セグメンテーションは、ターゲティング、ポジショニングと合わせてSTPと呼ばれ、今なお多くのマーケターが活用しています。まず、STPについて整理してみましょう。

セグメンテーションは自社の市場や顧客を一定の分類軸で細分化し、かたまり(セグメント)に切り分けるものです。

今日、セグメンテーションが重視されるのは、消費者の趣味や嗜好、ライフスタイルの多様化が進んだことが背景にあります。販売促進のために市場全体を対象にプロモーションを展開した場合、対象商材に興味を持たない多くの消費者にもリーチするためにプロモーションコストは増大します。受け手によっては、ブランドへの離反を招く恐れもあります。

適切なセグメントを設定し、セグメントごとに最適化されたメッセージを届けることで、コストを最適化し受け手にとって有益な情報を届けることができるのがセグメンテーションのメリットです。

マーケティングにおけるセグメンテーションを設計する上での分類軸には以下のようなものがあります。


ジオグラフィック変数

地域や地方、都市と郊外など地理的な属性に基づいてセグメントを設計します。メーカーのエリア別販社による営業は顧客企業の地域に基づくセグメンテーションとして機能しています。カップうどんは同一ブランドでも関東地方と関西地方で味を変えることで、地域ごとのニーズにこたえています。


デモグラフィック変数

年齢や性別、世帯構成とライフステージ、所得、職業といった顧客の属性に基づいてセグメントを設計します。美容グッズや健康食品は年齢や性別により対象となる顧客が限定されます。夫婦二人世帯と幼児がいる世帯では消費の優先順位が異なってくるでしょう。


サイコグラフィック変数

顧客の心理的傾向に基づくライフスタイルや嗜好に基づいてセグメントを設計します。例えば、普段スターバックスを利用する人、ドトールを利用する人、ルノアールを利用する人は、それぞれライフスタイルが異なり、住居やインテリア、ファッションの嗜好に違いがあるかもしれません。

ただし、個々の消費者の内面を定量的に把握するのは困難なため、インタビュー調査やVOC(顧客の声)、消費動向などを活用して類型化した上で、デモグラフィック変数など他の変数を併用して活用することになります。


行動データ

会員カードなどにより紐付けられる来店履歴、過去の購入データに基づく購買履歴のような過去の行動データは適切な分析に基づく活用により、個人の興味・関心に基づいたメッセージ配信に活用されています。Amazonは商品の閲覧履歴や過去の購入履歴から、Webサイト上でのリコメンドやおすすめ商品のメール配信を行っています。

デジタルマーケティングにおいて、行動データの収集と活用は極めて大きな役割を持っています。消費者の行動データはサイコグラフィック変数の活用をより容易なものとするでしょう。ただし、多くの消費者はマーケターの都合によりデータを乱用されれば、ネガティブな感情を抱くはずです。今日のマーケターは、「そのデータを活用することで、顧客に優れた体験や価値を提供できるのか」を常に自問すべきです。

セグメントは分類軸を組み合わせることで、いくらでも設計することができます。重要なのは、無数に設計されたセグメントの中から、自社のビジネスにとってアドバンテージが得られるセグメントを見つけ出すことです。自社にとって収益拡大につながるセグメントを選択し、集中することをターゲティングといいます。

有望なターゲットセグメントは自社が1社独占できるケースはまずありません。セグメンテーションにより細分化された市場において、競合他社に対してどのように差別化するかをポジショニングと呼びます。

機能に優位性があるのか、デザインが優れているのか、価格において比較優位なのか。顧客のベネフィットに基づいた独自のポジションを確保することが理想です。

まとめると、

  • セグメンテーションにより、自社にとって有利な市場を探索する
  • 特定のセグメントをターゲットに設定しリソースを集中する
  • ターゲットセグメントにおける競合他社との競争環境の中で、消費者にとって魅力的に映るポジションを確保する

のがSTPのポイントです。


マーケティングオートメーション(MA)におけるセグメントの設計

マーケティングオートメーション(MA)におけるセグメンテーションは、STPで説明した手法を踏まえたものですが、大きく異なる点があります。MAのセグメンテーションは、市場や顧客ではなく、自社が保有するリードデータをセグメントするものです。

MAのセグメント設計の中心となるのはライフサイクルステージです。

図:Marketoのライフサイクルステージ(収益サイクルモデル)画面
Marketoのライフサイクルステージ(収益サイクルモデル)画面

この図はコラム「営業との連携を考える ~Salesforce同期・ライフサイクルステージ~【Marketo導入日記-5】」で紹介したMarketoのライフサイクルステージの一例です。同コラムではそれぞれのステージの定義についても解説しているので、ぜひ合わせてお読みください。

多くのMAツールは標準的なモデルを用意しており、活用する企業はおおむね同じようなステージを採用しています。MAはリードの属性情報や行動履歴に対して設定されるルールに基づいてリードをスコアリングし、スコアの変動に基づいてリードが属するステージを自動的に移行します。

ステージが左から右に移行するに従って、自社とリードの関係は深化していきます。これはMAならではのセグメンテーションです。


ライフサイクルステージごとのリードをさらにセグメントし、成果を上げる

ただし、ここで考えなければいけないのは、ライフサイクルステージはマーケティング・セールスプロセスの成果をモニタリングする上で大きな役割を果たす一方、各ステージに対して一律のマーケティング施策を展開して成果をあげることは難しいということです。

ライフサイクルステージの各ステージに属するリードは、業種も企業も役職も異なり、異なる製品・サービスに対して異なる関心を抱いています。その用途を事前に特定することは困難です。

MAにはリードを属性情報や行動データ、ステージに基づいてセグメントする機能が用意されています。こうしたセグメンテーション機能に基づいてキャンペーンを設定し、対象となるリードが発掘された際には自動的にマーケティングシナリオを実行するよう設定することも可能です。

MAにおけるセグメンテーションに用いられる分類軸は、一般的なマーケティングで用いられるものと変わりません。リードをセグメントしてキャンペーンに活用するためのセグメントは、例えば以下のようなものが考えられます。


営業エリア

全国に営業拠点を設置している場合、拠点ごとにセミナーやイベントを開催する企業もあるかと思います。MAを活用する多くの企業は、リードを地域でセグメンテーションし、最寄りの会場で開催されるセミナーやイベントの告知を行っています。


リードの在籍企業・部門が属する業界

BtoBにおいて、多くの製品・サービスは、リードの属する業界や事業ドメインが同じならば、その活用も同じようなものになるケースは少なくありません。リードを業種ごとにセグメントし、業界特有の情報を提供することは有益な情報提供につながります。

特定業界の導入事例を業界でセグメントされたリードに告知することは有効な手法です。セグメンテーションに基づくキャンペーンは自社への信頼感の醸成にもつながります。


リードの購買行動における役割

BtoBの購買行動は異なる立場の社員が関与する複雑な意思決定プロセスです。現場で製品・サービスを活用する担当者、新たに導入する製品・サービスの情報を収集するスタッフ、製品選定に関わるマネージャーや専門職、決裁権限を持つ役員やマネージャー。購買プロセスにおいて異なる役割を担うリードに対して、同一の情報提供を行うことは非効率なだけでなく、顧客体験を損ねます。

リードの役職に基づいたセグメントを併用し、適切な情報を絞り込んで送り届けることをキャンペーン設計の際に意識してみてください。


直面する課題をあらわす行動

Webサイトの閲覧履歴や資料ダウンロードのような行動は、リードがどのような課題を抱えているかをあらわすシグナルです。特定ページの閲覧や特定の資料ダウンロードによるセグメンテーションを行い、課題解決に役立つ情報を提供することは購買行動における意思決定の後押しになります。

ただし、このセグメントを活用するためには、十分なコンテンツの整備が必要となります。製品情報とわずかな関連コンテンツの閲覧履歴からでは、閲覧頻度以外に購買意向を推定するための情報を取得することが難しいためです。


マーケティングオートメーション(MA)のセグメント設計の落とし穴とは?

最後に、マーケティングオートメーション(MA)においてセグメントを設計する際に注意すべき点を一つだけあげておきます。それは、

『詳細で精緻なセグメンテーションが有効とは限らない』

ということです。

セグメンテーションの条件を複雑にすればするほど、セグメントに含まれるリードの類似性は高まり、メッセージはより身近に感じられるものになるかもしれません。

しかし、条件を重ねるごとに、セグメントに含まれるリードの数は減少し、有効なセグメントの数が増えるならば必要なキャンペーンの数が増加します。詳細な条件に基づいて設定されたセグメントに含まれるリード数から、キャンペーンに見合う成果を獲得することは可能でしょうか? 必要なキャンペーンの実行に必要な制作・運用のためのリソースを確保することはできるでしょうか?

最初はシンプルなコミュニケーションシナリオに基づく最低限のキャンペーンを用意し、成果を検証した上で追加・修正していくと同時に、精緻なセグメンテーションに見合うだけのリードを獲得するためのリードジェネレーションの強化を重視するとよいかもしれません。

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