Webサイトやマーケティングオートメーション(以下、MA)のデータが日々蓄積されていても、それをどう活用すれば事業貢献につながるのか、アクションプランが描けない。多くのマーケティング担当者が抱えている悩みではないでしょうか。
本稿では、電機業界大手企業のB社が抱えていた「マーケティング部門の施策成果を可視化し、社内での価値をアピールしたい」「営業担当者が顧客へのアプローチに活用できるようなデータを提供したい」という課題に対し、パワー・インタラクティブがお客様と伴走し、共にデータ活用のロードマップを描きながら、データ基盤の構築・実装までを一貫して支援した内容を詳しく解説します。
利用サービス:マーケティング・データマネジメント支援サービス
B社のマーケティング部門では、「データを活用して事業に貢献したい」という強い想いがありましたが、主に2つの課題に直面していました。
マーケティング部門は、広告、ウェビナー、コンテンツ制作など、多岐にわたる施策を日々実行していました。しかし、それらの活動が最終的にどのようなビジネス成果に結びついているのかを、客観的なデータで示すことができていませんでした。
月次のレポート作成には多大な工数がかかるものの 、施策と売上の繋がりは不明確なまま。経営層や他部門に対してマーケティング活動の費用対効果を説明し、部門としての価値を社内にアピールすることができていない状況でした。
営業部門からは「顧客へのアプローチに活用できる、より質の高いデータが欲しい」という要望が常にありました。しかし、当時のデータ提供はMAから創出した一部リストの共有に留まっており、営業担当者が求める顧客の具体的な興味関心(どのWebページを見たか、どの資料をダウンロードしたか、など)を伝えることができていませんでした。
データが各ツールにサイロ化しており 、顧客の行動の全体像が見えないため、営業活動の質を向上させるという目的を果たせずにいました。
B社の「具体的なデータ活用のイメージが固まっていない」という状況に対し、パワー・インタラクティブは中長期的な視点でのご支援を提案しました。
まずお客様との対話を通じて、漠然とした要望を具体的な「実装要件」に落とし込むことから始めました。関係者へのヒアリングを重ね、以下のような多様な要望をリストアップしていきました。
・経営層向けに、広告やWebサイト全体のパフォーマンスを可視化・アピールしたい
・ウェビナー施策の効果を多角的に測定・分析し、改善に繋げたい
・営業支援に向け、ターゲット企業のWeb上の動向を深掘りできるようにしたい
・特定の施策やプログラムごとの詳細なパフォーマンスを把握したい
次に、これらの要望に対し、一度にすべてを実装するのではなく、事業インパクトと実現性を考慮して優先順位を設定。全社の共通認識を作るための全体実績ダッシュボードから着手し、次に各施策の効果測定、最終的に営業活動を直接支援するダッシュボードへと、段階的に構築し、関係者全員が納得できるロードマップを策定・提案しました。
合意形成されたロードマップに基づき、本格的なデータ活用基盤の構築に着手しました。複数の場所に散らばっていたデータを統合し、将来の拡張性も担保しながら、目的に応じて柔軟にデータを活用できる環境整備をおこないました。(図表1参照)
図表1:システム構成図
1.データソース: B社のマーケティングの根幹をなすMAツール「 Adobe Marketo Engage(以下、Marketo)」の顧客データと、Webサイト上のあらゆる行動を捉える「GA4」のイベントデータを、分析の源泉としました。
2.ETL (抽出): 安定したデータ連携が可能な国産ETLツール「TROCCO」を採用。MarketoとGA4から日次でデータを自動的に抽出・転送する仕組みを構築しました。
3.データウェアハウス (蓄積・変換・集計): GCP(Google Cloud Platform)の中核サービスであるクラウドデータウェアハウス「BigQuery」を、データ活用の「心臓部」として据えました。
単にツールを繋ぐだけでなく、DWH(データウェアハウス)を中間に置く理由は、「データの再利用性」と「パフォーマンス」を最大化するためです。一度DWHにデータを集約・整理しておけば、将来的に新たな分析軸が生まれた際にも、元のデータに遡って柔軟に対応できます。
4.BI (分析・可視化): データの「出口」となるBIツールは、B社の多様な関係者のニーズに応えるため、目的に応じて使い分けるハイブリッド構成としました。経営層へのレポーティングには、Microsoft社が提供する「Power BI」を、現場担当者による深掘り分析にはGoogleが提供する「Looker Studio」を活用します。
本プロジェクトは2025年6月にキックオフしたばかりですが、B社の組織内にはすでにいくつかのポジティブな変化、「成果の兆し」が明確に現れています。
・目的の明確化と具体化: 漠然としていた「営業支援」というテーマが、具体的なダッシュボード構築計画に落とし込まれました。誰が、いつまでに、何をするのか。曖昧だった目標が、全員が見えるマイルストーンへと変わりました。
・関係者間の強固な合意形成: 関係者が一堂に会し、パワー・インタラクティブのファシリテーションのもとで要望を整理したことで、部門間の壁を越えた「全社ごと」としてのデータ活用プロジェクトがスタートしました。今後のプロジェクト推進における強力な土台となります。
・実行への確信と当事者意識: これまでブラックボックスだったデータ連携のプロセスが、データ基盤の全体像として可視化されたことで、担当者は「これならできる」という自信と、自分たちの手でデータを育てていくという当事者意識を持つことができました。
今後、ご提案したロードマップに基づき、各ダッシュボードの実装を本格化させていきます。全社KPIの可視化から、各施策のPDCA確立、そして最終的には営業活動の変革へと、データを活用する領域を段階的に広げていく計画です。
このプロジェクトが目指す最終的なゴールは、単にレポートを自動化することではありません。データという客観的な事実を通じて、マーケティング部門がコストセンターから「事業成長のエンジン(プロフィットセンター)」へと変貌を遂げることです。データが部門間の壁をなくし、勘や経験だけに頼らない、質の高い意思決定を全社にもたらす。そんな未来像を、お客様と共に描いています。
パワー・インタラクティブでは、「運用最適化・自動化」「データ可視化・レポート強化」「施策の高度化」など、企業のデジタルマーケティングの成熟度に合わせた様々な切り口からデータマネジメントの支援をおこなっています。データ活用に関する課題をお持ちの場合は、一度ご相談ください。
パワー・インタラクティブ マーケティング推進室

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