事例

【後編】株式会社富士通マーケティング お客様からみつけてもらうサイトへの挑戦 公開1年で自然検索経由70%を実現

成果
Marketo導入最大の効果は、シナリオベースのプロモーション活動への転換

Marketo導入最大の効果は、 シナリオベースのプロモーション活動への転換

Marketo導入最大の効果は、 シナリオベースのプロモーション活動への転換

→ インタビュー前編
前編では、マーケティング専用サイト「ICTのmikata」の立ち上げについてお聞きしています。

「ICTのmikata」で受注獲得! 初回接点から受注までオリジナルコンテンツの閲覧が続く

受注が獲れたということですが、具体的経緯を教えてください。

受注をいただいたA社との最初の接点は、2014年9月に実施した「富士通マーケティングフォーラム2014」でした。これがきっかけで、人事部門より12名、情報システム部門より2名の名刺情報を入手することができました。その後、情報システム部門のお一人が「ICTのmikata」のメルマガをきっかけにコンテンツを継続的に閲覧くださるようになりました。

日付 実施内容
2014年 9月 「富士通マーケティングフォーラム2014」来場
2014年11月 「ICTのmikata」メルマガ経由にてマイナンバーコラムを閲覧
2015年 2月 「ICTのmikata」メルマガ経由にてマイナンバーQ&A集ダウンロード
2015年3月~4月 マイナンバー関連記事を5回にわたり閲覧(直接訪問)
2015年 4月 「ICTのmikata」メルマガ経由にてマイナンバーQ&A集第2版をダウンロード
2015年 5月 「ICTのmikata」メルマガ経由にて「中長期IT戦略立案」関連コンテンツを複数閲覧
「中長期IT戦略立案」ホワイトペーパーをダウンロード。ダウンロードフォームの
「富士通マーケティングのIT戦略立案支援の詳細説明を希望する。」にチェック。
営業訪問へ
2015年6月~7月 IT戦略立案支援を無償で行う「フリーコンサルティング」実施。
2015年 8月 商談化
2015年 9月 受注

マイナンバー関連の情報をきっかけに、「ICTのmikata」に関心を持ち、何度も訪問されるうち、「中長期IT戦略立案」という課題に対応したコンテンツが現れ、お問い合わせにつながったというパターンです。
こうした個客の行動履歴を把握できるのがMarketoのメリットの一つでもあります。
今後は、今回のような成功パターンを裏付けとし、営業部門に対して説得力のあるシナリオ設計やスコアリングに反映していきたいと考えています。

コンテンツがなければ何も始まらない。 独自コンテンツの制作と外部購入のバランスをとる

オリジナルなコンテンツの継続的掲載が受注に貢献したんですね。

結局コンテンツがないと何も始まりません。シナリオを作るにもコンテンツがないと実行できません。当初は著名な執筆者に原稿をお願いすることを中心に考えていましたが、他社も同様のコンテンツを掲載しています。継続的訪問を獲得するには他社にはないオリジナルなコンテンツを揃えていかなければなりません。
オリジナルなコンテンツはなかなか作れないと思っていましたが、様々なコンテンツの作り方があることがわかってきました。いくつかご紹介します。

1)社内実践事例
コンテンツのネタは社内にたくさん眠っていることに気づきました。最近は、経理部や人事・総務部、情報システム部など日々行われている現場での改善活動を社内実践事例としてコンテンツ化しています。自社事例なので現場の状況を具体的に紹介することができ、部門に沿った業務改善のヒントを掲載することができます。

2)アンケート調査データの活用
市場アンケート調査結果などの客観的な実態データより、お客様の共感を呼ぶ独自コンテンツを作ることができます。調査レポートをダウンロードコンテンツとし、さらに専門家による解説を連載コラムとして掲載するなど、継続的にサイト誘導を図ることができます。

3)ひとつの施策から連鎖したコンテンツ作り
先にご紹介したマイナンバーのコンテンツがそうですが、セミナー参加者からの質問&回答をQ&A集としてダウンロードコンテンツ化、さらにダウンロード時のフォームでとったアンケート結果を実態調査レポートとしてコンテンツ化、といった具合にセミナーでとった一施策がかたちを変えてコンテンツ展開することができます。苦労しなくても複数のコンテンツを容易に作る方法があることがわかってきました。

サイト訪問を目的としたライトなコンテンツはアウトソースで安定的に制作する一方、サイトに魅力を感じてもらうオンリーワンのオリジナルコンテンツの制作は、シナリオを組み立て知恵を絞りながら制作しています。コンテンツの質と量を充実させるには、両方のバランスをとりながら運用していく必要があると考えています。

コンテンツがなければ何も始まらない。 独自コンテンツの制作と外部購入のバランスをとる

Marketoを使いこなすためにはシステム・運用面での対策が必要

Marketoを使いこなすために苦労した点はありますか?

Marketoの機能は、「リード管理」「メールマーケティング」「ランディングページ」を中心に活用しています。スコアリングや閲覧ページに応じた自動メール配信を行う「スマートキャンペーン」機能はちょうど使い始めたところです。
実は、Marketoを導入前のイメージ通りに使えない部分があり、いろいろ工夫しながら活用しています。 例えば、営業部門と情報を密に取るためにリード情報を共有する必要があります。ただし、Marketoに営業担当者を直接アクセスできるようにするのはセキュリティ上ハードルが高いため、APIを使ってメルマガの配信結果、メルマガ会員のエリア分布等、集計したデータを毎日自動的に営業に配信できるようにしています。11月以降は、資料ダウンロード者がその後どのページを見たか、行動履歴情報も追加する予定です。営業連携の機能がもう少しMarketoに備わるとありがたいですね。

また、セミナー受付はMarketo以外の社内共通フォームを利用していますが、セミナー申込みデータをMarketoにインポートするだけでは、メールアドレスとクッキーが紐づいていないため、行動履歴が確認できません。営業の名刺データのインポートも同様です。
現在、約5万人のデータベースのうち3万人の行動履歴が見えない状態です。Marketoに紐づけするにはメールをクリックしてもらう必要があり、セミナー参加者へのお礼メールや定期メルマガ以外のメール企画で3万人をいかにMarketoに紐づけするかの対策をとっているところです。

さらにもう1つ、リード情報が90日間しか保有されないことが導入後にわかりました。半年前のセミナーに参加していた人がサイトに訪問してくれても履歴が確認できません。そこでセミナー申込みデータをインポートする際、セミナー申込み履歴が追加された履歴データを1項目にまとめ毎日データ更新するようにし、90日間の期限が切れないようにしました。

Marketo導入最大の効果は、シナリオベースのプロモーション活動の実感。
今後は行動履歴、関心度合に応じたコンテンツ提供とPDCA運用を目指す

今後の課題を教えてください。

今後はMarketoの「スマートキャンペーン」機能を活用し、お客様の行動履歴、興味関心度合に応じ、最適なタイミングで役立つコンテンツを届けることを目指していきます。
例えば、商品ページを閲覧した人には3日後に購入促進メールを配信、さらにメールを開封した人には商品訴求メールで商品詳細ページへ誘導、未開封の人にはブランド訴求メールを配信する。また、商品詳細ページを閲覧した人にはメールでカタログダウンロードページへ誘導、その後カタログダウロードページを閲覧した人へはキャンペーンお知らせメールを配信するとともにコールセンターから電話を入れ営業につなげる、といった流れが自動で回るようにしたいと考えています。

Marketo導入の最大の効果は、シナリオベースのプロモーション活動を実感できるようになったことです。これまで展示会やセミナーを実施しても成果(有望商談)が出る・出ないは運次第ということもありましたし、各部門がそれぞれ考える単独のプロモーションが錯綜していました。現在はイベントやセミナーはひとつの部品としてとらえ、どのようなお客様にどんなシナリオ、タイミングでアプローチすると効果的なプロモーションができるかを考えるようになりました。マーケティングオートメーションツールは、それを科学で支える手段であると捉えています。

現在はコンテンツ作りに追われる毎日であり、効果的なシナリオ設計に充分な時間が割けない状況ですが、半年先のコンテンツ企画を計画し、毎月の企画会議、評価会議で課題を確認、改善点の洗い出しができるような運営体制を目指します。

Marketo導入最大の効果は、シナリオベースのプロモーション活動の実感。 <br/>今後は行動履歴、関心度合に応じたコンテンツ提供とPDCA運用を目指す

プロフィール

桜井 浩 氏
株式会社富士通マーケティング
ビジネスパートナー本部ビジネス推進統括部 WEBプロモーション推進部 部長

1980年富士通株式会社入社。システムエンジニアとして基幹系業務アプリケーションの開発と販売支援に従事。2010年に株式会社富士通マーケティングに出向。2012年には富士通マーケティング製品・サービスの全社Webプロモーションを推進する。
現在、2014年11月に公開したBtoBマーケティング専用サイト「ICTのmikata」を中核とした、デジタルマーケティング推進の指揮をとる。
→ 株式会社富士通マーケティング http://www.fujitsu.com/jp/group/fjm/
→ BtoBマーケティング専用サイト「ICTのmikata」 http://business-info.fjm.fujitsu.com/mikata/

インタビュー後記

パワー・インタラクティブでは、「ICTのmikata」立上げ前の戦略設計の段階からコンサルティング支援を開始、現在は月2回の定例ミーティングをベースに、Marketoを活用しながらリード獲得・育成を進めています。
目指すは「ICTのmikata」を通じて見込み客と中長期的コミュニケーションをとるしくみをつくり、「ICTのmikata」を中長期育成型サイトとして確立することです。

しくみづくりに欠かせないのは、見込み客が関心を持つコンテンツを揃えていくこと。最近掲載された自社経理部門の決算早期化プロジェクト事例は、見込み客である経理部門のマネジャーが抱える課題として「決算早期化」への問題意識が高いと考え準備したコンテンツです。
決算早期化を実現させたのは、「システム定着化」から「業務改善」への転換だった
→ (前編)決算早期化を実現に導いた、購買部門への業務改善提案
http://business-info.fjm.fujitsu.com/mikata/account/improvement/detail/009.html

→ (後編)プロジェクトを甦らせた中間目標の設定
http://business-info.fjm.fujitsu.com/mikata/account/improvement/detail/009/2/

今後、決算早期化に関するセミナーやコラムはもちろん、その他の経理部門の課題に関するコンテンツを増やし、経理部門との関係づくりに向けたシナリオを複数走らせる予定です。
ここからがMarketoの出番です。Marketoを使ってメールによるコンテンツ誘導やリードの属性・行動履歴の検証を行い、シナリオが有効であるのか、何を改善するべきかを明らかにしていきます。

マーケティングオートメーションツールは、デジタルマーケティングを効率的に行うために有効ですが、あくまでも一つの手段です。「ICTのmikata」が稼働し、受注も獲得している要因には、250ページを倍増したコンテンツ調達力や他部門と連携をとった社内コミュニケーション力等があげられます。マーケティングオートメーションツールを入れただけで成果が出ているわけではありません。
ツールを導入したが活用しきれていないとお悩みの方、ツールはあくまでも手段であることを認識し、目的に立ち返ってみてはいかがでしょうか。

広富 克子

取締役/執⾏役員

広富 克子

コンテンツマーケティング支援

神⼾⼤学経営学部卒業。住友ビジネスコンサルテイング株式会社⼊社。マーケティングリサーチ・コンサルティング業務を中⼼に活動し、その後AJS(オール⽇本スーパーマーケット協会)にて、プライベートブランドの商品開発・営業に従事。2003年10⽉、株式会社パワー・インタラクティブ⼊社。2006年4⽉、取締役執⾏役員に就任。全社営業戦略を統括する。

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