事例

データウェアハウスが使えなくても実現可能。Power BIとCDataでレポーティングを自動化

マーケティング活動において、データに基づく意思決定は不可欠です。その解決策として、データを一箇所に集約するデータウェアハウス(以下、DWH)の有効性は広く知られています。
しかし、「DWHは便利だと知っているが、社内規定やコスト、導入スピードの問題で、すぐには使えない」という現実に直面している企業も少なくありません。データは日々蓄積されていく中で、こうした制約によってデータ活用の第一歩が踏み出せない。

では、DWHという理想的な環境がなければ、データ活用は諦めるしかないのでしょうか。
そんなことはありません。ツールの連携方法は多様であり、柔軟な発想で制約を乗り越えることは可能です。
パワー・インタラクティブは、製薬業界大手のA社が抱えていた「Adobe Marketo Engage(以下、Marketo)のレポート作成に時間がかかり、検証・改善する時間が取れない」という課題に対し、DWHを利用しないスピーディなデータ可視化ソリューションを提供しました。
本事例記事では、詳細をご紹介します。

利用サービス:マーケティング・データマネジメント推進支援サービス

レポート作成の工数増大が、本来の分析業務を圧迫

A社では、Marketoを活用したメールマーケティングの効果検証を行う上で、以下のような問題を抱えていました。

・Marketoの標準レポートが見づらく、検証に活用できていない
・レポート作成を手動で行っており、多くの工数がかかっている

こうした問題によって、本来注力するべき施策のふり返りや次のアクションの検討に時間をとれない状況となっていました。

A社へヒアリングを進める中で、「顧客の社内規定上、DWHの利用申請に時間がかかる」という事情が判明しました 。そこでパワー・インタラクティブは、この制約を乗り越え、かつスピードを重視した構成として、DWHを介さずにMarketoのデータを直接Power BIに繋ぐ方法を提案しました(図表1参照)。

図表1:システム構成図

【具体的なシステム構成】

利用ソリューション: Marketo、CData Connect Cloud、Power BI
データの流れ: DWHを介さずにMarketoのデータを直接Power BIに連携させるため、中継サービスとして「CData Connect Cloud」を利用しました。CData Connect Cloudは、SaaSやクラウド上のデータを専門的な開発なしで様々なツールにリアルタイム接続できるサービスです。
接続先には、Microsoft社が提供するデータ可視化・分析ツール「Power BI」を選定。Power BIが持つ「Power Query」というデータ加工機能を活用し、必要なデータの集計や変換をおこないました。
構成: Marketo → CData Connect Cloud → Power BI
構築したダッシュボード: メールの送信・開封・クリック数の推移や、メールプログラムごとの詳細なパフォーマンス(配信日、送信数、開封率、クリック数など)を一覧で確認できるダッシュボードを構築しました 。これにより、手動での集計作業を一切おこなうことなく、関係者全員がいつでも最新の状況を確認できるようになりました(図表2参照)。

図表2:メール施策ダッシュボードの画面

レポート作成業務の自動化と、データに基づく意思決定の迅速化を実現

本プロジェクトの結果、これまで手動でおこなっていたレポート作成業務は、Power BIによるダッシュボードをベースにした自動運用へと移行しました 。これにより担当者の工数が大幅に削減されただけでなく、一覧性の高いダッシュボードによってメールマーケティングのパフォーマンス状況が一目で把握できるようになり、関係者がいつでも最新のデータを確認できる環境が整いました。

将来の拡張性を見据えたデータマネジメント設計

今回はスピードを重視した構成ですが、パワー・インタラクティブではデータ基盤を設計する際、将来的な拡張性や柔軟性を見据え、「蓄積」「変換」「集計」という段階に分けるアプローチをとっています。

主な理由として、2点があげられます。

1.データの再利用性と柔軟性の向上
・蓄積段階では、 元データをそのまま「蓄積」しておくことで、将来的に分析の目的や指標が変わった際にも柔軟に対応できます。
・変換や集計処理を切り離しておくことで、必要なロジックだけを再実行することができます。
・Power BI などのBIツールからも、加工前・加工後のデータ両方へのアクセスが可能になり、分析の自由度が高まります。

2.処理負荷の分散とパフォーマンスの最適化
・データ量が多い場合、集計処理や可視化処理に不要な全レコードを都度読み込むと、パフォーマンスに悪影響が出ます。そのため、 処理を段階的に分けることで、システムへの負荷を分散させ、パフォーマンスを最適化します。

本案件ではDWHを使いませんでしたが、この設計思想をPower BI内でのデータ処理に応用しています。これにより、単に目の前のレポートを自動化するだけでなく、将来的な分析ニーズの変化にも対応しやすい、持続可能なデータ活用の仕組みを構築しました。

制約に応じた柔軟なソリューション選択の重要性

本事例は、企業の個別の事情や制約を理解し、既存のテクノロジーを柔軟に組み合わせることで、課題解決への道筋が見いだせることを示しています。DWHの構築がデータ活用の唯一のスタートラインではなく、コネクトツールを活用することで、スピーディかつ柔軟なデータ連携が実現できます。

パワー・インタラクティブでは、「運用最適化・自動化」「データ可視化・レポート強化」「施策の高度化」など、企業の成熟度に合わせた様々な切り口からデータマネジメントの支援をおこなっています。データ活用に関する課題をお持ちの場合は、一度ご相談ください。

マーケティング・データマネジメント推進支援サービス

安川 大

マーケティングデータアナリスト

安川 大

MA/SFAなど各種データを統合したダッシュボード設計

システムエンジニアから、データアナリストとしてウェブメディアのグロース支援に従事。GA4やBigQueryを活用し、サイトパフォーマンス改善に貢献。現在はGA4に加え、MA、CRMデータとデータ領域を広げ、ダッシュボードの設計・構築から分析までを担当。趣味は富士山近くでのキャンプ。

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