日置電機株式会社 リードビジネスゲーム®で営業のデジタルマーケティングの理解促進と協力を獲得

日置電機株式会社 リードビジネスゲーム®で営業のデジタルマーケティングの理解促進と協力を獲得

日置電機株式会社は、1935年の創業以来電気計測器の研究開発・生産に取り組んでいるメーカーです。2020年にはAdobe Marketo Engage(以下、Marketo)を導入し、デジタルマーケティングを進めています。パワー・インタラクティブでは、Marketoの活用支援を含めデジタルマーケティングの推進をサポートしてきました。現在自走を進めている中、デジタルマーケティングを効果的に取り組むために、営業を巻き込んだ施策強化が優先課題にあげられました。課題解決に向け、デジタルマーケティングを担うカスタマーコミュニケーションセンター(カスタマーCC)と営業メンバーが共にリードビジネスゲームに参加し、デジタルマーケティングを疑似体験することで理解が進み、部門間連携が強まることが期待されました。

本稿は、リードビジネスゲームを実施して2カ月後におこなったふり返りミーティングの内容をベースに、リードビジネスゲーム受講後の参加者の感想や成果、今後の動きについてまとめたものです。

参加者(8名)
カスタマーコミュニケーションセンター(カスタマーCC)4名 / 営業部各拠点より4名 SEO(Sales Expert Office)2名・SSH(Sales & Solution Hub)2名
※SEOは新規開拓を目的とした販売拠点
※SSHはテクニカルセンター機能を持ち、マーケット軸に重点を置いた販売拠点

担当トレーナー
パワー・インタラクティブ  久道 真之介
実施の背景
デジタルマーケティングを効果的に進めるためには、もっとカスタマーCCと営業がタッグを組んだ企画を打ち出す必要がある
実施の目的
営業担当者のデジタルマーケティングに対する認知と関心を高めるとともに、カスタマーCCメンバーの基礎知識を底上げする。
習得したこと
・営業とカスタマーCCの間で共通言語化ができた
・リードビジネスゲームをきっかけに、年間販促計画「イベントスケジュールカレンダー」を全社公開。全体の計画が把握できるようになり効率的は販促活動が実施できるようになった
・カスタマーCCメンバーが営業ミーティングに参加、営業情報を収集したうえでデジタルマーケティング施策を策定する流れができた
・目的を決めて、そこから逆算をして施策を考えるようになった
今後に向けて
MQLの定義化に向け、データベースの整備と顧客ランクの定義づけ、ルールを年内に決める

※「リードビジネスゲーム®」は、株式会社Nexalが開発したBtoBマーケティング実践プログラムです。パワー・インタラクティブはそのトレーニングパートナーを務めています。

リードビジネスゲームをきっかけに、年間販促計画「イベントスケジュールカレンダー」を全社公開

リードビジネスゲームに参加いただいて約2カ月が経ちました。参加後、変わってきたことがあれば教えてください。

カスタマーCC 大野氏
これまでその場しのぎの施策が多く、先を見通して何をするべきかが見えていない状況でした。リードビジネスゲームに参加して改善しなければと強く感じ、先日「イベントスケジュールカレンダー」を全社公開しました。イベントスケジュールカレンダーには、展示会、ウェビナー、新製品のリリース情報や、営業がローカルで動くイベント、会員サイトの動きなど、全て網羅したかたちで掲載しています。また、製品軸と業界軸に分けて見えるようにし、どこにどのような施策を持ってくるのがいいのかを考えやすく、組み立てやすくしました。

東京SEO 菊池氏
私もイベントスケジュールカレンダーを見ました。これまで年間の販促スケジュールがなかったので、名古屋SSH在籍中に作るように働きかけていたのですが、なかなか実現しない状況でした。今回のリードビジネスゲームをきっかけに、大野さんが作ってくれて本当にありがたいです。

カスタマーCC 寺坂氏
私も大野さんがイベントスケジュールカレンダーを作ってくれて、年間スケジュールを大枠でも立てられたのが良かったと思います。営業側からこういうメールを送りたいとか、ウェビナーをしたいという要望をもらい、スケジューリングできるようになってきたので、今年後半は営業と一緒に進めていきたいと思っています。

東海SSH 清水氏
私は東海SSHに所属しているのですが、拠点内で取り組む施策を担っています。これまでは新製品が発売されたタイミングでメール配信をしていましたが突発的な対応だったので、年間計画としてもう少し長いスパンで取り組む話をしています。先日のミーティングでは2月から6月分をざっくりと決め、その間に新製品の発売があれば別途配信することを検討するようにしています。カスタマーCCで全社的に配信することもありますが、汎用的な内容になるので、名古屋担当の東海三県のユーザーに絞った内容を送る検討をしています。残予算の時期や、東海地方なので車の業種に絞ってメールを送ることができると思っています。

寺坂 智恵子氏

営業側でMQLの定義づけに取り組む中で、データベース整備の問題にぶつかる

営業側でここ2カ月内に取り組んだことはありますか?

東日本SSH 平林氏
リードビジネスゲームに参加して1カ月以内に取り組むテーマとして、営業側でカスタマーCCからパスしてもらうMQL(有望見込み客)の定義づくりをおこなうことにしていました。進み具合でいくと、まだスタートラインに立っているところです。MQLを定義づけするにはスコアリングをしなくてはいけないのですが、前段階で社内リストの中身が社内で統一した情報になっていないことがわかりました。顧客ランクをA~Eに分けて、加点・減点のルールを製品群に分けて作っていく予定でしたが、営業側で管理しているSFAとマーケティング側で使用しているマーケティングオートメーションツール(MA)の2つのデータベースがあり、顧客ランクが同期していないことが発覚したのです。

カスタマーCC 中島氏
顧客ランクには、法人の事業所としてのランクと、人としてのランクがありますが、マーケティング活動では人としてのランクをつけています。営業的には事業所のランクと人のランクの両方が必要になるわけですが、何をもってランクをつけるのか悩んでいます。全社の統合データベースについては正直暗中模索といってよい状態です。

パワー・インタラクティブ 久道
データベースが2つある問題に関しては、どちらかのデータベースに統合するか、もしくは別のプラットフォームでデータを見える化することをお勧めします。会社のランクに関しては、業種、従業員数、売上などを基準に定義するべきだと思います。人のランクについては、部門や役職を基準にすると良いと思います。フォームの通過状況や会員サイトの閲覧頻度などのアクティビティを基準にすることも有効です。

東京SEO 菊池氏
リードビジネスゲームを受講したときは東海SSHにいましたが、1月1日付で東京SEOに異動しました。異動後は地域性の違いを感じており、カスタマーCCから引き渡されるお客様が、東京では比較的受注に繋がりやすい一方で、名古屋では検討段階がまだまだ先のケースが多いです。顧客のランク付けやMQLの定義に関しては、地域性をふまえ各担当エリアのメンバー全員にヒアリングしなければならないと思いました。東京でもエリアによって見込み度が違うこともありますので、拠点として統一し、共通したMQLの定義を決めていきたいと思いました。

ただし、営業としてはMQLの数を増やすことが最終目的ではありません。最終の目的は受注獲得なので、受注の見込みがあるのか、そこにつなげるためのMQLをどう抽出するのかについて学びました。

菊池章仁氏

カスタマーCCメンバーが営業ミーティングに参加、営業情報を収集したうえでデジタルマーケティング施策を策定

カスタマーコミュニケーションセンターで、新たに取り組んだことはありますか?

カスタマーCC 長田氏
ウェビナー計画を立てるにあたり、営業ミーティングに参加して、営業がどんなものをしたいのか、ネタはあるのかなどの確認をしています。現場ならではの情報を収集し、ウェビナーの企画に営業メンバーも加わり一緒に進めています。過去の受注傾向からタイミングを考えてイベントスケジュールカレンダーに反映し、メール施策からウェビナーへ展開するストーリーを意識するようになりました。

カスタマーCC 月形氏
私は販売店を担当していますが、昨年1年間、販売店のデジタルマーケティング担当者とマーケティング活動をおこなってきました。今年から販売店の営業会議にも参加しています。販売店のデジタルマーケティング担当者と一緒に営業情報をキャッチしながら年間の計画を立て、施策を考えていくことを目的に、参加を始めたところです。

目的を決めて、そこから逆算をして施策を考える

リードビジネスゲームに参加して、新たな気づきはありましたか?

東日本SSH 平林氏
リードビジネスゲームを受講する前は、デジタルマーケティングってどんなことをすればよいのかわからなかったのですが、目的を決めてそこから逆算して施策を打つことを学びました。お客さまに対し、当社が正規で入り込めていない製品を売ることが目的であり、入り込むためにはその手前にどんなニーズがあるかを探らなくてはいけない。社内展示会やセミナーを通じてニーズを掴めるよう企画に盛り込んできました。

カスタマーCC 月形氏
私は研修を受けて、1年間のざっくりとした取り組み計画を立て、そこから逆算して色々な施策を実行していくことが大事だと痛感しました。私が担当しているのは販売店との協業なので、当社のコンテンツを提供し、どうすればもっと新規顧客のMQLを抽出できるのかを販売店のデジタルマーケティング担当者と話し合い、計画を立てています。これから検証し、振り返りしながら進めていきたいと思います。販売店の営業担当者にもリードビジネスゲームを通じてデジタルマーケティングを体感してほしいです。

共通言語で営業とカスタマーCC間の会話ができるようになった

東日本SSH 塚田氏
研修に参加して一番良かったことは、リスト、リード、MQLの基本的な考え方を理解し、共通言語でメンバー間の会話ができるようになったことです。本社カスタマーCCでWeb施策を通じてお客さまとコンタクトをとり、MQLを創出することを目指していることがやっと理解できました。MQLを獲得しないことには始まらない。営業と本社カスタマーCCとの数値目標として、まずはMQLの創出があることがわかりました。

MQLの定義がまだ固まっていないのは課題ではありますが、スコアの閾値を下げるなどコントロールしながら取り組めるのではないかと思います。データベースの整備から始めるところではありますが、MQLの定義やデータ整備の大変さがわかった上で取り組むことが明確になってよかったと思います。カスタマーCCからメール配信の年間スケジュールを出してもらっているので、営業からも施策を提案していきたいと思います。

最後に、リードビジネスゲームを依頼された中島さんの感想を聞かせてください。

カスタマーCC 中島氏
リードビジネスゲームを通じて、営業とカスタマーCCのメンバーが理解し合うきっかけを作りたいと考え、いくつかのマーケティング研修からリードビジネスゲームを選択しました。残念ながら予算の都合で選抜メンバーによる受講となりましたが前述のような有形無形の効果があったことに安堵しています。特にメンバー間の会話の中で、施策に対する指向性が明確に変わっていたのが印象的です。

MQLを活かすには営業とカスタマーCCのコミュニケーションが必要であり、コミュニケーションをとるには共通の言語がなければいけません。実施後はできるだけ両部門が密になる機会を作ったのですが、共通言語(認識)が増えていることに感動しました。感覚派が多く(怒られそうですが)日々の数字に追われるフィールド営業にとって、理論を伝え、知識を振りかざすマーケティングの啓蒙活動は刺さることが少ないのが悩みでしたが、単純に体験を共有することで会話の広がりが変わっていきます。営業とカスタマーCC双方の理解者が増えていけば、誰が音頭を取らずとも勝手に変わっていくと信じています。

中島寿行氏

リードビジネスゲーム実施日 2023年12月11日
開催場所 日置電機株式会社 東京SEO+オンライン(Zoom)
参加者 8名
国内営業部 カスタマーコミュニケーションセンター
 係長 中島寿行氏(オブザーバー参加)
 主任 大野悦子氏、寺坂智恵子氏、長田美里氏、月形陽子氏
国内営業部 東北SEO 係長 塚田潤氏
国内営業部 東日本SSH 主任 平林孝紀氏
国内営業部 東京SEO 係長 菊池章仁氏
国内営業部 東海SSH    清水玲氏
担当トレーナー パワー・インタラクティブ 久道 真之介
ふり返りミーティング実施日 2024年2月7日

リードビジネスゲームの担当トレーナーの声

みなさんのコメントを聞いてリードビジネスゲームを実施して大変よかったと思いました。特に素晴らしいと思ったことが2点あります。まずは、カスタマーCCと営業との連携が進んでいること。もう一つは、イベントスケジュールカレンダーを確立し、全社で活用している点です。これまで多くの企業でリードビジネスゲームのトレーナーを担当してきましたが、短期間でここまでの変化が見られるとは思っていませんでした。今後もこのスピード感を大事にして、デジタルマーケティングの社内浸透が進んでいくことを期待しています。

久道 真之介

コンサルティング第1部 部長

久道 真之介

マーケティング戦略策定

通信会社で法人向けの営業を8年経験。その後起業を経験し、2010年にパワー・インタラクティブに入社。Webサイト制作のディレクションからリスティングの運用、アクセスログの分析など現場での業務を経験し、現在はマーケティングコンサルタントとして、BtoB・BtoCのデジタルマーケティングの戦略立案から伴走支援までを行う。

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