事例

“戦略と現場の断絶”を埋めるには?GTM再設計から成果創出まで

パワー・インタラクティブ マーケティング推進室(文責)

セキュリティやネットワーク領域に強みを持つB社。社員数は約1,000名で、BtoBを中心にITソリューションを提供しています。近年、セキュリティ市場では新規参入が相次ぎ、競合優位性の維持や継続的な商談獲得がより困難になってきました。そうした中、B社はリード獲得には一定の成果を出していたものの、「なぜ商談につながらないのか」「営業とマーケの連携をどう強化すべきか」といった根本課題を抱えていました。

社内でも様々な改善に取り組んだものの、データやツールが分断されたままでは全体最適につながらず、リードの活用も属人的な対応に留まっている状況。そこでB社は、GTM(Go-To-Market)戦略の再構築と、その実行を支える組織的な基盤づくりに本格的に乗り出すことを決断しました。

パワー・インタラクティブは、B社のGTM戦略の再設計を支援し、データとツールの統合を進めることで、部門間の連携強化と商談化率の向上を実現しました。
本事例は、戦略と現場のギャップを埋める実行力のあるGTM構築の好例です。

商談化率低迷と営業・マーケティングの連携不足による課題

リードは増えても商談につながらない

B社では、オンラインセミナーや展示会出展により新規リードは順調に獲得できていたものの、営業への引き渡し後の商談化率が10〜15%と低迷していました。
マーケティングと営業のKPIがバラバラで、データ連携も不十分なため、ボトルネックの特定が困難でした。

競合他社の台頭による差別化の困難さ

セキュリティ市場の競争が激化する中で、B社の優位性が曖昧になり、価格交渉で不利になるケースも増加。製品やサービスの明確な差別化が求められていました。

組織的なデータ活用の欠如

マーケティングオートメーションツール(Pardot)は導入されていたものの、一部のマーケティング担当者しか活用しておらず、営業はスプレッドシートを使った属人的な管理を継続。CRM(Salesforce)との連携はほとんどおこなわれていない状況でした。

GTM戦略再設計とデータ統合の取り組みを支援

B社が目指したのは、「戦略の立案にとどまらず、日々の現場業務に根づくかたちでGTM戦略を実行できる体制づくり」でした。パワー・インタラクティブはこの課題に対し、戦略策定からデータ基盤の整備、運用の定着化までを一気通貫で支援しました。

まずは経営層・マーケティング・営業・カスタマーサクセス(CS)など各部門へのヒアリングとデータ分析を通じて、商談化率のボトルネックや部門間の連携課題を可視化。リード獲得から受注までの全体像をマッピングし、改善の優先順位を明らかにしました。

次に、競合他社との差別化ポイントを明確化したうえで、ターゲットの再定義やバリュープロポジションの整理、KPIの統一を含むGTM戦略を策定。営業とマーケが同じ目標に向かえるよう、6ヶ月〜12ヶ月単位の施策ロードマップを構築しました。

さらに、CRMとマーケティングオートメーションツール(以下、MAツール)の連携によるリード・商談情報の一元化、スコアリングモデルの設計、ダッシュボードの整備をおこない、組織全体がリアルタイムにデータをもとに動ける環境を整備。マーケティング施策におけるPDCAの高速化だけでなく、営業・CS部門との連携も強化されました。

施策実行段階では、メール配信やナーチャリングシナリオの見直し、営業向けのアプローチガイド整備、受注後のCS連携体制構築など、具体的な業務オペレーションの再設計も伴走。加えて、社内向けのワークショップやマニュアル整備を通じて、内製化の推進と継続的な改善が可能な運用体制を構築しました。

得られた成果:商談化率35%の改善とLTV向上

こうした取り組みの結果、B社では短期間で具体的な成果が表れ始めました。最も顕著だったのが、商談化率の改善です。従来は10〜15%程度に留まっていた商談化率が、スコアリングと営業アプローチの精度向上により35%にまで改善。営業現場では「今、優先して動くべき見込み客」が明確になり、追客のムダが大きく削減されました。

また、商談単価の向上と提案の質の変化も見逃せない成果です。バリュープロポジションを軸とした再整理により、単発製品の提案ではなく、運用支援や月額課金型のソリューションといった継続性のある高単価商材の提案比率が増加。結果として、平均商談金額は約1.4倍、粗利率も向上しました。

さらに、受注後のCS(カスタマーサクセス)体制強化により、顧客の解約率は2%改善。利用状況の可視化に基づいたフォローや、アップセル・クロスセルのタイミングを逃さない営業連携が可能になり、既存顧客からの年間売上は前年比120%を超えて推移するなど、LTV(顧客生涯価値)の向上にも寄与しました。

何より注目すべきは、「組織としてデータに基づいて動く文化」が定着し始めたことです。属人化から脱却し、誰が見ても次のアクションが明確な状態をつくることで、担当者が変わっても施策が止まらず、継続的に成果を上げられる体制が整いました。

GTM戦略を活かしたさらなる市場拡大と成長を目指す

B社では現在、これまでに構築したGTM戦略とデータ活用基盤をベースに、さらなる成長を見据えた取り組みを本格化させています。特に注力しているのが、新商品開発と海外市場への展開です。

すでに国内で培った営業・マーケティングのモデルを応用し、海外市場におけるターゲットの選定や、現地パートナーとの連携強化に着手。導入したダッシュボードやスコアリング基盤が、新たな市場環境においても定量的な意思決定を支え、スピーディな戦略立案と実行を可能にしています。

また、組織内部ではさらなる自走体制の強化を進めており、MA・CRM運用やコンテンツ開発における内製比率の向上と、それを支える人材育成にも積極的に取り組んでいます。一方で、繁忙期や戦略転換が求められる局面では、引き続き当社がパートナーとして伴走し、柔軟性とスピードを両立した実行支援体制を維持していく予定です。

今後は「戦略×データ×人材」の相乗効果をさらに高め、マーケティングと営業の機能をより統合的に運用することで、事業全体の売上最大化とLTVの向上を目指していきます。

担当コンサルタントの声

GTM戦略再設計で成果を実現

B社のプロジェクトでは、戦略と現場のギャップを埋めるために、組織全体を巻き込んだGTM戦略の再設計をおこないました。最初の段階では、営業とマーケティング間の連携不足が大きな障害となっていましたが、データとツールの一元化を進めることで、部門間のシームレスな協力体制を構築しました。特に、商談化率の改善とLTVの向上には、大きな手応えを感じています。

私たちは、単なる戦略立案にとどまらず、実行段階での伴走支援を重視しました。これにより、B社が自社のデータを最大限に活用できる体制が整い、施策の効果が定量的に可視化されました。今後も、B社が持続的に成長を遂げられるよう、引き続きサポートをおこなっていきます。

GTMアクセラレートコンサルティングサービスのご提案

このような成果を実現するための支援を提供するのが、私たちの「GTMアクセラレートコンサルティングサービス」です。当サービスは、戦略の策定から実行、KPIの可視化まで、マーケティング活動を効果的に加速させるための支援を一貫して行います。戦略的な施策設計をはじめ、部門間の連携強化やデータ統合を通じて、マーケティングの実行力を高め、持続可能な成果を生み出す体制の構築をサポートします。

「戦略はあるが実行が難しい」「部門間の連携がうまくいかない」といった課題を抱えている企業様にとって、私たちのサービスは確実にお役立ちできるものと自信を持っています。ぜひ、私たちと一緒に、実行可能なマーケティング体制を構築し、成果を上げていきましょう。

パワー・インタラクティブ マーケティング推進室

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