Adobe Marketo Engage運用にマネジメントがなぜ必要なのか

多くのマーケティング組織が、Adobe Marketo Engage(以下Marketo)などのMAを運用する際に、以下の3つの分断の課題に直面することが多くあります。

1. データが分断しROIが見えない
Webログ、MA、SFAなどのツールごとにデータが散在しているため、マーケティング部門からの報告がメール開封率やクリック率といった部分的な指標に留まりがちです。その結果、経営層や営業部門が求める「施策が売上や商談にどう貢献したか」という問いに答えられず、マーケティングの価値を証明できていません。

2. プロセスが分断し属人化する
Web、広告、MA担当が縦割りで動き、施策の依頼や連携がチャットやメールで五月雨式に行われると、「来週中にメールを送りたい」といった曖昧な指示が飛び交い、MA担当者は詳細確認と設定に追われます。依頼フォーマットや実行フローがバラバラなため、戦略的な戦術設計がおろそかになり、現場は作業に忙殺されてしまいます。

3. スキルが分断し組織力欠如に陥る
マーケティング担当者の個人的なスキルにノウハウが依存し、ドキュメント化・ナレッジ化されていないため、担当者が変わると運用が停止したり品質が低下したりするなど、組織としての再現性が失われている状態です。

改善策

これらの課題を解決するのが、キャンペーンマネジメントという考え方です。
単なる配信設定だけでなく、企画・依頼から実行、そして収益分析までを一つのワークフローとして標準化します。

タスク管理ツールの導入で施策のプロセスや進捗状況などの交通整理をする

課題 五月雨式のチャットやメールでの依頼による疲弊
解決策 BacklogやJiraなどのタスク管理ツールを導入し設定依頼雛形を作成し、ルールを決める
実践例 依頼内容(施策内容、配信日、セグメントなど)を雛形化し、Marketoの設定とセットにしておくことで、毎回ゼロから進めずに済み、誰もが同じクオリティで対応できるようになる

マーケティングデータ連携の整備

課題 データがバラバラ、Salesforceなどの営業管理ツールとの情報が正しく連携されていない
解決策 MarketoとSalesforceの連携設定を見直し、リードソース、商談、キャンペーンの定義を合わせる ※本解決策はSalesforceを利用している場合を想定しています
実践例 Marketo施策のデータがSalesforceに正しく連携される設定を整え、正しいデータで正しい評価をすることで課題を見誤らない

マーケティング成果の分析・可視化

課題 施策をやりっぱなしで、どれが売上に貢献したか不明
解決策 データ基盤が整えば、MarketoとSalesforceのデータを統合的に分析することで、どの施策が効果的だったかが見えるようになる
実践例 メール開封率だけでなく、この施策が〇〇円の商談を生み出したというROIを証明でき、社内でのマーケティングの役割を理解してもらいやすくなる

Marketo運用の限界?メール配信ツールからの脱却

多機能なMAツールであるMarketoを導入しているにもかかわらず、実態は単なるメール配信ツールになってしまっている、多くの企業がこのような課題に直面しています。

もっと高度な使い方ができるはずと感じながらも、日々の配信業務に追われ、戦略的な活用に踏み出せないその原因の多くは、ツールの機能不足ではなく、運用プロセスと組織体制の未成熟さにあります。

本記事では、Marketoを単なるツール運用に留めず、データ・施策・組織を最適化し、マーケティングの収益貢献を可視化するための手法キャンペーンマネジメントについて解説します。

3つの分断を解決する鍵は「キャンペーンマネジメント」という思考法

冒頭で触れた多くのマーケティング組織が直面している、データが分断されROIが見えない、プロセスが分断され属人化する、スキルが分断し組織力が欠如するという3つの分断。

これらの分断を解消し、組織全体を統合するのが「キャンペーンマネジメント」という考え方です。

キャンペーンマネジメント
全体戦略・計画から、Backlog等のツールを用いた施策実行、そしてSalesforce等と連携した効果測定・収益分析までを、一つの連続したワークフロー(業務プロセス)として標準化する仕組み。

今日から始められるキャンペーンマネジメントの実践

キャンペーンマネジメント基盤を構築するには、どんなことから取り組めば良いのでしょうか?
ここでは、今日からでも着手できる具体的なアクションを3つのステップでご紹介します。

①現状の棚卸しからはじめる

・施策の棚卸を行う
現在稼働している施策を全てピックアップしてみます。担当者しか認識していない施策や放置されたままになっているキャンペーンはないか、いつ、何の目的で、かを見えるように明確にリスト化します。

・データのズレに気付く
MarketoとSalesforceのリードソースや商談の項目は両方のツールで同じ値になっていますか?よくあるケースとして双方の項目の表現が微妙に差異があることがあります。
例えば、「2026-テクノロジー展示会」と「26_A事業部_X会社共催-デジマケ展示会-1234」のように、イベント名表記の不一致、名前のつけ方が微妙に異なるなど、集計や評価の際に別の施策としてカウントされてしまうため、項目のズレがないか確認することから始めましょう。

②施策依頼プロセスの標準化

・施策実行のテンプレートを標準化する
チケット化された依頼内容は、Marketo上のプログラムテンプレートと紐づけます。 例えば、ウェビナー集客というチケットが起票されたら、Marketo側ではウェビナー用プログラムテンプレートを複製して設定する、というルールを定めます。
これにより、施策実行プロセスが標準化され、誰が担当しても一定の品質とスピードで施策を実行できる体制が整います。

・タスク管理ツールによるチケット管理の導入
チャットや口頭での依頼を禁止し、BacklogやJiraなどのタスク管理ツールを用いたチケット管理へ移行します。
キャンペーンリクエストフォーマットを作成し、依頼者はターゲット、配信日、予算、ゴールなどを必須項目として入力します。
これにより言った言わない、ボールは現在誰にあるかわからないなどのトラブルを防ぎ、情報が整理された状態でMA担当者に渡ります。

③マーケティングデータ基盤の再構築

・MarketoとSalesforceの連携最適化
MarketoとSalesforceの連携設定を見直します。特に重要なのが、リードソース・商談・キャンペーンの各オブジェクトが正しく同期されていることが大切です。

・評価軸となるキャンペーンオブジェクトの設計
施策の効果を測るための箱であるキャンペーンオブジェクトの階層構造を最適化します。 「いつ、誰に、どの施策を行い、どう反応したか」をSalesforceのキャンペーンメンバーとして記録し、それが後の商談や売上に紐づくよう設計します。このデータ基盤があって初めて、マーケティングの貢献度が計測可能になります。

収益貢献の可視化と経営層へのROI証明

プロセスが整い、データ基盤が構築されると、最終的なゴールである「収益貢献の可視化」が実現します。

アトリビューション分析の実践

MarketoとSalesforceのデータを統合的に分析することで、アトリビューション(貢献度)分析が可能になります。ファーストタッチから商談化まで、顧客が契約に至るまでに接触した複数の施策のうち、どれが売上に寄与したかを可視化できます。

コストセンターからプロフィットセンターへ

これにより、「メール開封率が20%でした」という報告から、「このキャンペーン施策が、〇件の商談創出に貢献し、最終的に〇〇万円の売上に寄与しました(ROI〇〇%)」という報告へと変わります。

数字で成果を証明できるようになれば、マーケティング部門は単なるコストセンターから、利益を生み出す「プロフィットセンター」として、経営層からの信頼とさらなる投資を獲得できるようになるでしょう。

パワー・インタラクティブのキャンペーンマネジメントサービス紹介

Marketo運用の「仕組み化」にお悩みではありませんか?
キャンペーンマネジメントの概念はわかったけれど、何から手をつければいいかわからない、社内にSalesforce連携の知見がない、そのようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひパワー・インタラクティブにお任せください。

私たちはお客様のマーケティング活動における実務運用とデータ基盤の両面を支えるパートナーです。数多くの企業様をご支援してきたノウハウを活かし、貴社の現状に合わせた無理のないキャンペーンマネジメント導入を実現します。

キャンペーンマネジメントをはじめとするマーケティング活動の「仕組み」そのものを構築・最適化する「MOps(マーケティングオペレーションズ)」の視点から、貴社の運用定着を強力にバックアップします。

▼Marketo/Salesforce連携・キャンペーンマネジメント支援
MOps支援サービスfor Adobe Marketo Engage × Salesforce
https://www.powerweb.co.jp/service/campaign-management/

【まとめ】成果を出す組織に変わるために

Marketoが単なるメール配信ツールになってしまう原因は、ツールの機能の問題ではなく、運用プロセスとデータの分断にあります。
本記事で解説したキャンペーンマネジメントの視点を取り入れ、組織全体で以下の3つのポイントを意識することから始めてみてください。

1.依頼プロセスのルール化と標準化
タスク管理ツール等を活用して、依頼フォーマットを統一し、依頼プロセスのルールを決め、誰が担当しても同じ品質で実行できる仕組みを構築しましょう。

1.依頼プロセスのルール化と標準化
タスク管理ツール等を活用して、依頼フォーマットを統一し、依頼プロセスのルールを決め、誰が担当しても同じ品質で実行できる仕組みを構築しましょう。

2.ツール間のデータ定義を統一する
MarketoとSalesforceの間で、項目の選択肢や表記、リードソースなどの定義がズレていては、正しい分析はできません。まず、足元のデータのズレを解消することこそが正しいデータ活用の第一歩です。

3.成果の証明はメール効果やダウンロード数ではなく売上貢献を指標にする
マーケティングのゴールはメールを開かせることではありません。プロセスとデータを整備し、この施策がいくらの商談・売上を作ったのかを可視化することで、マーケティング部門は経費を使うコストセンターから利益を生む組織へと進化できます。

長島 小百合

マーケティングコンサルタント

長島 小百合

マーケティングオートメーション活用支援

複数のIT系企業にてBtoBマーケティング業務に従事。
ユーザーとしてOracle Eloquaなどの国内外のマーケティングオートメーションツールに携わり自社マーケティング施策を実行。
2022年より現職、Adobe Marketo Engage オペレーション支援を担当。マーケティング部門での業務経験より、お客様と同じ視点でマーケティング活動をサポート。
溺愛中の愛犬が癒しの存在。

TOP